海洋汚染防止法

法律第百三十六号(昭四五・一二・二五)

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 船舶からの油の排出の規制(第四条―第九条)

 第三章 船舶からの廃棄物の排出の規制(第十条―第十七条)

 第四章 海洋施設からの油及び廃棄物の排出の規制(第十八条・第十九条)

 第五章 廃油処理事業等(第二十条―第三十七条)

 第六章 海洋の汚染の防除のための措置(第三十八条―第四十二条)

 第七章 雑則(第四十三条―第五十四条)

 第八章 罰則(第五十五条―第六十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、船舶及び海洋施設から海洋に油及び廃棄物を排出することを規制し、廃油の適正な処理を確保するとともに、海洋の汚染の防除のための措置を講ずることにより、海洋の汚染を防止し、もつて海洋環境の保全に資することを目的とする。

 (海洋の汚染の防止)

第二条 何人も、油又は廃棄物の排出その他の行為により海洋を汚染しないように努めなければならない。

 (定義)

第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 油 原油、運輸省令で定める重油及び潤滑油並びにこれらの油を含む油性混合物(以下単に「油性混合物」という。)をいう。

 二 廃棄物 人が不要とした物(油を除く。)をいう。

 三 排出 物を海洋に流し、又は落とすことをいう。

 四 船舶 海域(港則法(昭和二十三年法律第百七十四号)に基づく港の区域を含む。以下同じ。)において航行の用に供する船舟類をいう。

 五 タンカー その貨物艙の大部分がばら積みの液体貨物の輸送のための構造を有する船舶(もつぱらばら積みの油以外の貨物の輸送の用に供されるものを除く。)をいう。

 六 海洋施設 海域に設けられる工作物(固定施設により当該工作物と陸地との間を人が往来できるもの及びもつぱら陸地から油又は廃棄物を排出するため陸地に接続して設けられるものを除く。)で政令で定めるものをいう。

 七 ビルジ 船底にたまつた油性混合物をいう。

 八 廃油 船舶内において生じた不要な油をいう。

 九 廃油処理施設 廃油の処理(廃油が生じた船舶内でする処理を除く。以下同じ。)の用に供する設備(以下「廃油処理設備」という。)の総体をいう。

 十 廃油処理事業 一般の需要に応じ、廃油処理施設により廃油の処理をする事業をいう。

   第二章 船舶からの油の排出の規制


 (船舶からの油の排出の禁止)

第四条 何人も、海域において、船舶から油を排出してはならない。ただし、次の各号の一に該当する油の排出については、この限りでない。

 一 船舶の安全を確保し、船舶若しくは積荷の損傷を防止し、又は人命を救助するための油の排出

 二 船舶の損傷その他やむを得ない原因により油が排出された場合において引き続く油の排出を防止するための可能な一切の措置をとつたときの当該油の排出

2 前項本文の規定は、船舶からの次の各号に適合する油の排出(タンカーにあつては、ビルジの排出に限る。)については、適用しない。

 一 当該船舶の航行中に行なわれること。

 二 油分(排出される油に含まれる原油、前条第一号の運輸省令で定める重油又は潤滑油をいう。以下同じ。)の瞬間排出率(ある時点におけるリットル毎時による油分の排出速度を当該時点におけるノットによる船舶の速力で除したものをいう。以下同じ。)が一海里当たり六十リットル以下であること。

 三 油分が排出される油一万立方センチメートル当たり一立方センチメートル未満であること。

3 第一項本文の規定は、タンカー以外の船舶で総トン数三百トン未満のものからのビルジの排出については、適用しない。

4 第二項各号に適合する油の排出及び前項のビルジの排出は、海岸からできる限り離れて行なうよう努めなければならない。

5 第一項本文の規定は、タンカーの貨物艙からの次の各号に適合する水バラスト(貨物艙の洗浄水を含む。以下この項において同じ。)の排出及びタンカーの洗浄された貨物艙でその洗浄度が運輸省令で定める基準に適合するものからの水バラストの排出については、適用しない。

 一 当該船舶の航行中に行なわれること。

 二 油分の瞬間排出率が一海里当たり六十リットル以下であること。

 三 当該船舶の航海中(当該船舶の貨物艙への水バラストの積込みの開始時から当該水バラストの排出の完了時までの間をいう。)において排出される油分が当該船舶の総貨物艙積載容積の一万五千分の一以下であること。

 四 すべての国の領海の基線(領海及び接続水域に関する条約に規定する領海の幅を測定するための基線をいう。)から五十海里をこえる海域において行なわれること。

6 第一項本文の規定は、捕鯨業に従事する船舶で現に捕鯨作業に使用されているものからの油の排出については、適用しない。


 (ビルジ排出防止装置)

第五条 船舶所有者(当該船舶が共有されているときは船舶管理人、当該船舶が貸し渡されているときは船舶借入人。以下同じ。)は、運輸省令で定めるところにより、船舶内に存する油の船底への流入の防止又はビルジの船舶内における貯蔵若しくは処理のための装置(以下「ビルジ排出防止装置」という。)を船舶(ビルジが生ずることのない船舶を除く。)に設置しなければならない。


