新幹線鉄道保有機構法

法律第八十九号(昭六一・一二・四)

目次

 第一章 総則(第一条|―第八条)

 第二章 役員及び職員(第九条|―第十九条)

 第三章 業務(第二十条|―第二十五条)

 第四章 財務及び会計(第二十六条|―第三十六条)

 第五章 監督(第三十七条・第三十八条)

 第六章 雑則(第三十九条|―第四十一条)

 第七章 罰則(第四十二条|―第四十四条)

 附則

   第一章 総則


 (目的)

第一条 新幹線鉄道保有機構は、新幹線鉄道が我が国の基幹的輸送機関として国土の均衡ある発展に果たしている役割にかんがみ、日本国有鉄道が経営していた新幹線鉄道に係る旅客鉄道事業を経営する旅客鉄道株式会社の当該事業に係る経営基盤の均衡化を図るとともに、これによりこれらの施設に係る利用者の負担の適正化を図るため、当該新幹線鉄道に係る鉄道施設を一括して保有し、旅客鉄道株式会社に貸し付けることを目的とする。


 (定義)

第二条 この法律において「新幹線鉄道」とは、次の各号に掲げる新幹線鉄道であつて、当該各号に定める区間において旅客鉄道株式会社により営業が行われるものをいう。

 一 東北新幹線  東京から盛岡まで

 二 上越新幹線  大宮から新潟まで

 三 東海道新幹線 東京から新大阪まで

 四 山陽新幹線  新大阪から博多まで

2 この法律において「旅客鉄道株式会社」とは、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社をいう。


 (法人格)

第三条 新幹線鉄道保有機構(以下「機構」という。)は、法人とする。


 (事務所)

第四条 機構は、事務所を東京都に置く。


 (新幹線鉄道に係る鉄道施設の保有)

第五条 機構は、新幹線鉄道に係る鉄道施設を保有する。


 (登記)

第六条 機構は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。


 (名称の使用制限)

第七条 機構でない者は、新幹線鉄道保有機構という名称を用いてはならない。


 (民法の準用)

第八条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、機構について準用する。

   第二章 役員及び職員


 (役員)

第九条 機構に、役員として、理事長一人、理事二人以内及び監事二人以内を置く。


 (役員の職務及び権限)

第十条 理事長は、機構を代表し、その業務を総理する。

2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して機構の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。

3 監事は、機構の業務を監査する。

4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は運輸大臣に意見を提出することができる。


 (役員の任命)

第十一条 理事長及び監事は、運輸大臣が任命する。

2 理事は、運輸大臣の認可を受けて、理事長が任命する。


 (役員の任期)

第十二条 理事長の任期は三年とし、理事及び監事の任期は二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 役員は、再任されることができる。


 (役員の欠格条項)

第十三条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。

 一 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)

 二 旅客鉄道株式会社の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 三 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であつて機構と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 四 前二号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)


 (役員の解任)

第十四条 運輸大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。

2 運輸大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

 二 職務上の義務違反があるとき。

3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。


 (役員の兼職禁止)

第十五条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、運輸大臣の承認を受けたときは、この限りでない。


 (代表権の制限)

第十六条 機構と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が機構を代表する。


 (代理人の選任)

第十七条 理事長は、機構の理事又は職員のうちから、機構の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。


 (職員の任命)

第十八条 機構の職員は、理事長が任命する。


 (役員及び職員の公務員たる性質)

第十九条 機構の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

   第三章 業務


 (業務の範囲)

第二十条 機構は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 その保有する新幹線鉄道に係る鉄道施設を旅客鉄道株式会社に貸し付けること。

 二 前号の規定により貸し付けた鉄道施設に係る大規模な災害復旧工事であつて運輸省令で定めるもの(以下「大規模災害復旧工事」という。)を当該旅客鉄道株式会社の申出に基づき行うこと。

 三 前二号の業務に附帯する業務を行うこと。


 (鉄道施設の貸付け等)

第二十一条 機構は、その保有する新幹線鉄道に係る鉄道施設を、運輸省令で定めるところにより、旅客鉄道株式会社に対し有償で貸し付けなければならないものとし、当該旅客鉄道株式会社は、これを借り受けなければならないものとする。

2 機構は、前項の規定による貸付けに係る貸付料の年額及び貸付期間について、運輸省令で定めるところにより、あらかじめ、運輸大臣の認可を受けなければならない。

3 機構は、第一項の規定による貸付けに係る鉄道施設につき、第二十四条第一項の規定により大規模災害復旧工事を行う場合を除き、その維持管理を行わない。この場合には、それぞれ当該鉄道施設を借り受ける旅客鉄道株式会社がこれを行うものとする。

4 機構は、第一項の規定による貸付けに係る貸付期間が終了したときは、別に法律で定めるところにより、当該新幹線鉄道に係る鉄道施設を当該旅客鉄道株式会社に譲渡するものとする。


