阿波丸事件の見舞金に関する法律
法律第二百二十三号(昭二五・七・三一)
(この法律の目的)
第一条 この法律は、昭和二十年四月一日に貨客船阿波丸に乗つていた者で同船が同日に撃沈されたことに因り死亡したもの(以下「死亡者」という。)の遺族及び阿波丸の所有者日本郵船株式会社に対する見舞金の支給に関して規定することを目的とする。
(死亡者の遺族に対する見舞金の支給)
第二条 死亡者の遺族に対しては、見舞金を支給する。
(見舞金の支給を受ける遺族の範囲及び順位)
第三条 死亡者の遺族の範囲は、昭和二十年四月一日現在において死亡者と左の各号に掲げる親族関係にあつたものとし、その見舞金の支給を受ける順位は、当該各号の順によるものとする。但し、先順位の者が昭和二十年四月一日後に死亡した場合においては、同順位の他の者又は次順位者をもつて見舞金を受ける者とする。
一 配偶者(婚姻の届出をしないが事実上婚姻と同様の関係にあつた者を含む。)
二 子
三 父母
四 孫
五 祖父母
六 兄弟姉妹
(見舞金の額)
第四条 見舞金の額は、死亡者一人について七万円とする。但し、二人以上の死亡者について、一人の遺族が若しくは同順位において二人以上の遺族が見舞金の支給を受ける場合又は同順位において見舞金の支給を受ける遺族のいずれかがこれらの者が同順位者となる死亡者以外の死亡者についても見舞金を受ける者である場合においては、見舞金の額は、これらすべての死亡者について、死亡者が二人であるときは十二万円、三人以上であるときは十五万円とし、これらの額を死亡者の数で除して得た額を各死亡者についての見舞金の額とする。
(同順位の遺族が二人以上ある場合の見舞金の支給)
第五条 一人の死亡者について同順位において見舞金の支給を受ける遺族が二人以上ある場合においては、その死亡者についての見舞金は、これらの遺族に均分して支給する。
(見舞金の支給の請求)
第六条 第二条から前条までの規定によつて見舞金の支給を受けようとする者は、昭和二十六年一月三十一日までに、外務省令の定めるところにより、この法律の規定による見舞金を支給されるべき者であることを証する書類並びに同順位者の有無及び同順位者があるときはその氏名を記載した書面を添えて、外務大臣に対し、見舞金の支給を請求しなければならない。
2 外務大臣は、前項の請求を受けた場合において、その請求をした者に他に同順位者があることを同項の添付書類によつて知つたときは、遅滞なく、その同順位者に対して見舞金の支給の請求があつた旨を通知しなければならない。
3 同順位者が二人以上ある場合においては、見舞金は、その全額を第一項の請求をした者に支払うことができる。
4 第一項の期間内に見舞金の支給の請求をしなかつた者に対しては、見舞金は、支給しない。
(日本郵船株式会社に対する見舞金の支給)
第七条 日本郵船株式会社に対しては、見舞金千七百八十四万三千円を支給する。
附 則
この法律は、昭和二十五年八月一日から施行する。
(外務・大蔵・内閣総理大臣署名)