 (油濁防止管理者)

第六条 船舶所有者は、運輸省令で定める船舶ごとに、当該船舶に乗り組む船舶職員のうちから、船長(船長以外の者が船長に代わつてその職務を行なうべきときは、その者。以下同じ。)を補佐して船舶からの油の不適正な排出の防止に関する業務の管理を行なわせるため、油濁防止管理者を選任しなければならない。

2 油濁防止管理者は、運輸省令で定める油の取扱いに関する作業の経験その他の要件を備えた者でなければならない。


 (油濁防止規程)

第七条 船舶所有者は、前条第一項の運輸省令で定める船舶ごとに、運輸省令で定めるところにより、油濁防止管理者の業務に関する事項及び油の排出に関する作業の要領その他油の不適正な排出の防止に関する事項について、油濁防止規程を定めなければならない。


 (油記録簿)

第八条 船長(もつぱら他の船舶に引かれ、又は押されて航行する船舶(以下「引かれ船等」という。)にあつては、船舶所有者。次項及び第三項において同じ。)は、油記録簿を船舶内(引かれ船等にあつては、当該船舶を管理する船舶所有者の事務所。第三項において同じ。)に備え付けなければならない。ただし、タンカー以外の船舶でビルジが生ずることのないものについては、この限りでない。

2 油濁防止管理者(油濁防止管理者が選任されていない船舶にあつては、船長)は、当該船舶における油の排出その他油の取扱いに関する作業で運輸省令で定めるものが行なわれたときは、そのつど、運輸省令で定めるところにより、油記録簿への記載を行なわなければならない。

3 船長は、油記録簿をその最後の記載をした日から二年間船舶内に保存しなければならない。

4 前三項に定めるもののほか、油記録簿の様式その他油記録簿に関し必要な事項は、運輸省令で定める。


 (適用除外)

第九条 第五条から前条までの規定は、タンカー以外の船舶で総トン数三百トン未満のものについては、適用しない。

2 第六条及び第七条の規定は、日本船舶(船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第一条に規定する日本船舶をいう。)以外の船舶については、適用しない。

   第三章 船舶からの廃棄物の排出の規制


 (船舶からの廃棄物の排出の禁止)

第十条 何人も、海域において、船舶から廃棄物を排出してはならない。ただし、次の各号の一に該当する廃棄物の排出については、この限りでない。

 一 船舶の安全を確保し、船舶若しくは積荷の損傷を防止し、又は人命を救助するための廃棄物の排出

 二 船舶の損傷その他やむを得ない原因により廃棄物が排出された場合において引き続く廃棄物の排出を防止するための可能な一切の措置をとつたときの当該廃棄物の排出

2 前項本文の規定は、船舶からの次の各号の一に該当する廃棄物の排出については、適用しない。

 一 当該船舶内にある船員その他の者の日常生活に伴い生ずるごみ、ふん尿若しくは汚水又はこれらに類する廃棄物の排出(とう載人員の規模が政令で定める人員以上である船舶からの港則法に基づく港の区域その他政令で定める海域における政令で定める廃棄物の排出にあつては、政令で定める排出方法に関する基準に従つてする排出に限る。)

 二 公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条の免許若しくは同法第四十二条第一項の承認を受けて埋立てをする場所又は廃棄物の処理場所として設けられる場合に政令で定める排出方法に関する基準に従つてする排出

 三 廃棄物処理法(昭和   年法律第   号)第五条第三項又は第十一条第二項の政令において海洋を投入処分の場所とすることができるものと定めた廃棄物その他政令で定める海洋において処分することがやむを得ない廃棄物の政令で定める排出海域及び排出方法に関する基準に従つてする排出


 (廃棄物排出船の登録)

第十一条 船舶所有者は、船舶を廃棄物の排出(前条第二項第一号の廃棄物の排出を除く。)に常用しようとするときは、当該船舶について海上保安庁長官の登録を受けなければならない。

第十二条 前条の登録を申請しようとする船舶所有者は、次の事項を記載した申請書を海上保安庁長官に提出しなければならない。

 一 当該船舶所有者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名及び住所

 二 当該船舶の船舶番号、船名、船質、総トン数及び航行区域

 三 廃棄物の主な積込地

 四 廃棄物の種類

 五 当該船舶の廃棄物の積込み及び排出のための設備その他の運輸省令で定める船舶の設備及び構造の概要

 六 その他運輸省令で定める事項

2 前条の登録を申請しようとする船舶所有者(国を除く。)は、運輸省令で定めるところにより、手数料を納付しなければならない。

3 海上保安庁長官は、第一項の申請書を受理したときは、当該船舶の設備及び構造が廃棄物の適正な排出を確保するための運輸省令で定める技術上の基準に適合しないときを除き、登録をしなければならない。

