森林法等の一部を改正する法律

法律第三十八号(平三・四・二六)

 (森林法の一部改正)

第一条 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第二節 市町村による森林の整備の推進(第十条の七―第十条の十二)」を

第二節 市町村等による森林の整備の推進(第十条の七―第十条の十二)

 
 

第二節の二 森林整備協定の締結の促進(第十条の十三・第十条の十四)

 に改める。

  第四条の見出しを「(全国森林計画等)」に改め、同条第二項第三号の二の次に次の一号を加える。

  三の三 特定森林施業(複層林施業その他の森林の有する公益的機能の維持増進を特に図るための森林施業をいう。以下同じ。)を推進すべき森林(以下「特定施業森林」という。)の整備に関する事項

  第四条第二項第四号の次に次の一号を加える。

  四の二 森林施業の合理化に関する事項

  第四条第六項中「全国森林計画」の下に「及び森林整備事業計画」を加え、「これ」を「これらの計画」に、「当該」を「これらの」に改め、同項を同条第九項とし、同条第五項中「全国森林計画」の下に「及び森林整備事業計画」を加え、「これ」を「これらの計画」に、「聞かなければならない」を「聴かなければならない」に改め、同項を同条第七項とし、同項の次に次の一項を加える。

 8 農林水産大臣は、全国森林計画及び森林整備事業計画をたて、又はこれらの計画を変更するには、閣議の決定を経なければならない。

  第四条第四項中「全国森林計画」の下に「及び森林整備事業計画」を加え、同項を同条第六項とし、同条第三項の次に次の二項を加える。

 4 農林水産大臣は、全国森林計画に掲げる森林の整備の目標の計画的かつ着実な達成に資するため、全国森林計画の作成と併せて、五年ごとに、森林整備事業(造林、間伐及び保育並びに林道の開設及び改良の事業で政令で定める者が実施するものをいう。以下同じ。)に関する計画(以下「森林整備事業計画」という。)をたてなければならない。

 5 森林整備事業計画においては、全国森林計画の計画期間のうち最初の五年間に係る森林整備事業の実施の目標及び事業量を定めるものとする。

  第四条の次に次の一条を加える。

 第四条の二 国は、森林整備事業計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。

  第五条第二項第三号中「伐採方法を特定する必要のある森林の所在及びその伐採方法」を「立木の伐採の標準的な方法」に改め、同項第四号中「造林方法を特定する必要のある森林の所在及びその造林方法」を「造林の標準的な方法」に改め、同項第四号の二の次に次の一号を加える。

  四の三 特定施業森林の区域(以下「特定施業森林区域」という。)及び当該区域内における施業の方法その他特定施業森林の整備に関する事項

  第五条第二項第五号の次に次の一号を加える。

  五の二 森林施業の共同化その他森林施業の合理化に関する事項

  第五条第五項中「聞かなければならない」を「聴かなければならない」に改め、同項に後段として次のように加える。

   この場合において当該地域森林計画に係る森林計画区の区域内に第七条の二第一項の森林計画の対象となる国有林があるときは、都道府県知事は、併せて関係営林局長又は営林支局長の意見を聴かなければならない。

  第七条の次に次の一条を加える。

  (国有林の地域別の森林計画)

 第七条の二 営林局長又は営林支局長は、全国森林計画に即して、森林計画区別に、その管理経営する国有林で当該森林計画区に係るもの(その自然的経済的社会的諸条件及びその周辺の地域における土地の利用の動向からみて、森林として利用することが相当でないと認められる国有林を除く。)につき、五年ごとに、その計画をたてる年の翌年四月一日以降十年を一期とする森林計画をたてなければならない。

 2 前項の森林計画においては、第五条第二項第一号から第五号まで及び第六号から第八号までに掲げる事項並びに森林施業の合理化に関する事項を定めるものとする。

 3 第四条第三項及び第五条第四項の規定は、第一項の森林計画について準用する。

 4 営林局長又は営林支局長は、第一項の森林計画をたて、又はこれを変更しようとするときは、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見を聴かなければならない。

