法人税法の一部を改正する法律

法律第十四号(平一二・三・三一)

 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第十条」を「第十条の二」に、

第五款 収益及び費用の帰属事業年度の特例(第六十二条―第六十四条)

 

 

第六款 各事業年度の所得の金額の計算の細目(第六十五条)

第五款 利益の額又は損失の額の計算

 

 

 第一目 有価証券の譲渡損益及び時価評価損益(第六十一条の二―第六十一条の四)

 

 

 第二目 デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額(第六十一条の五)

 

 

 第三目 ヘッジ処理による利益額又は損失額の計上時期等(第六十一条の六・第六十一条の七)

 

 

 第四目 外貨建取引の換算等(第六十一条の八―第六十一条の十)

 

 

第六款 収益及び費用の帰属事業年度の特例(第六十二条―第六十四条)

 

 

第七款 各事業年度の所得の金額の計算の細目(第六十五条)

に、

  第三節 申告、納付及び還付等(第百四十五条)

 

 

  第四節 青色申告(第百四十六条)

 

 

  第五節 更正及び決定(第百四十七条)

 

 

第四編 雑則(第百四十八条―第百五十八条)

  第三節 申告、納付及び還付等(第百四十五条)

 

 

 第三章 退職年金等積立金に対する法人税

 

 

  第一節 課税標準及びその計算(第百四十五条の二・第百四十五条の三)

 

 

  第二節 税額の計算(第百四十五条の四)

 

 

  第三節 申告及び納付(第百四十五条の五)

 

 

 第四章 青色申告(第百四十六条)

 

 

 第五章 更正及び決定(第百四十七条)

 

 

第四編 雑則(第百四十八条―第百五十八条)

に改める。

 第二条第三十二号中「中間申告)」の下に「(第百四十五条の五(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)」を加え、同条第三十三号中「確定申告)」の下に「(第百四十五条の五において準用する場合を含む。)」を加える。

 第四条第一項中「場合」の下に「又は第八十四条第一項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う場合」を加え、同条第二項中「有するとき」の下に「又は第百四十五条の三(外国法人に係る退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行うとき」を加える。

 第一編第三章中第十条の次に次の一条を加える。

 (退職年金業務等を行う外国法人の退職年金等積立金の課税)

第十条の二 第百四十五条の三(外国法人に係る退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う外国法人に対しては、第九条(外国法人の課税所得の範囲)の規定により課する法人税のほか、各事業年度の退職年金等積立金について、退職年金等積立金に対する法人税を課する。

 第三十条を次のように改める。

第三十条 削除

 第二編第一章第一節中第六款を第七款とし、第五款を第六款とし、第四款の次に次の一款を加える。

     第五款 利益の額又は損失の額の計算

      第一目 有価証券の譲渡損益及び時価評価損益

 (有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)

第六十一条の二 内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額(第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は譲渡損失額(同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

 一 その有価証券の譲渡に係る対価の額(第二十四条第一項(配当等の額とみなす金額)の規定により利益の配当又は剰余金の分配の額とみなされる金額がある場合には、そのみなされる金額に相当する金額を控除した金額)

 二 その有価証券の譲渡に係る原価の額(その有価証券についてその内国法人が選定した一単位当たりの帳簿価額の算出の方法により算出した金額(算出の方法を選定しなかつた場合又は選定した方法により算出しなかつた場合には、算出の方法のうち政令で定める方法により算出した金額)にその譲渡をした有価証券の数を乗じて計算した金額をいう。)

2 内国法人が旧株(当該内国法人が有していた株式(出資を含む。以下この条において同じ。)をいう。以下この項において同じ。)を発行した法人の合併による消滅に伴い当該合併に係る合併法人から新株(当該合併法人が当該合併により発行する株式をいう。)を取得した場合における前項の規定の適用については、同項第一号に掲げる金額は、当該旧株の帳簿価額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とする。

3 内国法人がその有する株式を発行した法人の資本(出資を含む。)の減少による払戻し又は解散による残余財産の分配として金銭その他の資産を取得した場合における第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる金額は、当該株式の帳簿価額のうち当該金銭の額及び金銭以外の当該資産の価額の合計額に達するまでの金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とする。