第十三条 海上保安庁長官は、第十一条の登録をしたときは、登録番号を指定して申請者に通知するとともに、登録済証を交付しなければならない。

2 登録を受けた船舶の船舶所有者は、当該船舶内に登録済証を備え置き、かつ、指定された登録番号を運輸省令で定める方法により船体の外側に見やすいように表示しなければならない。

第十四条 第十一条の登録を受けた船舶について第十二条第一項各号に掲げる事項に変更があつたとき、又は第十一条の登録を受けた船舶を廃棄物の排出(第十条第二項第一号の廃棄物の排出を除く。)に常用しなくなつたときは、当該船舶の船舶所有者は、遅滞なく、その旨を海上保安庁長官に届け出なければならない。


 (登録の取消し)

第十五条 海上保安庁長官は、第十一条の登録を受けた船舶が第十二条第三項の運輸省令で定める技術上の基準に適合しなくなつたと認めるときは、当該船舶の登録を取り消すことができる。


 (廃棄物処理記録簿)

第十六条 第十一条の登録を受けた船舶の船長(引かれ船等にあつては、船舶所有者。次項及び第三項において同じ。)は、廃棄物処理記録簿を船舶内(引かれ船等にあつては、当該船舶を管理する船舶所有者の事務所。第三項において同じ。)に備え付けなければならない。

2 船長は、当該船舶における廃棄物の排出その他廃棄物の取扱いに関する作業で運輸省令で定めるものが行なわれたときは、そのつど、運輸省令で定めるところにより、廃棄物処理記録簿への記載を行なわなければならない。

3 船長は、廃棄物処理記録簿をその最後の記載をした日から二年間船舶内に保存しなければならない。

4 前三項に定めるもののほか、廃棄物処理記録簿の様式その他廃棄物処理記録簿に関し必要な事項は、運輸省令で定める。


 (臨時の排出の届出)

第十七条 第十一条の登録を受けた船舶以外の船舶の船舶所有者は、当該船舶を第十条第二項第三号に定める廃棄物で運輸省令で定める量以上の量のものの排出(同項第二号に適合する排出を除く。)のために使用するときは、そのつど、あらかじめ、運輸省令で定めるところにより、海上保安庁長官に届け出なければならない。

   第四章 海洋施設からの油及び廃棄物の排出の規則


 (海洋施設からの油及び廃棄物の排出の禁止)

第十八条 何人も、海洋施設から油又は廃棄物を排出してはならない。ただし、次の各号の一に該当する油又は廃棄物の排出については、この限りでない。

 一 海洋施設の安全を確保し、若しくは損傷を防止し、又は人命を救助するための油又は廃棄物の排出

 二 海洋施設の損傷その他やむを得ない原因により油又は廃棄物が排出された場合において引き続く油又は廃棄物の排出を防止するための可能な一切の措置をとつたときの当該油又は廃棄物の排出

2 前項本文の規定は、次の各号の一に該当する油又は廃棄物の排出については、適用しない。

 一 当該海洋施設内にある者の日常生活に伴い生ずるごみ、ふん尿若しくは汚水又はこれらに類する廃棄物の排出(政令で定める多数の人を収容することができる海洋施設からの政令で定める廃棄物の排出にあつては、政令で定める排出方法に関する基準に従つてする排出に限る。)

 二 油又は第十条第二項第三号に定める廃棄物の政令で定める排出方法に関する基準に従つてする排出


 (海洋建設の設置の届出)

第十九条 海洋施設を設置しようとする者は、運輸省令で定めるところにより、次の事項を海上保安庁長官に届け出なければならない。

 一 当該海洋施設を設置する者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名及び住所

 二 当該海洋施設の位置及び概要

 三 その他運輸省令で定める事項

2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項について変更があつたときは、遅滞なく、運輸省令で定めるところにより、海上保安庁長官に届け出なければならない。

   第五章 廃油処理事業等


 (事業の許可及び届出)

第二十条 港湾管理者以外の者は、廃油処理事業を行なおうとするときは、廃油処理施設ごとに、運輸大臣の許可を受けなければならない。

2 港湾管理者は、廃油処理事業を行なおうとするときは、その廃油処理施設の設置の工事の開始の日(工事を要しないときは、その事業の開始の日)の六十日前までに、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

第二十一条 前条第一項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。

 一 当該廃油処理事業を行なう者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名及び住所

 二 当該廃油処理施設に関する次の事項

  イ 設置の場所(船舶である廃油処理設備については、主たる根拠地)

  ロ 船舶又は自動車により廃油の収集を行なう場合にあつては、その収集の対象となる廃油を排棄する船舶の存する海域

  ハ 廃油処理設備の種類及び能力

  ニ 処理する廃油の種類

2 前条第二項の規定による届出をする港湾管理者は、前項第二号の事項を記載した届出書を運輸大臣に提出しなければならない。

3 第一項の申請書又は前項の届出書には、事業計画書、廃油処理施設の工事設計書その他の運輸省令で定める書類を添附しなければならない。


 (許可の欠格条項)

