公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律

法律第百八号(昭三一・五・二一)

 公共企業体等労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第三章 団体交渉及び交渉委員の指名(第八条―第十六条)」を「第三章 団体交渉等(第八条―第十六条)」に、「第五章 苦情処理、あつ旋及び調停(第十九条―第二十五条)」を「第五章 公共企業体等労働委員会(第十九条―第二十五条の六)」に、「第六章 仲裁(第二十六条―第三十七条)」を「第六章 あつせん、調停及び仲裁(第二十六条―第三十七条)」に改める。

 第二条第二項第一号を次のように改める。

 一 前項第一号の公共企業体に雇用される者であつて、役員及び日日雇い入れられる者以外のもの

 第三条の見出しを「(労働組合法との関係)」に改め、同条中「第六条」を「第五条第二項第八号」に、「第三十三条」を「第三十二条」に改め、同条に後段として次のように加える。

  この場合において、同法第五条第一項中「労働委員会」とあるのは「公共企業体等労働委員会」と、「第二項」とあるのは「第二項並びに公共企業体等労働関係法第四条第一項」と、「この法律に規定する手続」とあるのは「この法律並びに公共企業体等労働関係法第二十条第二項及び第二十五条の五に規定する手続」と、「この法律に規定する救済」とあるのは「この法律及び公共企業体等労働関係法第二十五条の五に規定する救済」と、第六条中「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者」及び第七条第二号中「使用者が雇用する労働者の代表者」とあるのは「労働組合を代表する交渉委員」と、同条第四号中「労働委員会」とあるのは「公共企業体等労働委員会」と、「労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整」とあるのは「公共企業体等労働関係法による紛争の調整」と、第十一条第一項中「この法律」とあるのは「この法律及び公共企業体等労働関係法第四条第一項」と、「労働委員会」とあるのは「公共企業体等労働委員会」と読み替えるものとする。

 第四条第二項中「政令で定める。」を「公共企業体等労働委員会の決議に基き、労働大臣が定めて告示する。」に改める。

 第五条及び第六条を次のように改める。

第五条及び第六条 削除

 第七条中「公共企業体等は」を「組合の申出があつたときは、公共企業体等は」に改め、「その定める」を削り、「許可することができる。」を「認めることができる。」に改める。

 第三章の章名を次のように改める。

   第三章 団体交渉等

 第八条から第十五条までを次のように改める。

 (団体交渉の範囲)

第八条 第十一条及び第十二条第二項に規定するもののほか、第四条第一項ただし書の規定により組合に加入することができない者以外の職員に関する次に掲げる事項は、団体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。ただし、公共企業体等の管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができない。

 一 賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項

 二 昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項

 三 労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項

 四 前各号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項

 (交渉委員等)

第九条 公共企業体等と組合との団体交渉は、もつぱら、公共企業体等を代表する交渉委員と組合を代表する交渉委員とにより行う。

第十条 公共企業体等を代表する交渉委員は当該公共企業体等が、組合を代表する交渉委員は当該組合が指名する。

2 公共企業体等及び組合は、交渉委員を指名したときは、その名簿を相手方に提示しなければならない。

第十一条 前二条に定めるもののほか、交渉委員の数、交渉委員の任期その他団体交渉の手続に関し必要な事項は、団体交渉で定める。

 (苦情処理)

第十二条 公共企業体等及び組合は、職員の苦情を適当に解決するため、公共企業体等を代表する者及び職員を代表する者各同数をもつて構成する苦情処理共同調整会議を設けなければならない。

2 苦情処理共同調整会議の組織その他苦情処理に関する事項は、団体交渉で定める。

第十三条から第十五条まで 削除

 第十八条中「、この法律によつて有する一切の権利を失い、且つ」を削る。

 第五章を次のように改める。

   第五章 公共企業体等労働委員会

 (設置)

第十九条 労働省に、公共企業体等労働委員会(以下「委員会」という。)を置く。

 (委員の任命)

第二十条 委員会は、公益を代表する委員(以下「公益委員」という。)五人、公共企業体等を代表する委員(以下「使用者委員」という。)三人及び職員を代表する委員(以下「労働者委員」という。)三人をもつて組織する。

