関税法の一部を改正する法律

法律第百十七号(昭二五・四・三〇)

 関税法(明治三十二年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。

 第三条中「収容貨物」の下に「又ハ保管貨物」を加える。

 第七条但書を次のように改める。

 但シ関税ヲ逋脱シタル場合又ハ其ノ逋脱ヲ為ス目的ヲ以テ予備若ハ未遂ヲ行ヒタル場合ノ関税ノ徴収権ハ此ノ限ニ在ラズ

 第三十一条ノ三の次に次の一条を加える。

第三十一条ノ四 旅客ノ携帯品前条第三項ノ貨物ニ該当スルトキハ保管証ト引換ニ之ヲ税関ニ保管スベシ

 前項ノ保管貨物前条ノ証明又ハ認定ヲ得ルニ至リタルトキハ第三十一条ノ免許ヲ得テ保管証ト引換ニ之ガ返還ヲ受クベシ

 第一項ノ保管貨物輸出又ハ輸入ノ免許ヲ受クルニ至ラザルトキ輸出貨物ハ之ヲ内地ニ引取リ輸入貨物ハ之ヲ積戻スベシ

 第一項ノ貨物ニ関スル一切ノ費用ハ貨主ノ負担トス

 第三十四条但書を次のように改める。

 但シ税関ノ認許ヲ得命令ノ定ムル所ニ依リ税金ニ相当スル担保ヲ提供シタルトキハ輸入貨物ノ引取ヲ為スコトヲ得

 第三章中「第五節 収容」を「第五節 収容及保管」に改める。

 第五節中第五十二条の次に次の一条を加える。

第五十二条ノ二 第三十一条ノ四第一項ノ保管貨物保管ノ日ヨリ四箇月以内ニ同条第二項又ハ第三項ノ処理ヲ為サザルトキハ之ヲ公売ニ付シ関税及其ノ貨物ニ関スル一切ノ費用ニ充テ残金アルトキハ之ヲ貨主ニ交付ス

 前項ノ貨物生活力ヲ有スル動植物ナルトキ、腐敗シ若ハ腐敗ノ虞アルトキ又ハ倉庫若ハ他ノ貨物ヲ害スルノ虞アルトキハ前項ノ期限ニ拘ラズ之ヲ公売ニ付スルコトヲ得

 第五十一条ノ二及第五十二条ノ規定ハ前二項ノ場合ニ付之ヲ準用ス

 第七十四条及び第七十五条を次のように改める。

第七十四条 関税定率法第十一条ニ掲グル貨物ノ輸入ヲ為シタル者ハ五年以下ノ懲役若ハ五十万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス

 前項ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備ヲ為シタル者又ハ同項ノ犯罪ノ実行ニ着手シ之ヲ遂ゲザル者亦同項ニ同ジ

 前二項ノ犯罪ニ係ル貨物ノ原価ノ二倍ガ五十万円ヲ超ユルトキハ情状ニ因リ前二項ノ罰金ハ五十万円ヲ超エ其ノ原価ノ二倍ニ相当スル金額以下ト為スコトヲ得

第七十五条 関税ヲ逋脱シタル者ハ五年以下ノ懲役若ハ五十万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス

 前項ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備ヲ為シタル者又ハ同項ノ犯罪ノ実行ニ着手シ之ヲ遂ゲザル者亦同項ニ同ジ

 前二項ノ犯罪ニ係ル貨物ニ対スル関税(前二項ノ犯罪ニ係ル貨物ガ関税定率法別表輸入税表第四百十二号第二項ニ掲グル貴石ナルトキハ其ノ原価トス以下本項ニ於テ同ジ)ノ十倍ガ五十万円ヲ超ユルトキハ情状ニ因リ前二項ノ罰金ハ五十万円ヲ超エ当該関税ノ十倍ニ相当スル金額以下ト為スコトヲ得

 第七十五条ノ二を削る。

 第七十六条を次のように改める。

第七十六条 免許ヲ受ケズシテ貨物ノ輸出又ハ輸入ヲ為シタル者ハ五年以下ノ懲役若ハ五十万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス

 前項ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備ヲ為シタル者又ハ同項ノ犯罪ノ実行ニ着手シ之ヲ遂ゲザル者亦同項ニ同ジ

 前二項ノ犯罪ニ係ル貨物ノ原価ノ二倍ガ五十万円ヲ超ユルトキハ情状ニ因リ前二項ノ罰金ハ五十万円ヲ超エ其ノ原価ノ二倍ニ相当スル金額以下ト為スコトヲ得

前三項ノ規定ハ第七十四条又ハ第七十五条ニ該当スルモノニハ之ヲ適用セズ

 第七十六条ノ二を次のように改める。

第七十六条ノ二 第七十四条、第七十五条又ハ第七十六条ノ犯罪ニ係ル貨物ノ運搬、寄蔵、収受、故買又ハ牙保ヲ為シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ三十万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス

前項ノ犯罪ニ係ル貨物ノ原価ガ三十万円ヲ超ユルトキハ情状ニ因リ前項ノ罰金ハ三十万円ヲ超エ其ノ原価ニ相当スル金額以下ト為スコトヲ得

 第七十七条中「三万円」を「十万円」に改める。

 第八十二条第二号中「、第八十四条(第百一条ノ二ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)又ハ第八十五条」を削る。

 第八十二条ノ四を次のように改める。

第八十二条ノ四 本法ヲ犯シタル者ニハ刑法第四十八条第二項、第六十三条及第六十六条ノ規定ハ之ヲ適用セズ但シ第七十四条乃至第七十七条ノ場合ニ於テ懲役ノ刑ニ処スルトキ若ハ懲役及罰金ヲ併科スルトキニ於ケル懲役ノ刑ニ付又ハ第七十八条若ハ第八十二条ノ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ

 第八十三条第一項を次のように改める。

 第七十四条、第七十五条若ハ第七十六条ノ犯罪ニ係ル貨物、其ノ犯罪行為ノ用ニ供シタル船舶又ハ第七十六条ノ二ノ犯罪ニ係ル貨物ニシテ犯人ノ所有又ハ占有ニ係ルモノハ之ヲ没収ス

 第八十六条を次のように改める。

第八十六条 税関官吏ハ犯則事件ノ調査ヲ為スニ当リ必要ト認ムルトキハ犯則嫌疑者若ハ参考人ニ対シ質問シ此等ノ者ノ任意ニ提出シタル物件、帳簿、書類等ヲ検査シ又ハ領置スルコトヲ得

 第八十七条中「検査(第八十四条ノ場合ニ限ル)、」を「検査(第八十四条及第八十六条ノ場合ニ限ル)、領置、」に改める。

 第九十条第一項中「差押ヘタルトキハ差押目録」を「差押ヘタルトキ又ハ領置シタルトキハ其ノ差押目録又ハ領置目録」に改め、同条第二項及び第三項中「差押物件」を「差押物件又ハ領置物件」に改める。

 第九十一条第一項中「臨検捜索又ハ差押ハ」の下に「許可状ニ夜間執行スルコトヲ得ル旨ノ記載ナルトキハ」を加える。

 第九十三条中「税関官吏質問、」の下に「検査(第八十六条ノ場合ニ限ル)、領置、」を加える。

   附 則

1 この法律は、昭和二十五年五月一日から施行する。

2 この法律施行の際財産及び貨物の輸出入の取締に関する政令(昭和二十四年政令第百九十九号)第二十八条第一項の規定により交付を受けている個別保管証は、関税法第三十一条ノ四第一項の改正規定による保管証とみなす。

(法務総裁・大蔵・内閣総理大臣署名) 

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