第二十二条 次の各号の一に該当する者は、第二十条第一項の許可を受けることができない。

 一 この法律の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から一年を経過しない者

 二 第三十三条第一項の規定により第二十条第一項の許可を取り消され、その取消しの日から一年を経過しない者

 三 法人で、その業務を行なう役員のうちに前二号の一に該当する者があるもの


 (許可の基準)

第二十三条 運輸大臣は、第二十条第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

 一 当該事業の開始が当該廃油処理施設の設置される場所の周辺海域(船舶又は自動車により廃油の収集を行なう場合にあつては、その収集の対象となる廃油を排棄する船舶の存する海域)に係る一般の需要に適合するものであること。

 二 当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。

 三 当該事業の用に供する廃油処理施設が運輸省令で定める技術上の基準に適合するものであること。

 四 申請者が当該事業を適確に遂行するに足りる能力を有するものであること。


 (事業開始前の廃油処理施設の変更命令)

第二十四条 運輸大臣は、第二十条第二項の規定による届出があつた場合において、当該事業の用に供する廃油処理施設が前条第三号の運輸省令で定める技術上の基準に適合するものでないと認めるときは、その届出に係る工事の開始前(工事を要しないときは、その事業の開始前)に限り、その届出をした港湾管理者に対し、廃油処理施設の工事設計の変更(工事を要しないときは、修理又は改造)をすべきことを命ずることができる。


 (事業開始の届出)

第二十五条 第二十条第一項の許可を受け、又は同条第二項の規定による届出をした者(以下「廃油処理事業者」という。)は、事業を開始したときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。


 (廃油処理規程)

第二十六条 港湾管理者以外の廃油処理事業者は、廃油の処理の料金その他の廃油の処理の引受けの条件について廃油処理規程を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 港湾管理者である廃油処理事業者は、廃油の処理の料金その他の廃油の処理の引受けの条件について廃油処理規程を定め、あらかじめ運輸大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

3 前二項の廃油処理規程は、次の各号に適合するものでなければならない。

 一 料金が能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。

 二 料金が定率又は定額をもつて明確に定められていること。

 三 料金の収受及び廃油処理事業者の責任に関する事項が適正かつ明確に定められていること。

 四 特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。


 (廃油の処理の引受義務)

第二十七条 廃油処理事業者は、正当な理由がなければ、廃油の処理の引受けを拒絶してはならない。


 (廃油処理施設等の変更)

第二十八条 港湾管理者以外の廃油処理事業者は、第二十一条第一項第二号の事頂を変更しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。ただし、運輸省令で定める軽微な変更については、この限りでない。

2 第二十三条の規定は、前項の許可に準用する。

3 港湾管理者である廃油処理事業者は、第二十一条第一項第二号の事項を変更しようとするときは、その変更に係る廃油処理施設の変更の工事の開始の日(工事を要しないときは、その変更日)の三十日前までに、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。ただし、第一項ただし書の運輸省令で定める軽微な変更については、この限りでない。

4 第二十四条の規定は、前項の規定による届出があつた場合に準用する。この場合において、同条中「その事業の開始前」とあるのは、「その変更前」と読み替えるものとする。

5 廃油処理事業者は、第一項ただし書の運輸省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。


 (氏名等の変更)

第二十九条 港湾管理者以外の廃油処理事業者は、第二十一条第一項第一号の事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。


 (廃油処理施設の維持等)

第三十条 廃油処理事業者は、当該事業の用に供する廃油処理施設を第二十三条第三号の運輸省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。

2 廃油処理事業者は、廃油の処理の方法に関する運輸省令で定める技術上の基準に従つて廃油を処理しなければならない。

3 運輸大臣は、当該事業の用に供する廃油処理施設又は当該事業における廃油の処理の方法が、第二十三条第三号又は前項の運輸省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは、廃油処理事業者に対し、当該事業の用に供する廃油処理施設の使用を停止し、その技術上の基準に適合するように当該事業の用に供する廃油処理施設を修理し、若しくは改造し、又はその技術上の基準に従つて廃油を処理すべきことを命ずることができる。


 (承継)

第三十一条 港湾管理者以外の廃油処理事業者について、相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、廃油処理事業者の地位を承継する。

2 前項の規定により廃油処理事業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。


 (事業の休止及び廃止)

第三十二条 廃油処理事業者は、事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、運輸省令で定めるところにより、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。


 (事業の許可の取消し等)

第三十三条 運輸大臣は、港湾管理者以外の廃油処理事業者が次の各号の一に該当するときは、六月以内の期間を定めて事業の停止を命じ、又は第二十条第一項の許可を取り消すことができる。

 一 この法律又はこの法律に基づく処分に違反したとき。

 二 正当な理由がないのに認可を受けた事項を実施しないとき。

 三 第二十二条第一号又は第三号に該当することとなつたとき。

2 運輸大臣は、前項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当な期間をおいて予告した上、公開による聴聞を行なわなければならない。

