教育委員会法
法律第百七十号(昭二三・七・一五)
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、教育が不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきであるという自覚のもとに、公正な民意により、地方の実情に即した教育行政を行うために、教育委員会を設け、教育本来の目的を達成することを目的とする。
第二条 教育委員会の組織、権限及び職務は、この法律の定めるところによる。
(設置)
第三条 教育委員会は、都道府県及び市(特別区を含む。以下同じ。)町村にこれを設置する。但し、町村は、必要がある場合には、一部事務組合を設けて、その組合に教育委員会を設置することができる。
2 前項の一部事務組合の教育委員会に関し必要な事項は、政令でこれを定めることができる。
3 この法律で「都道府県委員会」とは、都道府県に設置する教育委員会を、「地方委員会」とは、市町村に設置する教育委員会をいう。
(権限)
第四条 教育委員会は、従来都道府県若しくは都道府県知事又は市町村若しくは市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の権限に属する教育、学術及び文化(教育という。以下同じ。)に関する事務、並びに将来法律又は政令により当該地方公共団体及び教育委員会の権限に属すべき教育事務を管理し、及び執行する。
2 大学及び私立学校は、法律に別段の定がある場合を除いては、教育委員会の所管に属しない。
(経費の負担)
第五条 教育委員会に要する経費は、当該地方公共団体の負担とする。
(経費の補助)
第六条 教育委員会に要する経費及びその所掌に係る経費は、国庫からこれを補助することができる。
第二章 教育委員会の組織
第一節 教育委員会の委員
(委員)
第七条 都道府県委員会は七人の委員で、地方委員会は五人の委員で、これを組織する。
2 第三項に規定する委員を除く委員は、日本国民たる都道府県又は市町村の住民が、これを選挙する。
3 委員のうち一人は、当該地方公共団体の議会の議員のうちから、議会において、これを選挙する。
(任期)
第八条 選挙による委員の任期は四年とし、二年ごとにその半数を改選する。但し、補欠委員は、前任者の残任期間在任する。
2 前項の任期は、通常選挙の日から、これを起算する。
3 議会において選挙する委員の任期は、議員の任期中とする。
(選挙)
第九条 都道府県又は市町村の議会の議員の選挙権又は被選挙権を有する者は、都道府県委員会又は地方委員会の委員の選挙権又は被選挙権を有する。
第十条 国会の議員、地方公共団体の議会の議員(第七条第三項の委員たる議員を除く。)、国家公務員及び地方公共団体の有給の職員は、教育委員会の委員を兼ねることができない。
2 都道府県委員会の委員と、地方委員会の委員とは、これを兼ねることができない。
第十一条 通常選挙は、二年ごとに、選挙による委員の定数の半数についてこれを行う。
第十二条 委員の選挙においては、選挙区を設けない。
第十三条 委員の選挙に関する事務は、当該地方公共団体の選挙管理委員会が、これを管理する。
第十四条 都道府県委員会の委員の選挙と、地方委員会の委員の選挙とは、これを同時に行うことができる。
第十五条 委員の選挙は、市町村の議会の議員の選挙に関する選挙人名簿により、これを行う。
第十六条 委員の候補者は、選挙人の推薦によるものでなければならない。
2 前項の推薦は、選挙人が本人の承諾を得て、六十人以上の連署をもつて、その代表者から選挙長に届け出なければならない。
第十七条 委員の被選挙権を有する者は、同時に二つの教育委員会の委員の候補者となることができない。
第十八条 委員の候補者の届出には、供託金を要しない。
第十九条 教育委員会の委員の選挙においては、有効投票の最多数を得た者をもつて当選人とする。
2 当選人を定めるに当り得票数が同じであるときは、選挙会において、選挙長が、くじでこれを定める。
第二十条 在任期間を異にする委員の選挙を合併して行つた場合においては、得票数の多い者から、在任期間の長い当選人を選ばなければならない。