4 内国法人が、有価証券の空売り(有価証券を有しないでその売付けをし、その後にその有価証券と銘柄を同じくする有価証券の買戻しをして決済をする取引その他大蔵省令で定める取引をいい、次項に規定する信用取引及び発行日取引に該当するものを除く。)の方法により、有価証券の売付けをし、その後にその有価証券と銘柄を同じくする有価証券の買戻しをして決済をした場合における第一項の規定の適用については、同項に規定する譲渡利益額は第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とし、同項に規定する譲渡損失額は同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とし、同項に規定する譲渡に係る契約をした日はその決済に係る買戻しの契約をした日とする。

 一 その売付けをした有価証券の一単位当たりの譲渡に係る対価の額を算出する方法として政令で定める方法により算出した金額にその買戻しをした有価証券の数を乗じて計算した金額

 二 その買戻しをした有価証券のその買戻しに係る対価の額

5 内国法人が、証券取引法第百五十六条の三第一項(免許の申請)に規定する信用取引又は発行日取引(有価証券が発行される前にその有価証券の売買を行う取引であつて大蔵省令で定める取引をいう。)の方法により、株式の売付け又は買付けをし、その後にその株式と銘柄を同じくする株式の買付け又は売付けをして決済をした場合における第一項の規定の適用については、同項に規定する譲渡利益額は第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とし、同項に規定する譲渡損失額は同号に掲げる金額が第一号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とし、同項に規定する譲渡に係る契約をした日はその決済に係る買付け又は売付けの契約をした日とする。

 一 その売付けをした株式のその売付けに係る対価の額

 二 その買付けをした株式のその買付けに係る対価の額

6 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の基礎となる取得価額の算出の方法、有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の種類、その算出の方法の選定の手続その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)

第六十一条の三 内国法人が事業年度終了の時において有する有価証券については、次の各号に掲げる有価証券の区分に応じ当該各号に定める金額をもつて、その時における評価額とする。

 一 売買目的有価証券(短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券として政令で定めるものをいう。以下この項及び次項において同じ。) 当該売買目的有価証券を時価法(事業年度終了の時において有する有価証券を銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄の同じものについて、その時における価額として政令で定めるところにより計算した金額をもつて当該有価証券のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額(次項において「時価評価金額」という。)

 二 売買目的外有価証券(売買目的有価証券以外の有価証券をいう。) 当該売買目的外有価証券を原価法(事業年度終了の時において有する有価証券(以下この号において「期末保有有価証券」という。)について、その時における帳簿価額(償還期限及び償還金額の定めのある有価証券にあつては、政令で定めるところにより当該帳簿価額と当該償還金額との差額のうち当該事業年度に配分すべき金額を加算し、又は減算した金額)をもつて当該期末保有有価証券のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額

2 内国法人が事業年度終了の時において売買目的有価証券を有する場合には、当該売買目的有価証券に係る評価益(当該売買目的有価証券の時価評価金額が当該売買目的有価証券のその時における帳簿価額(以下この項において「期末帳簿価額」という。)を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は評価損(当該売買目的有価証券の期末帳簿価額が当該売買目的有価証券の時価評価金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は、第二十五条第一項(資産の評価益の益金不算入)又は第三十三条第一項(資産の評価損の損金不算入)の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

3 前項に規定する評価益又は評価損の翌事業年度における処理その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (有価証券の空売り等に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)

第六十一条の四 内国法人が第六十一条の二第四項(有価証券の空売りをした場合の譲渡利益額又は譲渡損失額の計算)に規定する有価証券の空売り、同条第五項に規定する信用取引(次項において「信用取引」という。)、同条第五項に規定する発行日取引(次項において「発行日取引」という。)又は証券取引法第二条第八項第四号(定義)に規定する有価証券の引受け(前条第一項第二号に規定する売買目的外有価証券の取得を目的とするものを除く。)を行つた場合において、これらの取引のうち事業年度終了の時において決済されていないものがあるときは、その時においてこれらの取引を決済したものとみなして大蔵省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

