輸出保険法の一部を改正する法律

法律第七十三号(昭三一・四・一六)

 輸出保険法(昭和二十五年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第五章 海外広告保険(第十一条―第十四条)」を

第五章 海外広告保険(第十一条―第十四条)

第五章の二 海外投資保険(第十四条の二―第十四条の五)

に改める。

 第一条中「輸出貿易において」を「輸出貿易その他の対外取引において」に、「輸出貿易の振興」を「輸出貿易その他の対外取引の健全な発達」に改める。

 第一条の二第一項中「及びその貨物の輸出に伴い技術を提供する契約」を削り、同条第二項中「及び技術を提供するもの」を削り、同条中第五項を第七項とし、第四項の次に次の二項を加える。

5 この法律において「技術提供契約」とは、外国において技術の提供又はこれに伴う労務の提供をし、その対価の全部又は一部を本邦へ向けた支払により受領する契約であつて、政令で定める事項についての定があるものをいう。

6 この法律において「技術提供者」とは、技術提供契約の当事者であつて、技術の提供又はこれに伴う労務の提供をするものをいう。

 第一条の二に次の一項を加える。

8 この法律において「海外投資」とは、外国法人の株式その他の持分の取得をいう。

 第一条の三中「及び海外広告保険」を「、海外広告保険及び海外投資保険」に改める。

 第一条の七に次の一号を加える。

 七 一会計年度内に引き受ける海外投資保険の保険金額の総額

 第五条の二第二項中「輸出者が、輸出契約に基いて、政令で定める貨物を輸出し、又は政令で定める貨物の輸出に伴い技術を提供した場合において、」を「輸出者が輸出契約に基いて政令で定める貨物を輸出した場合に」に、「又は技術の対価」を「若しくは賃貸料」に改め、「(輸出貨物について生じた損失を除く。)」の下に「又は技術提供者が技術提供契約に基いて技術の提供若しくはこれに伴う労務の提供をした場合に左の各号の一に該当する事由によつて当該技術若しくは労務の提供の対価を回収することができないことにより受ける損失」を加える。

 第五条の二第二項第三号及び第四号中「輸出契約」の下に「又は技術提供契約」を加え、同項第五号中「輸出契約」の下に「又は技術提供契約」を、「輸出者」の下に「又は技術提供者」を加える。

 第五条の三第一項中「又は技術」を「若しくは賃貸料又は技術提供契約に基く技術若しくは労務の提供」に改める。

 第五条の四中「輸出者」の下に「又は技術提供者」を、「代金」の下に「若しくは賃貸料」を加える。

 第五条の五の見出し中「代金又は対価」を「代金等」に改め、同条中「輸出者」の下に「又は技術提供者」を加え、「又は技術」を「若しくは賃貸料又は当該技術提供契約に基く技術若しくは労務の提供」に改める。

 第五条の六中「輸出者」の下に「又は技術提供者」を加える。

 第五章の次に次の一章を加える。

   第五章の二 海外投資保険

 (保険契約)

第十四条の二 政府は、海外投資保険を引き受けることができる。

2 海外投資保険は、国際収支の改善に著しく寄与すると認められる海外投資を行つた者が左の各号の一に該当する事由により受ける損失をてん補する輸出保険とする。

 一 海外投資の目的たる株式その他の持分(以下「株式等」という。)を外国の政府若しくは地方公共団体又はこれらに準ずる者により奪われたこと。

 二 当該外国法人が戦争、革命又は内乱により損害を受けて解散した場合において、海外投資を行つた者が当該株式等を処分したこと又は清算が結了したこと。

 三 当該外国法人が戦争、革命又は内乱により損害を受けて政令で定める期間以上の期間事業を休止した場合において、海外投資を行つた者がその事業の再開前に当該株式等を処分したこと。

 (保険金)

第十四条の三 海外投資保険において政府がてん補すべき額は、前条第二項第一号の事由又は同項第二号若しくは第三号の損害が生じた事業年度(これに準ずるものを含む。以下同じ。)の直前の事業年度の終に当該外国法人が解散したものとした場合において同項各号の事由に係る株式等(以下「事故株式等」という。)に係る残余財産の分配として受けるべき金額と当該事故株式等の取得のための対価の額とのいずれか少い金額から、左の各号に掲げる金額を控除した残額に、百分の六十の範囲内において政令で定める割合を乗じて得た金額とする。

 一 当該事故株式等に対する配当として取得した金額と当該株式等に対する配当として取得すべき金額として保険契約で定めた額のうち当該事由の発生するまでの期間及び当該事故株式等に対応する部分の額とのいずれか多い金額

 二 当該事由の発生により取得した金額又は取得し得べき金額

 三 損失を軽減するために必要な処置を講じて回収した金額

2 前項の規定により算定した政府がてん補すべき額又はその累計額が当該株式等の取得のための対価の額から左の各号に掲げる金額を控除した残額をこえるときは、政府がてん補すべき額は、同項の規定にかかわらず、その残額とする。

 一 当該事由の発生前に当該株式等に対する配当として取得した金額と当該株式等に対する配当として取得すべき金額として保険契約で定めた額のうち当該事由の発生するまでの期間に対応する部分の額とのいずれか多い金額

 二 当該事由の発生前における当該株式等の喪失(前条第二項各号の事由に該当するものを除く。)により取得した金額又は取得し得べき金額とその喪失した株式等の取得のための対価の額とのいずれか多い金額

 三 当該事由の発生前における前条第二項各号の事由の発生により取得した金額又は取得し得べき金額

 四 前項第二号及び第三号の金額

 (回収)

第十四条の四 保険金の支払を受けた者は、事故株式等の取得のための対価の回収に努めなければならない。

 (回収金の納付)

第十四条の五 保険金の支払を受けた者は、その支払の請求をした後回収した金額に支払を受けた保険金の額の第十四条の三第一項に規定する残額に対する割合を乗じて得た金額(支払を受けた保険金の額をこえるときは、その額)を政府に納付しなければならない。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

(大蔵・通商産業・内閣総理大臣署名) 

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