著作権法の一部を改正する法律
法律第七十七号(平一一・六・二三)
著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第九十五条の二」を「第九十五条の三」に、「第九十七条の二」を「第九十七条の三」に改める。
第二条第一項中第十八号を削り、第十七号を第十八号とし、第十六号の次に次の一号を加える。
十七 上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。
第二条第一項中第二十号を第二十二号とし、第十九号の次に次の二号を加える。
二十 技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第六項に規定する著作隣接権(以下この号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(次号において「著作物等」という。)の利用(著作者の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、又は送信する方式によるものをいう。
二十一 権利管理情報 第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項から第四項までの権利(以下この号において「著作権等」という。)に関する情報であつて、イからハまでのいずれかに該当するもののうち、電磁的方法により著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録され、又は送信されるもの(著作物等の利用状況の把握、著作物等の利用の許諾に係る事務処理その他の著作権等の管理(電子計算機によるものに限る。)に用いられていないものを除く。)をいう。
イ 著作物等、著作権等を有する者その他政令で定める事項を特定する情報
ロ 著作物等の利用を許諾する場合の利用方法及び条件に関する情報
ハ 他の情報と照合することによりイ又はロに掲げる事項を特定することができることとなる情報
第二条第七項中「を含み、「上演」、「演奏」、「口述」又は「上映」には、」を「及び」に、「、口述又は上映」を「又は口述」に改める。
第三条第一項及び第二項中「又は第二十六条の二」を「、第二十六条の二第一項又は第二十六条の三」に改める。
第四条第一項中「第二十六条」を「第二十五条」に改め、「演奏」の下に「、上映」を加え、「、展示若しくは上映」を「若しくは展示」に改め、同条第三項中「若しくは第二十六条」を削り、「公衆送信、口述若しくは上映」を「上映、公衆送信若しくは口述」に改める。
第二十二条の次に次の一条を加える。
(上映権)
第二十二条の二 著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。
第二十六条の見出し中「上映権及び」を削り、同条中「公に上映し、又は」を削る。
第二十六条の二を第二十六条の三とし、第二十六条の次に次の一条を加える。
(譲渡権)
第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
2 前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物
二 第六十七条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定又は万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律(昭和三十一年法律第八十六号)第五条第一項の規定による許可を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
三 前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された著作物の原作品又は複製物
四 この法律の施行地外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された著作物の原作品又は複製物
第三十条第一項中「場合には、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製するとき」を「ときは、次に掲げる場合」に改め、同項に次の各号を加える。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
二 技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
第三十八条第一項中「口述し、又は上映する」を「上映し、又は口述する」に、「口述又は上映」を「上映又は口述」に改める。
第四十六条第一号中「増製する」を「増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する」に改め、同条第二号中「複製する」を「複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する」に改め、同条第四号中「もつぱら」を「専ら」に、「複製する」を「複製し、又はその複製物を販売する」に改める。
第四十七条の二の次に次の一条を加える。
(複製権の制限により作成された複製物の譲渡)
第四十七条の三 第三十一条第一号、第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項、第三十五条、第三十六条第一項、第三十七条第一項、第三十九条第一項、第四十条第一項若しくは第二項、第四十一条、第四十二条、第四十二条の二、第四十六条又は第四十七条の規定により複製することができる著作物は、これらの規定の適用を受けて作成された複製物(第三十一条第一号、第三十五条、第三十六条第一項又は第四十二条の規定に係る場合にあつては、映画の著作物の複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を含む。以下この条において同じ。)を除く。)の譲渡により公衆に提供することができる。ただし、第三十一条第一号、第三十五条、第四十一条、第四十二条又は第四十二条の二の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(第三十一条第一号、第三十五条又は第四十二条の規定に係る場合にあつては、映画の著作物の複製物を除く。)を、第三十一条第一号、第三十五条、第四十一条、第四十二条又は第四十二条の二に定める目的以外の目的のために公衆に譲渡する場合は、この限りでない。