 5 営林局長又は営林支局長は、第一項の森林計画をたて、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係都道府県知事及び関係市町村長に通知しなければならない。

 6 前条の規定は、第一項の森林計画について準用する。この場合において、同条中「第五条第六項」とあるのは「第七条の二第五項」と、「都道府県知事」とあるのは「営林局長又は営林支局長」と読み替えるものとする。

  第八条の見出しを「(地域森林計画等の遵守)」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 営林局長又は営林支局長は、前条第一項の森林計画に従つて国有林を管理経営するよう努めなければならない。

  第十条第一項中「但し、左の」を「ただし、次の」に改め、同項第一号の三中「第十一条第五項の認定」を「第十一条第五項(第十八条の三第一項の規定により読み替えられる場合を含む。)の認定」に改め、「第十二条第三項」の下に「(第十八条の三第一項の規定により読み替えられる場合を含む。)」を、「もの)」の下に「又は第十八条の二第三項の認定に係る森林施業計画(その変更につき第十八条の三第一項の規定により読み替えられた第十二条第三項において準用する第十八条の二第三項の規定による認定があつたときは、その変更後のもの)」を加える。

  第十条の二第二項第一号の次に次の一号を加える。

  一の二 当該開発行為をする森林の現に有する水害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがあること。

  第十条の二に次の一項を加える。

 6 都道府県知事は、第一項の許可をしようとするときは、都道府県森林審議会及び関係市町村長の意見を聴かなければならない。

  第二章の二第二節の節名中「市町村」を「市町村等」に改める。

  第十条の八の見出しを「(市町村森林整備計画)」に改め、同条第一項中「森林整備市町村は」の下に「、その区域内にある地域森林計画の対象となつている民有林につき」を加え、「、前条第一項第二号に規定する森林で相当規模以上集団的に存在するものにつき」を削り、「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に、「当該森林の」を「当該民有林の」に改め、同条第二項を削る。

  第十条の八第三項中「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に改め、第一号を削り、第二号を第一号とし、同号の次に次の一号を加える。

  二 森林施業の共同化の促進に関する事項

  第十条の八第三項中第六号を第九号とし、第五号を削り、同項第四号中「特定森林」を「要間伐森林」に改め、同号を同項第八号とし、同項第三号中「間伐立木材積、」を削り、同号を同項第七号とし、同号の前に次の四号を加える。

  三 林業に従事する者の養成及び確保に関する事項

  四 森林施業の合理化を図るために必要な機械の導入の促進に関する事項

  五 作業路網その他森林の整備のために必要な施設の整備に関する事項

  六 林産物の利用の促進のために必要な施設の整備に関する事項

  第十条の八第三項を同条第二項とし、同条第四項中「前項第四号」を「前項第八号」に改め、同項を同条第三項とし、同条第五項中「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に改め、同項を同条第四項とし、同条第六項中「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に改め、同項を同条第五項とし、同条第七項中「、森林整備計画」を「、市町村森林整備計画」に、「森林整備計画書」を「市町村森林整備計画書」に改め、同項を同条第六項とし、同条第八項中「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に、「第十条の八第七項」を「第十条の八第六項」に改め、同項を同条第七項とする。

  第十条の九の見出し及び第一項から第三項までの規定中「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に改め、同条第四項中「前条第六項及び第七項」を「前条第五項及び第六項」に、「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に、「第十条の八第七項」を「第十条の八第六項」に改める。

  第十条の十第一項中「特定森林」を「要間伐森林」に、「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に改め、同条第二項中「特定森林」を「要間伐森林」に改める。

  第十条の十一の次に次の十四条を加える。

  (裁定の申請)