2 得票数が同じである者のうち、任期の長短を定める必要がある場合には、選挙会において、選挙長が、くじでこれを定めなければならない。
第二十一条 当選人が当選を辞したとき、死亡者であるとき、又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第五十七条の規定により当選を失つたときは、直ちに選挙会を開き当選人にならなかつた者のうち、得票数の最も多い者から順次に、当選人を定めなければならない。
2 地方自治法第六十二条第一項第五号から第七号までの事由若しくは欠員が、同法第六十条第一項の期限前に生じたときは、当選人にならなかつた者のうち、得票数の最も多い者から順次に、又はその期限経過後に生じた場合において、第十九条第二項の適用を受けた者があるときは、その者のうちから、選挙会を開き、当選人を定めなければならない。
第二十二条 在任期間を異にする委員の選挙を合併して行つた場合において、普通地方公共団体の議会の議員の選挙に関する地方自治法第五十八条の規定の適用があるときは、選挙会において、選挙長が、くじでいずれの委員候補者をもつて、在任期間の長い委員の当選人とするかを定めなければならない。
第二十三条 地方自治法第六十二条第一項第一号から第三号までに掲げる事由が生じた場合、又は同条第一項第四号から第七号までに掲げる事由若しくは欠員が、地方自治法第六十条第一項の期限前に生じた場合において、更に選挙を行わないで当選人を定めることができないときは、更に選挙を行う。
第二十四条 地方自治法第六十二条第一項第四号から第七号までに掲げる事由若しくは欠員が、同法第六十条第一項の期限経過後に生じた場合において、当選人を定めることができないときは、教育委員会において、委員の被選挙権を有する者のうちから、すみやかに補充委員を選任する。
2 補充委員の任期は、次の通常選挙の期日の前日までとし、その委員の任期終了による欠員については、次の通常選挙とあわせて補欠委員の選挙を行う。
第二十五条 地方自治法第六十条第一項の期限経過後、議会において選挙された委員を除くすべての委員が欠けたときは、前条第一項の規定にかかわらず、補欠委員の選挙を行う。
2 前項の事由が、次の通常選挙前六箇月以内に生じたときは、前項の規定にかかわらず、前条第一項の規定による。
第二十六条 第七条第三項の規定による委員が欠けたときは、議会は、すみやかに委員を選挙しなければならない。
第二十七条 地方自治法第七十二条第一項に規定する都道府県知事の選挙運動に関する規定は、委員の選挙の選挙運動に、同条第三項の規定は、都道府県委員会の委員の選挙に、これを準用する。但し、同条第一項で準用する衆議院議員選挙法(大正十四年法律第四十七号)第百四十条第四項中「都議会議員選挙管理委員会又は道府県会議員選挙管理委員会」とあるのは、地方委員会の委員の選挙については、「当該地方公共団体の選挙管理委員会」と読み替えるものとする。
第二十八条 委員の選挙については、この法律又はこれに基く政令に別段の定がある場合を除いては、地方自治法に定める普通地方公共団体の議会の議員の選挙に関する規定を準用する。
(委員の解職の請求)
第二十九条 委員の選挙権を有する者は、委員の解職の請求をすることができる。
2 前項の解職の請求に関しては、地方自治法に定める普通地方公共団体の議会の議員の解職の請求の例による。
(委員の辞職及び資格の決定)
第三十条 委員の辞職及び資格の決定については、地方自治法第六章第八節の規定(第百二十六条但書の規定を除く。)を準用する。但し、「普通地方公共団体の議会」とあるのは、「教育委員会」と、「議員」とあるのは「委員」と読み替えるものとする。
(委員の報酬及び費用弁償)
第三十一条 地方公共団体は、当該教育委員会の委員に対し報酬を支給しなければならない。但し、給料は支給しない。
2 委員は、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。
3 報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法は、当該地方公共団体の条例でこれを定めなければならない。
(委員の服務等)