2 公益委員は労働大臣が使用者委員及び労働者委員の意見をきいて作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから両議院の同意を得て、使用者委員は公共企業体等の推薦に基いて、労働者委員は組合の推薦に基いて、内閣総理大臣が任命する。

3 公益委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、労働大臣が使用者委員及び労働者委員の意見をきいて作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから、公益委員を任命することができる。

4 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を求めなければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、ただちにその公益委員を罷免しなければならない。

5 公益委員の任命については、そのうち二人以上が同一の政党に属することとなつてはならない。

6 委員は、非常勤とする。ただし、公益委員のうち二人以内は、常勤とすることができる。

 (委員の欠格条項)

第二十一条 次の各号の一に該当する者は、委員となることができない。

 一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ない者

 二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終るまで、又は執行を受けることがなくなるまでの者

2 次の各号の一に該当する者は、公益委員となることができない。

 一 国会又は地方公共団体の議会の議員

 二 職員又は公共企業体の役員

 (委員の任期等)

第二十二条 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員は、前任者の残任期間在任する。

2 委員は、再任されることができる。

3 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまでその職務を行うものとする。

 (公益委員の服務)

第二十三条 常勤の公益委員は、在任中、次の各号の一に該当する行為をしてはならない。

 一 政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をすること。

 二 内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。

2 非常勤の公益委員は、在任中、前項第一号に該当する行為をしてはならない。

 (委員の失職及び罷免)

第二十四条 委員は、第二十一条第一項各号の一に該当するに至つた場合においては、その職を失う。公益委員が同条第二項各号の一に該当するに至つた場合も、同様とする。

2 内閣総理大臣は、委員が心身の故障のために職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、公益委員にあつては両議院の同意を得て、使用者委員又は労働者委員にあつては委員会の同意を得て、その委員を罷免することができる。

3 前項の規定により、内閣総理大臣が委員会に対して、使用者委員又は労働者委員の罷免の同意を求めた場合においては、当該委員は、その議事に参与することができない。

4 内閣総理大臣は、公益委員のうち一人がすでに属している政党にあらたに属するに至つた公益委員をただちに罷免するものとする。

5 内閣総理大臣は、公益委員のうち何人も属していなかつた政党にあらたに二人以上の公益委員が属するに至つた場合は、これらの者のうち一人をこえる員数の公益委員を、両議院の同意を得て、罷免するものとする。

 (会長)

第二十五条 委員会に、会長を置く。会長は、公益委員のうちから、委員が選挙する。

2 会長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。

3 委員会は、あらかじめ公益委員のうちから委員の選挙により、会長に故障がある場合において会長を代理する委員を定めておかなければならない。

 (事務局)

第二十五条の二 委員会に、その事務を整理させるため、事務局を置く。

2 事務局に、地方における事務を分掌させるため、事務局支局を置く。

3 事務局に、事務局長、事務局次長その他の職員を置く。

4 事務局支局の位置、名称及び管轄区域は、政令で定める。

 (公益委員のみで行う権限等)

第二十五条の三 第四条第二項及び第二十五条の五並びに労働組合法第五条第一項及び第十一条第一項の規定による事務の処理には、公益委員のみが参与する。ただし、第二十五条の五の規定による審問に使用者委員及び労働者委員が参与することを妨げない。

2 委員会は、常勤の公益委員に、委員会に係属している事件に関するもののほか、公共企業体等の職員の労働関係の状況その他委員会の事務を処理するために必要と認める事項の調査を行わせることができる。

 (規則制定権)

第二十五条の四 この法律及びこの法律に基く政令で定めるもののほか、委員会は、その行う手続その他事務処理に関し必要な事項について、公共企業体等労働委員会規則を定めることができる。

 (委員会の命令等)

第二十五条の五 委員会は、公共企業体等が労働組合法第七条の規定に違反する旨の申立があつたときは、調査、審問及び事実の認定をし、並びに必要な命令を発することができる。

2 労働組合法第二十七条(第五項、第八項、第九項中段及び後段、第十項並びに第十二項の規定を除く。)の規定は、前項の申立があつた場合について準用する。この場合において、同条中「労働委員会」及び「当該労働委員会」とあるのは「公共企業体等労働委員会」と、第一項及び第四項中「前条の規定により中央労働委員会が定める手続規則」とあるのは「公共企業体等労働委員会規則」と、第六項中「使用者が地方労働委員会の命令につき中央労働委員会に再審査の申立をしないとき、又は中央労働委員会」とあるのは「公共企業体等労働委員会」と、第十一項中「第二十五条の規定により中央労働委員会に再審査の申立をすること、又は訴」とあるのは「訴」と読み替えるものとする。

