特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律

法律第五十三号(昭五八・五・二四)

 特定不況産業安定臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号)の一部を次のように改正する。

 題名を次のように改める。

   特定産業構造改善臨時措置法

 目次中「特定不況産業の設備の処理等」を「特定産業の構造改善」に、「特定不況産業信用基金」を「特定産業信用基金」に改める。

 第一条中「特定不況産業」を「特定産業」に、「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改め、「設備の処理」の下に「及び生産若しくは経営の規模又は生産の方式の適正化」を加え、「における不況の克服と経営の安定を図り」を「の構造改善を推進し」に改める。

 第二条の見出しを「(特定産業)」に改め、同条第一項中「特定不況産業」を「特定産業」に改め、同項第一号中「平炉又は」を削り、同項第三号及び第四号を次のように改める。

 三 化学繊維製造業

 四 化学肥料製造業

 第二条第一項第五号中「過剰」を「過剰となるとともにその業種に属する事業者の相当部分の生産若しくは経営の規模又は生産の方式が著しく不適当」に改め、「認められる業種」の下に「(その業種に属する事業者の製造する物品の生産費の相当部分を原材料及びエネルギーの費用が占めるものに限る。)」を加え、「第三十九条第二項において同じ。」を削り、「を行うことにより」を「及び生産若しくは経営の規模又は生産の方式の適正化を行うことにより構造改善を推進して」に改め、同号を同項第八号とし、同項第四号の次に次の三号を加える。

 五 合金鉄製造業

 六 洋紙製造業及び板紙製造業

 七 石油化学工業

 第二条第四項中「第一項第五号」を「第一項第八号」に改め、同条第五項中「第四号」を「第七号」に、「同項第五号」を「同項第八号」に改め、同条第六項中「第一項第五号」を「第一項第八号」に、「この法律の施行の日から起算して一年を経過する日後」を「昭和六十年一月一日以後」に改める。

 「第二章 特定不況産業の設備の処理等」を「第二章 特定産業の構造改善」に改める。

 第三条の見出しを「(構造改善基本計画)」に改め、同条第一項中「特定不況産業」を「特定産業」に、「不況の克服と経営の安定」を「構造改善」に、「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改め、同条第二項中「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改め、同項第三号中「第一号の設備の処理」を「第二号の設備の処理又は前号イの事業提携」に改め、同号を同項第五号とし、同項第二号を同項第三号とし、同号の次に次の一号を加える。

 四 生産若しくは経営の規模又は生産の方式の適正化に必要な次に掲げる事項

  イ 生産、販売、購入、保管若しくは運送の共同化、生産品種の専門化又は合併若しくは営業の全部若しくは重要部分の譲渡若しくは譲受けその他これに準ずる行為(以下「事業提携」と総称する。)の方式及び実施方法、事業提携に伴い必要となる設備投資その他の事業提携に関する事項(主務大臣があらかじめ広く当該特定産業に属する事業者の意見を聴いて事業提携の実施の大綱を作成する場合には、当該実施の大綱を含む。)

  ロ 原材料若しくはエネルギーの消費の節減若しくは転換その他原材料若しくはエネルギーの費用の低減に資する設備投資又は製品の性能若しくは品質の向上のための設備投資に関する事項

  ハ 新商品又は新技術の開発に関する事項

 第三条第二項第一号を同項第二号とし、同項に第一号として次の一号を加える。

 一 目標年度における構造改善の目標

 第三条第三項中「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に、「特定不況産業」を「特定産業」に改め、同条第四項中「第二項第一号」を「第二項第二号」に改め、同条第五項中「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に、「特定不況産業」を「特定産業」に改め、同条第六項中「特定不況産業」を「特定産業」に改め、同条第七項及び第八項中「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改める。

 第四条中「特定不況産業」を「特定産業」に、「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改め、「設備の処理」の下に「、生産若しくは経営の規模又は生産の方式の適正化」を加える。

 第五条第一項中「特定不況産業」を「特定産業」に、「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改める。

 第六条第一号中「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改める。

 第八条の次に次の二条を加える。

 (事業提携計画の承認)

