少年法等の一部を改正する法律

法律第百四十二号(平一二・一二・六)

 (少年法の一部改正)

第一条 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。

  第二章第一節中第五条の次に次の二条を加える。

  (被害者等による記録の閲覧及び謄写)

 第五条の二 裁判所は、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る保護事件について、第二十一条の決定があつた後、最高裁判所規則の定めるところにより当該保護事件の被害者等(被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下この項及び第三十一条の二において同じ。)又は被害者等から委託を受けた弁護士から、その保管する当該保護事件の記録(当該保護事件の非行事実(犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)に係る部分に限る。)の閲覧又は謄写の申出があるときは、当該被害者等の損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合その他正当な理由がある場合であつて、少年の健全な育成に対する影響、事件の性質、調査又は審判の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせることができる。第三条第一項第二号に掲げる少年に係る保護事件についても、同様とする。

 2 前項の申出は、その申出に係る保護事件を終局させる決定が確定した後三年を経過したときは、することができない。

 3 第一項の規定により記録の閲覧又は謄写をした者は、正当な理由がないのに閲覧又は謄写により知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、閲覧又は謄写により知り得た事項をみだりに用いて、少年の健全な育成を妨げ、関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は調査若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはならない。

  (閲覧又は謄写の手数料)

 第五条の三 前条第一項の規定による記録の閲覧又は謄写の手数料については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)第七条から第十条まで及び別表第二の一の項の規定(同項上欄中「(事件の係属中に当事者等が請求するものを除く。)」とある部分を除く。)を準用する。

  第九条の次に次の一条を加える。

  (被害者等の申出による意見の聴取)

 第九条の二 家庭裁判所は、最高裁判所規則の定めるところにより第三条第一項第一号又は第二号に掲げる少年に係る事件の被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹から、被害に関する心情その他の事件に関する意見の陳述の申出があるときは、自らこれを聴取し、又は家庭裁判所調査官に命じてこれを聴取させるものとする。ただし、事件の性質、調査又は審判の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、この限りでない。

  第十条の見出しを「(付添人)」に改め、同条第一項中「附添人」を「付添人」に、「但し」を「ただし」に改め、同条第二項中「附添人」を「付添人」に改める。

  第十二条に次の一項を加える。

 2 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

  第十三条に次の一項を加える。

 3 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

  第十七条第三項を次のように改める。

 3 第一項第二号の措置においては、少年鑑別所に収容する期間は、二週間を超えることができない。ただし、特に継続の必要があるときは、決定をもつて、これを更新することができる。

  第十七条第六項ただし書を削り、同項を同条第八項とし、同条第五項を同条第七項とし、同条第四項を同条第六項とし、同条第三項の次に次の二項を加える。

 4 前項ただし書の規定による更新は、一回を超えて行うことができない。ただし、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件でその非行事実の認定に関し証人尋問、鑑定若しくは検証を行うことを決定したもの又はこれを行つたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には、その更新は、更に二回を限度として、行うことができる。

 5 第三項ただし書の規定にかかわらず、検察官から再び送致を受けた事件が先に第一項第二号の措置がとられ、又は勾留状が発せられた事件であるときは、収容の期間は、これを更新することができない。

  第十七条に次の二項を加える。

 9 第一項第二号の措置については、収容の期間は、通じて八週間を超えることができない。ただし、その収容の期間が通じて四週間を超えることとなる決定を行うときは、第四項ただし書に規定する事由がなければならない。

 10 裁判長は、急速を要する場合には、第一項及び第八項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

  第十七条の二第一項中「前条第一項第二号」を「第十七条第一項第二号」に、「最寄」を「最寄り」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に、「とき」を「時」に、「ことはできない」を「ことができない」に改め、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に、「前条第一項第二号」を「第十七条第一項第二号」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加え、同条を第十七条の四とする。

 2 裁判長は、急速を要する場合には、前項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

  第十七条の次に次の二条を加える。

  (異議の申立て)

 第十七条の二 少年、その法定代理人又は付添人は、前条第一項第二号又は第三項ただし書の決定に対して、保護事件の係属する家庭裁判所に異議の申立てをすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、異議の申立てをすることができない。