3 前項の予告においては、期日、場所及び事実の内容を示さなければならない。

4 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。


 (自家用廃油処理施設)

第三十四条 廃油処理事業の用に供する廃油処理施設以外の廃油処理施設(運輸省令で定める小規模のものを除く。以下「自家用廃油処理施設」という。)により廃油の処理を行なおうとする者は、その廃油処理施設の設置の工事の開始の日(工事を要しないときは、その廃油の処理の開始の日)の六十日前までに、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

2 第二十一条第一項及び第三項の規定は、前項の規定による届出に準用する。

3 第二十四条の規定は、第一項の規定による届出があつた場合に準用する。この場合において、同条中「その事業の開始前」とあるのは、「その廃油の処理の開始前」と読み替えるものとする。


 (準用規定)

第三十五条 第二十五条、第二十八条第三項から第五項まで及び第二十九条から第三十二条までの規定は、前条第一項の規定による届出をした者(以下「自家用廃油処理施設の設置者」という。)に準用する。


 (港湾管理者への勧告等)

第三十六条 運輸大臣は、港湾管理者の管理する港湾について、当該港湾における廃油の処理の一般の需要に適合する廃油処理施設の能力が十分に存しないと認められる場合において、船舶の油による海洋の汚染の防止のため必要があるときは、当該港湾管理者に対し、所要の廃油処理施設を整備すべきことを勧告することができる。

2 国は、必要があると認めるときは、廃油処理施設の建設又は改良を行なう港湾管理者に対し、予算の範囲内において、その建設又は改良に要する費用の十分の五を補助するものとする。


 (都道府県知事への通知等)

第三十七条 運輸大臣は、第二十条第一項の許可の申請があり、又は同条第二項の規定による届出があつたときは、その旨を都道府県知事に通知するものとする。ただし、当該届け出た者が都道府県である港湾管理者であるときは、この限りでない。

2 都道府県知事は、廃油処理事業者(当該廃油処理事業者が都道府県である港湾管理者である場合を除く。)の用に供する廃油処理施設又はその廃油の処理の方法に関し必要があると認めるときは、運輸大臣に対し、第三十条第三項の規定による措置を講ずべきことを要請することができる。

3 運輸大臣は、前項の規定による要請があつた場合において講じた措置について当該都道府県知事に通知するものとする。

   第六章 海洋の汚染の防除のための措置


 (大量の油が排出された場合の防除措置)

第三十八条 運輸省令で定める量以上の量の油(油分の濃度が運輸省令で定める濃度以上のものに限る。)の排出(以下「大量の油の排出」という。)があつたときは、次に掲げる者は、運輸省令で定めるところにより、油の排出があつた日時及び場所、排出された油の量及びひろがりの状況並びに排出された油が積載されていた船舶又は管理されていた海洋施設その他の施設(陸地にあるものを含む。)に関する事項を直ちにもよりの海上保安庁の事務所に通報しなければならない。ただし、当該排出された油が運輸省令で定める範囲をこえてひろがるおそれがないと認められるときは、この限りでない。

 一 当該排出された油が積載されていた船舶の船長又は当該排出された油が管理されていた施設の管理者

 二 前号の船舶内にある者及び同号の施設の従業者である者以外の者で当該油の排出の原因となる行為をしたもの(その者が船舶内にある者であるときは、当該船舶の船長)

2 油が前項ただし書の運輸省令で定める範囲をこえて海面にひろがつていることを発見した者は、遅滞なく、その旨をもよりの海上保安庁の事務所に通報しなければならない。

第三十九条 大量の油の排出があつたときは、前条第一項各号に掲げる者は、直ちに、運輸省令で定めるところにより、排出された油のひろがり及び引き続く油の排出の防止並びに排出された油の除去(以下「排出油の防除」という。)のための応急措置を講じなければならない。

2 大量の油の排出があつたときは、次に掲げる者は、直ちに、運輸省令で定めるところにより、排出油の防除のため必要な措置を講じなければならない。ただし、前項に定める者が同項の規定による措置を講じた場合において、これらの者が講ずる措置のみによつて確実に排出油の防除ができると認められるときは、この限りでない。

 一 前条第一項第一号の船舶の船舶所有者

 二 前条第一項第一号の施設者の設置者

 三 第二号に掲げる者のほか、その業務に関し当該油の排出の原因となる行為をした者の使用者(当該行為をした者が船舶の乗組員であるときは、当該船舶の船舶所有者)

3 前項の場合において、同項各号に掲げる者が同項の規定により講ずべき措置を講じていないと認められるときは、海上保安庁長官は、これらの者に対し、同項の規定により講ずべき措置を講ずべきことを命ずることができる。

4 大量の油の排出があつた場合において、当該油の排出が港内又は港の附近にある船舶から行なわれたものであるときは、次に掲げる者は、第一項及び第二項に定める者に対しこれらの規定により講ずべき措置の実施について援助し、又はこれらの者と協力して排出油の防除のため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 一 当該港が当該排出された油の船積港であるときは、当該油の荷送人