 第十条の十一の二 都道府県知事が前条第四項の規定による勧告をした場合(当該勧告に係る要間伐森林の森林所有者が当該要間伐森林の土地の所有者である場合に限る。)において、その勧告を受けた森林所有者が当該勧告があつた日から起算して二月以内に当該勧告に係る調停案の受諾をしないときは、第十条の十第二項の指定を受けた者(地方公共団体その他の政令で定める者に限る。以下この条において「指定地方公共団体等」という。)は、当該勧告があつた日から起算して六月以内に、都道府県知事に対し、省令で定めるところにより、当該要間伐森林の立木について、当該指定地方公共団体等を分収林特別措置法(昭和三十三年法律第五十七号)第二条第二項に規定する育林者とし、当該森林所有者を同項に規定する育林地所有者とする同項に規定する分収育林契約の締結に関し裁定を申請することができる。

  (意見書の提出)

 第十条の十一の三 都道府県知事は、前条の規定による申請があつたときは、省令で定める事項を公告するとともに、その申請に係る要間伐森林の森林所有者にこれを通知し、二週間を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。

 2 前項の意見書を提出する者は、その意見書において、その者が前条の規定による申請に係る要間伐森林について間伐又は保育を実施していない理由その他の省令で定める事項を明らかにしなければならない。

 3 都道府県知事は、第一項の期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。

  (裁定)

 第十条の十一の四 都道府県知事は、第十条の十一の二の規定による申請に係る要間伐森林が次に掲げる要件のすべてに該当すると認められる場合において、当該申請に従つて当該要間伐森林について間伐又は保育を実施することが当該要間伐森林及びその周辺の地域における土砂の流出又は崩壊その他の災害の発生を防止するために必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、分収育林契約を締結すべき旨の裁定をするものとする。

  一 間伐又は保育が実施されておらず、かつ、前条第一項の意見書の内容その他の諸事情を考慮して引き続き間伐又は保育が実施されないことが確実であると見込まれること。

  二 引き続き間伐又は保育が実施されないときは当該要間伐森林及びその周辺の地域における土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。

 2 前項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

  一 分収育林契約に係る森林の所在及び面積並びに立木の樹種別及び林齢別の本数

  二 分収育林契約の存続期間

  三 育林地所有者が育林者に設定する利用権(分収育林契約に係る森林の土地を育林(立木の保育及び管理をいう。以下同じ。)の目的に使用する権利をいう。以下同じ。)の種類並びにその始期及び存続期間

  四 利用権の地代又は借賃

  五 分収育林契約に係る立木についての各契約当事者の持分の割合並びに育林者が取得する立木の持分の対価の額及びその支払方法

  六 育林の内容、時期及び方法

  七 各契約当事者が負担する費用の範囲

  八 育林による収益の分収の割合

  九 分収育林契約に係る立木の伐採又は販売の時期及び方法

  十 分収育林契約に係る立木の滅失その他の損害をてん補する措置に関する事項

  十一 分収育林契約の変更又は解除に関する事項

 3 前項各号に掲げる事項は、それぞれ次の各号に掲げる基準に適合するものとして定めなければならない。

  一 前項第一号から第三号まで、第六号及び第九号に掲げる事項については、申請の範囲を超えないこと。

  二 前項第五号に規定する持分の割合及び同項第八号に掲げる分収の割合については、同項第七号に定めるところにより各契約当事者が負担することとなる費用の合計の見積りの額の割合と等しくなること。

  三 前項第七号に掲げる事項については、次のイ又はロに掲げる者の区分に応じ、それぞれイ又はロに掲げる費用を負担するものであること。

   イ 育林地所有者 分収育林契約に係る森林の土地に係る公租公課及び育林に要する費用のうち利用権の地代又は借賃の総額に相当する部分(ロにおいて「地代相当分」という。)

   ロ 育林者 育林に要する費用のうち地代相当分以外の部分、前項第十号に掲げる事項に要する費用及び立木の伐採又は販売に要する費用

  (裁定の効果等)

 第十条の十一の五 都道府県知事は、前条第一項の裁定をしたときは、省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨をその裁定の申請をした者及びその申請に係る森林所有者に通知するとともに、これを公告しなければならない。その裁定についての審査請求に対する裁決によつてその裁定の内容が変更されたときも、同様とする。