第八条の二 特定産業に属する二以上の事業者であつて当該特定産業に関する構造改善基本計画に定めるところに従つて事業提携を実施しようとするもの(以下「提携事業者」という。)は、共同して、実施しようとする事業提携に関する計画(以下「事業提携計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、その事業提携計画が適当である旨の承認を受けることができる。

2 事業提携計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 事業提携により達成しようとする構造改善の目標

 二 事業提携を実施する事業者名

 三 事業提携の方式及び実施方法

 四 事業提携の実施時期

 五 事業提携に伴い必要となる設備投資に関する事項

 六 その他主務省令で定める事項

3 主務大臣は、第一項の承認の申請があつた場合において、その事業提携計画が次の各号に適合するものであると認めるときは、同項の承認をするものとする。

 一 構造改善基本計画に定める目標年度における構造改善の目標を達成するために特に必要なものであり、かつ、構造改善基本計画に定める事業提携に関する事項に照らし適切なものであること。

 二 当該事業提携計画に係る提携事業者と他の事業者との間の適正な競争が確保されること等により、当該特定産業における構造改善が促進されるものであること。

 三 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがあるものでないこと。

 四 当該事業提携計画に係る提携事業者の従業員の地位を不当に害するものでないこと。

 (事業提携計画の変更等)

第八条の三 前条第一項の承認を受けた者は、当該承認に係る事業提携計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。

2 主務大臣は、前条第一項の承認をした事業提携計画(前項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)が同条第三項各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、当該事業者に対して、当該事業提携計画の変更を指示し、又はその承認を取り消さなければならない。

3 前条第三項の規定は、第一項の承認に準用する。

 第九条中「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改め、「設備の処理」の下に「、生産若しくは経営の規模又は生産の方式の適正化」を加え、同条の次に次の一条を加える。

 (課税の特例)

第九条の二 特定産業に属する事業者が当該特定産業に関する構造改善基本計画に定めるところに従つた設備の処理(廃棄によるものに限る。以下この項において同じ。)を行つた場合において、当該設備の処理を行つた事業者について当該設備の処理により欠損金を生じたときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、法人税に係る欠損金の繰越しについて特別の措置を講ずる。

2 第八条の二第一項の承認(第八条の三第一項の規定による変更の承認を含む。以下この章において同じ。)を受けた事業者、当該承認に係る合併により設立した法人又は当該承認に係る出資に基づいて設立された法人については、租税特別措置法で定めるところにより、法人税又は登録免許税を軽減する。

3 前項に規定する事業者又は法人については、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)で定めるところにより、不動産取得税について必要な措置を講ずる。

4 特定産業に属する事業者(事業の転換により当該特定産業に属さなくなつたものを含む。)が当該特定産業に関する構造改善基本計画(第二項に規定する事業者又は法人にあつては、第八条の二第一項の承認に係る事業提携計画を含む。)に定めるところに従つて新たに取得し、又は製作し、若しくは建設した機械及び装置その他の減価償却資産については、租税特別措置法で定めるところにより、特別償却をすることができる。

 第十条第一項及び第二項中「特定不況産業」を「特定産業」に、「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改め、「設備の処理」の下に「、事業提携」を加える。

 第十二条に次の六項を加える。

4 主務大臣は、第八条の二第一項の承認の申請を受理した場合において、必要があると認めるときは、その申請書の写しを公正取引委員会に送付するものとする。

5 主務大臣は、前項の規定により申請書の写しを公正取引委員会に送付した場合において、当該申請に係る事業提携計画について第八条の二第一項の承認をしようとするときは、公正取引委員会に対し、その旨を通知し、並びに当該事業提携計画に係る特定産業に属する事業者の経営の状況その他の事業活動の状況、当該事業提携計画に定める事業提携に係る競争の状況及び当該事業提携の実施が当該競争に及ぼす影響に関する事項について意見を述べるものとする。