 2 前項の異議の申立ては、審判に付すべき事由がないことを理由としてすることはできない。

 3 第一項の異議の申立てについては、家庭裁判所は、合議体で決定をしなければならない。この場合において、その決定には、原決定に関与した裁判官は、関与することができない。

 4 第三十二条の三 第三十三条及び第三十四条の規定は、第一項の異議の申立てがあつた場合について準用する。この場合において、第三十三条第二項中「取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない」とあるのは、「取り消し、必要があるときは、更に裁判をしなければならない」と読み替えるものとする。

  (特別抗告)

 第十七条の三 第三十五条第一項の規定は、前条第三項の決定について準用する。この場合において、第三十五条第一項中「二週間」とあるのは、「五日」と読み替えるものとする。

 2 前条第四項及び第三十二条の二の規定は、前項の規定による抗告があつた場合について準用する。

  第二十条中「あたる」を「当たる」に、「照して」を「照らして」に改め、同条ただし書を削り、同条に次の一項を加える。

 2 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

  第二十二条第一項中「なごやかに、これを行わなければならない」を「和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 審判の指揮は、裁判長が行う。

  第二十二条の次に次の二条を加える。

  (検察官の関与)

 第二十二条の二 家庭裁判所は、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る事件であつて、次に掲げる罪のものにおいて、その非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときは、決定をもつて、審判に検察官を出席させることができる。

  一 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪

  二 前号に掲げるもののほか、死刑又は無期若しくは短期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪

 2 家庭裁判所は、前項の決定をするには、検察官の申出がある場合を除き、あらかじめ、検察官の意見を聴かなければならない。

 3 検察官は、第一項の決定があつた事件において、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、最高裁判所規則の定めるところにより、事件の記録及び証拠物を閲覧し及び謄写し、審判の手続(事件を終局させる決定の告知を含む。)に立ち会い、少年及び証人その他の関係人に発問し、並びに意見を述べることができる。

  (検察官が関与する場合の国選付添人)

 第二十二条の三 家庭裁判所は、前条第一項の決定をした場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。

 2 前項の規定により家庭裁判所が付すべき付添人は、最高裁判所規則の定めるところにより、選任するものとする。

 3 前項の規定により選任された付添人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。

  第二十五条の次に次の一条を加える。

  (保護者に対する措置)

 第二十五条の二 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、保護者に対し、少年の監護に関する責任を自覚させ、その非行を防止するため、調査又は審判において、自ら訓戒、指導その他の適当な措置をとり、又は家庭裁判所調査官に命じてこれらの措置をとらせることができる。

  第二十六条第一項及び第二項中「第十七条の二第一項」を「第十七条の四第一項」に改め、同条に次の一項を加える。

 6 裁判長は、急速を要する場合には、第一項及び第四項の処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

  第二十七条の二の見出し中「取消」を「取消し」に改め、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 保護処分が終了した後においても、審判に付すべき事由の存在が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、前項と同様とする。ただし、本人が死亡した場合は、この限りでない。

  第二十七条の二に次の一項を加える。

 6 前三項に定めるもののほか、第一項及び第二項の規定による保護処分の取消しの事件の手続は、その性質に反しない限り、保護事件の例による。

  第三十条に次の一項を加える。

 4 第二十二条の三第三項の規定により付添人に支給すべき旅費、日当、宿泊料及び報酬の額については、刑事訴訟法第三十八条第二項の規定により弁護人に支給すべき旅費、日当、宿泊料及び報酬の例による。

  第三十一条第一項中「参考人」の下に「、第二十二条の三第二項の規定により選任された付添人」を加える。

  第二章第二節中第三十一条の次に次の一条を加える。

  (被害者等に対する通知)

 第三十一条の二 家庭裁判所は、第三条第一項第一号又は第二号に掲げる少年に係る事件を終局させる決定をした場合において、最高裁判所規則の定めるところにより当該事件の被害者等から申出があるときは、その申出をした者に対し、次に掲げる事項を通知するものとする。ただし、その通知をすることが少年の健全な育成を妨げるおそれがあり相当でないと認められるものについては、この限りでない。