 2 前条第一項の裁定について前項の規定による公告があつたときは、その裁定の定めるところにより、その裁定の申請をした者とその申請に係る森林所有者との間に分収育林契約が締結されたものとみなす。

 第十条の十一の六 第十条の十一の四第一項の裁定のうち次に掲げる事項について不服がある者は、訴えをもつて、その増減を請求することができる。ただし、その裁定があつた日から三月を経過したときは、この限りでない。

  一 利用権の地代又は借賃の額

  二 第十条の十一の四第二項第五号に規定する持分の割合及び同項第八号に掲げる分収の割合

  三 第十条の十一の四第二項第五号に規定する持分の対価の額

 2 前項の訴えにおいては、第十条の十一の二の裁定の申請をした者又はその申請に係る要間伐森林の土地の所有者を被告とする。

 3 第十条の十一の四第一項の裁定についての審査請求においては、第一項に掲げる事項についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。

  (分収育林契約の解除)

 第十条の十一の七 第十条の十一の五第二項の規定により締結されたものとみなされた分収育林契約の育林地所有者は、当該分収育林契約に係る森林及びその周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害の発生のおそれ(当該森林について間伐又は保育が実施されないことに起因するものに限る。)がなくなつたときは、都道府県知事の承認を受けて、当該分収育林契約の解除をすることができる。この場合においては、育林地所有者は次に掲げる額の合計額にそれぞれその支出の日以後の利息を付してこれを育林者に支払わなければならない。

  一 当該分収育林契約に基づき育林者が育林地所有者に支払つた立木の持分の対価の額

  二 当該分収育林契約に基づき育林者が負担した費用の額

  (施業実施協定)

 第十条の十一の八 森林整備市町村の区域内に存する一団の民有林で次に掲げる要件に該当するもの(以下この項において「対象森林」という。)の森林所有者等又は当該対象森林の土地の所有者は、当該森林整備市町村の長の認可を受けて、当該対象森林について行う間伐又は保育その他の森林施業の共同化及びそのために必要な施設の整備に関する協定(以下「施業実施協定」という。)を締結することができる。

  一 地域森林計画の対象となつている森林であること。

  二 森林の保続培養及び森林生産力の増進を期するためには一体として整備することが相当と認められる森林であること。

 2 施業実施協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

  一 施業実施協定の目的となる森林の区域及びその面積

  二 共同して行う森林施業の種類並びにその実施の方法及び時期その他森林施業の共同化に関する事項

  三 前号に掲げる事項を実施するために必要な作業路網その他の施設の設置及び維持運営に関する事項

  四 施業実施協定の有効期間

  五 施業実施協定に違反した場合の措置

 3 施業実施協定については、当該施業実施協定の対象となる森林の森林所有者等及び当該森林の土地の所有者の全員の合意がなければならない。

 4 施業実施協定の有効期間は、十年を超えてはならない。

  (施業実施協定の内容と法令等との関係)

 第十条の十一の九 施業実施協定の内容は、この法律及びこの法律に基づく命令その他関係法令(条例を含む。)並びにこれらに基づく処分に違反するものであつてはならない。

 2 施業実施協定の内容は、法令に基づき策定された国又は地方公共団体の計画に適合するものでなければならない。

  (施業実施協定の縦覧等)

 第十条の十一の十 森林整備市町村の長は、第十条の十一の八第一項の認可の申請があつたときは、省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該施業実施協定を当該公告の日から二週間利害関係人の縦覧に供しなければならない。

 2 前項の規定による公告があつたときは、利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、当該施業実施協定について、森林整備市町村の長に意見書を提出することができる。

  (施業実施協定の認可)

 第十条の十一の十一 森林整備市町村の長は、第十条の十一の八第一項の認可の申請が次の各号のすべてに該当するときは、当該施業実施協定を認可しなければならない。

  一 申請の手続又は施業実施協定の内容が法令に違反するものでないこと。

  二 施業実施協定の内容が森林の利用を不当に制限するものでないこと。

  三 施業実施協定の内容が市町村森林整備計画の達成に資すると認められるものであること。

 2 森林整備市町村の長は、前項の認可をしたときは、省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、当該施業実施協定の写しを当該森林整備市町村の事務所に備えて公衆の縦覧に供するとともに、施業実施協定の対象とする森林である旨を当該森林の区域内に明示しなければならない。