3 委員会は、第二十五条の三の規定にかかわらず、公共企業体等労働委員会規則で定めるところにより、第三十条の地方調停委員会の公益を代表する調停委員に調査又は審問を行わせることができる。この場合において、当該地方調停委員会の公共企業体等を代表する調停委員及び職員を代表する調停委員は、当該審問に参与することができる。

4 第十八条の規定による解雇に係る第一項の申立があつた場合において、その申立が当該解雇がなされた日から二月を経過した後になされたものであるときは、委員会は、第二項において準用する労働組合法第二十七条第二項の規定にかかわらず、これを受けることができない。

5 第十八条の規定による解雇に係る第一項の申立を受けたときは、委員会は、申立の日から二月以内に命令を発するようにしなければならない。

 (準用規定等)

第二十五条の六 労働組合法第二十一条から第二十三条まで、第二十九条及び第三十条の規定は、委員会について準用する。

2 この法律に規定するもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

 第六章を次のように改める。

   第六章 あつせん、調停及び仲裁

 (あつせん)

第二十六条 委員会は、公共企業体等とその職員との間に発生した紛争について、関係当事者の双方若しくは一方の申請又は委員会の決議により、あつせんを行うことができる。

2 前項のあつせんは、委員会の会長が委員、第二十九条第三項の調停委員候補者名簿に記載されている者若しくは第三十条の地方調停委員会の調停委員のうちから指名するあつせん員又は委員会の同意を得て委員会の会長が委嘱するあつせん員によつて行う。

3 あつせん員(委員又は地方調停委員会の調停委員である者を除く。以下同じ。)は、政令で定めるところにより、報酬及びその職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。

4 あつせん員又はあつせん員であつた者は、その職務に関して知ることができた秘密を漏らしてはならない。

5 労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第十三条及び第十四条の規定は、委員会の行うあつせんについて準用する。

6 委員会及び委員会の会長は、公共企業体等労働委員会規則で定めるところにより、あつせんに関する事務の一部を地方調停委員会に行わせることができる。

 (調停の開始)

第二十七条 委員会は、次の場合に調停を行う。

 一 関係当事者の双方が委員会に調停の申請をしたとき。

 二 関係当事者の一方が労働協約の定に基いて委員会に調停の申請をしたとき。

 三 関係当事者の一方の申請により、委員会が調停を行う必要があると決議したとき。

 四 委員会が職権に基き、調停を行う必要があると決議したとき。

 五 主務大臣が委員会に調停の請求をしたとき。

 (委員会による調停)

第二十八条 委員会による調停は、当該事件について設ける調停委員会又は地方調停委員会によつて行う。

2 調停委員会は、二以上の地方調停委員会の管轄区域にわたる事件について、調停を行う。

3 地方調停委員会は、その管轄区域内の事件であつて、前項に規定する事件以外のものについて、調停を行う。

4 委員会は、前項に規定する事件であつて、全国的に重要な問題に係ると認めるものその他特に調停委員会が調停を行うことが適切であると認めるものについては、前二項の規定にかかわらず、調停委員会を設けて調停を行わせることができる。

5 委員会は、第二項に規定する事件について、その処理上適切であると認めるときは、同項及び第三項の規定にかかわらず、特定の地方調停委員会を指定して調停を行わせることができる。

 (調停委員会)

第二十九条 調停委員会は、公益を代表する調停委員、公共企業体等を代表する調停委員及び職員を代表する調停委員各三人以内で組織する。ただし、公共企業体等を代表する調停委員と職員を代表する調停委員とは、同数でなければならない。

2 公益を代表する調停委員は委員会の公益委員のうちから、公共企業体等を代表する調停委員は委員会の使用者委員のうちから、職員を代表する調停委員は委員会の労働者委員のうちから、委員会の会長が指名する。

3 委員会の会長は、必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、労働大臣があらかじめ委員会の同意を得て作成した調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから、調停委員を委嘱することができる。