  一 少年及びその法定代理人の氏名及び住居

  二 決定の年月日、主文及び理由の要旨

 2 前項の申出は、同項に規定する決定が確定した後三年を経過したときは、することができない。

 3 第五条の二第三項の規定は、第一項の規定により通知を受けた者について、準用する。

  第三十二条中「附添人から」を「付添人から」に改め、同条ただし書中「但し」を「ただし」に、「附添人」を「付添人」に、「ことはできない」を「ことができない」に改める。

  第三十二条の次に次の五条を加える。

  (抗告裁判所の調査の範囲)

 第三十二条の二 抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれている事項に限り、調査をするものとする。

 2 抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれていない事項であつても、抗告の理由となる事由に関しては、職権で調査をすることができる。

  (抗告裁判所の事実の取調べ)

 第三十二条の三 抗告裁判所は、決定をするについて必要があるときは、事実の取調べをすることができる。

 2 前項の取調べは、合議体の構成員にさせ、又は家庭裁判所の裁判官に嘱託することができる。

  (抗告受理の申立て)

 第三十二条の四 検察官は、第二十二条の二第一項の決定がされた場合においては、保護処分に付さない決定又は保護処分の決定に対し、同項の決定があつた事件の非行事実の認定に関し、決定に影響を及ぼす法令の違反又は重大な事実の誤認があることを理由とするときに限り、高等裁判所に対し、二週間以内に、抗告審として事件を受理すべきことを申し立てることができる。

 2 前項の規定による申立て(以下「抗告受理の申立て」という。)は、申立書を原裁判所に差し出してしなければならない。この場合において、原裁判所は、速やかにこれを高等裁判所に送付しなければならない。

 3 高等裁判所は、抗告受理の申立てがされた場合において、抗告審として事件を受理するのを相当と認めるときは、これを受理することができる。この場合においては、その旨の決定をしなければならない。

 4 高等裁判所は、前項の決定をする場合において、抗告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。

 5 第三項の決定は、高等裁判所が原裁判所から第二項の申立書の送付を受けた日から二週間以内にしなければならない。

 6 第三項の決定があつた場合には、抗告があつたものとみなす。この場合において、第三十二条の二の規定の適用については、抗告受理の申立ての理由中第四項の規定により排除されたもの以外のものを抗告の趣意とみなす。

  (事件が受理された場合の国選付添人)

 第三十二条の五 前条第三項の決定があつた場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、抗告裁判所は、弁護士である付添人を付さなければならない。

  (準用)

 第三十二条の六 第三十二条の二、第三十二条の三及び前条に定めるもののほか、抗告審の審理については、その性質に反しない限り、家庭裁判所の審判に関する規定を準用する。

  第三十三条中「ときは」の下に「、決定をもつて」を加える。

  第三十五条第一項中「抗告を棄却した」を「抗告裁判所のした第三十三条の」に、「誤」を「誤り」に、「附添人から」を「付添人から」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に、「附添人」を「付添人」に、「ことはできない」を「ことができない」に改め、同条第二項中「第三十四条」を「第三十二条の二、第三十二条の三及び第三十二条の六から前条まで」に改め、同項に後段として次のように加える。

   この場合において、第三十三条第二項中「取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない」とあるのは、「取り消さなければならない。この場合には、家庭裁判所の決定を取り消して、事件を家庭裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送することができる」と読み替えるものとする。

  第四十五条の前の見出し中「取扱」を「取扱い」に改め、同条第四号中「勾留と」を「裁判官のした勾留と」に、「ことはできない」を「ことができない」に改め、同条第六号中「弁護士である附添人」を「少年又は保護者が選任した弁護士である付添人」に改める。

  第四十六条の見出し中「保護処分」を「保護処分等」に改め、同条中「ことはできない」を「ことができない」に改め、同条ただし書を削り、同条に次の二項を加える。

 2 第二十二条の二第一項の決定がされた場合において、同項の決定があつた事件につき、審判に付すべき事由の存在が認められないこと又は保護処分に付する必要がないことを理由とした保護処分に付さない旨の決定が確定したときは、その事件についても、前項と同様とする。

