旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律
法律第百十一号(昭三一・五・二一)
旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令(昭和二十四年政令第二百九十一号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第六号イの(三)中「在外金融機関」を「在外会社」に改め、同号イに次のように加える。
(四) (一)から(三)までに掲げるものを除き、在外会社の本店、主たる事務所その他本邦外にある店舗(以下「在外店舗」という。)が負うロの(五)又は(六)に掲げる債務の債権者に対して有する債権。ただし、その債権の金額は、当該債務の金額を限度とする。
(五) (一)から(四)までに掲げるものを除き、主務大臣が指定し、又は特殊整理人が主務大臣の承認を受けた資産
第二条第一項第六号ロの(四)中「在外金融機関」を「在外会社」に改め、同号ロの(五)を次のように改める。
(五) (一)から(四)までに掲げるものを除き、在外店舗がその役員又は従業員で本邦内に住所を有する者に対して負う退職金その他の債務で主務省令で定めるもの
(六) (一)から(五)までに掲げるものを除き、在外店舗の事業又は財産から生じた債務のうち第五号イ又はロに掲げる者に対して負う本邦を履行地とする債務。ただし、主務省令で定めるものを除く。
第八条第二項中「第二条第一項第六号ロの(三)又は(四)」を「第二条第一項第六号ロの(三)、(四)又は(六)」に改める。
第十二条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 特殊整理人は、特に必要がある場合には、主務大臣の承認を得て、整理財産以外の財産についても、前項各号(第四号を除く。)に規定する職務を行うことができる。
第十五条の二の次に次の一条を加える。
第十五条の三 特殊整理人は、主務省令で定める日から一月内に、少くとも二回の公告をもつて、第二条第一項第六号ロの(五)又は(六)に掲げる債務の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るように催告しなければならない。ただし、その期間は、一月を下ることができない。
2 第十五条第二項から第四項までの規定は、前項の規定により催告をする場合に準用する。
第二十七条の二第一項中「預金等に係る債務」の下に「又は第二条第一項第六号ロの(五)若しくは(六)に掲げる債務」を加え、同条第二項中「第二条第一項第六号イの(二)及び(三)」を「第二条第一項第六号イの(二)、(三)及び(四)」に改め、同項の次に次の二項を加える。
3 第二条第一項第六号イの(四)に掲げる債権又は同号ロの(四)、(五)若しくは(六)に掲げる債務で別表第二に換算率の定がない外貨により表示されているものの金額は、当該外貨の有した購買力等を勘案して主務大臣が定める換算率により換算した金額とする。
4 主務大臣は、前項の換算率を告示しなければならない。
第二十八条第一項第九号及び第十号を次のように改める。
九 第二条第一項第六号ロの(五)に掲げる債務。ただし、当該債務の間における順位は、主務省令で定める。
十 第二条第一項第六号ロの(六)に掲げる債務(社債に係る債務を除く。)
第二十八条第一項中第十二号を第十三号とし、第十一号の次に次の一号を加える。
十二 前号に掲げる社債以外の社債で本邦を履行地とするもの
第二十八条の二を次のように改める。
(在外債務超過額の留保等)
第二十八条の二 在外会社は、前条第一項第一号から第十二号までに掲げる債務を弁済した後、在外店舗の事業又は財産から生じた債務(整理財産である負債を除く。)の総額が昭和二十年八月十五日において本邦外にあつた在外会社の資産(整理財産である資産を除く。)の総額をこえる場合には、その超過額に相当する金額を整理財産に属する資産のうちから留保した後でなければ、残余財産の分配をすることができない。
2 在外会社は、前条第一項第一号から第十二号までに掲げる債務を弁済した後、前項に規定する超過額が不明である場合には、その整理財産に属する資産に残余がある場合においても、残余財産の分配をすることができない。
第二十八条の五を第二十八条の十一とし、同条の次に次の一条を加える。
(信託)
第二十八条の十二 特殊整理人は、主務省令の定めるところにより、債権者のために弁済すべき財産を信託して、その債務を免かれることができる。
第二十八条の四を第二十八条の十とし、第二十八条の三を第二十八条の九とし、第二十八条の二の次に次の六条を加える。
(管理人)