第三十二条 委員の宣誓、法令等に従う義務及び服務に関しては、別に地方公共団体の職員に関して規定する法律で、これを定める。
第二節 教育委員会の会議
(委員長及び副委員長)
第三十三条 教育委員会は、委員のうちから、委員長及び副委員長各一人を選挙しなければならない。
2 委員長及び副委員長の任期は、一年とする。但し、再選されることができる。
3 委員長は、教育委員会の会議を主宰する。
4 副委員長は、委員長を助け、委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を行う。
(会議の招集)
第三十四条 教育委員会の会議は、委員長が、これを招集する。
2 委員二人以上の者から、書面で会議に付議すべき事件を示して、臨時会の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。
3 会議開催の場所及び日時は、会議に付議すべき事件とともに、委員長が、あらかじめこれを告示しなければならない。
4 招集は、開会の日前、都道府県委員会にあつては七日、地方委員会にあつては三日までに、これを告示しなければならない。但し、急施を要する場合は、この限りでない。
(定例会及び臨時会)
第三十五条 教育委員会の会議は、定例会及び臨時会とする。
2 定例会は、毎月一回これを招集しなければならない。
3 臨時会は、必要がある場合において、その事件に限り、これを招集する。
4 会議招集の告示後に急施を要する事件があるときは、前条第三項及び前項の規定にかかわらず、直ちに、これを会議に付議することができる。
(会議の定足数)
第三十六条 教育委員会の会議は、在任委員の半数以上が出席しなければ、これを開くことができない。但し、同一の事件につき再度招集しても、なお半数に達しないときは、この限りでない。
(会議の公開)
第三十七条 教育委員会の会議は、これを公開する。但し、委員の発議により、出席委員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 前項の委員の発議は、討論を行わないで、その可否を決しなければならない。
(議決の方法)
第三十八条 教育委員会の議事は、出席委員の過半数で、これを決する。
(議事参与の制限)
第三十九条 教育委員会の委員は、自己又は配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件については、その議事に参与することができない。但し、会議に出席し、発言することができる。
(会議規則)
第四十条 教育委員会は、会議規則及び傍聴人規則を設けなければならない。
2 この法律に別段の定がある場合を除いては、教育委員会の会議に関する事項は、会議規則でこれを定めることができる。
第三節 教育長及び事務局
(教育長)
第四十一条 教育委員会に、教育長を置く。
2 教育長は、別に教育職員の免許に関して規定する法律の定める教育職員の免許状を有する者のうちから、教育委員会が、これを任命する。
3 教育長の任期は、四年とする。但し、再任することができる。
第四十二条 教育長は、教育委員会の指揮監督を受け、教育委員会の処理するすべての教育事務をつかさどる。
(事務局)
第四十三条 教育委員会の職務権限に属する事項に関する事務を処理させるため、教育委員会に事務局を置く。
(事務局の部課)
第四十四条 都道府県委員会の事務局には、教育委員会規則の定めるところにより、必要な部課(会計及び土木建築に関する部課を除く。)を置く。但し、教育の調査及び統計に関する部課並びに教育指導に関する部課は、これを置かなければならない。
2 地方委員会の事務局には、教育委員会規則の定めるところにより、必要な部課を置くことができる。
(事務局の職員)
第四十五条 都道府県委員会の事務局に、指導主事、教科用図書の検定又は採択、教科内容及びその取扱、建築その他必要な事項に関する専門職員並びにその他必要な事務職員を置く。
2 地方委員会の事務局には、都道府県委員会の事務局に準じて必要な職員を置く。
3 前二項に規定する職員の定数は、当該地方公共団体の条例で、これを定めなければならない。
