年金資金運用基金法

法律第十九号(平一二・三・三一)

目次

 第一章 総則(第一条―第七条)

 第二章 役員及び理事会並びに職員(第八条―第十九条)

 第三章 投資専門委員(第二十条)

 第四章 服務(第二十一条―第二十三条)

 第五章 業務(第二十四条―第三十一条)

 第六章 財務及び会計(第三十二条―第四十二条)

 第七章 業務の概況の公表(第四十三条)

 第八章 監督(第四十四条・第四十五条)

 第九章 雑則(第四十六条・第四十七条)

 第十章 罰則(第四十八条―第五十一条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 年金資金運用基金は、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の規定に基づき厚生大臣から寄託された資金(以下「年金資金」という。)をこれらの法律の規定に基づいて厚生大臣が定める基本方針(以下「基本方針」という。)に沿って管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的とする。

 (法人格)

第二条 年金資金運用基金(以下「基金」という。)は、法人とする。

 (事務所)

第三条 基金は、主たる事務所を東京都に置く。

2 基金は、厚生大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。

 (資本金)

第四条 基金の資本金は、一億円とし、政府がその全額を出資する。

2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、基金に追加して出資することができる。

3 基金は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。

 (登記)

第五条 基金は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

 (名称の使用制限)

第六条 基金でない者は、年金資金運用基金という名称を用いてはならない。

 (民法の準用)

第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、基金について準用する。

   第二章 役員及び理事会並びに職員

 (役員)

第八条 基金に、役員として、理事長一人、理事二人以内及び監事一人を置く。

 (理事会の設置及び任務)

第九条 基金に理事会を置く。

2 理事会は、理事長及び理事をもって組織する。

3 理事会は、管理運用方針(第二十七条第一項に規定する管理運用方針をいう。以下同じ。)、この法律により厚生大臣の認可又は承認を受けなければならない事項その他第二十四条第一号に掲げる基金の業務(以下「管理運用業務」という。)の運営に関する重要事項を審議し、決定する。

 (理事会の会議)

第十条 理事会は、理事長が招集する。

2 理事長は、理事会の議長となり、会務を総理する。

3 理事会は、理事長及び理事の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決することができない。

4 理事会の議事は、出席した理事長及び理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 (役員の職務及び権限)

第十一条 理事長は、基金を代表し、その業務を総理する。

2 理事は、理事長の定めるところにより、基金を代表し、理事長を補佐して基金の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。

3 監事は、基金の業務を監査する。

4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は厚生大臣に意見を提出することができる。

 (役員の任命)

第十二条 理事長及び監事は、厚生大臣が任命する。

2 理事は、理事長が厚生大臣の認可を受けて任命する。

 (役員の任期)

第十三条 理事長の任期は、四年とし、理事及び監事の任期は、二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 役員は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第十四条 次のいずれかに該当する者は、役員となることができない。

 一 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)

 二 銀行業、信託業、証券業、生命保険業その他の金融業(これらに類似し、又は密接に関連する事業を含む。)を営む者であって基金と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 (役員の解任)

第十五条 厚生大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。

2 厚生大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

 二 職務上の義務違反があるとき。

3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、厚生大臣の認可を受けなければならない。

 (役員の兼職禁止)

第十六条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。

 (代表権の制限)

第十七条 基金と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が基金を代表する。

 (職員の任命)

第十八条 基金の職員は、理事長が任命する。

 (役員及び職員の公務員たる性質)

第十九条 基金の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

   第三章 投資専門委員

第二十条 基金に、管理運用業務に関する専門の事項について調査し、及び管理運用業務の運営に関する重要事項に参画させるため、投資専門委員三人以内を置く。

2 理事会において管理運用業務に関する事項を審議するときは、投資専門委員を理事会に出席させ、その意見を聴かなければならない。

3 投資専門委員は、経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験を有する者のうちから、理事長が厚生大臣の認可を受けて任命する。

4 投資専門委員の任期は、四年とする。

5 第十三条第二項、第十四条から第十六条まで及び前条の規定は、投資専門委員について準用する。この場合において、第十四条第一号中「非常勤の者」とあるのは、「非常勤の者及び教育公務員で政令で定めるもの」と読み替えるものとする。

   第四章 服務

 (役員等の注意義務)

第二十一条 基金の役員、投資専門委員及び職員は、年金資金が厚生年金保険及び国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。