第二十八条の三 前条第一項の規定により留保した財産及び同条第二項に規定する残余の資産(以下「引当財産」という。)の管理は、主務大臣の選任する管理人が行う。
2 第十条第三項から第五項までの規定は、前項の管理人に準用する。
(引当財産の引継)
第二十八条の四 引当財産を有する在外会社の特殊整理人は、特殊整理の事務が終つたときは、遅滞なく、当該財産を管理人に引き継がなければならない。
(財産の管理)
第二十八条の五 管理人は、引当財産の管理に関し、当該引当財産を所有する在外会社を代理する一切の権限を有する。
2 管理人は、引当財産を善良な管理者の注意をもつて管理しなければならない。
3 主務大臣は、管理人が行う引当財産の管理に関する事務を監督する。
4 主務大臣は、管理人に対し、引当財産の管理に関する事務について必要な指示をすることができる。
5 管理人は、主務大臣の指示に基いてした行為については、その責に任じない。ただし、管理人に不正の行為があつた場合は、この限りでない。
(管理費用の負担)
第二十八条の六 引当財産の管理に必要な費用は、当該引当財産を所有する在外会社の負担とする。
2 管理人は、主務大臣の承認を受けて、その管理する引当財産から前項の費用を支弁するものとする。
(時効の特例)
第二十八条の七 引当財産に関しては、他の法令の規定にかかわらず、第二十八条の四の規定による引継の日から、別に法律で指定する日までは、その時効は、完成しないものとする。
(引当財産の処理)
第二十八条の八 前五条に定めるものを除くほか、引当財産の処理に関し必要な事項は、別に法律で定める。
第三十一条第一項中「(第二十八条の二に規定する場合においては、同条の預託をしたとき)」を削る。
第三十四条の三を削る。
第三十六条第一項中「第二条第一項第一号の二」の下に「及び第六号」を加え、「第十五条の二、第二十八条の四」を「第十二条、第十五条の二、第二十七条の二、第二十八条の三、第二十八条の五、第二十八条の六、第二十八条の十」に、「、第三十三条及び第三十四条の三」を「並びに第三十三条」に改め、同条第二項中「第二条第一項第五号の二」の下に「及び第六号」を、「第七条」の下に「、第十五条の三」を加え、「及び第二十八条」を「、第二十八条第一項第一号及び第九号並びに第二十八条の十二」に改め、「第二十五条の規定における主務省令は、法務省令、大蔵省令とし、」を削る。
第四十二条第一項第二号中「第十五条、第十五条の二」を「第十五条から第十五条の三まで」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行の日において、在外会社が債務(改正前の旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令(以下「旧令」という。)第二条第一項第六号ロの(五)に掲げる債務を除く。)の弁済のために供託しているときは、その特殊整理人(在外会社の特殊整理が結了している場合には、大蔵大臣の指定する者。以下次項において同じ。)は、債権者のために、供託金の還付を請求することができる。
3 前項の規定により供託金の還付を受けた特殊整理人は、大蔵省令で定めるところにより、当該還付を受けた財産を同項の債権者のために信託し、又は債権者に交付しなければならない。
4 この法律の施行の日において、在外会社が旧令第二条第一項第六号ロの(五)に掲げる債務の弁済のために供託しているものがあるときは、第二条第一項第六号イに掲げる整理財産があるものとし、その特殊整理人は、供託物の取戻しをしなければならない。
5 この法律の施行の日において、旧令第三十四条の三第一項の規定により大蔵大臣が管理している整理財産に属する資産又はこれを証する書面があるときは、第二条第一項第六号イに規定する整理財産があるものとし、大蔵大臣は、当該資産又は書面をその特殊整理人に引き渡さなければならない。
6 この法律の施行の日において、旧令第二十八条第一項第十一号又は第十二号の規定により社債の弁済又は残余財産の分配を行つている在外会社は、この法律の施行により新たに整理財産となつた負債があるときは、当該社債の弁済又は残余財産の分配をした後において、なお整理財産に属する資産に残余がある場合に、その残余の資産の範囲内で弁済すれば足りるものとする。
7 この法律の施行前に、旧令第二十八条第一項第十一号又は第十二号の規定により社債の弁済又は残余財産の分配を完了した在外会社について、整理財産に属することとなる資産がその完了後生じている場合において、この法律の施行により新たに整理財産に属することとなる負債があるときは、当該在外会社は、当該資産の範囲内で当該債務を弁済すれば足りるものとする。
(内閣総理・法務・外務・大蔵・厚生・農林・通商産業・運輸大臣署名)