4 第一項及び第二項の職員並びに学校の事務職員は、教育長の推薦により、教育委員会が、これを任命する。
第四十六条 指導主事は、教員に助言と指導を与える。但し、命令及び監督をしてはならない。
第四十七条 教科用図書の検定又は採択、教科内容及びその取扱、その他特殊な事項に関する専門職員には、教員をもつて、これに充てることができる。但し、その期間中は、教員の職務を行わないことができる。
第三章 教育委員会の職務権限
(教育委員会の所管)
第四十八条 都道府県委員会は、都道府県の設置する学校その他の教育機関を、地方委員会は、当該地方公共団体の設置する学校その他の教育機関をそれぞれ所管する。
2 当該教育委員会は、その協議により都道府県の設置する高等学校を市町村に、又は市町村の設置する高等学校を都道府県に移管することができる。
(教育委員会の事務)
第四十九条 教育委員会は左の事務を行う。但し、この場合において教育長に対し、助言と推薦を求めることができる。
一 学校その他の教育機関の設置及び廃止に関すること。
二 学校その他の教育機関の運営及び管理に関すること。
三 教科内容及びその取扱に関すること。
四 教科用図書の採択に関すること。
五 別に教育公務員の任免等に関して規定する法律の規定に基き、校長及び教員の任免その他の人事に関すること。
六 教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。
七 教員その他教育関係職員の組織する労働組合に関すること。
八 学校その他の教育機関の敷地の設定及び変更並びに校舎その他建物の営繕、保全の計画及びその実施の指導に関すること。
九 教具その他の設備の整備計画に関すること。
十 教育委員会規則の制定又は改廃に関すること。
十一 教育委員会の所掌に係る歳入歳出予算に関すること。
十二 教育目的のための基本財産及び積立金の管理に関すること。
十三 教育事務のための契約に関すること。
十四 社会教育に関すること。
十五 校長、教員その他教育職員の研修に関すること。
十六 証書及び公文書類を保管すること。
十七 教育の調査及び統計に関すること。
十八 その他法律に別段の定のない、その所轄地域の教育事務に関すること。
第五十条 都道府県委員会は、前条各号に掲げる事務を行う外、左の事務を行う。但し、この場合において、教育長に対し、助言と推薦を求めることができる。
一 別に教育職員の免許に関して規定する法律の定めるところに従い、教育職員の免許状を発行すること。
二 文部大臣の定める基準に従い、都道府県内のすべての学校の教科用図書の検定を行うこと。
三 地方委員会に対し、技術的、専門的な助言と指導を与えること。
四 高等学校の通学区域の設定又は変更に関すること。
五 その他法令により、その職務権限に属する事項
第五十一条 校長及び教員の任免、給与等の人事その他共通する必要な事項を決定するために、都道府県内の地方委員会と都道府県委員会が連合して協議会を設けることができる。
2 前項の協議会の決議は、全員一致によらなければならない。
3 協議会に関して必要な事項は、当該教育委員会の協議によつて、これを定めなければならない。
第五十二条 特別区の教育委員会については、第四十九条第一項第三号及び第四号の規定は、これを適用せず、都の教育委員会が、これを行う。
(教育委員会規則)
第五十三条 教育委員会は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し教育委員会規則を制定することができる。
2 教育委員会規則は、一定の公告式により、これを告示しなければならない。
(通学区域の設定)
第五十四条 都道府県委員会は、高等学校の教育の普及及びその機会均等を図るため、その所轄の地域を数箇の通学区域に分ける。但し、必要がある場合には、生徒の就学につきこれを調整することができる。
(報告書の提出)
第五十五条 都道府県委員会は、地方委員会に対し、文部大臣は、都道府県委員会及び地方委員会に対し、各所轄区域の教育に関する年報その他必要な報告書を提出させることができる。
2 法律に別段の定がある場合の外、文部大臣は、都道府県委員会及び地方委員会に対し、都道府県委員会は、地方委員会に対して行政上及び運営上指揮監督をしてはならない。