2 理事長及び理事は、管理運用業務に関する職務の執行に際しては、委任を受けて他人のために資産の管理及び運用を行う者であってその職務に関して一般に認められている専門的な知見に基づき慎重な判断を行うものが同様の状況の下で払う注意に相当する注意(第二十九条において「慎重な専門家の注意」という。)を払わなければならない。

3 理事長及び理事は、管理運用業務について、この法律、この法律に基づく命令若しくはこの法律に基づいてする厚生大臣の処分又は基金が定める管理運用方針その他の規則を遵守し、基金のため忠実にその職務を遂行しなければならない。

 (役員等の秘密保持義務)

第二十二条 基金の役員、投資専門委員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、管理運用業務に係る職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

 (理事長及び理事の禁止行為)

第二十三条 理事長及び理事は、自己又は基金以外の第三者の利益を図る目的をもって、次に掲げる行為を行ってはならない。

 一 特別の利益の提供を受け、又は受けるために、年金資金の管理及び運用に関する契約を基金に締結させること。

 二 自己若しくは自己と利害関係のある者の有する有価証券その他の資金を基金に取得させ、又は年金資金の管理及び運用に係る資産を自己若しくは自己と利害関係のある者が取得するようにさせること。

   第五章 業務

 (業務の範囲)

第二十四条 基金は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 年金資金の管理及び運用を行うこと。

 二 前号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

 (業務の委託)

第二十五条 基金は、厚生大臣の認可を受けて、金融機関その他政令で定める法人に対し、前条に規定する業務の一部を委託することができる。

2 第二十一条及び第二十三条の規定は、前項の規定により業務の委託を受けた者について準用する。

 (業務の運営)

第二十六条 管理運用業務は、基本方針に沿って実施されなければならない。

2 基金は、管理運用業務を行うに当たっては、適切な情報の公開により業務の運営における透明性を確保するとともに、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めなければならない。

 (管理運用方針)

第二十七条 基金は、管理運用業務を行うに当たっては、次に掲げる事項を記載した管理運用方針を定めなければならない。

 一 年金資金の管理及び運用の目標に関する事項

 二 年金資金の管理及び運用における資産の構成に関する事項

 三 年金資金の管理及び運用の評価に関する事項

 四 その他管理運用業務の運営に関する重要事項

2 基金は、基本方針が変更された場合のほか、毎年少なくとも一回、管理運用方針に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。

3 基金は、管理運用方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを厚生大臣に提出しなければならない。

 (資金の管理及び運用)

第二十八条 厚生年金保険法第七十九条の三第一項の規定に基づき寄託された資金(以下「厚生年金資金」という。)及び国民年金法第七十六条第一項の規定に基づき寄託された資金(以下「国民年金資金」という。)の運用は、次に掲げる方法により安全かつ効率的に行われなければならない。

 一 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)に規定する有価証券(同法第百八条の二第三項の規定により国債証券又は外国国債証券とみなされる標準物(第六号において単に「標準物」という。)を含む。)であって政令で定めるもの(株式を除く。)の売買

 二 預金又は貯金(厚生大臣が適当と認めて指定したものに限る。)

 三 信託会社(信託業務を営む銀行を含む。以下同じ。)への信託。ただし、運用方法を特定するものにあっては、次に掲げる方法により運用するものに限る。

  イ 前二号及び第五号から第八号までに掲げる方法

  ロ 投資顧問業者(有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律(昭和六十一年法律第七十四号)第二条第三項に規定する者をいう。)との投資一任契約(同条第四項に規定する契約をいう。)であって政令で定めるものの締結

 四 厚生年金保険の被保険者及び国民年金の被保険者(国民年金法第七条第一項第一号に規定する第一号被保険者に限る。)を被保険者とする生命保険(被保険者の所定の時期における生存を保険金の支払事由とするものに限る。)の保険料の払込み

 五 第一号の規定により取得した有価証券のうち政令で定めるものの金融機関その他政令で定める法人に対する貸付け

 六 債券オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において債券(標準物を含む。)の売買契約を成立又は解除させることができる権利であって政令で定めるものをいう。)の取得又は付与