4 前項の規定による調停委員は、政令で定めるところにより、報酬及びその職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。

 (地方調停委員会)

第三十条 委員会に、地方における調停に関する事務を分掌させるため、地方調停委員会を置く。

2 地方調停委員会の調停委員は、委員会の同意を得て、労働大臣が任命する。

3 地方調停委員会の位置、名称、管轄区域及び調停委員の数は、政令で定める。

4 第二十条第五項及び第六項本文、第二十一条、第二十二条、第二十三条第二項、第二十四条及び前条第一項の規定は、地方調停委員会及び調停委員について準用する。この場合において、第二十四条中「内閣総理大臣」とあるのは「労働大臣」と、「両議院」とあるのは「委員会」と読み替えるものとする。

 (報告及び指示)

第三十一条 委員会は、調停委員会又は地方調停委員会に、その行う事務に関し報告をさせ、又は必要な指示をすることができる。

 (調停に関する準用規定)

第三十二条 労働関係調整法第二十二条から第二十五条まで、第二十六条第一項から第三項まで及び第四十三条の規定は、調停委員会及び地方調停委員会並びに調停について準用する。

 (仲裁の開始)

第三十三条 委員会は、次の場合に仲裁を行う。

 一 関係当事者の双方が委員会に仲裁の申請をしたとき。

 二 関係当事者の一方が労働協約の定に基いて委員会に仲裁の申請をしたとき。

 三 委員会があつせん又は調停を開始した後二月を経過して、なお紛争が解決しない場合において、関係当事者の一方が委員会に仲裁の申請をしたとき。

 四 委員会が、あつせん又は調停を行つている事件について、仲裁を行う必要があると決議したとき。

 五 主務大臣が委員会に仲裁の請求をしたとき。

 (仲裁委員会)

第三十四条 委員会による仲裁は、当該事件について設ける仲裁委員会によつて行う。

2 仲裁委員会は、委員会の公益委員の全員をもつて充てる仲裁委員又は委員会の会長が委員会の公益委員のうちから指名する三人の仲裁委員で組織する。

3 労働関係調整法第三十一条の三から第三十四条まで及び第四十三条の規定は、仲裁委員会、仲裁及び裁定について準用する。この場合において、第三十一条の四中「仲裁委員二人以上」とあるのは「仲裁委員の過半数」と、第三十一条の五中「委員又は特別調整委員」とあるのは「委員」と読み替えるものとする。

 (委員会の裁定)

第三十五条 委員会の裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。ただし、公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする裁定については、第十六条の定めるところによる。

第三十六条及び第三十七条 削除

 第三十九条中「第二十四条第五号、第二十九条第一項及び第三十四条第五号」を「第二十七条第五号及び第三十三条第五号」に改める。

 第四十条第一項第一号中「国家公務員法」の下に「(昭和二十二年法律第百二十号)」を加える。

 第四十一条中「調停委員会又は仲裁委員会」を「委員会」に改める。

 附則第三項を削る。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (労働組合に加入することができない職員の範囲に関する経過措置)

2 この法律の施行の際現に公共企業体等労働関係法(以下「法」という。)第四条第一項ただし書に規定する者について改正前の法(以下「旧法」という。)第四条第二項の政令で定められている範囲は、改正後の法(以下「新法」という。)第四条第二項の規定により公共企業体等労働委員会(以下「委員会」という。)が決議したものとみなす。

 (法人である労働組合に関する経過措置)

3 この法律の施行の際現に新法第二条第二項の職員が組織する労働組合であつて、法人であるものは、新法及び労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)の規定による法人である労働組合とみなす。

 (委員の任命手続の特例)

4 新法第二十条第三項及び第四項の規定は、この法律の施行後最初に行われる委員会の公益を代表する委員の任命について準用する。

5 この法律の施行後最初に行われる委員会の職員を代表する委員の任命についての新法第二十条第二項の規定による推薦については、労働組合法第五条第一項の規定は、適用しない。

 (事務局の職員に関する経過措置)

6 この法律の施行の際現に公共企業体等調停委員会及び公共企業体等仲裁委員会の事務局の局長その他の職員である者は、別に辞令が発せられないときは、この法律の施行の日に委員会の事務局の職員に任命されたものとみなす。