  (施業実施協定の変更)

 第十条の十一の十二 施業実施協定に係る森林所有者等及び森林の土地の所有者は、施業実施協定において定めた事項を変更しようとする場合においては、全員の合意をもつてその旨を定め、森林整備市町村の長の認可を受けなければならない。

 2 前二条の規定は、前項の認可について準用する。

  (施業実施協定の効力)

 第十条の十一の十三 第十条の十一の十一第二項(前条第二項において準用する場合を含む。)の規定による認可の公告のあつた施業実施協定に定める事項のうち、第十条の十一の八第二項第三号に掲げる事項(施設の維持運営に関する事項に限る。)は、その公告のあつた後において当該施業実施協定の対象とする森林の森林所有者等又は当該森林の土地の所有者となつた者に対しても、その効力があるものとする。

  (施業実施協定の廃止)

 第十条の十一の十四 施業実施協定に係る森林所有者等及び森林の土地の所有者は、第十条の十一の八第一項又は第十条の十一の十二第一項の認可を受けた施業実施協定を廃止しようとする場合においては、その過半数の合意をもつてその旨を定め、森林整備市町村の長の認可を受けなければならない。

 2 森林整備市町村の長は、前項の認可をしたときは、その旨を公告しなければならない。

  (施業実施協定の認可の取消し)

 第十条の十一の十五 森林整備市町村の長は、第十条の十一の八第一項又は第十条の十一の十二第一項の認可をした後において、当該認可に係る施業実施協定の内容が第十条の十一の十一第一項各号に掲げる要件に該当しないものと認められるに至つたときは、当該施業実施協定の認可を取り消すものとする。

 2 森林整備市町村の長は、前項の規定による認可の取消しを行つたときは、その旨を、当該施業実施協定に係る森林所有者等及び森林の土地の所有者に通知するとともに、公告しなければならない。

  第十条の十二の見出しを「(報告の徴収等)」に改め、同条中「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に、「特定森林」を「要間伐森林」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 森林整備市町村は、市町村森林整備計画の達成のため必要があるときは、関係営林局長又は営林支局長に対し、技術的援助その他の必要な協力を求めることができる。

  第二章の二第二節の次に次の一節を加える。

     第二節の二 森林整備協定の締結の促進

  (森林整備協定の締結に関する協議)

 第十条の十三 その区域内に相当規模の森林が存する地方公共団体(以下この条において「森林所在地方公共団体」という。)の長は当該森林の属する流域に係る河川の下流地域をその区域に含む地方公共団体(以下この条において「下流地方公共団体」という。)の長に対し、また、下流地方公共団体の長は森林所在地方公共団体の長に対し、それぞれ、森林所在地方公共団体の区域内の森林についての森林整備協定の締結に関し、協議を行うべき旨の申入れをすることができる。

 2 前項の「森林整備協定」とは、森林所在地方公共団体及び下流地方公共団体(以下この項及び次条第一項において「関係地方公共団体」という。)が共同して森林整備法人(分収林特別措置法第九条第二号に掲げる森林整備法人をいう。)を設立し、又は分収育林契約(同法第二条第二項に規定する分収育林契約をいう。)を締結する等により、関係地方公共団体が協力して森林の整備を推進することを約する協定をいう。

  (森林整備協定の締結についてのあつせん)

 第十条の十四 前条第一項の申入れをした地方公共団体の長は、当該申入れに係る協議が調わなかつた場合には、農林水産大臣(当該申入れに係る関係地方公共団体がいずれも同一都道府県内の市町村である場合には、都道府県知事。次項において同じ。)に対し、前条第一項の森林整備協定の締結についてあつせんを求めることができる。

 2 農林水産大臣は、前項の規定による請求があつた場合において、当該森林整備協定の締結が森林の公益的機能の維持増進を図る上で必要であると認めるときは、あつせんに努めるものとする。