(予算の編成)
第五十六条 教育委員会は、毎会計年度、その所掌に係る歳入歳出の見積に関する書類を作成し、これを地方公共団体における予算の統合調整に供するため、地方公共団体の長に送付しなければならない。
第五十七条 地方公共団体の長は、毎会計年度、歳入歳出予算を作成するに当つて、教育委員会の送付に係る歳出見積を減額しようとするときは、あらかじめ教育委員会の意見を求めなければならない。
第五十八条 地方公共団体の長は、教育委員会の歳出見積を減額した場合においては、教育委員会の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に付記するとともに、地方公共団体の議会が教育委員会の送付に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。
(予算の執行)
第五十九条 地方公共団体の議会において予算を議決したときは、地方公共団体の長は、教育委員会の所掌に係る予算を、当該教育委員会に配当しなければならない。
第六十条 教育委員会は、その所掌に係る予算について、その配当の範囲内で、支出を出納長又は収入役に命令する。
(議会の議決を経るべき事件)
第六十一条 教育委員会は、法令により地方公共団体の議会の議決を経るべき事件のうち、左のものに関する議案の原案を、地方公共団体の長に送付する。
一 教育目的のための基本財産及び積立金の設置、管理及び処分に関すること。
二 教育事業のための地方債に関すること。
三 授業料その他教育に関する使用料及び手数料に関すること。
四 第三十一条第三項、第四十五条第三項及び第六十六条第二項に規定する条例の制定又は改廃に関すること。
第六十二条 地方公共団体の長は、前条各号の事件につきその議案を地方公共団体の議会の議決に付するに当つて、教育委員会の送付に係る原案を修正しようとするときは、あらかじめ教育委員会の意見を求めなければならない。
第六十三条 地方公共団体の長は、教育委員会の送付に係る原案を修正した場合においては、その議案に教育委員会の送付に係る原案及び教育委員会の意見を付記しなければならない。
(教育委員会及び教育長の代理執行)
第六十四条 委員が、すべて欠けて、第二十五条第二項の規定によることができない場合には、教育委員会の行う事務は、教育長が、これを行う。
2 前項の規定による処理については、教育長は、次の会議において、これを教育委員会に報告しなければならない。
第六十五条 都道府県委員会の委員がすべて欠け、更にその教育長も欠けた場合には、文部大臣は、当該都道府県委員会の教育長代理を任命する。
2 地方委員会の委員がすべて欠け、更にその教育長も欠けた場合には、都道府県委員会は、当該地方委員会の教育長代理を任命する。
3 前項の場合において、都道府県委員会の委員がすべて欠けたときは、都道府県の教育長が前項の教育長代理を任命する。
4 第一項及び第二項の教育長代理は、当該教育委員会の次の最初の会議まで在任する。
第四章 雑則
(学校その他の教育機関の職員)
第六十六条 都道府県及び市町村に校長、教員及び学校の事務職員を置く。
2 校長、教員及び学校の事務職員の定数は、法律又は政令に別段の定がある場合の外、当該地方公共団体の条例で、これを定めなければならない。
3 校長及び教員の身分に関しては、この法律に別段の定があるものを除く外、別に教育公務員の任免等に関して規定する法律の定めるところによる。
4 教育委員会の所管に属する学校以外の教育機関に、必要な職員を置く。
(教育職員等の身分取扱)
第六十七条 教育委員会の任命に係る教育職員のうち、別に教育職員の免許に関して規定する法律の定める教育職員の免許状を必要とする職員(校長及び教員を除く。)の身分取扱に関しては、この法律に定めるものを除く外、別に教育公務員の任免等に関して規定する法律の定めるところによる。
2 前項以外の職員の身分取扱に関しては、この法律に定めるものを除く外、別に地方公共団体の職員に関して規定する法律の定めるところによる。
(職員の給与)
第六十八条 前二条に規定する職員の給与に関しては、法律に別段の定のある場合の外、地方自治法第八章に規定する地方公共団体の長の補助機関たる職員の給与に関する規定を準用する。