2 内国法人が信用取引等(信用取引(買付けに限る。)及び発行日取引(買付けに限る。)をいう。以下この項において同じ。)に係る契約に基づき有価証券を取得した場合(第六十一条の六第一項(繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ)の規定の適用を受ける信用取引等に係る契約に基づき当該有価証券を取得した場合を除く。)には、その取得の時における当該有価証券の価額とその取得の基因となつた信用取引等に係る契約に基づき当該有価証券の取得の対価として支払つた金額との差額は、当該取得の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

3 第一項の利益の額又は損失の額に相当する金額の翌事業年度における処理その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

      第二目 デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額

 (デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)

第六十一条の五 内国法人がデリバティブ取引(金利、通貨の価格、商品の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値との差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引であつて、大蔵省令で定めるものをいう。以下この項及び次項において同じ。)を行つた場合において、当該デリバティブ取引のうち事業年度終了の時において決済されていないもの(第六十一条の八第二項(先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算)の規定の適用を受ける同項に規定する先物外国為替契約等に基づくものその他大蔵省令で定める取引を除く。以下この項において「未決済デリバティブ取引」という。)があるときは、その時において当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして大蔵省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

2 内国法人がデリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合(次条第一項の規定の適用を受けるデリバティブ取引に係る契約に基づき当該資産を取得した場合を除く。)には、その取得の時における当該資産の価額とその取得の基因となつたデリバティブ取引に係る契約に基づき当該資産の取得の対価として支払つた金額との差額は、当該取得の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

3 第一項の利益の額又は損失の額に相当する金額の翌事業年度における処理その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

      第三目 ヘッジ処理による利益額又は損失額の計上時期等

 (繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ)

第六十一条の六 内国法人が次に掲げる損失の額(以下この項において「ヘッジ対象資産等損失額」という。)を減少させるためにデリバティブ取引等を行つた場合(次条第一項の規定の適用がある場合を除くものとし、当該デリバティブ取引等が当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させるために行つたものである旨その他大蔵省令で定める事項を大蔵省令で定めるところにより帳簿書類に記載した場合に限る。)において、当該デリバティブ取引等を行つた時から事業年度終了の時までの間において当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させようとする第一号に規定する資産若しくは負債又は第二号に規定する金銭につき譲渡若しくは消滅又は受取若しくは支払いがなく、かつ、当該デリバティブ取引等が当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させるために有効であると認められる場合として政令で定める場合に該当するときは、当該デリバティブ取引等に係る利益額又は損失額(当該デリバティブ取引等の決済によつて生じた利益の額又は損失の額(第三項において「決済損益額」という。)、第六十一条の四第一項(有価証券の空売り等に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)に規定する利益の額又は損失の額に相当する金額、前条第一項に規定する利益の額又は損失の額に相当する金額及び第六十一条の九第二項(外貨建資産等の期末換算差額の益金又は損金算入)に規定する差額に相当する金額をいう。)のうち当該ヘッジ対象資産等損失額を減少させるために有効である部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額は、第六十一条の四第一項、前条第一項及び第六十一条の九第二項の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入しない。

 一 資産(第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券を除く。次号において同じ。)又は負債の価額の変動(第六十一条の九第一項第一号ロに規定する期末時換算法により第六十一条の八第一項(外貨建取引の換算)に規定する円換算額への換算をする第六十一条の九第一項各号に掲げる資産又は負債(次号において「期末時換算資産等」という。)の価額の外国為替の売買相場の変動に基因する変動を除く。)に伴つて生ずるおそれのある損失

 二 資産の取得若しくは譲渡、負債の発生若しくは消滅、金利の受取若しくは支払その他これらに準ずるものに係る決済により受け取ることとなり、又は支払うこととなる金銭の額の変動(期末時換算資産等に係る外国為替の売買相場の変動に基因する変動を除く。)に伴つて生ずるおそれのある損失

2 前項に規定するデリバティブ取引等とは、次に掲げる取引(第六十一条の八第二項の規定の適用を受ける場合における同項に規定する先物外国為替契約等に基づくものを除く。)をいう。