  第十一条第五項第一号中「林相の改良」の下に「、植栽」を加え、同項第三号中「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に改める。

  第十八条の次に次の二条を加える。

  (特定森林施業計画)

 第十八条の二 特定施業森林区域内に存する森林(人工植栽に係るものに限る。)の森林所有者は、当該森林の全部又は一部につき、第十一条第一項の規定による認定の請求に代えて、省令で定めるところにより、五年を一期とする特定森林施業の実施に関する森林施業計画(以下「特定森林施業計画」という。)を作成し、これを当該特定森林施業計画の対象とする森林の所在地を管轄する都道府県知事に提出して、当該特定森林施業計画が適当であるかどうかにつき認定を求めることができる。

 2 特定森林施業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

  一 その対象とする森林についての特定森林施業の実施に関する長期の方針

  二 その対象とする森林についての所在場所別及び施業の方法別の面積、樹種又は林相、林齢及び立木の材積

  三 伐採する森林についての所在場所別及び施業の方法別の伐採時期、伐採面積、伐採立木材積及び伐採方法

  四 造林する森林についての所在場所別及び施業の方法別の造林時期、造林面積、造林樹種及び造林方法

  五 保育の種類別の面積

  六 その他省令で定める事項

 3 都道府県知事は、第一項の規定による認定の請求があつた場合において、当該特定森林施業計画の内容が次に掲げる要件のすべてを満たすときは、当該特定森林施業計画が適当である旨の認定をするものとする。

  一 前項第一号に掲げる長期の方針が、特定森林施業計画の対象とする森林の整備を図るために有効かつ適切なものであること。

  二 前項第二号に規定する施業の方法が、複層林施業その他の政令で定める特定森林施業のいずれかに該当すること。

  三 前項第三号から第五号までに掲げる事項が、森林の有する公益的機能の維持増進を特に図るために必要なものとして政令で定める特定森林施業の実施に関する基準に適合していること。

  四 地域森林計画の内容に照らして適当であると認められること。

  五 特定森林施業計画の対象とする森林の全部又は一部が市町村森林整備計画の対象とする森林であるときは、当該市町村森林整備計画の内容に照らして適当であると認められること。

 4 第十一条第五項(第十二条第三項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の認定を受けた森林所有者が前項の規定による認定を受けた場合には、第十一条第五項の認定は、前項の認定に係る特定森林施業計画の始期においてその効力を失う。

 第十八条の三 前条第三項の認定を受けた森林所有者については、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句をそれぞれ同表の下欄に掲げる字句と読み替えて、第十一条から第十七条までの規定を適用する。

第十一条第一項

森林施業計画を

森林施業計画(第十八条の二第一項に規定する特定森林施業計画を除く。以下「一般森林施業計画」という。)を

当該森林施業計画

当該一般森林施業計画

求めることができる

求めなければならない

第十一条第二項

森林施業計画

一般森林施業計画

全部

全部(第十八条の二第三項の認定を受けた特定森林施業計画の対象とする森林を除く。)

第十一条第三項及び第五項

森林施業計画

一般森林施業計画

第十二条第一項各号列記以外の部分

前条第五項

第十八条の三第一項の規定により読み替えられた前条第五項(以下「読み替えられた第十一条第五項」という。)及び第十八条の二第三項

森林施業計画

一般森林施業計画又は特定森林施業計画

第十二条第一項第一号

森林施業計画

一般森林施業計画及び特定森林施業計画

第十二条第一項第二号

次条

第十八条の三第一項の規定により読み替えられた次条

第十二条第二項

森林施業計画

一般森林施業計画又は特定森林施業計画

第十二条第三項

前条第二項

一般森林施業計画にあつては前条第二項

準用する

準用し、特定森林施業計画にあつては第十八条の二第三項の規定を準用する

同条第二項

前条第二項

当該変更後の森林施業計画

当該変更後の一般森林施業計画

読み替える

、第十八条の二第三項中「当該特定森林施業計画の内容」とあるのは「当該変更後の特定森林施業計画の内容」と、「当該特定森林施業計画が適当である」とあるのは「当該変更が適当である」と読み替える