6 公正取引委員会は、前項の規定による通知に係る事業提携計画について、主務大臣に対し、必要な意見を述べるものとする。

7 公正取引委員会は、前項の規定により意見を述べた事業提携計画であつて主務大臣が第八条の二第一項の承認をしたものに定めるところに従つてする行為につき当該承認後私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定に違反する事実があると思料するときは、その旨を主務大臣に通知するものとする。

8 主務大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、公正取引委員会に対し、当該承認後の経済的事情の変化に即して第五項に規定する事項について意見を述べることができる。

9 主務大臣は、第七項の規定による通知を受けた場合において、当該通知に係る事業提携計画が第八条の三第二項に規定する場合に該当することとなるときは、当該事業提携計画につき、同項に規定する措置をとるものとする。

 「第三章 特定不況産業信用基金」を「第三章 特定産業信用基金」に改める。

 第十三条中「特定不況産業信用基金」を「特定産業信用基金」に、「特定不況産業」を「特定産業」に改める。

 第十四条及び第十九条中「特定不況産業信用基金」を「特定産業信用基金」に改める。

 第三十九条第一項第一号中「特定不況産業」を「特定産業」に改め、同条第二項中「特定不況産業」を「特定産業」に、「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に、「当該設備の処理が譲渡により行われる場合において、譲渡を受ける者が」を「当該設備の処理を行う事業者に対し」に改める。

 第四十七条第四号を同条第五号とし、同条第三号中「銀行」を「前号に掲げるもののほか、銀行」に改め、同号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。

 三 第三十九条第一項第一号の資金の貸付けを行う金融機関(大蔵大臣及び通商産業大臣の指定するものに限る。)で基金との契約に従つて大蔵大臣及び通商産業大臣の指定する条件で当該貸付けを行うものへの預金

 第五十五条中「特定不況産業」を「特定産業」に改める。

 第五十六条中「安定基本計画」を「構造改善基本計画」に改め、「設備の処理」の下に「、事業提携」を加える。

 第五十七条及び第五十八条第一項中「特定不況産業」を「特定産業」に改める。

 附則第二条中「昭和五十八年六月三十日」を「昭和六十三年六月三十日」に改める。

 附則第六条第二項中「特定不況産業安定臨時措置法」を「特定産業構造改善臨時措置法」に、「安定法」を「構造改善法」に改める。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。


 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際、改正後の特定産業構造改善臨時措置法(以下「新法」という。)第二条第一項に規定する特定産業で改正前の特定不況産業安定臨時措置法(以下「旧法」という。)第二条第一項に規定する特定不況産業であるもの(以下「継続特定産業」という。)に関する新法第三条第一項の規定の適用については、「前条第一項の規定による指定があつたときは、特定産業ごとに、速やかに」とあるのは、「特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律の施行の日から起算して九十日以内に、継続特定産業ごとに」とする。

2 前項の規定により読み替えて適用される新法第三条第一項の規定により同項に規定する構造改善基本計画が定められ、同条第七項の規定により告示されるまでは、この法律の施行の際旧法第三条第七項(同条第九項において準用する場合を含む。)の規定により告示されている当該継続特定産業に係る同条第一項に規定する安定基本計画で、この法律の施行の際同条第二項第一号又は第二号に掲げる事項につき効力を有しているものは、当該継続特定産業に関する新法第三条第一項に規定する構造改善基本計画とみなす。

3 この法律の施行前に旧法の規定によりされた処分、手続その他の行為でこの法律の施行の際実施されている共同行為に係るもの(継続特定産業に係るものに限る。)は、昭和五十八年六月三十日までは、新法の相当規定によつてしたものとみなす。

第三条 この法律の施行の際旧法第二条第一項に規定する特定不況産業であるもので継続特定産業以外のものについては、昭和五十八年六月三十日までは、なお従前の例による。

第四条 この法律の施行の際その名称中に特定産業信用基金という文字を用いている者については、新法第十九条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

第五条 この法律の施行前にした行為及び附則第三条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


 (地方税法の一部改正)