 二 当該港が当該排出された油の陸揚港であるときは、当該油の荷受人

 三 当該油の排出が船舶の係留中に行なわれたときは、当該係留施設の管理者

 (廃棄物等が排出された場合の防除措置)

第四十条 海上保安庁長官は、排出された廃棄物その他の物(油を除く。以下この条において同じ。)により海洋が汚染され、当該汚染が海洋環境の保全に著しい障害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあり、緊急に当該汚染を防止する必要があると認められる場合においては、当該汚染の原因となつた廃棄物その他の物を排出したと認められる者に対し、運輸省令で定めるところにより、当該廃棄物その他の物の除去その他当該汚染の防止のため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。


 (海上保安庁長官の措置に要した費用の負担)

第四十一条 海上保安庁長官は、第三十九条第一項から第三項まで及び前条の規定により措置を講ずべき者がその措置を講ぜず、又はこれらの者が講ずる措置のみによつては海洋の汚染を防止することが困難であると認められる場合において、排出された油、廃棄物その他の物の除去その他の海洋の汚染を防止するため必要な措置を講じたときは、当該措置に要した費用で運輸省令で定める範囲のものについて、運輸省令で定めるところにより、当該排出された油、廃棄物その他の物が積載されていた船舶の船舶所有者又はこれらの物が管理されていた海洋施設その他の施設(陸地にあるものを含む。)の設置者に負担させることができる。ただし、異常な天災地変その他の運輸省令で定める事由により当該油、廃棄物その他の物が排出されたときは、この限りでない。

2 前項の規定により負担させる費用の徴収については、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)第五条及び第六条の規定を準用する。

3 第一項の規定による費用の負担の履行については、海上保安庁長官が適当と認めるときは、金銭の納付に代え当該措置のために消費した薬剤その他の資材に相当する資材の納付によることができる。

4 第一項の場合において、当該油、廃棄物その他の物の排出につき責めに任ずべき者があるときは、同項の船舶所有者又は施設の管理者は、その者に対し、同項の規定により負担した費用について求償権を有する。


 (油による著しい汚染の防除のための財産の処分)

第四十二条 海上保安庁長官は、本邦の沿岸海域において排出された著しく大量の油により海洋が著しく汚染され、当該汚染が広範囲の沿岸海域において、海洋環境の保全に著しい障害を及ばし、人の健康を害し、財産に重大な損害を与え、若しくは事業活動を困難にし、又はこれらの障害が生ずるおそれがある場合において、緊急にこれらの障害を防止するため排出油の防除の措置を講ずる必要があると認めるときは、当該排出油の防除の措置を講ずるためやむを得ない限度において、当該排出された油が積載されていた船舶を破壊し、当該排出された油を焼却するほか、当該排出された油のある現場附近の海域にある財産の処分をすることができる。

   第七章 雑則


 (廃船の規制)

第四十三条 何人も、船舶を海洋に捨ててはならない。ただし、政令で定める海域に政令で定める方法により捨てる場合又は除去することが困難な遭難船舶を放置する場合は、この限りでない。


 (港湾における廃棄物処理施設等の整備計画)

第四十四条 港湾管理者は、当該港湾の港湾区域及びその周辺地域において生ずる廃棄物の種類及び量等に照らし、当該港湾区域及びその周辺海域において船舶又は海洋施設から廃棄物が排出され、海洋が汚染されることを防止するため必要があると認めるときは、当該港湾において廃棄物処理施設の整備が促進され、及び廃棄物の処理場所が確保されるようこれらの建設又は配置について港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四十八条第一項の計画その他の港湾の整備に関する計画に定めなければならない。


 (海洋の汚染状況の監視等)

第四十五条 海上保安庁長官は、本邦の沿岸海域における海洋の汚染状況について、必要な監視を行なわなければならない。

2 海上保安庁長官は、著しい海洋の汚染があると認めるときは、その汚染の状況について、当該汚染海域を地先水面とする地方公共団体の長に通知するものとする。


 (水路業務及び気象業務の成果の活用等)

第四十六条 海上保安庁長官及び気象庁長官は、水路業務又は気象業務による成果及び資料を海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全のために活用するとともに、これらの業務に関連する海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全のための科学的調査を実施するものとする。


 (関係行政機関の協力)

第四十七条 運輸大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全に関し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。

2 関係地方公共団体の長は、海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全のため必要があると認めるときは、この法律の施行に関し、運輸大臣に対し、意見を述べることができる。

3 農林大臣は、油又は廃棄物の排出により漁場の効用が著しく低下し、又は低下するおそれがあると認められるときは、運輸大臣に対し、この法律の施行に関し、当該漁場及びその周辺海域における油又は廃棄物の排出の規制のための適切な措置を講ずることを要請することができる。


 (報告の徴収等)

第四十八条 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、運輸省令で定めるところにより、廃油処理事業者又は自家用廃油処理施設の設置者に対し、その事業又はその廃油処理施設による廃油の処理に関し報告をさせることができる。