 (不当労働行為に関する経過措置)

7 この法律の施行の際現に旧法第三十六条の規定により公共企業体等仲裁委員会に係属している事件は、この法律の施行の日から起算して二月以内に、政令で定めるところにより、関係当事者から委員会に対して申出があつたときは、新法第二十五条の五の規定により委員会に係属したものとみなす。

8 新法第二十五条の五の規定による申立は、この法律の施行前一年以内に公共企業体等がした労働組合法第七条の規定に違反する行為(継続する行為であつて、この法律の施行前一年以内に終了したものを含む。)であつて前項に規定するもの以外のものについても、することができる。

9 前項の規定による申立は、この法律の施行の日から起算して二月以内にしなければならない。

 (あつせん、調停及び仲裁に関する経過措置)

10 この法律の施行の際現に旧法の規定により、公共企業体等調停委員会又は公共企業体等仲裁委員会に係属しているあつせん、調停又は仲裁に係る事件は、この法律の施行の日から起算して一月以内にその紛争の関係当事者の一方から委員会に対して申出があつたときは、政令で定めるところにより、新法の規定により委員会に係属したものとみなす。

 (協定及び裁定に関する経過措置)

11 旧法の規定により締結された協定であつて、この法律の施行の際現に効力を有するものは、新法その他の法令に矛盾し、又は抵触することとなる場合を除き、この法律の施行後も、政令で定めるところにより、当該協定に係る公共企業体等と労働組合とが新法の規定により締結したものとして有効に存続するものとする。

12 旧法の規定に基いてなされた公共企業体等仲裁委員会の裁定であつてこの法律の施行の際現に効力を有するものについては、その裁定の従前の関係当事者が締結した協定とみなして、前項の規定を適用する。

13 前二項の協定又は裁定の適用に関し紛争が生じたときは、委員会は、新法第三十三条の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、仲裁を行うことができる。

14 旧法の規定に基いてなされた公共企業体等仲裁委員会の裁定であつて、この法律の施行の際現に旧法第三十五条ただし書に該当するものとして、法第十六条第二項の規定により国会に付議されているもの又は付議されるべきものであるものについては、政令で定めるところにより、委員会は、すみやかに、この法律の施行により必要となつた限度において、修正しなければならない。

15 前項の規定により修正された裁定は、公共企業体等仲裁委員会がその裁定をした日に、委員会がしたものとみなす。

 (罰則に関する経過措置)

16 この法律の施行前にした旧法第二十四条の三若しくは第三十七条において準用する労働組合法第二十二条の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (他の法律の改正等)

17 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。

  別表第一中

 

労働省

中央労働委員会

 

公共企業体等仲裁委員会

 

公共企業体等調停委員会

 

 を

労働省

中央労働委員会

 

公共企業体等労働委員会

 

 に改める。

18 郵政省設置法(昭和二十三年法律第二百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第六条第一項第十二号の三を次のように改める。

  十二の三 公共企業体等労働委員会に対する調停及び仲裁の請求に関すること。

19 日本専売公社法(昭和二十三年法律第二百五十五号)の一部を次のように改正する。

  第十九条を次のように改める。

  (職員の範囲及び資格)

 第十九条 この法律において公社の職員とは、公社に常時勤務する者であつて、役員及び二月以内の期間を定めて雇用される者以外のものをいう。

  第二十五条第二項ただし書中「公共企業体等労働関係法」の下に「(昭和二十三年法律第二百五十七号)」を加える。

  第四十三条の二十一第二項中「支給するときは、適用しない。」を「支給するとき、及び公共企業体等労働委員会の裁定があつた場合において、その裁定を実施するために必要な金額を、予算の定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けて、給与として支給するときは、適用しない。」に改める。

20 日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十六条第一項を次のように改める。

   この法律において日本国有鉄道の職員とは、日本国有鉄道に常時勤務する者であつて、役員及び二月以内の期間を定めて雇用される者以外のものをいう。

  第三十二条第二項ただし書中「公共企業体等労働関係法」の下に「(昭和二十三年法律第二百五十七号)」を加える。

  第四十四条第二項中「支給するときは、適用しない。」を「支給するとき、及び公共企業体等労働委員会の裁定があつた場合において、その裁定を実施するために必要な金額を、予算の定めるところにより、運輸大臣の認可を受けて、給与として支給するときは、適用しない。」に改める。