第十三条

第十一条第五項の認定に係る森林施業計画(その変更につき前条第三項において準用する第十一条第五項の規定による認定があつたときは、その変更後のもの。)の内容が同項各号

読み替えられた第十一条第五項の認定に係る一般森林施業計画又は第十八条の二第三項の認定に係る特定森林施業計画(その変更につき第十八条の三第一項の規定により読み替えられた前条第三項において準用する第十一条第五項又は第十八条の二第三項の規定による認定があつたときは、それぞれその変更後のもの。)の内容がそれぞれ読み替えられた第十一条第五項各号又は第十八条の二第三項各号

当該森林施業計画

当該一般森林施業計画又は特定森林施業計画

第十四条及び第十五条

森林施業計画

一般森林施業計画及び特定森林施業計画

第十六条各号列記以外の部分

左の各号

第十八条の二第三項の認定を受けた森林所有者が省令で定める期間内に読み替えられた第十一条第五項の認定を受けられなかつた場合にその認定を取り消すほか、次の各号

森林施業計画に係る第十一条第五項

一般森林施業計画に係る読み替えられた第十一条第五項及び当該特定森林施業計画に係る第十八条の二第三項

第十六条第一号

第十二条第一項各号

第十八条の三第一項の規定により読み替えられた第十二条第一項各号

第十六条第二号

第十四条

第十八条の三第一項の規定により読み替えられた第十四条

第十六条第三号

前条

第十八条の三第一項の規定により読み替えられた前条

第十七条第一項

第十一条から第十三条まで、第十五条若しくは前条

第十八条の三第一項の規定により読み替えられた第十一条から第十三条まで、第十五条若しくは前条若しくは第十八条の二

第十一条第一項

第十八条の三第一項の規定により読み替えられた第十一条第一項若しくは第十八条の二第一項

 2 前条第三項の認定を受けた森林所有者については、第十八条の規定は、適用しない。

  第十九条第一項中「森林施業計画」の下に「(第十八条の三第一項の規定により読み替えられた第十一条第一項に規定する一般森林施業計画及び特定森林施業計画を含む。第百九十一条の二及び第百九十二条において同じ。)」を加え、「前条まで」を「第十七条まで(第十八条の三第一項の規定により読み替えられる場合を含む。第三項及び第四項において同じ。)、第十八条並びに第十八条の二」に改め、同条第二項中「森林整備計画書」を「市町村森林整備計画書」に改め、同条第三項中「同じ。)」の下に「若しくは第十八条の二第三項(第十八条の三第一項の規定により読み替えられた第十二条第三項において準用する場合を含む。次項において同じ。)」を加え、同条第四項中「第十一条第五項」の下に「若しくは第十八条の二第三項」を加える。

  第百九十一条の二中「森林整備計画」を「市町村森林整備計画」に改める。

  第百九十七条中「十万円」を「三十万円」に改める。

  第百九十八条中「二十万円」を「五十万円」に改める。

  第二百一条第一項中「十万円」を「三十万円」に改め、同条第二項中「二十万円」を「五十万円」に改める。

  第二百三条第一項中「二十万円」を「五十万円」に改める。

  第二百五条第一項中「五万円」を「二十万円」に、「火入」を「火入れ」に、「十万円」を「三十万円」に改め、同条第二項中「十万円」を「三十万円」に、「二十万円」を「五十万円」に改める。

  第二百六条中「二十万円」を「五十万円」に改める。

  第二百七条中「左の」を「次の」に、「十万円」を「三十万円」に改める。

  第二百八条中「五万円」を「二十万円」に改める。

  第二百九条中「左の」を「次の」に、「三万円」を「十万円」に改める。

 (森林組合法の一部改正)