 七 先物外国為替(外国通貨をもって表示される支払手段であって、その売買契約に基づく債権の発生、変更又は消滅に係る取引を当該売買契約の契約日後の一定の時期に一定の外国為替相場により実行する取引(金融先物取引所の開設する市場において行われる取引又はこれに類する取引であって、政令で定めるものに該当するものを除く。)の対象となるものをいう。)の売買

 八 通貨オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において外国通貨をもって表示される支払手段の売買取引(前号の政令で定める取引に該当するものを除く。)を成立させることができる権利をいう。)の取得又は付与

2 基金は、厚生年金資金及び国民年金資金を合同して管理及び運用を行うことができる。

 (年金資金の管理及び運用に関する契約)

第二十九条 基金は、年金資金の管理及び運用に関して、次に掲げる契約を締結するときは、当該契約において、当該契約の相手方が慎重な専門家の注意を払うとともに、法令及び基金と締結した契約その他の規程を遵守し、基金のため忠実にその職務を遂行しなければならない旨の規定を定めなければならない。

 一 前条第一項第三号に掲げる信託の契約

 二 前条第一項第三号ロに規定する投資一任契約

 三 前条第一項第四号に掲げる生命保険の保険料の払込みの契約

 (業務方法書)

第三十条 基金は、業務の開始の際、業務方法書を作成し、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、厚生省令で定める。

 (制裁規程)

第三十一条 基金は、業務の開始の際、制裁規程を作成し、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の制裁規程においては、基金の役員、投資専門委員及び職員(以下この項において「役員等」という。)が、この法律、この法律に基づく命令若しくはこの法律に基づいてする厚生大臣の処分若しくは基金が定める管理運用方針その他の規則に違反し、又は基金の役員等たるにふさわしくない行為をしたときは、当該役員等に対し、免職、停職、減給及び戒告の処分その他の制裁を課する旨を定めなければならない。

   第六章 財務及び会計

 (事業年度)

第三十二条 基金の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

 (予算等の認可)

第三十三条 基金は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (決算)

第三十四条 基金は、毎事業年度の決算を翌事業年度の六月三十日までに完結しなければならない。

 (財務諸表等)

第三十五条 基金は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に厚生大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

2 基金は、前項の規定により財務諸表を厚生大臣に提出するときは、次に掲げる書類を添付しなければならない。

 一 当該事業年度の業務報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書

 二 当該事業年度の財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書

 三 当該事業年度の財務諸表及び附属明細書、業務報告書並びに決算報告書(附属明細書及び業務報告書については、会計に関する部分に限る。)に関する公認会計士又は監査法人の監査報告書

3 基金は、第一項の規定による厚生大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、貸借対照表及び損益計算書又はこれらの要旨を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに前項の業務報告書、決算報告書、監事の意見書及び公認会計士又は監査法人の監査報告書を、事務所に備えて置き、厚生省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。

 (区分経理)

第三十六条 基金は、次の各号に掲げる経理については、他の経理と区分し、それぞれ当該各号の区分に応じ、当該各号に掲げる勘定を設けて整理しなければならない。

 一 厚生年金資金の管理に係る経理 厚生年金勘定

 二 国民年金資金の管理に係る経理 国民年金勘定

 三 厚生年金勘定及び国民年金勘定から受け入れた資金の管理及び第二十四条に規定する業務に必要な事務に係る経理 総合勘定

2 前項各号に掲げる勘定に係る業務上の余裕金の運用については、第二十八条の規定を準用する。

 (利益及び損失の処理)

第三十七条 基金は、毎事業年度、総合勘定に係る損益計算において利益を生じたときは、当該事業年度における厚生年金勘定及び国民年金勘定から受け入れた資金の額を基準として政令で定めるところにより _ 分した額を、それぞれこれらの勘定に帰属させるものとする。

2 基金は、毎事業年度、総合勘定に係る損益計算において損失を生じたときは、当該事業年度における厚生年金勘定及び国民年金勘定から受け入れた資金の額を基準として政令で定めるところにより _ 分し、それぞれこれらの勘定から受け入れた資金を減額して整理するものとする。

3 基金は、毎事業年度、厚生年金勘定又は国民年金勘定に係る損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額のうち政令で定める基準により計算した額を準備金として積み立てなければならない。

4 基金は、毎事業年度、厚生年金勘定又は国民年金勘定に係る損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による準備金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。