第六十九条の見出し中「録音」の下に「等」を加え、同条中「録音の」を「録音又は譲渡による公衆への提供の」に、「その協議が」を「、その協議が」に改め、「当該録音」の下に「又は譲渡による公衆への提供」を加える。
第八十五条を次のように改める。
第八十五条 削除
第八十九条第一項中「及び第九十五条の二第一項」を「、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項」に、「第九十五条の二第三項」を「第九十五条の三第三項」に改め、同条第二項中「及び第九十七条の二第一項」を「、第九十七条の二第一項及び第九十七条の三第一項」に、「第九十七条の二第三項」を「第九十七条の三第三項」に改める。
第九十五条の二第四項中「前条第四項」を「第九十五条第四項」に、「第九十五条の二第三項」を「第九十五条の三第三項」に改め、同条第五項中「前条第四項」を「第九十五条第四項」に改め、同条第六項中「前条第六項」を「第九十五条第六項」に改め、第四章第二節中同条を第九十五条の三とする。
第九十五条の次に次の一条を加える。
(譲渡権)
第九十五条の二 実演家は、その実演をその録音物又は録画物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
2 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない。
一 第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演
二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの
3 第一項の規定は、実演(前項各号に掲げるものを除く。以下この条において同じ。)の録音物又は録画物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一 第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された実演の録音物又は録画物
二 第一項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された実演の録音物又は録画物
三 この法律の施行地外において、第一項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された実演の録音物又は録画物
第九十七条の二第四項中「前条第三項」を「第九十七条第三項」に改め、同条第五項中「前条第三項」を「第九十七条第三項」に、「第九十五条の二第四項後段」を「第九十五条の三第四項後段」に改め、同条第六項中「前条第三項」を「第九十七条第三項」に改め、第四章第三節中同条を第九十七条の三とする。
第九十七条の次に次の一条を加える。
(譲渡権)
第九十七条の二 レコード製作者は、そのレコードをその複製物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
2 前項の規定は、レコードの複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡されたレコードの複製物
二 前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡されたレコードの複製物
三 この法律の施行地外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡されたレコードの複製物
第百二条第一項中「第三十条第二項」の下に「及び第四十七条の三」を加える。
第百十三条中第三項を第五項とし、第二項の次に次の二項を加える。
3 次に掲げる行為は、当該権利管理情報に係る著作者人格権、著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一 権利管理情報として虚偽の情報を故意に付加する行為
二 権利管理情報を故意に除去し、又は改変する行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による場合その他の著作物又は実演等の利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる場合を除く。)
三 前二号の行為が行われた著作物若しくは実演等の複製物を、情を知つて、頒布し、若しくは頒布の目的をもつて輸入し、若しくは所持し、又は当該著作物若しくは実演等を情を知つて公衆送信し、若しくは送信可能化する行為
4 第九十五条第一項若しくは第九十七条第一項に規定する二次使用料又は第九十五条の三第三項若しくは第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利は、前項の規定の適用については、著作隣接権とみなす。この場合において、前条中「著作隣接権者」とあるのは「著作隣接権者(次条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を有する者を含む。)」と、同条第一項中「著作隣接権」とあるのは「著作隣接権(同項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。)」とする。
第百十三条の次に次の一条を加える。
(善意者に係る譲渡権の特例)
