国立病院特別会計所属の資産の譲渡等に関する特別措置法
法律第三百十一号(昭二七・八・二五)
(目的)
第一条 この法律は、国立病院(厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)第十五条に規定する国立病院をいう。以下同じ。)として経営されている医療機関を、地方公共団体又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十一条に規定する公的医療機関(地方公共団体の開設する病院及び診療所を除く。以下「公的医療機関」という。)の設置者(以下「地方公共団体等」と総称する。)の開設する医療機関として、当該地方公共団体等に移譲するため、当分の間、当該国立病院の用に供されている資産等の譲渡等に関する特別の措置を講ずることを目的とする。
(地方公共団体等への国有財産等の譲渡の特例)
第二条 政府は、地方公共団体等に国立病院として経営されている医療機関を移譲しようとするときは、当該国立病院の用に供されている第一号及び第二号に掲げる資産並びに当該国立病院の経営に因り生じた第三号に掲げる資産については、当該各号に掲げる価額により、これを当該地方公共団体等に譲渡することができる。
一 国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二条に規定する国有財産 時価の七割を減額した価額
二 動産(前号に掲げる資産を除く。)時価の五割を減額した価額。但し、自動車及び薬品、食糧品、筆、紙、墨等の消耗品については、時価とする。
三 未収金債権 その債権額の三分の一以内を減額した価額
(未収金債権の譲渡の通知)
第三条 政府は、前条の規定により未収金債権を譲渡した場合における債務者に対する通知を、官報に公告してすることができる。
2 前項の規定による公告があつたときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百六十七条第一項の規定による債務者に対する通知があつたものとみなす。
(資産の引渡の特例)
第四条 政府は、第二条の規定により資産を譲渡する場合においては、国有財産法第三十一条第一項本文の規定にかかわらず、当該資産の対価の納付前に当該資産を引き渡すことができる。
(物納)
第五条 地方公共団体は、第二条の規定により譲渡を受けた同条第一号及び第二号に掲げる資産の対価を、政令で定めるところにより、その発行する地方債の証券をもつて納付することができる。
(延納)
第六条 政府は、公的医療機関の設置者が第二条の規定により同条第一号及び第二号に掲げる資産の譲渡を受けた場合において、当該公的医療機関の設置者がその譲渡を受けた資産の対価を一時に支払うことが困難であると認めたときは、国有財産法第三十一条第一項の規定にかかわらず、確実な担保を徴し、且つ、利息を附して十年以内の延納の特約をすることができる。
2 前項の規定により延納の特約をしようとするときは、厚生大臣は、延納期限、担保及び利率について、大蔵大臣に協議しなければならない。
3 厚生大臣は、第二条の規定により公的医療機関に譲渡した同条第一号及び第二号に掲げる資産について、第一項の規定により延納の特約をした場合において、当該公的医療機関の設置者の行う当該資産の管理が適当でないと認めるときは、直ちにその特約を解除しなければならない。
(譲渡資産の対価の経理)
第七条 政府は、第二条の規定により譲渡した資産の対価を、国立病院特別会計法(昭和二十四年法律第百九十号)第四条の規定により、国立病院特別会計の歳入として経理するものとする。
(資産の所属替等)
第八条 政府は、医療施設の用に供するため取得した、又は医療施設の用に供されている第二条第一号及び第二号に掲げる資産を医療施設の用に供するため、一般会計と国立病院特別会計との間において、所属替又は所管換をしようとするときは、国有財産法第十五条の規定にかかわらず、当該会計間において無償として整理することができる。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行の際現に国立病院に勤務する職員で恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員であるものが、当該国立病院として経営されている医療機関の都道府県への移譲に伴い、昭和二十九年三月三十一日までに、引き続き都道府県の職員となつた場合には、恩給法の一部を改正する法律(昭和二十二年法律第七十七号)附則第十条の規定の適用がある場合を除く外、同条の規定を準用する。
(内閣総理・大蔵・厚生大臣署名)