5 基金は、厚生年金勘定又は国民年金勘定において、第三項の規定による残余の額から同項の規定により準備金として積み立てた額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を翌事業年度の三月三十一日までにそれぞれ厚生保険特別会計年金勘定又は国民年金特別会計国民年金勘定に納付しなければならない。

6 前項の規定による納付金の納付の手続については、政令で定める。

 (借入金)

第三十八条 基金は、厚生大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。

2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、厚生大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。

 (交付金)

第三十九条 政府は、予算の範囲内において、基金に対し、第二十四条第一号に掲げる業務の事務の執行に要する費用及び同条第二号に掲げる業務に要する費用に相当する金額を交付することができる。

 (財産の処分等の制限)

第四十条 基金は、厚生省令で定める財産を貸し付け、譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、厚生省令で定める場合を除き、厚生大臣の認可を受けなければならない。

 (給与及び退職手当の支給の基準)

第四十一条 基金は、役員、投資専門委員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、厚生大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (厚生省令への委任)

第四十二条 この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、基金の財務及び会計に関し必要な事項は、厚生省令で定める。

   第七章 業務の概況の公表

第四十三条 基金は、各事業年度の決算完結後遅滞なく、当該事業年度における時価による年金資金の資産の額及びその構成割合並びに運用収入の額その他厚生省令で定める事項を記載した業務概況書を作成し、これを公表しなければならない。

   第八章 監督

 (監督)

第四十四条 基金は、厚生大臣が監督する。

2 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第四十五条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金に対して報告を求め、又はその職員に基金の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

   第九章 雑則

 (解散)

第四十六条 基金の解散については、別に法律で定める。

 (大蔵大臣との協議)

第四十七条 厚生大臣は、次の場合には大蔵大臣と協議しなければならない。

 一 第二十五条第一項、第三十条第一項、第三十三条、第三十八条第一項若しくは第二項又は第四十条の規定による認可をしようとするとき。

 二 第二十八条第一項第二号の規定による指定をしようとするとき。

 三 第三十条第二項、第四十条、第四十二条又は第四十三条の規定により厚生省令を定めようとするとき。

 四 第三十五条第一項又は第四十一条の規定による承認をしようとするとき。

   第十章 罰則

第四十八条 第二十二条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第四十九条 第四十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした基金の役員、投資専門委員又は職員を三十万円以下の罰金に処する。

第五十条 次の各号の一に該当する場合においては、その違反行為をした基金の役員、投資専門委員又は職員は、二十万円以下の過料に処する。

 一 この法律により厚生大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。

 二 第五条第一項又は附則第四条第一項の規定による政令の規定に違反して登記しなかったとき。

 三 第二十四条に規定する業務以外の業務を行ったとき。

 四 第二十七条第三項の規定に違反して管理運用方針を提出しなかったとき。

 五 第三十五条第三項の規定に違反して、公告をせず、若しくは虚偽の公告をし、又は財務諸表その他の書類を備え置かず、若しくは閲覧に供しなかったとき。

 六 第三十六条第二項の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

 七 第四十三条の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。

 八 第四十四条第二項の規定による厚生大臣の命令に違反したとき。

第五十一条 第六条の規定に違反して年金資金運用基金という名称を用いた者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号)附則第一条第六号に掲げる規定の施行の日から施行する。ただし、次条及び附則第三条の規定は、公布の日から施行する。

 (基金の設立)

第二条 厚生大臣は、基金の理事長又は監事となるべき者を指名する。

2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、基金の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。

第三条 厚生大臣は、設立委員を命じて、基金の設立に関する事務を処理させる。

2 設立委員は、基金の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その旨を厚生大臣に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。

 (設立の登記)

第四条 附則第二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第二項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

2 基金は、前項の規定による設立の登記をすることによって成立する。

 (名称の使用制限に関する経過措置)

第五条 この法律の施行の際現に年金資金運用基金という名称を使用している者については、第六条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

 (事業年度に関する経過措置)

第六条 基金の最初の事業年度は、第三十二条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、その後最初の三月三十一日に終わるものとする。

 (予算等に関する経過措置)

第七条 基金の最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、第三十三条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは「基金の成立後遅滞なく」とする。

 (その他の経過措置の政令への委任)

第八条 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

 (関係法律の整備)

第九条 この法律の施行に伴う関係法律の整備については、年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律(平成十二年法律第二十号)の定めるところによる。

(大蔵・厚生・内閣総理大臣署名) 

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