民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法
法律第七十七号(昭六一・五・三〇)
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 特定施設の整備の促進(第三条―第十三条)
第三章 産業基盤信用基金
第一節 総則(第十四条―第二十二条)
第二節 設立(第二十三条―第二十七条)
第三節 管理(第二十八条―第三十九条)
第四節 業務(第四十条―第四十二条)
第五節 財務及び会計(第四十三条―第五十一条)
第六節 監督(第五十二条・第五十三条)
第七節 補則(第五十四条―第五十六条)
第四章 雑則(第五十七条―第五十九条)
第五章 罰則(第六十条―第六十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、最近における経済的環境の変化に対処して、経済社会の基盤の充実に資する特定施設の整備を民間事業者の能力を活用して促進するための措置を講ずることにより、国民経済及び地域社会の健全な発展を図り、あわせて国際経済交流等の促進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「特定施設」とは、次に掲げる施設(これらの施設に附帯する駐車場、緑化施設、係留施設その他の構築物を含む。)をいう。
一 工業技術のうち通商産業省の所掌に係るもの(以下この号において「工業技術」という。)に関する研究開発及び企業化を効果的に行うために設置される一群の施設であつて次の施設から構成されるもの
イ 工業技術に関する研究開発のための施設であつて工業技術に関する研究開発を行う者の共用に供されるもの
ロ 工業技術に係る技術者の研修施設
ハ 工業技術に関する研究開発の成果又は技術情報の提供又は交換のための展示施設、会議場施設その他の施設
ニ 工業技術に関する研究開発及びその企業化を行うための事業場として相当数の企業等に利用させるための施設
二 電気通信業及び放送業(有線放送業を含む。以下この条において同じ。)の技術その他電気通信に係る電波の利用技術のうち郵政省の所掌に係るもの(以下この号において「電気通信業等の技術」という。)に関する研究開発を効果的に行うための施設であつて次の施設が一体的に設置されるもの
イ 電気通信業等の技術に関する研究開発を行うための施設であつて二以上の者が利用する構造及び設備を有するもの
ロ 電気通信業等の技術に関する研究開発の推進及びその成果の普及を図るための会議場施設、研修施設その他の共同利用施設
三 情報処理の事業の発達を図るための施設であつて次の施設が併せて設置されるもの
イ 情報処理の事業の業務を行うための多様な機能を有する施設であつて広く一般の需要に応ずるためのもの
ロ 展示施設、研修施設その他の共同利用施設
四 電気通信業及び放送業の発達その他電波の利用の促進を図るための施設であつて次の施設が併せて設置されるもの
イ 電気通信業又は放送業の業務を行うための多様な機能を有する施設であつて広く一般の需要に応ずるためのもの
ロ 展示施設、研修施設その他の共同利用施設
五 外国との経済交流等の促進を図るために設置される次の施設
イ 国際見本市場施設
ロ 国際会議場施設
六 港湾の利用の高度化を図るために設置される次の施設
イ 旅客その他の港湾を利用する者の利便を増進するための旅客ターミナル施設
ロ 港湾における業務の効率化を図るための港湾業務用の施設であって、港湾における業務を行う者が相当数入居し、かつ、これらの者の業務の円滑な実施を図るための共同利用設備を備えたもの
2 この法律において「特定都市開発地区」とは第七条第一項の規定により指定された地区をいい、「特定港湾開発地区」とは第八条第一項の規定により指定された地区をいう。
第二章 特定施設の整備の促進
(基本指針)
第三条 主務大臣は、前条第一項各号に掲げる特定施設ごとに、民間事業者の能力を活用してその整備を促進するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
2 基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 特定施設の整備の基本的な方向
二 特定施設の機能に関する事項
三 特定施設の立地並びに規模及び配置に関する事項
四 特定施設の運営に関する事項
五 環境の保全その他特定施設の整備に際し配慮すべき重要事項
3 前項各号に掲げる事項のほか、前条第一項第一号から第五号までに掲げる特定施設に係る基本指針においては特定都市開発地区の指定及び特定都市開発地区の開発整備の方針の策定に関する事項を、同項第五号及び第六号に掲げる特定施設に係る基本指針においては特定港湾開発地区の指定及び特定港湾開発地区の開発整備の方針の策定に関する事項を定めるものとする。
4 主務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、国土庁長官及び自治大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 主務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(整備計画の認定等)
第四条 特定施設の整備の事業を行おうとする者(当該事業を行う法人を設立しようとする者を含む。)は、当該特定施設の整備の事業に関する計画(以下「整備計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出し、当該整備計画が適当である旨の認定を受けることができる。
2 整備計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 特定施設の位置
二 特定施設の整備の事業を行う者に関する事項
三 特定施設の概要、規模及び配置
四 特定施設の運営に関する事項
五 特定施設の整備の事業の実施時期
六 特定施設の整備の事業を行うのに必要な資金の額及びその調達方法
3 主務大臣は、第一項の認定の申請があつた場合において、その整備計画が次の各号に適合するものであると認めるときは、当該申請に係る認定をするものとする。
一 前項第一号から第四号までに掲げる事項が基本指針に照らし当該特定施設の整備の目的を達成し、当該特定施設の機能を発揮させるため適切なものであること。
二 前項第二号、第五号及び第六号に掲げる事項が当該特定施設の整備の事業を確実に遂行するため適切なものであること。
三 特定都市開発地区において整備される特定施設(第二条第一項第六号に掲げるものを除く。第七条において同じ。)にあつては、当該特定都市開発地区の開発整備の方針に照らし適切なものであること。
四 特定港湾開発地区において整備される特定施設(第二条第一項第五号及び第六号に掲げるものに限る。第八条において同じ。)にあつては、当該特定港湾開発地区の開発整備の方針に照らし適切なものであること。