2 運輸大臣又は海上保安庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、運輸省令で定めるところにより、船舶所有者若しくは船長又は海洋施設の設置者に対し、当該船舶又は海洋施設に係る油若しくは廃棄物の排出又は油若しくは廃棄物の取扱いに関する作業に関し報告をさせることができる。

3 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、廃油処理事業者又は自家用廃油処理施設の設置者の事務所その他の事業場に立ち入り、廃油処理設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

4 運輸大臣又は海上保安庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、船舶若しくは海洋施設又は船舶所有者若しくは海洋施設の設置者の事務所に立ち入り、ビルジ排出防止装置、油濁防止規程、油記録簿その他の物件を検査させることができる。

5 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

6 第三項及び第四項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。


 (油記録簿の写しの証明)

第四十九条 前条第四項の規定により船舶又は船舶所有者の事務所に立ち入つた職員は、この法律の施行に必要な限度において、油記録簿の記載事項の写しを作成し、その写しが真正である旨の証明を船長又は船舶所有者に対して求めることができる。


 (国の援助)

第五十条 国は、ビルジ排出防止装置、廃油処理施設その他海洋の汚染を防止するための装置若しくは施設の設置又は改善に必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。


 (研究及び調査の推進等)

第五十一条 国は、船舶及び海洋施設からの油及び廃棄物の排出の防止並びに廃油及び廃船の処理に関する技術の研究及び調査その他海洋の汚染の防止に関する研究及び調査を推進し、その成果の普及に努めるものとする。


 (適用除外)

第五十二条 この法律の規定は、放射性物質による海洋の汚染及びその防止については、適用しない。


 (権限の委任)

第五十三条 この法律の規定により運輸大臣又は海上保安庁長官の権限に属する事項は、運輸省令で定めるところにより、海運局長又は管区海上保安本部長に行なわせることができる。

2 管区海上保安本部長は、運輸省令で定めるところにより、前項の規定によりその権限に属させられた事項の一部を海上保安監部その他の管区海上保安本部の事務所の長に行なわせることができる。


 (経過措置)

第五十四条 第三条第六号の規定に基づき、政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(経過措置に関する罰則を含む。)を定めることができる。

   第八章 罰則

第五十五条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

 一 第四条第一項の規定に違反して油を排出した者

 二 第十条第一項の規定に違反して廃棄物を排出した者

 三 第十八条第一項の規定に違反して油又は廃棄物を排出した者

 四 第二十条第一項の規定に違反して廃油処理事業を行なつた者

 五 第二十四条(第二十八条第四項(第三十五条において準用する場合を含む。)又は第三十四条第三項において準用する場合を含む。)又は第三十条第三項(第三十五条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

 六 第三十九条第一項の規定に違反した者

 七 第三十九条第三項又は第四十条の規定による命令に違反した者

 八 第四十三条の規定に違反した者

2 過失により、第四条第一項の規定に違反して油を排出した者は、三月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。

第五十六条 次の各号の一に該当する者は、三月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処す る。

 一 第十一条の規定に違反した者

 二 第二十条第二項、第二十八条第三項(第三十五条において準用する場合を含む。)又は第三十四条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 三 第二十八条第一項の規定に違反して第二十一条第一項第二号の事項を変更した者

第五十七条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

 一 第五条の規定に違反して船舶を航行の用に供した者

 二 第六条第一項、第七条又は第二十七条の規定に違反した者

 三 第三十三条第一項の規定による命令に違反した者

 四 第三十八条第一項の規定による通報をせず、又は虚偽の通報をした者

第五十八条 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。

 一 第八条第一項若しくは第三項又は第十六条第一項若しくは第三項の規定に違反した者

 二 第八条第二項又は第十六条第二項の規定により油記録簿又は廃棄物処理記録簿に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をした者

 三 第十三条第二項の規定に違反して第十一条の登録を受けた船舶を廃棄物の排出(第十条第二項第一号の廃棄物の排出を除く。)に使用した者

 四 第十四条の規定又は第二十五条、第三十一条第二項若しくは第三十二条(これらの規定を第三十五条において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 五 第二十六条第一項の規定による認可を受けないで若しくは認可を受けた廃油処理規程によらないで廃油を処理した者又は同条第二項の規定による届出をしないで若しくは届け出た廃油処理規程によらないで廃油を処理した者

 六 第四十八条第一項又は第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 七 第四十八条第三項又は第四項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

 八 第四十九条の規定による証明を拒み、又は忌避した者

 九 海上保安庁の事務所に対し、第三十八条第二項に規定する事実を発見した旨の虚偽の通報をした者

第五十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前四条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。

第六十条 第十七条、第十九条又は第二十八条第五項若しくは第二十九条(これらの規定を第三十五条において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、三万円以下の過料に処する。


