薬事法の一部を改正する法律

法律第五十六号(昭五四・一〇・一)

 薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第十章 雑則(第七十八条―第八十三条)」を「第十章 雑則(第七十七条の二―第八十三条の二)」に改める。

 第一条中「その適正をはかる」を「もつてこれらの品質、有効性及び安全性を確保する」に改める。

 第五条第二項中「二年」を「三年」に改める。

 第九条第二項を削り、同条の次に次の一条を加える。

 (薬局開設者の遵守事項)

第九条の二 厚生大臣は、厚生省令で、薬局における医薬品の試験検査の実施方法、薬局の管理者の義務の遂行のための配慮事項その他薬局の業務に関し薬局開設者が遵守すべき事項を定めることができる。

 第十条中「十日」を「三十日」に改める。

 第十二条第三項中「二年」を「三年」に改める。

 第十三条第一項中「日本薬局方に収められていない」を「次条第一項に規定する」に、「次条第一項」を「同項」に改める。

 第十四条を次のように改める。

 (医薬品等の製造の承認)

第十四条 厚生大臣は、医薬品(日本薬局方に収められている医薬品であつて厚生大臣の指定するものを除く。)、医薬部外品、厚生大臣の指定する成分を含有する化粧品又は医療用具(厚生大臣の指定する医療用具を除く。)につき、これを製造しようとする者から申請があつたときは、品目ごとにその製造についての承認を与える。

2 前項の承認は、申請に係る医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の名称、成分、分量、用法、用量、効能、効果、性能、副作用等を審査して行うものとし、次の各号のいずれかに該当するときは、その承認は、与えない。

 一 申請に係る医薬品、医薬部外品又は医療用具が、その申請に係る効能、効果又は性能を有すると認められないとき。

 二 申請に係る医薬品、医薬部外品又は医療用具が、その効能、効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品、医薬部外品又は医療用具として使用価値がないと認められるとき。

 三 前二号に掲げる場合のほか、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具として不適当なものとして厚生省令で定める場合に該当するとき。

3 第一項の承認を受けようとする者は、厚生省令で定めるところにより、申請書に臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならない。

4 第一項の承認を受けた者は、当該品目について承認された事項の一部を変更しようとするときは、その変更についての承認を求めることができる。この場合においては、前二項の規定を準用する。

 第十四条の次に次の二条を加える

 (新医薬品等の再審査)

第十四条の二 次の各号に掲げる医薬品につき前条の規定による製造の承認を受けた者は、当該医薬品について、当該各号に定める期間内に申請して、厚生大臣の再審査を受けなければならない。

 一 既に製造又は輸入の承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なる医薬品として厚生大臣がその製造の承認の際指示したもの(以下「新医薬品」という。) その製造の承認のあつた日後六年(厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて指定する医薬品については、六年を超えない範囲内において厚生大臣の指定する期間。次号において同じ。)を経過した日から起算して三月以内

 二 新医薬品(その製造又は輸入の承認のあつた日後六年を経過しているものを除く。)と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められる医薬品として厚生大臣がその製造の承認の際指示したもの 前号に定める期間に合致するように厚生大臣が指示する期間

2 厚生大臣の再審査は、再審査を行う際に得られている知見に基づき、前項各号に掲げる医薬品が前条第二項各号のいずれにも該当しないことを確認することにより行う。

3 第一項の申請は、申請書にその医薬品の使用成績に関する資料その他厚生省令で定める資料を添付してしなければならない。

4 第一項各号に掲げる医薬品につき前条の規定による製造の承認を受けた者は、厚生省令で定めるところにより、当該医薬品の使用の成績等に関する調査を行い、その結果を厚生大臣に報告しなければならない。

 (医薬品の再評価)

第十四条の三 医薬品の製造の承認を受けている者は、厚生大臣が中央薬事審議会の意見を聴いて医薬品の範囲を指定して再評価を受けるべき旨を公示したときは、その指定に係る医薬品について、厚生大臣の再評価を受けなければならない。