第五条 前条第一項の認定を受けた者(その者の設立に係る同項の法人を含む。)は、当該認定に係る整備計画の変更をしようとするときは、主務大臣の認定を受けなければならない。
2 前条第三項の規定は、前項の認定について準用する。
第六条 主務大臣は、第四条第一項の認定を受けた整備計画(前条第一項の規定による変更の認定があつたときは、その変更後のもの。以下「認定計画」という。)に係る特定施設の整備の事業を行う者(以下「認定事業者」という。)が当該認定計画に従つて特定施設の整備の事業を行つていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
(特定都市開発地区の指定及び開発整備方針)
第七条 都道府県知事は、基本指針に基づき、土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業、都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)による市街地再開発事業その他市街地の計画的な開発整備を図るための建築物若しくはその敷地の整備又は宅地の造成及びこれらと併せて整備されるべき公共施設(道路、公園その他の公共の用に供する施設をいう。以下同じ。)の整備に関する事業が行われる相当規模の土地の区域のうち、特定施設の整備により、経済社会の発展に即応した都市活動を確保するための拠点として、特にその開発整備を図ることが適当と認められる地区を特定都市開発地区として指定し、当該特定都市開発地区の開発整備の方針(以下この条において「開発整備方針」という。)を定めることができる。
2 開発整備方針においては、特定都市開発地区の開発整備の目標、当該特定都市開発地区内において整備されることが適当と認められる特定施設の種類、当該特定施設と一体として整備されるべき公共施設の整備に関する事項その他当該特定都市開発地区の開発整備に関し必要な事項を定めるものとする。
3 都道府県知事は、特定都市開発地区を指定したときは、遅滞なく、当該特定都市開発地区の区域及び開発整備方針を公表するとともに、当該特定都市開発地区の区域及び開発整備方針を建設大臣に、当該特定都市開発地区の区域及び特定施設の種類を当該特定施設に係る整備計画の認定に係る主務大臣(建設大臣を除く。)に、それぞれ通知しなければならない。
4 前項の規定は、特定都市開発地区の区域又は開発整備方針の変更について準用する。
(特定港湾開発地区の指定及び開発整備方針)
第八条 港湾管理者は、基本指針に基づき、港湾区域(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第三項に規定する港湾区域をいう。以下同じ。)、臨港地区(同条第四項に規定する臨港地区をいう。以下同じ。)及び港湾区域内の公有水面の埋立てに係る埋立地(公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二十二条第二項の 竣功認可の告示があつた日から一定期間を経過したものその他の政令で定めるものを除く。次条第一項において「港湾区域内の埋立地」という。)のうち、特定施設の整備により、経済社会の発展に即応した港湾の開発又は利用を促進するため特にその開発整備を図ることが適当と認められる地区を特定港湾開発地区として指定し、当該特定港湾開発地区の開発整備の方針(以下この条において「開発整備方針」という。)を定めることができる。
2 開発整備方針においては、特定港湾開発地区の開発整備の目標、当該特定港湾開発地区において整備されることが適当と認められる特定施設の種類、当該特定施設と一体として整備されるべき港湾法第二条第五項の港湾施設の整備に関する事項その他当該特定港湾開発地区の開発整備に関し必要な事項を定めるものとする。
3 港湾管理者は、特定港湾開発地区を指定したときは、遅滞なく、当該特定港湾開発地区の区域及び開発整備方針を公表するとともに、当該特定港湾開発地区の区域及び開発整備方針を運輸大臣に、当該特定港湾開発地区の区域及び特定施設の種類を当該特定施設に係る整備計画の認定に係る主務大臣(運輸大臣を除く。)に、それぞれ通知しなければならない。
4 前項の規定は、特定港湾開発地区の区域又は開発整備方針の変更について準用する。
(協議)
第九条 都道府県知事は、港湾区域、臨港地区又は港湾区域内の埋立地について第七条第一項の規定により特定都市開発地区を指定し、開発整備の方針を定めようとする場合(これらを変更しようとする場合を含む。)において、当該開発整備の方針が第二条第一項第五号に掲げる特定施設に係るものであるときは、港湾管理者に協議するものとする。
2 港湾管理者は、前条第一項の規定により特定港湾開発地区を指定し、開発整備の方針を定めようとする場合(これらを変更しようとする場合を含む。)において、当該開発整備の方針が第二条第一項第五号に掲げる特定施設に係るものであるときは、都道府県知事に協議するものとする。
(課税の特例)
第十条 認定事業者が認定計画に従つて新たに取得し、又は建設した建物及びその附属設備のうちその設置をすることが緊急に必要な特定施設に含まれるものとして租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるものについては、同法で定めるところにより、特別償却をすることができる。
2 認定事業者が認定計画に従つて取得した特定旋設又は当該特定施設の敷地である土地については、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)で定めるところにより、不動産取得税、固定資産税、特別土地保有税又は事業所税について、必要な措置を講ずる。
(資金の確保等)
第十一条 国及び地方公共団体(港務局を含む。以下第十三条までにおいて同じ。)は認定計画に係る特定施設の整備の事業を実施するのに必要な資金の確保又はその融通のあつせんに努めるものとする。
(公共施設の整備)
第十二条 国及び地方公共団体は、特定都市開発地区又は特定港湾開発地区の開発整備の方針の達成に資するために必要な公共施設又は港湾法第二条第五項の港湾施設の整備の促進に配慮するものとする。
(指導及び助言)
第十三条 国及び地方公共団体は、認定事業者に対し、認定計画に従つて行われる特定施設の整備に関し技術的な指導及び助言を行うものとする。
第三章 産業基盤信用基金
第一節 総則
(目的)
第十四条 産業基盤信用基金は、民間事業者による特定産業基盤施設(第二条第一項第一号及び第五号に掲げる特定施設をいう。以下同じ。)の整備を促進するため、これに必要な資金の借入れに係る債務を保証して、その資金の融通を円滑にすることを目的とする。
(法人格)
第十五条 産業基盤信用基金(以下「基金」という。)は、法人とする。
(数)
第十六条 基金は、一を限り、設立されるものとする。
(資本金)