   附 則


 (施行期日等)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第四条、第五条及び第八条の規定は、公布の日から起算して一年六月を経過した日又は千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約第十六条の規定に基づき政府間海事協議機関が昭和四十四年十月二十一日に採択した同条約の改正が日本国について効力を生ずる日(以下「条約改正発効日」という。)のうちいずれか早い日から、第三章及び第四章の規定は、公布の日から起算して一年六月を経過した日から施行する。

2 第十一条の規定による登録は、同条の規定の施行前においても行なうことができる。


 (船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律の廃止)

第二条 船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和四十二年法律第百二十七号。以下「旧海水油濁防止法」という。)は、廃止する。


 (経過措置)

第三条 旧海水油濁防止法第五条から第九条まで及び第十条第一項の規定は、第四条、第五条及び第八条の規定の施行の日の前日までは、なおその効力を有する。

第四条 第四条の規定は、昭和四十八年三月三十一日までは、タンカー以外の船舶又は平水区域若しくは沿海区域を航行区域とするタンカー(これに準ずる運輸省令で定めるタンカーを含む。)が、次の各号の一に該当する場合における当該船舶からのその運航又は修理に関し必要な油の排出については、適用しない。ただし、条約改正発効日以後の日については、この限りでない。

 一 廃油処理施設が整備されていない港であつて運輸省令で定めるもの(以下この項において「施設未整備港」という。)に入港するため当該港に向かつて航行中の場合(施設未整備港以外の港において航行中の場合を除く。)

 二 施設未整備港において航行中の場合(施設未整備港以外の港に入港するため当該港に向かつて航行中の場合を除く。)

2 前項に規定する油の排出は、海岸からできる限り離れて行なうよう努めなければならない。

3 前二項の規定は、旧海水油濁防止法第六条第一項に規定する船舶については、適用しない。

第五条 廃棄物処理法の施行の日から第三章及び第四章の規定の施行の日の前日までの間は、船舶又は海洋施設からふん尿を捨てる行為については、清掃法(昭和二十九年法律第七十二号)第十一条第三号の規定は、なおその効力を有する。

第六条 第十七条の規定は、同条の規定の施行の際現に航海中である第十一条の登録を受けた船舶以外の船舶の当該航海に係る廃棄物の排出のための使用については、適用しない。

第七条 この法律の施行前に旧海水油濁防止法の規定によりした処分、手続その他の行為は、この法律の相当規定によつてした処分、手続その他の行為とみなす。

2 旧海水油濁防止法第十一条第一項の規定により港湾管理者以外の廃油処理事業者が受けた許可に係る事業区域に係る海域は、当該廃油処理事業者が廃油の収集を船舶又は自動車により行なう場合は、第二十一条第一項第二号ロの海域とみなす。

第八条 この法律の施行前にした行為又は附則第三条の規定によりなお効力を有することとされた旧海水油濁防止法第五条第一項、第六条、第八条若しくは第九条第一項から第三項までの規定若しくは附則第五条の規定によりなお効力を有することとされた清掃法第十一条第三号の規定に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


 (運輸省設置法の一部改正)

第九条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第二十二条第一項第十七号の三を次のように改める。

  十七の三 海洋汚染防止法(昭和四十五年法律第百三十六号)の施行に関すること(船舶局、港湾局及び海上保安庁の所掌に属するものを除く。)。


 (海上保安庁法の一部改正)

第十条 海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項中「海難救助」の下に「、海洋の汚染の防止」を加える。

  第七条中第十二号を第十三号とし、第十一号を第十二号とし、第十号を第十一号とし、第九号の次に次の一号を加える。

  十 海洋汚染防止法(昭和四十五年法律第百三十五号)に基づき海上保安庁の権限に  属させられた事項


 (港湾法の一部改正)

第十一条 港湾法の一部を次のように改正する。

  第二条第五項第九号の二中「船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和四十二年法律第百二十七号)第二条第六項」を「海洋汚染防止法(昭和四十五年法律第百三十六号)第三条第九号」に改め、同号の次に次の一号を加える。

  九の三 廃棄物受入施設 海洋汚染防止法第三条第四号に規定する船舶又は同条第六号に規定する海洋施設(港湾区域内にあるものに限る。第十三号において同じ。)において生じた廃棄物の受入れのための施設(港湾役務提供用船舶を除く。)

  第二条第五項第十三号中「処理」の下に「及び船舶又は海洋施設において生じた廃棄物の受入れ」を加える。


 (地方税法の一部改正)

第十二条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  附則第十五条第四項中「船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和四十二年法律第百二十七号)第十一条第一項」を「海洋汚染防止法(昭和四十五年法律第百三十六号)第二十条第一項」に、「第二十五条第一項」を「第三十四条第一項」に、「第二条第六項」を「第三条第九号」に改める。


 (船舶整備公団法の一部改正)

第十三条 船舶整備公団法(昭和三十四年法律第四十六号)の一部を次のように改正する。

  第二条第十三項中「船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和四十二年法律第百二十七号)第二条第四項」を「海洋汚染防止法(昭和四十五年法律第百三十六号)第五条」に改める。

(法務・大蔵・運輸・自治・内閣総理大臣署名) 

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