一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律
法律第百二十五号(平一二・一一・二七)
(趣旨)
第一条 この法律は、一般職の職員について、専門的な知識経験又は優れた識見を有する者の任期を定めた採用及び任期を定めて採用された職員の給与の特例に関する事項を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「職員」とは、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する職員(法律により任期を定めて任用することとされている官職を占める職員及び常時勤務を要しない官職を占める職員を除く。)をいう。
2 この法律において「任命権者」とは、国家公務員法第五十五条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者並びにその委任を受けた者をいう。
3 この法律において「各庁の長」とは、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号。以下「給与法」という。)第七条に規定する各庁の長及びその委任を受けた者をいう。
(任期を定めた採用)
第三条 任命権者は、高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有する者をその者が有する当該高度の専門的な知識経験又は優れた識見を一定の期間活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事させる場合には、人事院の承認を得て、選考により、任期を定めて職員を採用することができる。
2 任命権者は、前項の規定によるほか、専門的な知識経験を有する者を当該専門的な知識経験が必要とされる業務に従事させる場合において、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときであって、当該者を当該業務に期間を限って従事させることが公務の能率的運営を確保するために必要であるときは、人事院の承認を得て、選考により、任期を定めて職員を採用することができる。
一 当該専門的な知識経験を有する職員の育成に相当の期間を要するため、当該専門的な知識経験が必要とされる業務に従事させることが適任と認められる職員を部内で確保することが一定の期間困難である場合
二 当該専門的な知識経験が急速に進歩する技術に係るものであることその他当該専門的な知識経験の性質上、当該専門的な知識経験が必要とされる業務に当該者が有する当該専門的な知識経験を有効に活用することができる期間が一定の期間に限られる場合
三 前二号に掲げる場合に準ずる場合として人事院規則で定める場合
(任期)
第四条 前条各項の規定により採用される職員の任期は、五年を超えない範囲内で任命権者が定める。
2 任命権者は、前項の規定により任期を定めて職員を採用する場合には、当該職員にその任期を明示しなければならない。
第五条 任命権者は、第三条各項の規定により任期を定めて採用された職員(以下「任期付職員」という。)の任期が五年に満たない場合にあっては、人事院の承認を得て、採用した日から五年を超えない範囲内において、その任期を更新することができる。
2 前条第二項の規定は、前項の規定により任期を更新する場合について準用する。
(任用の制限)
第六条 任命権者は、任期付職員が採用時に占めていた官職においてその有する高度の専門的な知識経験又は優れた識見を活用して従事していた業務と同一の業務を行うことをその職務の主たる内容とする他の官職に任用する場合その他任期付職員を任期を定めて採用した趣旨に反しない場合に限り、人事院の承認を得て、任期付職員を、その任期中、他の官職に任用することができる。
(給与に関する特例)
第七条 第三条第一項の規定により任期を定めて採用された職員(以下「特定任期付職員」という。)には、次の俸給表を適用する。
号俸 |
俸給月額 |
円 |
|
1 |
418,000 |
2 |
472,000 |
3 |
531,000 |
4 |
605,000 |
5 |
691,000 |
6 |
807,000 |
7 |
943,000 |
2 各庁の長は、特定任期付職員の号俸を、特定任期付職員が従事する業務に応じて人事院規則で定める基準に従い決定する。
3 各庁の長は、特定任期付職員について、特別の事情により第一項の俸給表に掲げる号俸により難いときは、前二項の規定にかかわらず、人事院の承認を得て、その俸給月額を同表に掲げる七号俸の俸給月額にその額と同表に掲げる六号俸の俸給月額との差額に一からの各整数を順次乗じて得られる額を加えた額のいずれかに相当する額(給与法の指定職俸給表十二号俸の額未満の額に限る。)又は給与法の指定職俸給表十二号俸の額に相当する額とすることができる。
4 各庁の長は、特定任期付職員のうち、特に顕著な業績を挙げたと認められる職員には、人事院規則の定めるところにより、その俸給月額に相当する額を特定任期付職員業績手当として支給することができる。
5 第二項の規定による号俸の決定、第三項の規定による俸給月額の決定及び前項の規定による特定任期付職員業績手当の支給は、予算の範囲内で行わなければならない。
(給与法の適用除外等)
第八条 給与法第六条、第八条、第十条から第十一条の二まで、第十一条の九、第十九条の七及び第十九条の九の規定は、特定任期付職員には、適用しない。
2 特定任期付職員に対する給与法第三条第一項、第七条、第十一条の四、第十一条の八第一項及び第二項、第十九条の三第一項、第二十条並びに第二十一条第一項の規定の適用については、給与法第三条第一項中「この法律」とあるのは「この法律及び一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(以下「任期付職員法」という。)第七条の規定」と、給与法第七条中「この法律」とあるのは「この法律及び任期付職員法第七条の規定」と、給与法第十一条の四中「指定職俸給表」とあるのは「指定職俸給表又は任期付職員法第七条第一項の俸給表」と、「同条」とあるのは「前条」と、給与法第十一条の八第一項及び第二項中「指定職俸給表」とあるのは「指定職俸給表又は任期付職員法第七条第一項の俸給表」と、給与法第十九条の三第一項中「以下「特定管理職員」」とあるのは「任期付職員法第七条第一項の俸給表の適用を受ける職員を含む。以下「特定管理職員」」と、給与法第二十条中「第六条」とあるのは「任期付職員法第七条」と、給与法第二十一条第一項中「この法律」とあるのは「この法律及び任期付職員法第七条」とする。
(特定任期付職員に対する在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の規定の適用)
第九条 特定任期付職員に対する在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(昭和二十七年法律第九十三号)第二条第一項及び第三項、第三条並びに第四条第一項の規定の適用については、同法第二条第一項中「期末特別手当」とあるのは「期末特別手当、特定任期付職員業績手当」と、同条第三項中「及び期末特別手当」とあるのは「、期末特別手当及び特定任期付職員業績手当」と、「除く。)」とあるのは「除く。)及び一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律」と、同法第三条及び第四条第一項中「及び期末特別手当」とあるのは「、期末特別手当及び特定任期付職員業績手当」とする。
(人事院規則への委任)
第十条 この法律の実施に関し必要な事項は、人事院規則で定める。
(人事院の勧告等)
第十一条 人事院は、この法律に定める事項に関して調査研究を行い、その結果を国会及び内閣に同時に報告するとともに、必要に応じ、適当と認める改定を勧告することができる。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(弁護士法の一部改正)
第二条 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第三十条第一項ただし書中「公職につき」を「公職に就き、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第五条第一項(裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)において準用する場合を含む。)に規定する任期付職員となり」に改める。