 3 第一項の規定は、第二十七条の二第一項の規定による保護処分の取消しの決定が確定した事件については、適用しない。ただし、当該事件につき同条第六項の規定によりその例によることとされる第二十二条の二第一項の決定がされた場合であつて、その取消しの理由が審判に付すべき事由の存在が認められないことであるときは、この限りでない。

  第五十一条中「無期刑を科し、無期刑をもつて処断すべきときは、十年以上十五年以下において、懲役又は禁錮を科する」を「無期刑を科する」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、十年以上十五年以下において言い渡す。

  第五十六条第一項中「言渡」を「言渡し」に改め、「少年」の下に「(第三項の規定により少年院において刑の執行を受ける者を除く。)」を加え、同条に次の一項を加える。

 3 懲役又は禁錮の言渡しを受けた十六歳に満たない少年に対しては、刑法第十二条第二項又は第十三条第二項の規定にかかわらず、十六歳に達するまでの間、少年院において、その刑を執行することができる。この場合において、その少年には、矯正教育を授ける。

  第五十八条中「言渡」を「言渡し」に改め、同条第二号中「第五十一条」を「第五十一条第二項」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 第五十一条第一項の規定により無期刑の言渡しを受けた者については、前項第一号の規定は適用しない。

  第五十九条第二項中「第五十一条」を「第五十一条第二項」に、「言渡」を「言渡し」に、「何れか」を「いずれか」に、「受け終つた」を「受け終わつた」に改める。

 (裁判所法の一部改正)

第二条 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。

  第三十一条の四第一項中「行うときは」の下に「、次項に規定する場合を除いて」を加え、同項ただし書を削り、同条第二項中「前項但書」を「前項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。

   次に掲げる事件は、裁判官の合議体でこれを取り扱う。ただし、審判を終局させる決定並びに法廷ですべき審理及び裁判を除いて、その他の事項につき他の法律に特別の定めがあるときは、その定めに従う。

  一 合議体で審判又は審理及び裁判をする旨の決定を合議体でした事件

  二 他の法律において合議体で審判又は審理及び裁判をすべきものと定められた事件

 (家事審判法の一部改正)

第三条 家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)の一部を次のように改正する。

  第五条及び第六条を次のように改める。

 第五条 家庭裁判所は、最高裁判所の定めるところにより、合議体の構成員に命じて終局審判以外の審判を行わせることができる。

   前項の規定により合議体の構成員が行うこととされる審判は、判事補が単独ですることができる。

 第六条 削除

  第十五条の三第七項中「第十四条」の下に「、第十五条」を加える。

 (少年院法の一部改正)

第四条 少年院法(昭和二十三年法律第百六十九号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「送致された者」の下に「及び少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十六条第三項の規定により少年院において刑の執行を受ける者(以下「少年院収容受刑者」という。)」を加える。

  第二条第四項に次のただし書を加える。

   ただし、十六歳未満の者であつても、少年院収容受刑者については、これを収容することができる。

  第十条第二項中「在院者」の下に「(少年院収容受刑者を除く。次項、第十一条及び第十二条において同じ。)」を加え、「すみやかに」を「速やかに」に改める。

  第十条の次に次の一条を加える。

 第十条の二 少年院収容受刑者は、十六歳に達した日の翌日から起算して十四日以内に、監獄に移送しなければならない。ただし、その期間内に刑の執行が終了すべきときは、この限りでない。

  第十四条第二項中「在院者」の下に「(少年院収容受刑者を除く。)」を加え、同条第四項中「(昭和二十三年法律第百六十八号)」を削り、同条に次の一項を加える。

 5 少年院収容受刑者が逃走した時から四十八時間を経過した後は、当該時間内に連戻しに着手している場合を除き、第一項の規定にかかわらず、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百八十五条の収監状によつて収監しなければならない。

