町村合併促進法の一部を改正する法律
法律第二百八十七号(昭二八・一二・一四)
町村合併促進法(昭和二十八年法律第二百五十八号)の一部を次のように改正する。
第十一条の次に次の二条を加える。
第十一条の二 第十条第四項又は第五項の規定により提出された意見が都道府県の境界にわたる市町村の境界変更に関するものであるときは、都道府県知事は、直ちに当該意見を内閣総理大臣に提出するとともに、あわせてその旨を代表者に通知しなければならない。
2 前項の規定による通知がないときは、代表者は、第十条第二項の意見を内閣総理大臣に提出することができる。
3 内閣総理大臣は、第一項又は前項の意見の提出があつたときは、関係のある市町村及び都道府県に対して、期限を定めて当該境界変更に関する意見を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、当該境界変更が市町村の区域を合理化するために必要であると認めるときは、関係のある市町村及び都道府県に対して、当該境界変更に関し勧告することができる。
5 前条の規定の適用については、前項の規定による市町村に対する勧告は、地方自治法第八条の二第一項の規定による町村合併に関する都道府県知事の勧告とみなす。
6 都道府県知事は、都道府県の境界にわたる市町村の境界変更に関し前条第五項の規定による届出を受理したときは、直ちに内閣総理大臣に報告しなければならない。
7 前条第四項の規定により都道府県の境界にわたる市町村の境界変更に関する議会の議決に代る効力を有する投票の結果が確定したときは、当該地域に係る市町村の境界変更に関し地方自治法第七条第三項の規定による当該町村の申請があつたものとみなす。
8 第三項の市町村及び都道府県の意見については、当該市町村又は当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
(都道府県の議会の議員の選挙区に関する特例)
第十一条の三 町村合併により郡の区域の変更を生ずる場合において、都道府県の議会の議員の選挙区に関して必要があるときは、都道府県は、公職選挙法第十五条第一項及び第二項の規定にかかわらず、条例の定めるところにより、町村合併の行われた日から次の一般選挙により選出される当該都道府県の議会の議員の任期が終る日までの間に限り、なお従前の選挙区によることとし、又は合併町村の区域が従前属していた郡の区域を合わせて一選挙区を設けることができる。
2 前項の規定により合併町村の区域が従前属していた郡の区域を合わせて一選挙区を設けた場合において、当該選挙区において選挙すべき都道府県の議会の議員の数は、公職選挙法第十五条第七項の規定にかかわらず、条例の定めるところにより、それぞれ従前の選挙区の人口に比例して定めた数の合計数とする。
3 第一項の規定により従前の選挙区によることとした場合においては、公職選挙法第十八条第一項の規定にかかわらず、選挙区の区域により市町村の区域に分けて数開票区を設けるものとする。
第二章中第二十条の次に次の一条を加える。
(財政援助に関する特例)
第二十条の二 国は、合併町村が国の行う財政上の援助に関し町村合併により不利益を受ける結果となるような場合においては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)その他政令で定める法律及びこれに基く命令の規定にかかわらず、当該町村合併が行われなかつたものとして当該町村が不利益とならないように措置しなければならない。
第三十三条第一項中「六箇月」を「四箇月」に改め、同条第三項中「処分を行うことができる。」の下に「この場合において、当該処分が郡の境界にわたつて町村を設置するものであるときは、内閣総理大臣は、あわせて当該町村の属すべき郡の区域を定めるものとする。」を加え、同条第六項中「第三項」を「第三項前段」に改める。
第四章中第三十三条の次に次の一条を加える。
(町村合併による都道府県の境界にわたる町村の設置に関する内閣総理大臣の処分)
第三十三条の二 町村合併による都道府県の境界にわたる町村の設置は、関係のある町村及び都道府県の申請に基き、内閣総理大臣が定める。この場合においては、内閣総理大臣は、あわせて合併町村の属すべき都道府県及び郡の区域を定めるものとする。
2 前項の規定により内閣総理大臣が合併町村の属すべき都道府県及び郡の区域を定めたときは、関係のある都道府県及び郡の境界は、これに伴い変更するものとする。
3 第一項の申請については、当該町村又は当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
4 第一項の規定による町村の設置に関する関係町村の申請があつた日から四箇月以内に関係のある都道府県の当該町村合併に関する申請がないときは、自治庁長官は、期限を定めて関係のある都道府県の意見を求めるとともに、参与の意見を聴いた後その意見を附してこれを内閣総理大臣に上申するものとする。