第二条 森林組合法(昭和五十三年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。

  第九条第二項第十号中「森林施業計画」の下に「(森林法第十八条の二第一項に規定する特定森林施業計画を含む。第百一条第一項第十二号において同じ。)」を加える。

 (林業等振興資金融通暫定措置法の一部改正)

第三条 林業等振興資金融通暫定措置法(昭和五十四年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。

  第三条第三項第三号中「次条第一項」の下に「又は第二項」を加える。

  第四条第二項中「前項」を「前二項」に改め、「第四条第一項」の下に「及び第二項」を加え、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 公庫が前条第一項の認定を受けた者(森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第十八条の二第三項の認定を受けた者に限る。)に対し前条第一項の認定に係る同条第二項第二号の措置を実施するのに必要な資金で農林漁業金融公庫法第十八条第一項第四号の二に掲げるもの(森林法第十八条の二第三項の認定に係る特定森林施業計画に従つて施業を行うのに必要なものに限る。)の貸付けを行う場合における貸付金の利率、償還期限(据置期間を含む。)及び据置期間は、農林漁業金融公庫法第十八条第二項の規定にかかわらず、それぞれ年七分以内、三十五年以内及び十五年以内において公庫が定めるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (森林法の一部改正に伴う経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に第一条の規定による改正前の森林法(以下「旧森林法」という。)第四条の規定によりたてられている全国森林計画(以下「旧全国森林計画」という。)は、第一条の規定による改正後の森林法(以下「新森林法」という。)第四条の規定によりたてられた全国森林計画とみなす。

2 農林水産大臣は、新森林法第四条第一項の規定にかかわらず、この法律の施行の日から起算して一月以内に、旧全国森林計画に代えて、平成十九年三月三十一日までをその計画期間とする新たな全国森林計画(以下「新全国森林計画」という。)をたてなければならない。

3 前項の規定により新全国森林計画がたてられたときは、旧全国森林計画は、その効力を失う。

4 新全国森林計画に引き続く次の全国森林計画は、新森林法第四条第一項の規定にかかわらず、平成九年四月一日をその計画期間の始期としてたてなければならない。

5 新森林法第四条第四項の規定により最初にたてる森林整備事業計画の計画期間は、新森林法第四条第四項及び第五項の規定にかかわらず、平成四年四月一日以降五年間とする。

第三条 この法律の施行の際現に旧森林法第五条の規定によりたてられている地域森林計画(以下「旧地域森林計画」という。)は、新森林法第五条の規定によりたてられた地域森林計画とみなす。

2 都道府県知事は、前条第二項の規定によりたてられた新全国森林計画につき新森林法第四条第九項の規定による公表があったときは、その公表があった日から起算して一月以内に、旧地域森林計画を変更しなければならない。

第四条 新森林法第七条の二第一項の規定により最初にたてる森林計画は、平成三年十二月三十一日までにたてなければならない。

2 前項の規定によりたてる森林計画の計画期間は、新森林法第七条の二第一項の規定にかかわらず、それぞれ、当該森林計画の対象となる国有林の属する森林計画区に係る地域森林計画の計画期間の終期までとする。

3 前二項の規定によりたてられた森林計画に引き続く次の森林計画は、新森林法第七条の二第一項の規定にかかわらず、それぞれ、前項に規定する地域森林計画に引き続きたてられる次の地域森林計画の計画期間の始期をその計画期間の始期としてたてなければならない。

第五条 この法律の施行前に旧森林法第十条の二第一項の規定によりされた許可は、新森林法第十条の二第一項の規定によりされた許可とみなす。

第六条 この法律の施行の際現に旧森林法第十条の八の規定によりたてられている森林整備計画は、新森林法第十条の八の規定によりたてられた市町村森林整備計画とみなす。

 (保安林整備臨時措置法の一部改正)

第七条 保安林整備臨時措置法(昭和二十九年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項中「第四条第四項」を「第四条第六項」に、「の外」を「のほか」に改め、同条第二項中「第四条第四項」を「第四条第六項」に改める。

(大蔵大臣臨時代理・農林水産・内閣総理大臣署名) 

年表に戻る

法令一覧(年度別)に戻る