  第十六条中「保護処分」の下に「及び懲役又は禁錮の言渡しを受けた十六歳未満の少年に対する刑」を加え、「基いて」を「基づいて」に改める。

  第十六条の二第一項中「家庭裁判所」の下に「、監獄の長」を加え、「きたさない」を「来さない」に改める。

  本則中第十七条の五の次に次の一条を加える。

 第十七条の六 少年院収容受刑者については、監獄法第二十二条第一項、第四十三条、第四十四条及び第六十三条から第七十条までの規定を準用する。

 2 前項の規定により準用する監獄法第二十二条第一項の規定により解放された少年院収容受刑者が解放後二十四時間以内に少年院、監獄又は警察官署に出頭しないときは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第九十七条の例による。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十三年四月一日から施行する。

 (少年法の一部改正に伴う経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に家庭裁判所に係属している事件についてとられる少年法第十七条第一項第二号の措置における収容の期間の更新及び通算した収容の期間の限度については、第一条の規定による改正後の同法(以下「新法」という。)第十七条第三項から第五項まで及び第九項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

2 新法第十七条の二の規定は、前項に規定する少年法第十七条第一項第二号の措置及びその収容の期間の更新の決定については、適用しない。

3 新法第二十二条の二の規定(新法において準用し、又はその例による場合を含む。)は、この法律の施行の際現に裁判所に係属している事件の手続並びにこの法律の施行後に係属する当該事件の抗告審及び再抗告審の手続については、適用しない。

4 新法第二十七条の二第二項の規定は、この法律の施行後に終了する保護処分について適用する。

5 この法律の施行前にした行為に係る検察官への送致、刑の適用及び仮出獄を許すことができるまでの期間については、なお従前の例による。

 (検討等)

第三条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について国会に報告するとともに、その状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その検討の結果に基づいて法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする。

 (刑事訴訟法の一部改正)

第四条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第二十三条第一項中「地方裁判所」の下に「又は家庭裁判所」を加え、同条第二項中「地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所」を「地方裁判所又は家庭裁判所の一人」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に、「申立」を「申立て」に改める。

  第二十四条第二項中「地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所若しくは」を「地方裁判所若しくは家庭裁判所の一人の裁判官又は」に、「申立」を「申立て」に改める。

  第三百十六条中「地方裁判所」の下に「又は家庭裁判所」を加える。

 (犯罪者予防更生法の一部改正)

第五条 犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条中「監獄」の下に「(少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十六条第三項の規定により少年院において刑を執行する場合における当該少年院を含む。以下この節並びに第四十八条、第四十八条の三及び第五十五条の二において同じ。)」を、「受刑者」の下に「(少年法第五十六条第三項の規定により少年院において刑の執行を受ける者(以下「少年院収容受刑者」という。)を含む。以下同じ。)」を加え、「(昭和二十三年法律第百六十八号)」を削り、「在院者」の下に「(少年院収容受刑者を除く。以下この節並びに第四十七条及び第五十五条の二において同じ。)」を加える。

  第四十八条第二項中「言渡」を「言渡し」に改め、「在監者」の下に「(少年院収容受刑者を含む。第五十四条及び第五十五条の二において同じ。)」を加え、「受け終つた」を「受け終わつた」に改める。

  第五十四条第二項中「在監中の者」を「在監者」に改める。

 (少年の保護事件に係る補償に関する法律の一部改正)

第六条 少年の保護事件に係る補償に関する法律(平成四年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項中「された」を「され、その決定が確定した」に改め、同項第一号中「第十七条の二第一項」を「第十七条の四第一項」に改め、同条第二項中「第二十七条の二第一項」の下に「又は第二項」を加え、「あった」を「確定した」に改める。

  第五条第二項中「決定をした」を「決定が確定した」に改める。

 (法務省設置法の一部改正)

第七条 法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)の一部を次のように改正する。

  第十条第一項第一号中「送致された者」の下に「及び少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十六条第三項の規定により少年院において刑の執行を受ける者」を加える。

  第十一条第一項第一号中「(昭和二十三年法律第百六十八号)」を削り、「保護処分」の下に「及び懲役又は禁錮の言渡しを受けた十六歳未満の少年に対する刑」を加え、同項第二号中「家庭裁判所」の下に「、監獄の長」を加える。

(法務・内閣総理大臣署名) 

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