21 行政機関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項の表中

労働省

本省

一九、一五三人

 

中央労働委員会

八五人

 

公共企業体等仲裁委員会

一九人

 

公共企業体等調停委員会

一一四人

 

一九、三七一人

 

 を

労働省

本省

一九、一五三人

 

中央労働委員会

八五人

 

公共企業体等労働委員会

一三三人

 

一九、三七一人

 

 に改める。

22 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第三十一号を次のように改める。

  三十一 公共企業体等労働委員会に対し調停及び仲裁の請求をすること。

  第四条第一項第三十二号を削り、第三十二号の二を第三十二号とする。

  第二十七条第一項第三号及び第四号を次のように改める。

  三 公共企業体等労働委員会に対する調停及び仲裁の請求に関すること。

  四 削除

23 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

  第四条第十六号から第十九号までを次のように改め、第十九号の二を削り、第十九号の三を第十九号の二とする。

  十六 公共企業体等労働委員会の公益を代表する委員の候補者名簿を作成すること。

  十七 公共企業体等労働委員会に調停及び仲裁の請求をすること。

  十八 公共企業体等労働委員会の調停委員の候補者名簿を作成すること。

  十九 地方公営企業労働関係法(昭和二十七年法律第二百八十九号)に規定する労働関係に関し、労働委員会に調停及び仲裁の請求をすること。

  第七条第一号中「及び労働関係調整法」の下に「(昭和二十一年法律第二十五号)」を加え、第三号中「、公共企業体等仲裁委員会及び公共企業体等調停委員会」を「及び公共企業体等労働委員会」に改める。

  第二十条第一項中

公共企業体等仲裁委員会

公共企業体等調停委員会

 を「公共企業体等労働委員会」に、第三項中「公共企業体等仲裁委員会及び公共企業体等中央調停委員会」を「公共企業体等労働委員会」に改め、第四項を削る。

24 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条第十三号の二の次に次の一号を加える。

  十三の三 公共企業体等労働委員会の常勤の公益を代表する委員

  第一条第十九号の二の次に次の一号を加える。

  十九の三 公共企業体等労働委員会の非常勤の公益を代表する委員

  別表第一中「原子力委員会の常勤の委員」を

原子力委員会の常勤の委員

公共企業体等労働委員会の常勤の公益を代表する委員

 に改める。

25 日本電信電話公社法(昭和二十七年法律第二百五十号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条第一項を次のように改める。

   この法律において公社の職員とは、公社に常時勤務する者であつて、役員及び二月以内の期間を定めて雇用される者以外のものをいう。

  第三十四条第二項ただし書中「公共企業体等労働関係法」の下に「(昭和二十三年法律第二百五十七号)」を加える。

  第四十三条第五号及び第六号を次のように改める。

  五 第七十二条第一項に規定する役員及び職員に対して支給する給与の総額並びに同条第二項の給与の支給に関する事項

  六 第七十二条第一項但書の規定による金額の限度額

  第七十二条に次の一項を加える。

 2 前項本文後段の規定は、能率の向上により収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減した場合において、その収入の増加額又は経費の節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、郵政大臣の認可を受けて、特別の給与として支給するとき、及び公共企業体等労働委員会の裁定があつた場合において、その裁定を実施するために必要な金額を、予算の定めるところにより、郵政大臣の認可を受けて、給与として支給するときは、適用しない。

26 国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法(昭和二十九年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。

  第五条ただし書中「支給するときは、この限りでない。」を「支給するとき、及び公共企業体等労働委員会の裁定があつた場合において、その裁定を実施するために必要な金額を、予算の定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けて、給与として支給するときは、この限りでない。」に改める。

27 改正後の日本専売公社法第四十三条の二十一第二項、改正後の日本国有鉄道法第四十四条第二項、改正後の日本電信電話公社法第七十二条第二項及び改正後の国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法第五条ただし書の規定中特別の給与以外の給与の支給に関する部分は、昭和三十二年四月一日以前の日であつて政令で定める日までは、適用しない。

(内閣総理・大蔵・農林・通商産業・運輸・郵政・労働大臣署名) 

法令一覧(年度別)に戻る