2 厚生大臣の再評価は、再評価を行う際に得られている知見に基づき、前項の指定に係る医薬品が第十四条第二項各号のいずれにも該当しないことを確認することにより行う。

3 第一項の公示は、再評価を受けるべき者が提出すべき資料及びその提出期限を併せ行うものとする。

 第十六条を次のように改める。

 (準用)

第十六条 医薬品の製造業者については、第九条の二の規定を準用する。

 第十九条中「十日」を「三十日」に改める。

 第二十条第二項中「承認」の下に「、第十四条の二の規定による再審査又は第十四条の三の規定による再評価」を加え、「行なわなければ」を「行わなければ」に、「製造しようと」を「製造しようとし、又は製造」に、「行なう」を「行う」に改める。

 第二十一条中「承認」の下に「、再審査又は再評価」を加える。

 第二十二条第三項及び第二十四条第二項中「二年」を「三年」に改める。

 第二十六条第三項中「一般販売業」の下に「(以下「卸売一般販売業」という。)」を加える。

 第二十七条中「及び第九条」を「から第九条の二まで」に改める。

 第四十二条第二項中「聞いて」を「聴いて」に、「及び性能」を「、性能等」に改める。

 第五十条第十号を同条第十一号とし、同条第九号の次に次の一号を加える。

 十 厚生大臣の指定する医薬品にあつては、その使用の期限

 第五十九条第六号を次のように改める。

 六 厚生大臣の指定する成分を含有する医薬部外品にあつては、その成分の名称

 第五十九条第七号を同条第八号とし、同条第六号の次に次の一号を加える。

 七 厚生大臣の指定する医薬部外品にあつては、その使用の期限

 第六十条中「及び第五十三条」を削り、「「第五十九条各号」と」の下に「、第五十二条第三号中「第四十二条第一項」とあるのは「第四十二条第二項」と」を加え、「準用する第五十一条」」を「準用する第五十一条若しくは第五十二条」」に、「第五十一条、第五十三条若しくは第五十四条」を「第五十一条から第五十四条まで」に改める。

 第六十一条第三号中「厚生大臣の指定する化粧品にあつては、」を削り、同条第四号を次のように改める。

 四 厚生大臣の指定する成分を含有する化粧品にあつては、その成分の名称

 第六十一条第五号を同条第六号とし、同条第四号の次に次の一号を加える。

 五 厚生大臣の指定する化粧品にあつては、その使用の期限

 第六十二条中「及び第五十三条」を削り、「「第六十一条各号」と」の下に「、第五十二条第三号中「第四十二条第一項」とあるのは「第四十二条第二項」と」を加え、「準用する第五十一条」」を「準用する第五十一条若しくは第五十二条」」に、「第五十一条、第五十三条若しくは第五十四条」を「第五十一条から第五十四条まで」に改める。

 第六十三条第四号を同条第五号とし、同条第三号の次に次の一号を加える。

 四 厚生大臣の指定する医療用具にあつては、その使用の期限

 第六十四条中「第五十三条から」を「第五十二条から」に改め、「場合において」の下に「、第五十二条第三号中「第四十二条第一項」とあるのは「第四十二条第二項」と」を加え、「「第六十三条」」を「「第六十三条又は第六十四条において準用する第五十二条」」に、「第五十三条若しくは第五十四条」を「第五十二条から第五十四条まで」に改める。

 第六十八条中「日本薬局方に収められていない医薬品又は第十四条第一項に規定する医療用具」を「第十四条第一項に規定する医薬品又は医療用具」に改める。

 第六十九条第一項中「必要な報告を命じ」を「厚生省令で定めるところにより必要な報告をさせ」に、「次条第一項」を「第七十条第一項」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 (緊急命令)

第六十九条の二 厚生大臣は、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは医療用具の製造業者、輸入販売業者若しくは販売業者又は薬局開設者に対して、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の販売又は授与を一時停止することその他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための応急の措置を採るべきことを命ずることができる。

 第七十条第一項中「又は不良な原料」を「、第七十四条の二第一項の規定により製造又は輸入の承認を取り消された医薬品、医薬部外品、化粧品若しくは医療用具又は不良な原料」に改め、「廃棄」の下に「、回収」を加え、同条第二項中「廃棄させ」の下に「、若しくは回収させ」を加える。