第十七条 基金の資本金は、その設立に際し、日本開発銀行及び日本開発銀行以外の者が出資する額の合計額とする。
2 基金は、必要があるときは、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
(持分の払戻し等の禁止)
第十八条 基金は、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。
2 基金は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(持分の譲渡等)
第十九条 日本開発銀行以外の出資者は、その持分を譲渡することができる。
2 日本開発銀行以外の出資者の持分の移転は、取得者について第五十四条第二項各号に掲げる事項を出資者原簿に記載した後でなければ、基金その他の第三者に対抗することができない。
(名称)
第二十条 基金は、その名称中に産業基盤信用基金という文字を用いなければならない。
2 基金でない者は、その名称中に産業基盤信用基金という文字を用いてはならない。
(登記)
第二十一条 基金は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第二十二条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、基金について準用する。
第二節 設立
(発起人)
第二十三条 基金を設立するには、産業又は金融に関し学識経験を有する者十五人以上が発起人となることを必要とする。
2 発起人は、定款及び事業計画書を作成し、日本開発銀行以外の者に対し基金に対する出資を募集しなければならない。
3 前項の事業計画書に記載すべき事項は、大蔵省令、通商産業省令で定める。
(設立の認可等)
第二十四条 発起人は、前条第二項の規定による募集が終わつたときは、定款及び事業計画書を大蔵大臣及び通商産業大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
第二十五条 大蔵大臣及び通商産業大臣は、設立の認可をしようとするときは、前条の規定による認可の申請が次の各号に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 設立の手続並びに定款及び事業計画書の内容が法令の規定に適合するものであること。
二 定款又は事業計画書に虚偽の記載がないこと。
三 事業の運営が健全に行われ、特定産業基盤施設の整備の促進に寄与することが確実であると認められること。
2 大蔵大臣及び通商産業大臣は、前項の規定により認可をしたときは、遅滞なく、発起人が推薦した者のうちから、基金の理事長又は監事となるべき者を指名する。
3 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、基金の設立の時において、それぞれ第三十一条第一項の規定により理事長又は監事に任命されたものとする。
(事務の引継ぎ)
第二十六条 前条第二項の規定により理事長となるべき者が指名されたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を理事長となるべき者に引き継がなければならない。
2 理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、日本開発銀行及び出資の募集に応じた日本開発銀行以外の者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。
(設立の登記)
第二十七条 理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあつたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 基金は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三節 管理
(定款記載事項)
第二十八条 基金の定款には、次の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資本金、出資及び資産に関する事項
五 役員に関する事項
六 評議会に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 財務及び会計に関する事項
九 定款の変更に関する事項
十 公告の方法
2 基金の定款の変更は、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(役員)
第二十九条 基金に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第三十条 理事長は、基金を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、定款で定めるところにより、理事長を補佐して基金の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 監事は、基金の業務を監査する。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は大蔵大臣及び通商産業大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第三十一条 理事長及び監事は、大蔵大臣及び通商産業大臣が任命する。
2 理事は、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(役員の任期)
第三十二条 役員の任期は、二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第三十三条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
(役員の解任)
第三十四条 大蔵大臣及び通商産業大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 大蔵大臣及び通商産業大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第三十五条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、大蔵大臣及び通商産業大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第三十六条 基金と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が基金を代表する。
(評議員会)
第三十七条 基金に、その運営に関する重要事項を審議する機関として、評議員会を置く。
2 評議員会は、評議員二十人以内で組織する。
3 評議員は、産業又は金融に関し学識経験を有する者のうちから、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(職員の任命)