 一 前条第一項に規定するデリバティブ取引

 二 第六十一条の二第四項(有価証券の空売りをした場合の譲渡利益額又は譲渡損失額の計算)に規定する有価証券の空売り並びに同条第五項に規定する信用取引及び発行日取引

 三 第六十一条の九第二項に規定する外貨建資産等を取得し、又は発生させる取引

3 決済損益額のうち第一項に規定する政令で定めるところにより計算した金額の翌事業年度以後の各事業年度における処理その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (時価ヘッジ処理による利益額又は損失額の計上)

第六十一条の七 内国法人がその有する売買目的外有価証券(第六十一条の三第一項第二号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的外有価証券をいう。以下この項において同じ。)の価額の変動(第六十一条の九第一項第一号ロ(外貨建資産等の期末換算差益又は期末換算差損の益金又は損金算入等)に規定する期末時換算法により次条第一項に規定する円換算額(以下この項において「円換算額」という。)への換算をする第六十一条の九第一項第二号ロに掲げる有価証券の価額の外国為替の売買相場の変動に基因する変動を除く。)により生ずるおそれのある損失の額を減少させるためにデリバティブ取引等(前条第二項に規定するデリバティブ取引等をいう。以下この項において同じ。)を行つた場合(当該売買目的外有価証券を政令で定めるところにより評価し、円換算額に換算する旨その他大蔵省令で定める事項を大蔵省令で定めるところにより帳簿書類に記載した場合に限る。)において、当該デリバティブ取引等を行つた時から事業年度終了の時までの間に当該売買目的外有価証券の譲渡がなく、かつ、当該デリバティブ取引等が当該損失の額を減少させるために有効であると認められる場合として政令で定める場合に該当するときは、当該売買目的外有価証券の価額と帳簿価額との差額のうち当該デリバティブ取引等に係る同条第一項に規定する利益額又は損失額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額又は益金の額に算入する。

2 前項に規定する政令で定めるところにより計算した金額の翌事業年度における処理その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

      第四目 外貨建取引の換算等

 (外貨建取引の換算)

第六十一条の八 内国法人が外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れ、利益の配当その他の取引をいう。以下この目において同じ。)を行つた場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額(外国通貨で表示された金額を本邦通貨表示の金額に換算した金額をいう。以下この目において同じ。)は、当該外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額とする。

2 内国法人が先物外国為替契約等(外貨建取引によつて取得し、又は発生する資産又は負債の金額の円換算額を確定させる契約として大蔵省令で定めるものをいう。以下この目において同じ。)により外貨建取引(第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券の取得及び譲渡を除く。)によつて取得し、又は発生する資産又は負債の金額の円換算額を確定させた場合において、当該先物外国為替契約等の締結の日においてその旨を大蔵省令で定めるところにより帳簿書類に記載したときは、当該資産又は負債については、当該円換算額をもつて、前項の規定により換算した金額とする。

3 前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (外貨建資産等の期末換算差益又は期末換算差損の益金又は損金算入等)

第六十一条の九 内国法人が事業年度終了の時において次に掲げる資産及び負債(以下この目において「外貨建資産等」という。)を有する場合には、その時における当該外貨建資産等の金額の円換算額は、当該外貨建資産等の次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める方法(第一号、第二号ロ及び第三号に掲げる外貨建資産等にあつては、これらの規定に定める方法のうち当該内国法人が選定した方法とし、当該内国法人がその方法を選定しなかつた場合又は選定した方法により換算しなかつた場合には、これらの規定に定める方法のうち政令で定める方法とする。)により換算した金額とする。

 一 外貨建債権(外国通貨で支払を受けるべきこととされている金銭債権をいう。)及び外貨建債務(外国通貨で支払を行うべきこととされている金銭債務をいう。) イ又はロに掲げる方法

  イ 発生時換算法(事業年度終了の時(以下この号において「期末時」という。)において有する外貨建資産等について、前条第一項の規定により当該外貨建資産等の取得又は発生の基因となつた外貨建取引の金額の円換算額への換算に用いた外国為替の売買相場により換算した金額(当該外貨建資産等のうち、その取得又は発生の基因となつた外貨建取引の金額の円換算額への換算に当たつて同条第二項の規定の適用を受けたものについては、先物外国為替契約等により確定させた円換算額)をもつて当該外貨建資産等の当該期末時における円換算額とする方法をいう。次号及び第三号において同じ。)