5 前項の場合において、内閣総理大臣は、関係町村の申請に係る町村合併が町村の規模の適正化の趣旨に適合すると認めるときは、第一項の規定にかかわらず、関係町村の申請のみに基いて、当該町村合併の処分を行うことができる。
6 第四項の都道府県の意見については、当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
7 地方自治法の適用については、第一項又は第五項の規定による処分は、同法第七条第三項の規定による処分とみなす。
8 前四項の規定は、都道府県の境界にわたる町村の境界の変更に関し地方自治法第七条第三項の規定による関係町村の申請があつた日から四箇月以内に関係のある都道府県のこれに関する申請がない場合に準用する。
第三十六条中「準用する。」の下に『この場合において、第十一条の三中「郡」とあるのは「郡市」と読み替えるものとする。』を加える。
第三十七条第一項中「(第三条及び第九条の規定を除く。)を準用する。」を「(第三条の規定及び第三号から第六号までに掲げるものについて第九条の規定を除く。)を準用する。この場合において、第十一条の三中「郡」とあるのは「郡市」と読み替えるものとする。」に、同項第二号中「市の区域の一部」を「市の区域の一部又は人口五万未満の市の区域の全部」に、同項第五号及び第六号中「人口五万以上十万未満の市」を「その勧告の際の人口が五万以上十万未満である市」に改める。
第三十八条の次に次の一条を加える。
(政令への委任)
第三十九条 この法律の実施のための手続その他その施行に関して必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 町村職員恩給組合会(昭和二十七年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。
第四条を次のように改める。
(町村職員恩給組合の事務又は規約の変更等)
第四条 町村職員恩給組合は、共同処理する事務を変更し又は組合の規約を変更しようとするときは組合の議会の議決を経て、その組合を組織する町村の数を増減しようとするときは加入し又は脱退しようとする町村との協議により、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 町村職員恩給組合に属する町村の廃置分合が行われた場合においては、前項の規定にかかわらず、新たに設置された町村は、その設置の日において組合を組織する町村となるものとし、当該廃置分合に伴う組合を組織する町村の数の増減及び組合の規約の変更は、組合の議会の議決により定める。
3 第一項の協議については、それぞれ当該町村又は当該組合の議会の議決を経なければならない。
第六条の次に次の一条を加える。
(町村の合併により設置された市の町村職員恩給組合への加入等)
第六条の二 町村職員恩給組合に属する町村の廃置分合により市が設置された場合又はこれらの町村が市となつた場合において、当該市を一の町村とみなして第四条第二項の規定を適用する。但し、当該市は、その市が設置され又は市となつた日から二箇月以内は、市の議会の議決を経て組合に申し出ることにより、組合を組織する市とならなかつたものとすることができる。
2 前項の規定により町村職員恩給組合を組織する市以外の市(市の加入する市町村の一部事務組合を含む。以下次項において同じ。)は、組合に加入することができる。
3 第一項の規定により町村職員恩給組合を組織する市となつた市及び前項の規定により組合に加入する市は、この法律の適用については、一の町村とみなす。
4 第一項の規定により町村職員恩給組合を組織する市となる場合を除く外、組合に属する町村の区域の全部又は一部が市の区域となる場合及び同項但書の規定により市が組合を組織する市とならなかつた場合においては、当該市は、政令の定めるところにより、関係町村(当該町村の区域がその区域に属していた町村を含む。)の職員であつた者に係る退職年金及び退職一時金に関する事務を承継するものとする。
5 前項の場合においては、当該町村の職員であつた者で引き続いて市の職員となつたものの退職年金又は退職一時金の支給については、その者が当該町村の職員として在職した期間(当該町村の加入する町村職員恩給組合において、当該町村の職員としての在職期間に通算する期間を含む。)は、条例の定めるところにより、当該市の職員として在職していたものとして取り扱わなければならない。
6 町村職員恩給組合は、政令の定めるところにより、第四項の規定により市に承継される退職年金及び退職一時金に関する事務に係る資金を当該市に引き継がなければならない。
7 第四項の規定による退職年金及び退職一時金に関する事務の承継について、市と町村職員恩給組合との間において意見が一致しないときは、そのいずれかからの申請に基いて、都道府県知事が、これを定める。
(内閣総理大臣署名)