第六条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

 第七十二条の五第一項第四号中「特定不況産業信用基金」を「特定産業信用基金」に改める。

 附則第十一条の四に次の二項を加える。

11 道府県は、特定産業構造改善臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号)第二条第一項に規定する特定産業に属する事業のうち政令で定める事業を営む者が同法第八条の二第一項の承認(同法第八条の三第一項の規定による変更の承認を含む。以下同じ。)に係る事業提携計画(同法第八条の三第一項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの)に定めるところに従つて現物出資又は営業の譲渡(当該出資又は当該譲渡に係る同法第八条の二第一項の承認(以下単に「承認」という。)が特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律(昭和五十八年法律第五十三号)の施行の日から昭和六十年三月三十一日までの間にされたものに限る。)をした場合において、当該出資又は当該譲渡を受けた者が当該出資又は当該譲渡に係る不動産(政令で定めるものに限る。)を取得し、かつ、当該不動産の取得の日から引き続き三年以上当該不動産を政令で定めるところにより当該事業提携計画に係る事業の用に供したときは、当該不動産の取得に対して課する不動産取得税については、当該取得が承認の日から一年以内に行われたときに限り、当該税額から価格の六分の一に相当する額に税率を乗じて得た額を減額するものとする。

12 第七十三条の二十五から第七十三条の二十七までの規定は、前項に規定する不動産の取得に対して課する不動産取得税の税額の徴収猶予及びその取消し並びに当該不動産取得税に係る地方団体の徴収金の還付について準用する。この場合において、第七十三条の二十五第一項中「、土地の取得」とあるのは「、附則第十一条の四第十一項に規定する不動産(以下「不動産」という。)の取得」と、「当該土地」とあるのは「当該不動産」と、「前条第一項第一号又は第二項第一号」とあるのは「同項」と、「同条第一項第一号の規定の適用を受ける土地の取得にあつては当該取得の日から二年以内、同条第二項第一号の規定の適用を受ける土地の取得にあつては当該取得の日から一年以内」とあるのは「当該取得の日から三年以内」と、「これら」とあるのは「同項」と、同条第二項中「土地」とあるのは「不動産」と、第七十三条の二十六第一項中「第七十三条の二十四第一項第一号又は第二項第一号」とあるのは「附則第十一条の四第十一項」と、第七十三条の二十七第一項中「土地」とあるのは「不動産」と、「第七十三条の二十四第一項第一号又は第二項第一号」とあるのは「附則第十一条の四第十一項」と、「これら」とあるのは「同項」と読み替えるものとする。


 (関税暫定措置法の一部改正)

第七条 関税暫定措置法(昭和三十五年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。

  第六条の四中「特定不況産業安定臨時措置法」を「特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律(昭和五十八年法律第五十三号)による改正前の特定不況産業安定臨時措置法」に改める。


 (所得税法の一部改正)

第八条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の表中特定不況産業信用基金の項を削り、特定業種退職金共済組合の項の次に次のように加える。

特定産業信用基金

特定産業構造改善臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号)


 (法人税法の一部改正)

第九条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第二第一号の表中特定不況産業信用基金の項を削り、特定業種退職金共済組合の項の次に次のように加える。

特定産業信用基金

特定産業構造改善臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号)


 (印紙税法の一部改正)

第十条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第三中特定不況産業安定臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号)第三十九条第一項第一号(業務)の業務に関する文書の項を次のように改める。

特定産業構造改善臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号)第三十九条第一項第一号(業務)の業務に関する文書

特定産業信用基金


 (特定船舶製造業安定事業協会法の一部改正)

第十一条 特定船舶製造業安定事業協会法(昭和五十三年法律第百三号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「、特定不況産業安定臨時措置法(昭和五十三年法律第四十四号)と相まつて」を削る。

  第三十条第二項第一号を削り、同項第二号を同項第一号とし、同項第三号中「前二号」を「前号」に改め、同号を同項第二号とする。


 (大蔵省設置法の一部改正)

第十二条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第十二条第一項第九号中「特定不況産業信用基金」を「特定産業信用基金」に改める。


 (通商産業省設置法の一部改正)

第十三条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。

  第九条第三号の二中「特定不況産業信用基金」を「特定産業信用基金」に改める。

 (内閣総理・大蔵・厚生・農林水産・通商産業・運輸・自治大臣署名) 

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