  ロ 期末時換算法(期末時において有する外貨建資産等について、当該期末時における外国為替の売買相場により換算した金額(当該外貨建資産等のうち、その取得又は発生の基因となつた外貨建取引の金額の円換算額への換算に当たつて前条第二項の規定の適用を受けたものについては、先物外国為替契約等により確定させた円換算額)をもつて当該外貨建資産等の当該期末時における円換算額とする方法をいう。以下この項及び次項において同じ。)

 二 外貨建有価証券(償還、払戻しその他これらに準ずるものが外国通貨で行われる有価証券として大蔵省令で定めるものをいう。) 次に掲げる有価証券の区分に応じそれぞれ次に定める方法

  イ 第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券 期末時換算法

  ロ 第六十一条の三第一項第二号に規定する売買目的外有価証券(償還期限及び償還金額の定めのあるものに限る。) 発生時換算法又は期末時換算法

  ハ イ及びロに掲げる有価証券以外の有価証券 発生時換算法

 三 外貨預金 発生時換算法又は期末時換算法

 四 外国通貨 期末時換算法

2 内国法人が事業年度終了の時において外貨建資産等(期末時換算法によりその金額の円換算額への換算をするものに限る。以下この項において同じ。)を有する場合には、当該外貨建資産等の金額を期末時換算法により換算した金額と当該外貨建資産等のその時の帳簿価額との差額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

3 外国為替の売買相場が著しく変動した場合の外貨建資産等の金額の円換算額への換算、外貨建資産等の金額を円換算額に換算する方法の選定の手続、前項の差額に相当する金額の翌事業年度における処理その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (為替予約差額の配分)

第六十一条の十 内国法人が事業年度終了の時において有する外貨建資産等(第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券を除く。以下この項において同じ。)について、その取得又は発生の基因となつた外貨建取引の金額の円換算額への換算に当たつて第六十一条の八第二項(先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算)の規定の適用を受けたときは、当該外貨建資産等に係る先物外国為替契約等の締結の日(その日が当該外貨建資産等の取得又は発生の基因となつた外貨建取引を行つた日前である場合には、当該外貨建取引を行つた日)の属する事業年度から当該外貨建資産等の決済による本邦通貨の受取又は支払をする日の属する事業年度までの各事業年度の所得の金額の計算上、為替予約差額(当該外貨建資産等の金額を先物外国為替契約等により確定させた円換算額と当該金額を当該外貨建資産等の取得又は発生の基因となつた外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額との差額をいう。)のうち当該各事業年度に配分すべき金額として政令で定めるところにより計算した金額は、益金の額又は損金の額に算入する。

2 前項に規定する外貨建資産等が短期外貨建資産等(当該外貨建資産等のうち、その決済による本邦通貨の受取又は支払の期限が当該事業年度終了の日の翌日から一年を経過した日の前日までに到来するものをいう。)である場合には、同項に規定する為替予約差額は、同項の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入することができる。

3 前項の規定の適用を受けようとする場合の手続その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 第七十二条第三項中「第三款から第五款まで」を「第三款、第四款及び第六款」に改める。

 第八十三条及び第八十七条中「退職年金等積立金に」を「内国法人に対して課する退職年金等積立金に」に改める。

 第百二条第二項中「第三款から第五款まで」を「第三款及び第四款」に、「及び同章」を「並びに同章」に改める。

 第百四十二条中「第六款」を「第七款」に改める。

 第三編第二章中第四節及び第五節の節名を削る。

 第百四十五条の次に次の一章を加える。

   第三章 退職年金等積立金に対する法人税

    第一節 課税標準及びその計算

 (外国法人に係る退職年金等積立金に対する法人税の課税標準)

第百四十五条の二 外国法人に対して課する退職年金等積立金に対する法人税の課税標準は、各事業年度の退職年金等積立金の額とする。

 (外国法人に係る退職年金等積立金の額の計算)

第百四十五条の三 第八十四条第一項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う外国法人の各事業年度の退職年金等積立金の額は、当該退職年金等積立金について、政令で定めるところにより、同条から第八十六条まで(退職年金等積立金の額の計算及びその特例)の規定に準じて計算した金額とする。