附 則
第六十九条 この法律は、公布の日からこれを施行する。但し、第九十四条の規定は、昭和二十三年十一月一日からこれを施行する。
第七十条 大阪市、京都市、名古屋市、神戸市及び横浜市(五大市という。以下同じ。)を除く市町村の教育委員会の設置は、昭和二十五年十一月一日までに、これを行わなければならない。但しその設置に関し必要な事項は、政令でこれを定めることができる。
第七十一条 この法律施行後、都道府県又は五大市の教育委員会が成立するまでの間、この法律により教育委員会が行うべき事務は、なお従前の例により、各相当機関がこれを行う。
第七十二条 この法律により初めて行う都道府県又は五大市の教育委員会の委員の選挙は、昭和二十三年十月五日に、任期四年の委員の選挙と、任期二年の委員の選挙とをそれぞれ一つの選挙で合併して、これを行う。
2 前項の選挙が行われたときは、都道府県及び五大市の議会は、二十日以内に第七条第三項の委員を選挙し、その結果を都道府県知事、又は市長に報告しなければならない。
第七十三条 前条第一項の選挙が行われたときは、都道府県知事又は五大市の市長は、二十日以内に、教育委員会の会議を招集しなければならない。
2 都道府県及び五大市の教育委員会は、昭和二十三年十一月一日に成立するものとする。
第七十四条 教育委員会が成立した場合においては、その成立の日から、都道府県知事にあつては三十日以内、五大市の市長にあつては二十日以内に、第四条に規定する事務を当該教育委員会に引き継がなければならない。
第七十五条 前条の規定による事務引継の場合においては、都道府県知事又は五大市の市長は、書類、帳簿及び財産目録を調整し、処分未了若しくは未着手の事項又は将来企画すべき事項については、その処理の順序及び方法並びにこれに対する意見を記載しなければならない。
第七十六条 前二条に規定するものの外、第七十四条による教育委員会の事務引継に関しては、地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)第四章第一節に規定する普通地方公共団体の長の事務引継に関する規定による。
第七十七条 昭和二十三年十一月一日に都道府県及び五大市の教育局部の長及びその職員は、それぞれ現にある級及び現に受ける号俸に相当する給料をもつて、都道府県又は五大市の教育委員会の教育長又は事務局の職員に、任用されたものとみなす。
2 前項の教育長の在任期間は、昭和二十四年三月三十一日までとする。
第七十八条 教育委員会は、別に教育職員の免許に関して規定する法律が定められるまでの間、第四十一条の規定にかかわらず別に政令で定める資格を有する者のうちから教育長を任命する。
2 教育委員会は、当分の間、第四十一条及び前項に規定する教育長の資格を有する者を得ることができないときは、その資格を有しない者のうちから、教育長を任命することができる。
3 前項の教育長の任期は、これを一年とする。
第七十九条 都道府県又は五大市の従前の条例又は規則のうち教育に関するものは、これをこの法律に基いて設けた条例又は教育委員会規則とみなす。
第八十条 この法律施行の際における公共学校の校長、教員及び学校の事務職員の各級別の定数は、現に公立学校官制(昭和二十一年勅令第二百十三号)並びに公立中学校、小学校及び幼稚園官制(昭和二十三年政令第二十号)の規定による地方教官又は地方事務官たる者の定員による。
2 前項の定数は、第六十六条第二項の条例で、これを設けたものとみなす。
第八十一条 この法律に別段の定があるものを除く外、第六十七条に規定する職員の職階制、試験、任免、給与、能率、分限、懲戒、保障、服務その他身分取扱に関しては、別に教育公務員の任免等に関して規定する法律及び地方公共団体の職員に関して規定する法律が定められるまでの間、都道府県又は市町村の長の補助機関たる職員に関する規定による。但し、政令で特別の規定を設けることができる。
第八十二条 公立学校の事務職員で地方事務官たる者の職階制、試験、任免、給与、能率、分限、懲戒、保障、服務その他身分取扱に関しては、別に地方公共団体の職員に関して規定する法律が定められるまで、従前の公立学校の地方事務官に関する各相当規定を準用する。但し、政令で特別の規定を設けることができる。