(裁判所職員臨時措置法の一部改正)
第三条 裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の一部を次のように改正する。
第八号を第九号とし、第三号から第七号までを一号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の一号を加える。
三 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)(第十一条の規定を除く。)
(高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部改正)
第四条 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法(昭和二十八年法律第二百三十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第七条第一項に規定する特定任期付職員に対しては、前項の規定にかかわらず、同項の定時制通信教育手当は、支給しない。
(国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法の一部改正)
第五条 国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法(昭和二十九年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。
第七条第一項に次の一号を加える。
八 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第七条から第九条までの規定
(農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律の一部改正)
第六条 農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律(昭和三十二年法律第百四十五号)の一部を次のように改正する。
第三条第三項中「前二項」を「第一項及び第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第七条第一項に規定する特定任期付職員に対しては、前二項の規定にかかわらず、これらの規定に規定する産業教育手当は、支給しない。
(国家公務員共済組合法の一部改正)
第七条 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)の一部を次のように改正する。
第六十八条の二中「第七号」を「第八号」に改める。
(研究交流促進法の一部改正)
第八条 研究交流促進法(昭和六十一年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項第一号中「、同法別表第七」を「同法別表第七」に、「同法別表第六」を「同項の規定に基づき同法別表第六」に、「及び一般職の職員の給与に関する法律」を「、同項の規定に基づき一般職の職員の給与に関する法律」に、「職員のうち」を「職員及び一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第七条第一項の規定に基づき同項に規定する俸給表の適用を受ける職員のうち」に改め、「第二項」の下に「の規定に基づきこれらの規定」を加える。
第三条中「規定する者(」の下に「一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律第五条第一項に規定する任期付職員及び」を加える。
(一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部改正)
第九条 一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成九年法律第六十五号)の一部を次のように改正する。
第十条を第十一条とし、第九条を第十条とし、第八条の次に次の一条を加える。
(一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律の適用除外)
第九条 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)の規定は、研究業務に従事する職員には適用しない。
(大学の教員等の任期に関する法律の一部改正)
第十条 大学の教員等の任期に関する法律(平成九年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。
本則に次の一条を加える。
(一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律の適用除外)
第七条 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)の規定は、国家公務員である教員等には適用しない。
(独立行政法人通則法の一部改正)
第十一条 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)の一部を次のように改正する。
第五十九条第一項に次の一号を加える。
八 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第七条から第九条までの規定
(国家公務員倫理法の一部改正)
第十二条 国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項第一号の次に次の一号を加える。
一の二 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号。以下この条において「任期付職員法」という。)第七条第一項に規定する俸給表の適用を受ける職員
第二条第三項第一号の次に次の一号を加える。
一の二 任期付職員法第七条第一項に規定する俸給表の適用を受ける職員であって、同表四号俸の俸給月額以上の俸給を受けるもの
第二条第四項第一号の次に次の一号を加える。
一の二 任期付職員法第七条第一項に規定する俸給表の適用を受ける職員であって、同表七号俸の俸給月額以上の俸給を受けるもの
(中央省庁等改革関係法施行法の一部改正)
第十三条 中央省庁等改革関係法施行法(平成十一年法律第百六十号)の一部を次のように改正する。
第五百三十二条のうち高等学校の定時制教育及び通信教育振興法第五条の改正規定中「同条第二項」を「同条第三項」に改める。
第五百四十四条のうち農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律第三条第三項の改正規定中「第三条第三項」を「第三条第四項」に改める。
(独立行政法人大学入試センター法の一部改正)
第十四条 独立行政法人大学入試センター法(平成十一年法律第百六十六号)の一部を次のように改正する。
附則第十三条のうち大学の教員等の任期に関する法律第六条の次に一条を加える改正規定中「第六条」を「第七条を第八条とし、第六条」に改める。
(独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律の一部改正)
第十五条 独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第二百二十号)の一部を次のように改正する。
第六条のうち一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律第十条を同法第十一条とし、同法第九条を同法第十条とし、同法第八条の次に一条を加える改正規定中「第十条を」を「第十一条を第十二条とし、第十条を」に改める。
第十六条のうち研究交流促進法第三条の改正規定中「及び第三号」に」の下に「、「任期付職員及び」を「任期付職員並びに」に」を加える。
附則第五条のうち裁判所職員臨時措置法の改正規定中「第八号中」を「本則中「「内閣総理大臣」」の下に「、「総務大臣」」を加え、本則第九号中」に改める。
(内閣総理・法務・外務・大蔵・文部・農林水産・郵政大臣署名)