第百十三条の二 著作物の原作品若しくは複製物(映画の著作物の複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を含む。)を除く。以下この条において同じ。)、実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物の譲渡を受けた時において、当該著作物の原作品若しくは複製物、実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物がそれぞれ第二十六条の二第二項各号、第九十五条の二第三項各号又は第九十七条の二第二項各号のいずれにも該当しないものであることを知らず、かつ、知らないことにつき過失がない者が当該著作物の原作品若しくは複製物、実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物を公衆に譲渡する行為は、第二十六条の二第一項、第九十五条の二第一項又は第九十七条の二第一項に規定する権利を侵害する行為でないものとみなす。
第百十九条第一号中「又は実演等」を「若しくは実演等」に改め、「行つた者」の下に「又は第百十三条第三項の規定により著作者人格権、著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者」を加え、同条第二号中「第三十条第一項」を「第三十条第一項第一号」に改める。
第百二十条の次に次の一条を加える。
第百二十条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことを専らその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化した者
二 業として公衆からの求めに応じて技術的保護手段の回避を行つた者
三 営利を目的として、第百十三条第三項の規定により著作者人格権、著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
第百二十三条第一項中「第百十九条」の下に「、第百二十条の二第三号」を加える。 附則第二条第三項中「第九十五条の二第三項」を「第九十五条の三第三項」に、「第九十七条の二第三項」を「第九十七条の三第三項」に改める。
附則第四条の二中「第二十六条の二」を「第二十六条の三」に改める。
附則第五条の二中「第三十条第一項」を「第三十条第一項第一号」に改める。
附則第十四条を次のように改める。
第十四条 削除
附 則
(施行期日)
1 この法律は、平成十二年一月一日から施行する。ただし、第二条第一項第十九号の次に二号を加える改正規定、第三十条第一項の改正規定、第百十三条の改正規定、第百十九条の改正規定、第百二十条の次に一条を加える改正規定、第百二十三条第一項の改正規定及び附則第五条の二の改正規定並びに附則第五項の規定は、平成十一年十月一日から施行する。
(経過措置)
2 改正後の著作権法第二十六条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十七条の二第一項の規定は、この法律の施行の際現に存する著作物の原作品若しくは複製物、実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物(著作権法第二十一条、第九十一条第一項又は第九十六条に規定する権利を有する者の権利を害さずに作成されたものに限り、出版権者が作成した著作物の複製物を除く。)の譲渡による場合には、適用しない。
3 改正後の著作権法第二十六条の二第一項の規定は、この法律の施行前に設定された出版権でこの法律の施行の際現に存するものを有する者が当該出版権の存続期間中に行う当該出版権の目的となつている著作物の複製物の頒布については、適用しない。
4 出版権(この法律の施行前に設定されたものに限る。)が消滅した後において当該出版権を有していた者が行う当該出版権の存続期間中に作成した著作物の複製物の頒布については、なお従前の例による。
5 平成十一年十月一日からこの法律の施行の日の前日までの間は、改正後の著作権法第百十三条第四項中「第九十五条の三第三項」とあるのは「第九十五条の二第三項」と、「第九十七条の三第三項」とあるのは「第九十七条の二第三項」とする。
6 行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第四十三号。以下「整備法」という。)の施行の日がこの法律の施行の日後となる場合には、整備法の施行の日の前日までの間は、改正後の著作権法第四十七条の三中「第四十二条、第四十二条の二」とあるのは「第四十二条」と、「、第四十二条又は第四十二条の二」とあるのは「又は第四十二条」とする。
7 この法律の施行前にした行為及び附則第四項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(著作権法の一部を改正する法律の一部改正)
8 著作権法の一部を改正する法律(昭和六十一年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。
附則第三項中「第九十五条の二第三項」を「第九十五条の三第三項」に改める。
9 著作権法の一部を改正する法律(平成元年法律第四十三号)の一部を次のように改正する。
附則第四項中「第九十五条の二第三項」を「第九十五条の三第三項」に改める。
10 著作権法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
附則第二項中「第九十五条の二」を「第九十五条の三」に改める。
附則第三項中「第九十七条の二」を「第九十七条の三」に改める。
附則第四項中「第九十五条の二第二項」を「第九十五条の三第二項」に改める。
(著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律の一部改正)
11 著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律(平成六年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。
附則第二項及び第三項中「第九十五条の二第三項」を「第九十五条の三第三項」に改める。
附則第四項中「第九十七条の二第三項」を「第九十七条の三第三項」に改める。
(文部・内閣総理大臣臨時代理署名)