第八十三条 この法律施行の際、現に公立学校の事務職員で地方事務官たる者は、この法律若しくはこれに基く政令又は他の法律で別に定めるものを除く外、それぞれ現にある級及び現に受ける号俸に相当する給料をもつて当該公立学校の事務職員に任用され、引き続き現にある職に相当する職に補せられたものとする。
第八十四条 この法律施行の際、現に公立学校の事務職員で地方事務官たる者が、引き続き当該公立学校の事務職員となつた場合には、これを従前の身分のまま勤続するものとみなし、当分の間、これに恩給法(大正十二年法律第四十八号)の規定を準用する。この者が当該公立学校の事務職員から更に官吏となつた場合には、恩給法の適用については、その当該地方公共団体の職員としての在職期間は、これを公務員としての在職年に通算する。
第八十五条 第四条の大学には、当分の間、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十八条の規定により従前の学校として在続する高等学校、大学予科、専門学校及び教員養成諸学校を含むものとする。
第八十六条 教科用図書は、第四十九条第四号及び第五十条第二号の規定にかかわらず、用紙割当制が廃止されるまで、文部大臣の検定を経た教科用図書又は文部大臣において著作権を有する教科用図書のうちから、都道府県委員会が、これを採択する。
第八十七条 市(五大市を除く。この条中以下同じ。)町村に教育委員会が設置されるまでの間、市町村の教育に関する事務は、従来市町村又は市町村長の権限に属するものを除く外、都道府県委員会が、これを所管する。
第八十八条 市(五大市を除く。)町村に設置される教育委員会の成立に関しては、五大市の教育委員会の成立の場合の例による。
第八十九条 地方学事通則(大正三年法律第十三号)は、これを廃止する。
第九十条 教育事務のために設ける市町村の一部事務組合は、これを市町村学校組合と称する。
第九十一条 地方学事通則に規定する学区の財産は、同法第四条の規定に従い、昭和二十三年十二月三十一日までに、これを処分する。
第九十二条 教科書の発行に関する臨時措置法(昭和二十三年法律第百三十二号)の一部を、次のように改正する。
第五条第一項、第六条第一項及び第二項、並びに第七条第一項及び第二項中「都道府県知事」を「都道府県の教育委員会」に、第七条中「国立の学校の長」を「市町村の教育委員会、国立及び私立の学校の長」に改める。
第九十三条 学校教育法の一部を次のように改正する。
第二十九条、第三十一条、第三十二条及び第七十四条中「その議会の議決を経て、」を削る。
第三十四条中「公立又は」を削る。
第三十条、第三十一条及び第三十三条中「又は町村学校組合」を削る。
第百六条第二項として、次の一項を加える。
第四条の認可する監督庁及び第十四条の監督庁は、公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園については、当分の間、これを都道府県委員会とする。
第百七条 この法律において市町村立小学校の管理機関とは、当分の間、教育委員会の置かれない市町村にあつては、これを市町村とする。
第九十四条 地方自治法の一部を次のように改正する。
第百二十一条中「監査委員及び市町村の公安委員会の委員」を「監査委員、市町村の公安委員の委員及び教育委員会の委員」に改める。
第百二十五条中「監査委員又は当該市町村の公安委員会」を「監査委員、当該市町村の公安委員会及び教育委員会」に改める。
第百五十八条中
「 |
四 教育局 (一)教育学芸に関する事項 |
」 |
及び
「 |
三 教育部 (一)教育学芸に関する事項 |
」 |
を削る。
第百七十三条第一項中「、技術吏員及び教育吏員」を「及び技術吏員」に改め、同条第四項を削る。
第九十五条 校長及び教員の身分取扱については、別に教育公務員の任免等に関して規定する法律が定められるまでの間は、第四十九条第五号並びに第六十六条第一項及び第三項の規定にかかわらずなお従前の例による。但し、政令で特別の規定を設けることができる。
(文部・内閣総理大臣署名)