    第二節 税額の計算

 (外国法人に係る退職年金等積立金に対する法人税の税率)

第百四十五条の四 外国法人に対して課する退職年金等積立金に対する法人税の額は、各事業年度の退職年金等積立金の額に百分の一の税率を乗じて計算した金額とする。

    第三節 申告及び納付

 (申告及び納付)

第百四十五条の五 前編第二章第三節(内国法人の退職年金等積立金に対する法人税の申告及び納付)の規定は、外国法人の退職年金等積立金に対する法人税についての申告及び納付について準用する。この場合において、第八十八条第二号(退職年金等積立金に係る中間申告)中「前条」とあるのは「第百四十五条の四(外国法人に係る退職年金等積立金に対する法人税の税率)」と、第八十九条第二号(退職年金等積立金に係る確定申告)中「第八十七条(退職年金等積立金に対する法人税の税率)」とあるのは「第百四十五条の四(外国法人に係る退職年金等積立金に対する法人税の税率)」と読み替えるものとする。

 第百四十六条第一項中「中間申告書」の下に「並びに退職年金等積立金確定申告書及び退職年金等積立金中間申告書」を加え、同条の前に次の章名を付する。

   第四章 青色申告

 第百四十七条中「各事業年度の所得に対する法人税」の下に「及び退職年金等積立金に対する法人税」を加え、同条の前に次の章名を付する。

   第五章 更正及び決定

 第百五十九条第一項中「(退職年金等積立金確定申告に係る法人税額)」の下に「(第百四十五条の五(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)」を加える。

 第百六十条中「(退職年金等積立金に係る確定申告)」の下に「(第百四十五条の五(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)」を加える。

 第百六十二条第一号中「(退職年金等積立金に係る中間申告)」の下に「(第百四十五条の五(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)」を加える。

 別表第二第一号の表中弁理士会の項の次に次のように加える。

保険契約者保護機構

保険業法

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。

 (経過措置の原則)

第二条 改正後の法人税法(以下「新法」という。)第一編、第二編第二章及び第三編第三章から第五章まで(総則等)の規定は、法人のこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に終了する事業年度の退職年金等積立金に対する法人税について適用する。

2 この附則に別段の定めがあるものを除き、新法第二編第一章第一節及び第百四十二条(課税標準及びその計算等)の規定は、法人(新法第二条第八号(定義)に規定する人格のない社団等を含む。以下同じ。)の施行日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税及び施行日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税(清算所得に対する法人税を課される法人の清算中の事業年度の所得に係る法人税及び残余財産の一部分配により納付すべき法人税を含む。以下この条において同じ。)について適用し、法人の施行日前に開始した事業年度の所得に対する法人税及び施行日前の解散又は合併による清算所得に対する法人税については、なお従前の例による。

 (有価証券の譲渡損益の計上時期に関する経過措置)

第三条 法人が改正事業年度(施行日以後最初に開始する事業年度をいう。以下同じ。)前の事業年度において有価証券の譲渡に係る契約をし、かつ、改正事業年度以後の事業年度においてその有価証券の引渡しをする場合におけるその譲渡に係る新法第六十一条の二第一項(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する譲渡利益額又は譲渡損失額は、同項の規定にかかわらず、その引渡しの日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、改正事業年度前の事業年度においてその譲渡に係る契約をし、かつ、その契約をした日の属する事業年度においてその譲渡に係る同項に規定する譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額を益金の額又は損金の額に算入したものについては、この限りでない。

2 法人が施行日から平成十四年三月三十一日までの間に開始する各事業年度において有価証券の譲渡に係る契約をする場合(改正事業年度後の各事業年度にあっては、当該事業年度の直前の事業年度においてこの項の規定の適用を受けている場合に限る。)における新法第六十一条の二第一項の規定の適用については、同項中「契約をした日」とあるのは、「契約をした日(その内国法人が次条第一項第二号に規定する売買目的外有価証券の譲渡に係る契約をした場合においてそのすべての契約に係る譲渡について当該売買目的外有価証券を引き渡した日の属する事業年度にこれらの譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額を益金の額又は損金の額に算入することとしているときは、当該譲渡利益額又は譲渡損失額についてはその引渡しをした日)」とする。

