昭和二十八年台風第十三号による被害農地の除塩事業に対する特別措置法
法律第二百七十一号(昭二八・一一・一六)
(目的)
第一条 この法律は、昭和二十八年台風第十三号による海水の浸入のために生じた農地の塩害をすみやかに除去し、もつて農業経営の維持安定を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「除塩事業」とは、昭和二十八年台風第十三号によつて生じた農地の塩害を除去するために行うかんがい排水施設の設置及び管理、客土又は石灰等の施用の事業をいう。
(国の補助)
第三条 国は、政令で指定する地域内の除塩事業について、当該事業を施行する地方公共団体又は土地改良区(以下「事業施行者」という。)に対し、予算の範囲内で、左に掲げる経費を補助することができる。
一 かんがい排水施設の設置に要する経費
二 揚排水機に必要な動力費
三 客土に要する経費
四 石灰等の施用に要する経費
2 前項の規定により国が行う補助の比率は、十分の九とする。
(事業計画の承認)
第四条 事業施行者は、当該事業に関する事業計画を定め、農林大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(除塩事業に対する政府の措置)
第五条 政府は、第三条の規定による補助に係る除塩事業が昭和三十年度中に完成することができるように必要な措置を講じなければならない。
(監督)
第六条 農林大臣は、事業施行者に対し、当該事業を適正に実施させるため、必要な調査を行い、報告を求め、又は事業の施行に関し必要な指示をすることができる。
2 農林大臣は,都道府県知事をして、当該都道府県の区域に存する市町村及び土地改良区に対して、政令の定めるところにより、前項に規定する農林大臣の権限を行わせることができる。
(補助金の返還)
第七条 第三条の規定により補助金の交付を受ける者が、当該補助金に係る除塩事業を施行せず、又は補助金をその目的に反して使用したときは、農林大臣は、補助金のうちその施行しない除塩事業に係る部分を交付せず、若しくは返還させ、又は交付の目的に反して使用した部分の補助金を返還させることができる。
2 前項の規定により補助金の返還を命ぜられた者は、その返還を命ぜられた金額を遅滞なく国に返還しなければならない。
(実施規定)
第八条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
この法律は、公布の日から施行し、この法律に規定する除塩事業であつてこの法律の施行前に行つたものについても適用する。
(農林・内閣総理大臣署名)