第三十八条 基金の職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第三十九条 基金の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四節 業務
(業務)
第四十条 基金は、第十四条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 認定計画に係る特定産業基盤施設の整備の事業に必要な資金の借入れに係る債務を保証すること。
二 前号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 基金は、第十七条第一項の規定により出資された金額及び同条第二項の認可を受けた場合において出資された金額と基金が負担する保証債務の弁済に充てることを条件として日本開発銀行以外の者から出えんされた金額の合計額に相当する金額(毎事業年度の損益計算上利益又は損失を生じたときは、その利益又は損失の額により増加し、又は減少した金額)をもつて前項第一号の業務の資金に充てるものとする。
(業務の委託)
第四十一条 基金は、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けて、その業務(債務の保証の決定を除く。)の一部を日本開発銀行その他の金融機関に委託することができる。
2 日本開発銀行その他の金融機関は、他の法律の規定にかかわらず、前項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。
3 第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関の役員又は職員で、当該委託業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務方法書)
第四十二条 基金は、業務の開始前に、業務方法書を作成し、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書には、第四十条第一項第一号の業務の方法その他の大蔵省令、通商産業省令で定める事項を定めておかなければならない。
第五節 財務及び会計
(事業年度)
第四十三条 基金の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算等の認可)
第四十四条 基金は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第四十五条 基金は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に大蔵大臣及び通商産業大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
2 基金は、前項の規定により財務諸表を大蔵大臣及び通商産業大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
(書類の送付)
第四十六条 基金は、第四十四条又は前条第一項に規定する認可又は承認を受けたときは、当該認可又は承認に係る予算、事業計画及び資金計画に関する書類又は財務諸表を出資者に送付しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第四十七条 基金は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 基金は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第四十八条 基金は、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、大蔵大臣及び通商産業大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(余裕金の運用)
第四十九条 基金は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他大蔵大臣及び通商産業大臣の指定する有価証券の保有
二 資金運用部への預託
三 銀行その他大蔵大臣及び通商産業大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金
四 信託業務を行う銀行又は信託会社への金銭信託
(給与及び退職手当の支給の基準)
第五十条 基金は、役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、大蔵大臣及び通商産業大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(省令への委任)
第五十一条 この法律に規定するもののほか、基金の財務及び会計に関し必要な事項は、大蔵省令、通商産業省令で定める。
第六節 監督
(監督)
第五十二条 基金は、大蔵大臣及び通商産業大臣が監督する。
2 大蔵大臣及び通商産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第五十三条 大蔵大臣又は通商産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に基金の事務所に立ち入り、業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 大蔵大臣又は通商産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金から業務の委託を受けた者(以下「受託者」という。)に対し、その委託を受けた業務に関し、報告をさせ、又はその職員に受託者の事務所に立ち入り、その委託を受けた業務に関し業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第七節 補則
(出資者原簿)
第五十四条 基金は、出資者原簿を備えて置かなければならない。
2 出資者原簿には、各出資者について次の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 出資の引受け及び出資金の払込みの年月日又は出資者の持分の移転の年月日
三 出資額
3 出資者は、出資者原簿の閲覧を求めることができる。
(解散)
第五十五条 基金は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額に応じて分配しなければならない。
2 前項の規定により各出資者に分配することができる金額は、その出資額を限度とする。
3 第一項の規定による分配の結果なお残余財産があるときは、その財産は、国庫に帰属する。
4 前三項に規定するもののほか、基金の解散については、別に法律で定める。
