統計報告調整法
法律第百四十八号(昭二七・五・二四)
(目的)
第一条 この法律は、統計報告の徴集方法、報告様式その他統計報告の徴集について必要な調整を行い、もつて統計報告の作成に伴う負担を軽減するとともに、行政事務の能率化を図ることを目的とする。
(この法律の運用)
第二条 統計委員会は、この法律の運用に当つては、関係行政機関の権限を不当に侵害しないように留意し、もつぱら統計上の見地から、統計報告の徴集について調整を行わなければならない。
(定義)
第三条 この法律において「統計報告」とは、国の行政機関(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する国の行政機関をいう。以下「行政機関」という。)が、直接又は地方公共団体の機関を通じ、左に掲げる者に対し、報告様式を示して提出を求める一定の時点又は期間についての報告で、その結果の全部又は一部が統計を作成するために用いられるものをいう。
一 人又は法人その他の団体(地方公共団体及び政令で定める法人を除く。以下同じ。)で、それらの総数が十以上となるもの
二 政令で定める文教施設、医療施設その他の国家行政組織法第八条に規定する機関又は政令で定めるこれらに準ずる地方公共団体の機関で、それらの総数に、ともに報告の提出を求められる人又は法人その他の団体の総数を加えたものが十以上となるもの
2 この法律において「報告様式」とは、調査票若しくは質問書又はこれらの様式をいう。
(統計報告の徴集についての承認)
第四条 統計報告の徴集を行おうとする行政機関の長は、左の各号の一に該当する場合を除く外、当該統計報告の徴集について、あらかじめ、統計委員会の承認を受けなければならない。
一 徴集方法及び報告様式が法律又は政令で定められている統計報告の徴集を行おうとする場合
二 統計法(昭和二十二年法律第十八号)第三条に規定する指定統計調査としての統計報告の徴集を行おうとする場合
2 前項の承認を受けようとする行政機関の長は、左に掲げる事項を記載した申請書を統計委員会に提出しなければならない。
一 当該行政機関の名称
二 目的
三 報告を求める事項
四 報告を求める者の範囲
五 報告を求める期日又は期間
六 徴集方法
七 徴収を行う期間
八 その他統計委員会が必要と認める事項
3 申請書には、報告様式及びその他の参考書類を添附しなければならない。
(承認の基準)
第五条 統計委員会は、前条の申請書を受理したときは、左の基準によつてこれを審査しなければならない。
一 当該統計報告の徴集が統計技術的に見て合理的であること。
二 当該統計報告の徴集と既に統計委員会が承認した統計報告の徴集との間に調整の必要がないこと。
2 統計委員会は、前項の規定による審査の結果、申請に係る統計報告の徴集が同項各号の基準に適合していると認めたときは、すみやかに、当該統計報告の徴集について期間を定めて承認しなければならない。
(承認又は不承認の通知)
第六条 統計委員会は、統計報告の徴集について承認した場合には、前条第二項に規定する期間(以下「承認期間」という。)及び承認番号を文書で当該行政機関の長に通知しなければならない。
2 統計委員会は、統計報告の徴集について承認しなかつた場合には、理由を付した文書でその旨を当該行政機関の長に通知しなければならない。
3 統計委員会は、第四条第一項各号に規定する統計報告の徴集を行おうとする行政機関の長が希望するときは、その求めに応じて、当該統計報告に承認番号を与えることができる。
(承認期間及び承認番号の明示)
第七条 統計報告の徴集について承認を受けた行政機関の長は、当該報告様式にその承認期間及び承認番号を明示しなければならない。
(統計報告の徴集の中止又は変更)
第八条 前条の行政機関の長は、当該統計報告の徴集を中止しようとする場合には、その旨を統計委員会に届け出なければならない。
2 前条の行政機関の長は、当該統計報告の徴集について変更しようとする場合には、変更しようとする統計報告の徴集について、新たに統計委員会の承認を受けなければならない。
(承認の変更)
第九条 統計委員会は、既に承認した統計報告の徴集が第五条第一項各号に規定する承認の基準に適合しなくなつたと認めたときは、当該行政機関の長に対し、当該統計報告の徴集について変更を求めることができる。
2 統計委員会は、前項の行政機関の長が同項の求めに応じないときは、当該統計報告の徴集についての承認期間を短縮することができる。
3 統計委員会は、前項の規定により承認期間を短縮した場合には、理由を付した文書でその旨を当該行政機関の長に通知しなければならない。
(統計報告の徴集の中止又は変更の要求)
第十条 統計委員会は、この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反する統計報告が徴集されていると認めたときは、当該行政機関の長に対し、当該統計報告の徴集の中止又は変更を求めることができる。
2 統計委員会は、前項の行政機関の長が同項の求めに応じないときは、内閣総理大臣に対し、当該統計報告の徴集の中止又は変更について必要な措置を求めることができる。
(異議の申立)
第十一条 行政機関の長は、第六条第二項の規定による通知又は第九条第三項の規定による通知を受けた場合において、その処分により当該行政機関の政策の実施が著しい支障を受けると認めるときは、内閣総理大臣に対し、異議の申立をすることができる。
2 前項の異議の申立は、同項の通知を受けた日から三十日以内に、不服の事由を記載した申立書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の申立書を受理したときは、異議の申立に理由があるかどうかを裁決しなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の裁決の結果、異議の申立が理由があると裁決したときは、統計委員会に対し、適当な処置をすることを命じなければならない。
(適用除外)
第十二条 この法律の規定は、政令で定める行政機関が政令で定める事務に関して行う統計報告の徴集については、適用しない。
(報告調整官)
第十三条 この法律の実施に関し、統計委員会と緊密な連絡を図るため、各行政機関の部内に、報告調整官を置くことができる。
2 前項の報告調整官は、当該行政機関の長がこれを命ずる。
(施行命令)
第十四条 この法律の実施のための手続その他その執行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して九十日をこえない期間内において政令で定める。
2 この法律施行の際現に徴集方法及び報告様式が法令に基いて定められている統計報告でこの法律施行後同一の徴集方法及び報告様式により徴集を行うものについては、政令で定める場合を除く外、当該行政機関の長は、この法律施行の日から三年間を限り、第四条第一項の規定にかかわらず、統計委員会の承認を受けないで当該統計報告の徴集を行うことができる。
3 統計法の一部を次のように改正する。
第六条第二項第三号を同項第四号とし、以下一号ずつ繰り下げ、同項第二号の次に次の一号を加える。
三 統計報告の徴集について調整を行うこと。
第六条の二第三号を同条第四号とし、同条第四号を同条第五号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。
三 統計報告調整法(昭和二十七年法律第百四十八号)に基いて統計報告の徴集について承認すること。
第八条第一項に次の但書を加える。
但し、統計報告調整法の規定により統計委員会の承認を受けた場合は、この限りでない。
(内閣総理大臣・法務総裁・外務・大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸・郵政・電気通信・労働・建設大臣・経済安定本部総裁署名)