 第七十二条中「、第六十二条及び第六十四条」を「及び第六十二条」に、「行なう」を「行う」に改める。

 第七十四条の次に次の一条を加える。

 (承認の取消し等)

第七十四条の二 厚生大臣は、製造又は輸入の承認を与えた医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具が第十四条第二項各号のいずれかに該当するに至つたと認めるときは、その承認を取り消さなければならない。

2 厚生大臣は、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造又は輸入の承認を与えた事項の一部について、保健衛生上の必要があると認めるに至つたときは、その変更を命ずることができる。

3 厚生大臣は、前二項に定める場合のほか、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造又は輸入の承認を受けた者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その承認を取り消し、又はその承認を与えた事項の一部についてその変更を命ずることができる。

 一 第十四条の二第一項又は第十四条の三第一項の規定により再審査又は再評価を受けなければならない場合において、定められた期限までに必要な資料の全部若しくは一部を提出せず、又は虚偽の記載をした資料を提出したとき。

 二 製造又は輸入の承認を受けた医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具を、正当な理由がなく引き続く三年間製造し、又は輸入していないとき。

4 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造業者又は輸入販売業者が第一項又は前項の規定により製造又は輸入の承認を取り消されたときは、当該品目に係る製造又は輸入の許可は、取り消されたものとみなす。

 第七十六条中「第七十三条」の下に「、第七十四条の二第三項」を加える。

 第十章中第七十八条の前に次の一条を加える。

 (情報の提供等)

第七十七条の二 医薬品若しくは医療用具の製造業者若しくは輸入販売業者又は卸売一般販売業の許可を受けた者は、薬局開設者、病院、診療所若しくは家畜診療施設の開設者、医薬品若しくは医療用具の販売業者又は医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者に対し、医薬品又は医療用具の有効性及び安全性に関する事項その他医薬品又は医療用具の適正な使用のために必要な情報を提供するよう努めなければならない。

2 薬局開設者、病院、診療所若しくは家畜診療施設の開設者、医薬品若しくは医療用具の販売業者又は医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者は、医薬品若しくは医療用具の製造業者若しくは輸入販売業者又は卸売一般販売業の許可を受けた者が行う医薬品又は医療用具の適正な使用のために必要な情報の収集に協力するよう努めなければならない。

 第七十八条を次のように改める。

 (手数料)

第七十八条 次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号の申請に対する審査に要する実費の額を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

 一 第十二条第一項又は第二十二条第一項の許可を申請する者

 二 第十二条第三項又は第二十二条第三項の許可の更新を申請する者

 三 第十四条(第二十三条において準用する場合を含む。)の規定による承認を申請する者

 四 第十四条の二(第二十三条において準用する場合を含む。)の規定による再審査を申請する者

 第八十条の次に次の一条を加える。

 (治験の取扱い)

第八十条の二 第十四条第三項(同条第四項及び第二十三条において準用する場合を含む。)の規定により提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施(以下「治験」という。)の依頼をしようとする者は、治験を依頼するに当たつては、厚生省令で定める基準に従つてこれを行わなければならない。

2 治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、厚生省令で定めるところにより、厚生大臣に治験の計画を届け出なければならない。ただし、厚生省令で定める場合は、この限りでない。

3 厚生大臣は、治験の対象とされる薬物又は器具器械(以下「治験薬等」という。)の使用による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、治験の依頼をしようとし、又は依頼をした者に対し、治験の依頼の取消し又はその変更その他必要な指示を行うことができる。

 第八十二条中「所要の経過措置」の下に「(罰則に関する経過措置を含む。)」を加える。

 第八十三条中「医療用具」の下に「(治験薬等を含む。)」を加え、「もつぱら」を「専ら」に改め、「この法律」の下に「(次条第三項を除く。)」を加える。

 第十章中第八十三条の次に次の一条を加える。

 (動物用医薬品の使用の規制)