(運輸大臣との協議)
第五十六条 大蔵大臣及び通商産業大臣は、次の場合には、第二条第一項第五号ロに掲げる特定施設の整備に係る事項に関し、運輸大臣に協議しなければならない。
一 第四十二条第一項の認可をしようとするとき。
二 第四十四条の認可をしようとするとき。
第四章 雑則
(報告の徴収)
第五十七条 主務大臣は、認定事業者に対し、認定計画に係る特定施設の整備の事業の実施状況に関し報告をさせることができる。
(大都市の特例)
第五十八条 第七条及び第九条の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、特定都市開発地区又は特定港湾開発地区の全部が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)の区域に含まれる場合においては、当該指定都市の長が行う。この場合においては、第七条及び第九条中都道府県知事に関する規定は、指定都市の長に関する規定として指定都市の長に適用があるものとする。
(主務大臣)
第五十九条 第二章及びこの章における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第二条第一項第一号及び第三号に掲げる特定施設については、通商産業大臣(基本指針に関する事項のうち特定都市開発地区の指定に関するものその他特定都市開発地区における当該特定施設の整備に関するもの及び当該特定施設が特定都市開発地区において整備される場合における整備計画の認定に関する事項については、通商産業大臣及び建設大臣)
二 第二条第一項第二号及び第四号に掲げる特定施設については、郵政大臣(基本指針に関する事項のうち特定都市開発地区の指定に関するものその他特定都市開発地区における当該特定施設の整備に関するもの及び当該特定施設が特定都市開発地区において整備される場合における整備計画の認定に関する事項については、郵政大臣及び建設大臣)
三 第二条第一項第五号イに掲げる特定施設については、通商産業大臣(基本指針に関する事項のうち特定都市開発地区の指定に関するものその他特定都市開発地区における当該特定施設の整備に関するもの及び当該特定施設が特定都市開発地区(特定港湾開発地区を除く。)において整備される場合における整備計画の認定に関する事項については通商産業大臣及び建設大臣、基本指針に関する事項のうち特定港湾開発地区の指定に関するものその他特定港湾開発地区における当該特定施設の整備に関するもの及び当該特定施設が特定港湾開発地区(特定都市開発地区を除く。)において整備される場合における整備計画の認定に関する事項については通商産業大臣及び運輸大臣、当該特定施設が特定都市開発地区であつて特定港湾開発地区である区域において整備される場合における整備計画の認定に関する事項については通商産業大臣、運輸大臣及び建設大臣)
四 第二条第一項第五号ロに掲げる特定施設については、通商産業大臣及び運輸大臣(基本指針に関する事項のうち特定都市開発地区の指定に関するものその他特定都市開発地区における当該特定施設の整備に関するもの及び当該特定施設が特定都市開発地区において整備される場合における整備計画の認定に関する事項については、通商産業大臣、運輸大臣及び建設大臣)
五 第二条第一項第六号に掲げる特定施設については、運輸大臣
第五章 罰則
第六十条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした基金又は受託者の役員又は職員は、十万円以下の罰金に処する。
一 第五十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
二 第五十三条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第六十一条 第五十七条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、十万円以下の罰金に処する。
第六十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、同条の刑を科する。
第六十三条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした基金の役員は、十万円以下の過料に処する。
一 第三章の規定により大蔵大臣及び通商産業大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第二十一条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第四十条第一項に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第四十九条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第五十二条第二項の規定による大蔵大臣及び通商産業大臣の命令に違反したとき。
第六十四条 第二十条第二項の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第九条(地方税法第七十二条の五第一項第四号の改正規定に限る。)及び附則第十条から第十三条までの規定並びに附則第十四条の規定(通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)第四条第二十八号の改正規定に限る。)は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(この法律の廃止)
第二条 この法律は、この法律の施行の日から十年以内に廃止するものとする。
(名称の使用制限等に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現にその名称中に産業基盤信用基金という文字を用いている者については、第二十条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第四条 基金の最初の事業年度は、第四十三条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
第五条 基金の最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、第四十四条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「基金の成立後遅滞なく」とする。
(基金に対する日本開発銀行の出資)
第六条 日本開発銀行は、日本開発銀行法(昭和二十六年法律第百八号)第十八条第一項の規定にかかわらず、大蔵大臣の認可を受けて、基金に出資することができる。