 (ヘッジ処理に関する経過措置)

第四条 法人が、改正事業年度開始の日前に新法第六十一条の六第一項各号(繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ)に掲げる損失の額又は新法第六十一条の七第一項(時価ヘッジ処理による利益額又は損失額の計上)に規定する損失の額を減少させるために新法第六十一条の六第二項に規定するデリバティブ取引等を行い、かつ、同日の前日までに当該デリバティブ取引等の決済をしていない場合において、当該開始の日に当該デリバティブ取引等によりその損失の額を減少させようとする同条第一項第一号の資産若しくは負債若しくは新法第六十一条の七第一項の売買目的外有価証券(以下この条において「ヘッジ対象資産等」という。)を有し、又は同日以後に当該デリバティブ取引等によりその損失の額を減少させようとする新法第六十一条の六第一項第二号の金銭の額の受取若しくは支払(以下この条において「ヘッジ対象取引」という。)があるときは、当該デリバティブ取引等並びにヘッジ対象資産等及びヘッジ対象取引に係る新法第六十一条の六及び第六十一条の七の規定の適用については、当該デリバティブ取引等は同日において行ったものとみなす。

 (外貨建取引の換算等に関する経過措置)

第五条 新法第六十一条の八第一項(外貨建取引の換算)の規定は、法人が改正事業年度開始の日以後に行う同項に規定する外貨建取引(次項において「外貨建取引」という。)について適用する。

2 新法第六十一条の八第二項の規定は、法人が改正事業年度開始の日前に行った外貨建取引のうち同日以後に同項に規定する先物外国為替契約等を締結して円換算額(同条第一項に規定する円換算額をいう。)を確定させたもの及び同日以後に行う外貨建取引について適用する。

 (政令への委任)

第六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、新法第二編第一章第一節及び第百四十二条(課税標準及びその計算等)の規定の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

 (租税特別措置法の一部改正)

第七条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。

  第六十七条の九を削り、第六十七条の九の二を第六十七条の九とし、第六十七条の九の三を第六十七条の九の二とし、第六十七条の九の四を第六十七条の九の三とする。

  第六十七条の十五第五項及び第六項を削り、同条第七項を同条第五項とし、同条第八項を同条第六項とし、同条第九項を同条第七項とし、同条第十項中「第七項」を「第五項」に改め、同項を同条第八項とする。

  第六十八条の四中「内国法人」の下に「及び同法第百四十五条の三に規定する退職年金業務等を行う外国法人」を、「第八条」の下に「又は第十条の二」を加える。

  第六十八条の五第一項中「同項に」を「同項(同法第百四十五条の三において適用する場合を含む。以下この項において同じ。)に」に改める。

  第七十八条の四第一項中「商工組合中央金庫法」の下に「(昭和十一年法律第十四号)」を加える。

 (保険業法の一部改正)

第八条 保険業法(平成七年法律第百五号)の一部を次のように改正する。

  第二百七十条の九第二項及び第三項を削る。

 (中央省庁等改革関係法施行法の一部改正)

第九条 中央省庁等改革関係法施行法(平成十一年法律第百六十号)の一部を次のように改正する。

  第三十四条中租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第六十七条の九第一項の表及び同条第二項の表の改正規定を削る。

  第四百十七条のうち、租税特別措置法の改正規定中「本則中「大蔵省令」を「財務省令」に、「大蔵大臣」を「財務大臣」に、「金融再生委員会」を「内閣総理大臣」に、「建設大臣」を「国土交通大臣」に、「環境庁長官」を「環境大臣」に、「運輸大臣」を「国土交通大臣」に、「総理府令」を「内閣府令」に改める」を「本則中「大蔵省令」を「財務省令」に、「大蔵大臣」を「財務大臣」に、「金融再生委員会」を「内閣総理大臣」に、「建設大臣」を「国土交通大臣」に、「環境庁長官」を「環境大臣」に、「運輸大臣」を「国土交通大臣」に改める」に改め、同法第六十七条の九第一項の表の第三号の第三欄及び第四号の第三欄並びに同条第二項の表の第三号の中欄及び第四号の中欄の改正規定を削る。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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