 (貸付料の年額等及び貸付期間の基準)

第二十二条 各旅客鉄道株式会社に対する前条第二項の貸付料の年額は、機構が定める貸付料の概算総計年額を、当該貸付けに係る新幹線鉄道における輸送量、当該新幹線鉄道に係る鉄道施設の価格等に応じて運輸省令で定める方法により配分した額を基準として定めるものとする。

2 前項の貸付料の概算総計年額は、機構が、前条第二項の貸付期間内の各年における貸付料収入により、その債務の償還及び当該債務に係る利子の支払を行い、並びに当該各年における当該貸付けに係るすべての鉄道施設に関する祖税公課、管理費、大規模災害復旧工事に係る費用その他の費用を償うことができると見込まれるものとして運輸省令で定める方法により算定した額を基準として定めるものとする。

3 前条第二項の貸付期間は、機構の保有するすべての新幹線鉄道に係る鉄道施設の運輸省令で定める残存耐用年数の平均を考慮して運輸省令で定める方法により算定した期間を基準として定めるものとする。


 (貸付料の年額等の変更)

第二十三条 機構は、二年ごとに、貸付料の年額及び貸付料の概算総計年額が前条第一項及び第二項の基準に適合するかどうかについて見直しを行い、これらに適合するようこれらの額の変更を行わなければならない。

2 機構は、大規模災害復旧工事を行つた場合その他の貸付料の年額及び貸付料の概算総計年額又は貸付期間の算定の基礎となる事項に運輸省令で定める重大な変更が生じた場合には、機構の保有するすべての新幹線鉄道に係る鉄道施設に係る貸付料の年額及び貸付料の概算総計年額又は貸付期間が前条第一項及び第二項の基準又は同条第三項の基準に適合するかどうかについて見直しを行い、これらに適合するようこれらの額又は貸付期間の変更を行わなければならない。

3 第二十一条第二項の規定は、前二項の規定による貸付料の年額又は貸付期間の変更について準用する。


 (大規模災害復旧工事)

第二十四条 旅客鉄道株式会社は、機構から借り受けている新幹線鉄道に係る鉄道施設について大規模災害復旧工事を行う必要が生じた場合には、自らこれを行うこととする場合を除き、運輸省令で定めるところにより、機構に対し、当該大規模災害復旧工事を行うよう申し出ることができる。

2 機構は、前項の規定による申出に係る大規模災害復旧工事を行おうとするときは、運輸省令で定めるところにより、工事実施計画を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

3 機構は、前項の規定により工事実施計画を作成し、又は変更しようとするときは、機構が新幹線鉄道に係る鉄道施設を貸し付けているすべての旅客鉄道株式会社の意見を聴かなければならない。

4 機構は、第二項の認可を受けたときは、工事実施計画に関する書類を、前項の旅客鉄道株式会社に送付しなければならない。

5 機構は、第二項の認可を受けた工事実施計画に係る大規模災害復旧工事については、運輸省令で定めるところにより、その工事の管理に関する業務を第一項の規定による申出をした旅客鉄道株式会社に委託することができる。


 (業務方法書)

第二十五条 機構は、業務開始の際、業務方法書を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、運輸省令で定める。

   第四章 財務及び会計


 (事業年度)

第二十六条 機構の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。


 (事業計画等の認可)

第二十七条 機構は、毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しょようとするときも、同様とする。


 (財務諸表)

第二十八条 機構は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に運輸大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

2 機構は、前項の規定により財務諸表を運輸大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見を付けなければならない。

3 機構は、第一項の規定による運輸大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、事務所に備えて置かなければならない。


 (利益及び損失の処理)

第二十九条 機構は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。

2 機構は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。


 (借入金及び新幹線鉄道保有機構債券)

第三十条 機構は、運輸大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は新幹線鉄道保有機構債券(以下「債券」という。)を発行することができる。

2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、運輸大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。

4 第一項の規定による債券の債券者は、機構の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

6 機構は、運輸大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。

7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条までの規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。

8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。


 (債務保証)

第三十一条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の長期借入金又は債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。


 (償還計画)

第三十二条 機構は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画を立てて、運輸大臣の認可を受けなければならない。


 (余裕金の運用)

第三十三条 機構は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

 一 国債、地方債その他運輸大臣の指定する有価証券の取得

 二 資金運用部への預託

 三 銀行その他運輸大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金

 四 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託


 (財産の処分等の制限)

第三十四条 機構は、第二十一条第一項の規定により貸し付けている新幹線鉄道に係る鉄道施設を譲渡し、交換し、又は担保に供することができない。

2 機構は、運輸省令で定める重要な財産(前項に規定するものを除く。)を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。


 (給与及び退職手当の支給の基準)

第三十五条 機構は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、運輸大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。


 (運輸省令への委任)

第三十六条 この法律及びこれに基づく命令に規定するもののほか、機構の財務及び会計に関し必要な事項は、運輸省令で定める。

   第五章 監督


 (監督)