2 前項の規定により日本開発銀行が出資する場合においては、日本開発銀行法第十八条の二第二項中「出資」とあるのは「出資及び民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(以下「特定施設整備法」という。)附則第六条第一項のの規定により行う出資」と、同法第五十一条第二号中「場合」とあるのは「場合及び特定施設整備法附則第六条第一項の規定により大蔵大臣の認可を受けなければならない場合」と、同条第四号中「規定する業務」とあるのは「規定する業務並びに特定施設整備法附則第六条第一項の規定による出資」とする。
(特定基金からの権利義務の承継等)
第七条 特定産業信用基金(以下「特定基金」という。)は、評議員会の意見を聴いた上で、基金の発起人に対し、基金において特定基金の一切の権利及び義務を承継すべき旨を申し出ることができる。
2 特定基金は、前項の規定による申出をしようとするときは、日本開発銀行以外の各出資者に対し、当該申出をする日までの期間においてその持分の払戻しを請求することができる旨の通知をしなければならない。
3 基金の発起人は、第一項の規定による申出があつたときは、遅滞なく、大蔵大臣及び通商産業大臣に、基金において特定基金の一切の権利及び義務を承継することについて認可を申請しなければならない。
4 特定基金は、前項の認可があつたときは、特定産業構造改善臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号。以下「構造改善法」という。)第十七条第一項の規定にかかわらず、第二項に規定する請求をした者に対し、当該認可を受けた発起人の申請に係る第二十五条第一項の認可があつた後遅滞なく、その持分に係る出資額に相当する金額により払戻しをしなければならない。この場合において、特定基金は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。
5 第三項の認可があつたときは、特定基金の一切の権利及び義務は、基金の成立の時において基金に承継されるものとし、特定基金は、その時において解散するものとする。この場合においては、構造改善法中特定基金の解散に関する規定は、適用しない。
6 前項の規定により特定基金が解散する場合には、特定基金の解散の日の前日を含む事業年度は、その日に終わるものとする。
7 第五項の規定により特定基金が解散する場合には、特定基金の解散の日の前日を含む事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。この場合において、必要な経過措置その他の事項は、大蔵省令、通商産業省令で定める。
8 第五項の規定により基金が特定基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における日本開発銀行及び日本開発銀行以外の者の出資金に相当する金額は、それぞれ、基金の設立に際し、日本開発銀行及び日本開発銀行以外の者から基金に出資されたものとみなす。
9 第五項の規定により基金が特定基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における日本開発銀行以外の者の特定基金に対する出えん金に相当する金額は、基金の設立に際し、基金が負担する保証債務の弁済に充てることを条件として日本開発銀行以外の者から出えんされたものとみなす。
10 第三項の認可があつたときは、基金の理事長となるべき者は、第二十六条第二項の規定にかかわらず、日本開発銀行に対し出資金の払込みを求めることを要せず、出資金の払込みがなかつた場合においても遅滞なく、第二十七条第一項の政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
11 大蔵大臣及び通商産業大臣は、第三項の認可を受けた基金の発起人が第二十四条第一項の規定により認可を申請する場合のほかは、第二十五条第一項の認可はしないものとする。ただし、この法律の施行の日から五月を経過する日後においては、この限りでない。
12 第五項の規定により特定基金が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(基金の行う設備処理促進業務等)
第八条 基金は、前条第五項の規定により特定基金の権利及び義務を承継したときは、第四十条第一項各号に掲げる業務のほか、昭和六十三年六月三十日(同日までに構造改善法が廃止された場合には、構造改善法の廃止の日の前日)までの間、構造改善法第三十九条第二項に規定するところにより行われる同条第一項に規定する業務(以下「設備処理促進業務」という。)を行う。
2 基金は、前項に規定する日以前に締結した債務保証契約に係る設備処理促進業務については、同項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も引き続きこれを行うことができる。
3 前二項の規定により基金が設備処理促進業務を行う場合においては、第四十条第二項中「前項第一号の業務」とあるのは「前項第一号の業務及び特定産業構造改善臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号。以下第六十三条までにおいて「構造改善法」という。)第三十九条第二項に規定するところにより行われる同条第一項第一号の業務」と、第五十二条第二項並びに第五十三条第一項及び第二項中「この法律」とあるのは「この法律又は構造改善法」と、第六十三条第三号中「第四十条第一項に規定する業務」とあるのは「第四十条第一項に規定する業務及び構造改善法第三十九条第二項に規定するところにより行われる同条第一項に規定する業務」とする。
4 大蔵大臣及び通商産業大臣は、第四十二条第一項又は第四十四条の認可をしようとするときは、設備処理促進業務に係る事項に関し、構造改善法第五十八条第一項の主務大臣(大蔵大臣及び通商産業大臣を除く。)に協議しなければならない。
5 第一項の規定により基金が設備処理促進業務を行う場合においては、大蔵大臣及び通商産業大臣は、構造改善法第二十四条第一項の認可をしないものとする。
6 前条第五項の規定により特定基金が解散した時以後においてその名称中に特定産業信用基金という文字を用いた者については、構造改善法第十九条第二項の規定は、適用しない。
7 前条第五項の規定による特定基金の解散前に特定基金に対してした処分、手続その他の行為又は特定基金がした手続その他の行為は、この法律の相当の規定により基金に対してした処分、手続その他の行為又は基金がした手続その他の行為とみなす。
8 前条第五項の規定により基金が特定基金の権利及び義務を承継した際現に構造改善法第四十七条第三号に規定する預金により運用されている余裕金があるときは、基金は、当該余裕金を引き続き当該預金により運用することができる。
(地方税法の一部改正)
第九条 地方税法の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第四号中「特定産業信用基金」を「産業基盤信用基金」に改める。
