商工会議所法

法律第二百十五号(昭二五・五・三一)

 (法律の目的)

第一条 この法律は、商工業の改善発達を促進し、あわせて社会一般の福祉の増進に資するために、商工業者又は商工業の改善発達に寄与しようとする者等の組織する商工会議所について定め、その健全で、且つ、民主的な発達を図ることを目的とする。

 (基準及び原則)

第二条 商工会議所は、左の各号に掲げる要件を備えていなければならない。

 一 その地区内の商工業の改善発達を促進し、あわせてその地区内の福祉と繁栄を増進することを目的とすること。

 二 会員が、任意に加入し、又は脱退することができること。

 三 会員は、各々一箇の議決権を有すること。

 四 その名称中に、商工会議所の文字を用いていること。

2 商工会議所は、特定の会員の利益を目的として、その事業を行つてはならない。

3 商工会議所は、これを特定の政党のために利用してはならない。

 (法人格)

第三条 商工会議所は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条(公益法人の設立)の規定により設立される法人とする。

 (地区)

第四条 商工会議所の地区は、市(都の区のある区域においては、そのすべての区をあわせたもの。以下同じ。)の区域とする。但し、商工業の状況により必要があるときは、県の区域、町の区域又は市と市町村若しくは町と町村をあわせたものの区域とすることができる。

2 前項の区域の全部又は一部を地区とする商工会議所は、一箇とする。

 (都道府県又は全国を地区とする商工会議所)

第五条 前条第一項の区域を地区とする商工会議所は、同条の規定にかかわらず、都道府県の区域又は全国を地区とする商工会議所を設立することができる。

2 商工会議所でない者は、定款で特別の定をした場合に限り、前項の規定により設立される商工会議所の会員たる資格を有する。

 (事業)

第六条 商工会議所は、その目的を達するため、事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の定めるところに従つて、左に掲げる事業を行うことができる。

 一 商工会議所としての意見を公表し、又は適当な行政庁等に申し出ること。

 二 必要な調査研究を行い、統計を作成し、資料を収集し、若しくはこれらを公刊し、又は情報を提供し、若くはあつ旋すること。

 三 外国における通関のため必要がある場合において、輸出品の原産地証明をすること。

 四 依頼に応じて、必要な証明又は鑑定をすること。

 五 営業用でない施設を維持し、又は運用すること。

 六 講演又は講習を行うこと。

 七 見本市又は展示会を開催し、依頼に応じて、臨時に即売すること。

 八 会員その他の者と外国の事業者との間の事業に関する紛争を仲裁し、又は解決すること。

 九 依頼に応じて、事業者又は商品を紹介すること。

 十 商工業その他に関して相談に応ずること。

 十一 前各号に掲げるものの外、商工会議所の目的を達成するために必要な業務を行うこと。

 (名称)

第七条 商工会議所でない者(第二条第一項第一号から第三号まで及び第三条並びに第四条又は第五条第一項の規定に該当しない者をいう。以下同じ。)は、その名称中に、商工会議所の文字を用いてはならない。

2 前項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。

 (公正取引委員会の権限)

第八条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)及び事業者団体法の規定並びにこれらの法律の規定に基く公正取引委員会の権限は、この法律の規定によつて変更されるものと解釈してはならない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (現存する商工会議所及び非商工会議所)

2 この法律施行の際現に存する商工会議所であつて、第四条第二項の規定に適合していない者は、この法律施行の日から起算して六箇月以内に、同項の規定に適合するように必要な措置をしなければならない。

3 商工会議所でない者であつて、この法律施行の際現に商工会議所の名称を用いているものは、この法律施行の日から起算して六箇月以内に、その名称を変更するか、又は商工会議所となるなどのために、定款の変更その他必要な行為をしなければならない。

4 第七条第二項の規定は、前項の期間内に限り、同項に規定する者に適用しない。

(内閣総理・通商産業大臣署名) 

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