第八十三条の二 農林水産大臣は、専ら動物のために使用されることが目的とされている医薬品であつて、適正に使用されるのでなければ牛、豚その他の農林水産省令で定める動物(以下「対象動物」という。)の肉、乳その他の食用に供される生産物で人の健康を損なうおそれのあるものが生産されるおそれのあるものについて、中央薬事審議会の意見を聴いて、農林水産省令で、その医薬品を使用することができる対象動物、対象動物に使用する場合における使用の時期その他の事項に関し使用者が遵守すべき基準を定めることができる。

2 前項の規定により遵守すべき基準が定められた医薬品の使用者は、当該基準に定めるところにより、当該医薬品を使用しなければならない。ただし、獣医師がその診療に係る対象動物の疾病の治療又は予防のためやむを得ないと判断した場合において、農林水産省令で定めるところにより使用するときは、この限りでない。

3 厚生大臣は、公衆衛生の見地から必要があると認めるときは、農林水産大臣に対し、前二項の農林水産省令の制定又は改廃に関し意見を述べることができる。

 第八十四条中「二十万円」を「五十万円」に改める。

 第八十五条中「十万円」を「三十万円」に改める。

 第八十六条第一項中「五万円」を「二十万円」に改め、同項に次の一号を加える。

 十三 第八十三条の二第二項の規定に違反した者

 第八十六条第二項中「五万円」を「二十万円」に改める。

 第八十七条中「三万円」を「十万円」に改め、同条第五号中「により報告を命ぜられて、報告」を「による報告を」に改め、同条第七号を同条第八号とし、同条第六号を同条第七号とし、同条第五号の次に次の一号を加える。

 六 第六十九条の二の規定による命令に違反した者

 第八十七条に次の一号を加える。

 九 第八十条の二第一項又は第二項の規定に違反した者

 第八十八条中「一万円」を「五万円」に改める。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に第十二条第一項又は第二十二条第一項の許可を受けて日本薬局方に収められている医薬品(改正後の第十四条第一項の厚生大臣の指定する医薬品を除く。)を製造し、又は輸入している者は、この法律の施行の日から一年以内に、同項(第二十三条において準用する場合を含む。)の規定による承認を申請しなければならない。

2 前項の規定により承認の申請を行つた者の申請に係る第十二条第一項又は第二十二条第一項の許可の更新については、当該承認の申請について承認を与え、又は与えない旨の処分が行われるまでの間は、改正後の第十三条第一項(第二十三条において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。

3 第一項に規定する医薬品で同項の規定により行われた承認の申請に係るものについては、当該承認の申請について承認を与え、又は与えない旨の処分が行われるまでの間は、改正後の第六十八条の規定は、適用しない。

4 この法律の施行の日から一年以内に第一項の規定により承認の申請が行われないとき、又はその期間内に同項の規定により承認の申請が行われた場合において当該申請に対し承認を与えない旨の処分が行われたときは、当該品目に係る製造又は輸入の許可は、取り消されたものとみなす。

第三条 この法律の施行の際現に存する医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具で、その容器、被包等にこの法律による改正前の薬事法(以下「旧法」という。)の規定に適合する表示がされているものについては、この法律の施行の日から起算して二年間は、引き続き旧法の規定に適合する表示がされている限り、この法律による改正後の薬事法(以下「新法」という。)の規定に適合する表示がされているものとみなす。

第四条 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具に使用される容器若しくは被包又はこれらに添付される文書であって、この法律の施行の際現に旧法の規定に適合する表示がされているものが、この法律の施行の日から起算して一年以内に医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の容器若しくは被包又はこれらに添付される文書として使用されたときは、この法律の施行の日から起算して二年間は、引き続き旧法の規定に適合する表示がされている限り、新法の規定に適合する表示がされているものとみなす。

第五条 旧法の規定によつてした処分又は手続は、新法の相当規定によつてしたものとみなす。


 (従前の行為に対する罰則の適用)

第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


 (厚生省設置法の一部改正)

第七条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。

  第五条第四十六号中「日本薬局方に収められていない」を削る。

(厚生・農林水産・内閣総理大臣署名) 

法令一覧(年度別)に戻る