附則に次の一条を加える。
(民間事業者の能力の活用により整備される特定施設に係る地方税の特例)
第三十八条 道府県は、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号。以下本条において「特定施設整備法」という。)第六条に規定する認定事業者(以下本条において「認定事業者」という。)のうち特定施設整備法第二条第一項第五号又は第六号に掲げる特定施設の整備を行う者で政令で定めるものが、港湾法第二条第五項第三号の係留施設(同法第三条の三第九項又は第十項の規定により公示された港湾計画において一般公衆の利用に供すると定められているもので、自治省令で定めるものに限る。)を整備するため、当該係留施設の用に供する土地であることにつき運輸大臣が証明したものを特定施設整備法の施行の日から昭和六十三年三月三十一日までの間に取得した場合には、第七十三条の二第一項の規定にかかわらず、当該土地の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
2 認定事業者が、特定施設整備法第六条に規定する認定計画に従つて整備される特定施設整備法第二条第一項に規定する特定施設のうち政令で定めるものの用に供する家屋(家屋の規模その他の政令で定める要件を満たすものに限る。)でその建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、これを当該認定事業者の事業の用に供した場合には、当該家屋の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の算定については、当該家屋の取得が特定施設整備法の施行の日から昭和六十三年三月三十一日までの間に行われたときに限り、当該家屋の価格の二分の一に相当する金額を当該家屋の価格から控除する。
3 道府県は、認定事業者が特定施設整備法の施行の日から昭和六十三年三月三十一日までの間に土地を取得した場合において、当該土地の上に前項の規定に該当する家屋を当該期間内に取得し、これを当該認定事業者の事業の用に供したときは、当該土地のうち当該家屋の敷地である部分の取得に対して課する不動産取得税については、当該税額から当該税額の二分の一に相当する額を減額するものとする。
4 第七十三条の二十五から第七十三条の二十七までの規定は、前項に規定する土地の取得に対して課する不動産取得税の税額の徴収猶予及びその取消し並びに当該不動産取得税に係る地方団体の徴収金の還付について準用する。この場合において、第七十三条の二十五第一項中「前条第一項第一号又は第二項第一号」とあるのは「附則第三十八条第三項」と、「同条第一項第一号の規定の適用を受ける土地の取得にあつては当該取得の日から二年以内、同条第二項第一号の規定の適用を受ける土地の取得にあつては当該取得の日から一年以内の期間を限つて」とあるのは「昭和六十三年三月三十一日まで」と、「これら」とあるのは「同項」と、第七十三条の二十六第一項中「第七十三条の二十四第一項第一号又は第二項第一号」とあるのは「附則第三十八条第三項」と、第七十三条の二十七第一項中「第七十三条の二十四第一項第一号又は第二項第一号」とあるのは「附則第三十八条第三項」と、「これら」とあるのは「同項」と読み替えるものとする。
5 認定事業者が、特定施設整備法の施行の日から昭和六十三年三月三十一日までの間に、特定施設整備法第六条に規定する認定計画に従つて整備される特定施設整備法第二条第一項に規定する特定施設のうち政令で定めるものの用に供する家屋(家屋の規模その他の政令で定める要件を満たすものに限る。)でその建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は建設してこれを当該認定事業者の事業の用に供した場合には、当該家屋及びその敷地である土地(当該認定事業者が当該期間内に取得した土地に限る。)に対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条の規定にかかわらず、当該家屋が当該認定事業者の事業の用に供された日の属する年の翌年の一月一日(当該認定事業者の事業の用に供された日が一月一日である場合には、同日)を賦課期日とする年度から五年度分の固定資産税に限り、当該家屋及び土地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の二分の一の額とする。
6 認定事業者のうち特定施設整備法第二条第一項第五号又は第六号に掲げる特定施設の整備を行う者で政令で定めるものが、港湾法第二条第五項第三号の係留施設(同法第三条の三第九項又は第十項の規定により公示された港湾計画において一般公衆の利用に供すると定められているもので、自治省令で定めるものに限る。)を整備するため、当該係留施設の用に供する土地であることにつき運輸大臣が証明したものを特定施設整備法の施行の日から昭和六十三年三月三十一日までの間に取得し、かつ、これを当該認定事業者の事業の用に供した場合には、当該土地に対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条の規定にかかわらず、当該土地が当該認定事業者の事業の用に供された日の属する年の翌年の一月一日(当該認定事業者の事業の用に供された日が一月一日である場合には、同日)を賦課期日とする年度から五年度分の固定資産税に限り、当該土地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の二分の一の額とする。
7 前二項の適用がある場合には、附則第十五条の二中「前条」とあるのは「前条又は附則第三十八条第五項若しくは第六項」と、「同条」とあるのは「これらの規定」とする。
8 市町村は、認定事業者が、特定施設整備法の施行の日から昭和六十三年三月三十一日までの間に、特定施設整備法第六条に規定する認定計画に従つて整備される特定施設整備法第二条第一項に規定する特定施設のうち政令で定めるものの用に供する家屋(家屋の規模その他の政令で定める要件を満たすものに限る。)で、その建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は建設してこれを当該認定事業者の事業の用に供した場合には、当該家屋の敷地である土地で、当該認定事業者が当該期間内に取得し、かつ、保有するものに対しては、特別土地保有税を課することができない。この場合においては、第五百八十六条第四項の規定を準用する。
9 前項の規定の適用がある場合には、第五百九十五条及び第五百九十九条第二項第一号中「又は第五百八十七条」とあるのは「、第五百八十七条又は附則第三十八条第八項」と、第六百一条第一項中「第五百八十六条第二項の規定」とあるのは「第五百八十六条第二項又は附則第三十八条第八項の規定」と、「同項第八号」とあるのは「第五百八十六条第二項第八号」とする。