第三十七条 機構は、運輸大臣が監督する。

2 運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。


 (報告及び検査)

第三十八条 運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、機構の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

   第六章 雑則


 (解散)

第三十九条 機構の解散については、別に法律で定める。


 (大蔵大臣との協議)

第四十条 運輸大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。

 一 第二十一条第二項(第二十三条第三項において準用する場合を含む。)、第二十五条第一項、第二十七条、第三十条第一項、第二項ただし書若しくは第六項、第三十二条又は第三十四条第二項の規定による認可をしようとするとき。

 二 第二十二条、第二十五条第二項、第三十四条第二項又は第三十六条の規定により運輸省令を定めようとするとき。

 三 第二十八条第一項又は第三十五条の規定による承認をしようとするとき。

 四 第三十三条第一号又は第三号の規定による指定をしようとするとき。


 (他の法令の準用)

第四十一条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、機構を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。

   第七章 罰則


 (罰則)

第四十二条 第三十八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。

第四十三条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、十万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定により運輸大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。

 二 第六条第一項の政令又は附則第六条の政令の規定に違反して登記することを怠つたとき。

 三 第二十条に規定する業務以外の業務を行つたとき。

 四 第三十三条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

 五 第三十七条第二項の規定による運輸大臣の命令に違反したとき。

第四十四条 第七条の規定に違反した者は、五万円以下の過料に処する。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。


 (機構の設立)

第二条 運輸大臣は、機構の理事長又は監事となるべき者を指名する。

2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、機構の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。

第三条 運輸大臣は、設立委員を命じて、機構の設立に関する事務を処理させる。

2 設立委員は、前項及び日本国有鉄道改革法(昭和六十一年法律第八十七号。以下「改革法」という。)第二十三条に定めるもののほか、機構がその成立の時において業務を円滑に開始するために必要な事務を処理することができる。

3 設立委員は、機構の設立の準備を完了したときは、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。


 (機構の成立)

第四条 第五条の規定による新幹線鉄道に係る鉄道施設の保有は、改革法附則第二項の規定の施行の時に日本国有鉄道から引き継がれるものとし、機構は、その時に成立する。


 (日本国有鉄道に対する債務の負担等)

第五条 機構は、その成立の時において、日本国有鉄道に対し、改革法第二十二条の規定により承継する資産の当該承継の際に見込まれる再調達価格(当該資産を当該承継の際に新たに取得するものとした場合における価額として運輸省令で定める方法により算定した価額をいう。)から改革法第二十条第一項の規定による決定に係る当該資産の価額を差し引いて得た金額に相当する額の債務を負担するものとする。

2 前項の再調達価格は、改革法第二十条第一項に規定する評価審査会が決定する。

3 第一項の規定により負担する債務の償還、当該債務に係る利子の支払その他の同項の規定による債務の負担に関し必要な事項は、政令で定める。

4 運輸大臣は、第一項の規定により運輸省令を定めようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。


 (設立の登記)

第六条 機構は、その成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。


 (東北新幹線の建設中の区間についての特例)

第七条 第二条第一項第一号に掲げる新幹線鉄道の区間には、機構の成立の時において建設中の東京から上野までの区間を含むものとし、機構は、当該建設中の区間の新幹線鉄道の建設を行うものとする。この場合には、第四十三条第三号中「第二十条」とあるのは、「第二十条及び附則第七条第一項」とする。

2 機構は、前項の規定による建設を行うに当たつては、運輸省令で定めるところにより、東日本旅客鉄道株式会社の意見を聴くものとする。

3 機構は、第一項の規定による建設の工事については、運輸省令で定めるところにより、その工事の管理に関する業務を東日本旅客鉄道株式会社に委託することができる。


 (名称に関する経過措置)

第八条 この法律の施行の際現に新幹線鉄道保有機構という名称を用いている者については、第七条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。


 (貸付料の年額等に関する経過措置)

第九条 機構の成立の時における第二十一条第二項の規定の適用については、同項中「あらかじめ」とあるのは、「機構の成立後遅滞なく」とする。


 (事業計画等に関する経過措置)

第十条 機構の最初の事業年度の事業計画、予算及び資金計画については、第二十七条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「機構の成立後遅滞なく」とする。


 (長期借入金等に関する経過措置)

第十一条 改革法第二十二条の規定により機構が承継する債務に係る日本国有鉄道の長期借入金(日本国有鉄道が承継した債務に係る日本鉄道建設公団の長期借入金を含む。)及び附則第五条第一項の規定により機構が日本国有鉄道に対し負担する債務並びに改革法第二十二条の規定により機構が承継する債務に係る日本国有鉄道の鉄道債券及び日本鉄道建設公団の鉄道建設債券は、第三十二条の規定の適用については、それぞれ、同条の長期借入金及び債券とみなす。


 (政令への委任)

第十二条 附則第八条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名) 

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