10 指定都市等は、事業所用家屋で特定施設整備法第六条に規定する認定計画に従つて整備される特定施設整備法第二条第一項に規定する特定施設のうち政令で定めるもの(施設の規模その他の政令で定める要件を満たすものに限る。)に係るものの新築又は増築(第七百一条の三十一第一項第六号に規定する増築をいう。以下本項において同じ。)で当該特定施設に係る認定事業者が建築主であるものに係る新増設事業所床面積に対しては、当該新築又は増築が特定施設整備法の施行の日から昭和六十三年三月三十一日までの間に行われたときに限り、第七百一条の三十二第一項の規定にかかわらず、新増設に係る事業所税(同条第二項に規定する新増設に係る事業所税をいう。次項において同じ。)を課することができない。この場合においては、第七百一条の三十四第十項の規定を準用する。
11 前項の規定の適用がある場合における第四章第五節の規定の適用については、附則第三十二条の三第八項(新増設に係る事業所税に関する部分に限る。)の規定を準用する。この場合において、同項中「前各項」とあり、及び「附則第三十二条の三第三項から第七項まで」とあるのは、「附則第三十八条第十項」と読み替えるものとする。
12 第十項に規定する特定施設に係る事業所等(第七百一条の三十一第一項第五号に規定する事業所等をいう。以下本項において同じ。)のうち特定施設整備法の施行の日から昭和六十三年三月三十一日までの間に新設されたものにおいて当該特定施設に係る認定事業者が行う事業に対して課する事業に係る事業所税(第七百一条の三十二第一項に規定する事業に係る事業所税をいう。以下本項において同じ。)のうち資産割の課税標準となるべき事業所床面積の算定については、当該特定施設に係る事業所等が新設された日から五年を経過する日以後に最初に終了する事業年度分までに限り、当該特定施設に係る事業所等に係る事業所床面積(第七百一条の三十四(事業に係る事業所税に関する部分に限る。)の規定の適用を受けるものを除く。以下本項において同じ。)から当該特定施設に係る事業所床面積の二分の一に相当する面積を控除するものとする。この場合においては、第七百一条の四十一第八項の規定を準用する。
13 前各項に定めるもののほか、これらの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(所得税法の一部改正)
第十条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中財団法人(民法第三十四条(公益法人の設立)の規定により設立されたものに限る。)の項の次に次のように加え、特定産業信用基金の項を削る。
産業基盤信用基金 |
民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号) |
(法人税法の一部改正)
第十一条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号の表中財団法人(民法第三十四条(公益法人の設立)の規定により設立されたものに限る。)の項の次に次のように加え、特定産業信用基金の項を削る。
産業基盤信用基金 |
民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号) |
(印紙税法の一部改正)
第十二条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第三中特定産業構造改善臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号)第三十九条第一項第一号(業務)の業務に関する文書の項を次のように改める。
民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号)第四十条第一項第一号(業務)の業務及び同法附則第八条第一項(基金の行う設備処理促進業務)の業務(特定産業構造改善臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号)第三十九条第一項第一号の業務に限る。)に関する支書 |
産業基盤信用基金 |
(大蔵省設置法の一部改正)
第十三条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第九十六号中「特定産業信用基金」を「産業基盤信用基金」に改める。
(通商産業省設置法の一部改正)
第十四条 通商産業省設置法の一部を次のように改正する。
第四条第二十七号の次に次の一号を加える。
二十七の二 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号)の施行に関すること。
第四条第二十八号中「特定産業信用基金」を「産業基盤信用基金」に改める。
(運輸省設置法の一部改正)
第十五条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第三条の二第一項第七十八号の次に次の一号を加える。
七十八の二 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号)の施行に関すること。
第四条第一項第二十五号の四の次に次の一号を加える。
二十五の五 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の規定に基づき、基本指針を定め、及び整備計画を認定すること。
(郵政省設置法の一部改正)
第十六条 郵政省設置法(昭和二十三年法律第二百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条中第六十五号を第六十六号とし、第六十四号の次に次の一号を加える。
六十五 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号)の施行に関すること。
第五条第二十二号の十六の次に次の一号を加える。
二十二の十七 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の定めるところに従い、基本指針を定め、及び整備計画の認定をすること。
第六条第五項及び第六項中「及び第六十四号」を「、第六十四号及び第六十五号」に改め、同条第八項中「第六十五号」を「第六十六号」に改める。
(建設省設置法の一部改正)
第十七条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第十一号中「及び特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)」を「、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)及び民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号)」に改める。
(大蔵・通商産業・運輸・郵政・建設・自治・内閣総理大臣署名)