所得税法の一部を改正する法律
法律第十二号(平二・三・三一)所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第三十一号ロ及び第三十一号の二中「三百万円」を「五百万円」に改める。
第五条第四項及び第七条第一項第五号中「第百六十一条第二号」を「第百六十一条第一号の二」に改める。
第九条第一項第十三号ニ中「学術に関する顕著な貢献」を「学術若しくは芸術に関する顕著な貢献」に改める。
第十一条第二項中「第百六十一条第二号」を「第百六十一条第一号の二」に改める。
第三十五条第四項各号列記以外の部分中「百二十万円」を「百四十万円」に、「六十万円」を「七十万円」に改め、同項第一号中「八十万円」を「百万円」に、「四十万円」を「五十万円」に改める。
第七十六条第一項中「保険金、郵便年金、共済金、退職年金又は退職一時金の受取人のすべてを自己又はその配偶者その他の親族とする」を削り、「(以下次項まで」を「(次項に規定する個人年金保険料を除く。以下この項」に改め、「(次項の規定に該当する場合を除く。)」を削り、「掲げる金額」を「定める金額」に改め、同項第一号中「割戻金の額」の下に「(生命保険料に係る部分 の金額に限る。)」を加え、「次項まで」を「この項」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 居住者が、各年において、個人年金保険契約等に係る保険料又は掛金(その者の身体の傷害又は疾病その他これらに類する事由に基因して保険金、共済金その他の給付金を支払う旨の特約が付されている契約にあつては、当該特約に係る保険料又は掛金を除く。以下この項において「個人年金保険料」という。)を支払つた場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年中に支払つた個人年金保険料の金額の合計額(その年において個人年金保険契約等に基づく剰余金の分配若しくは割戻金の割戻しを受け、又は個人年金保険契約等に基づき分配を受ける剰余金若しくは割戻しを受ける割戻金をもつて個人年金保険料の払込みに充てた場合には、当該剰余金又は割戻金の額(個人年金保険料に係る部分の金額に限る。)を控除した残額。以下この項において同じ。)が二万五千円以下である場合 当該合計額
二 その年中に支払つた個人年金保険料の金額の合計額が二万五千円を超え五万円以下である場合 二万五千円と当該合計額から二万五千円を控除した金額の二分の一に相当する金額との合計額
三 その年中に支払つた個人年金保険料の金額の合計額が五万円を超え十万円以下である場合 三万七千五百円と当該合計額から五万円を控除した金額の四分の一に相当する金額との合計額
四 その年中に支払つた個人年金保険料の金額の合計額が十万円を超える場合 五万円
第七十六条第三項中「(次項に規定する個人年金保険契約等に該当するものを除く。)」を「のうち、当該契約に基づく保険金、年金、共済金又は一時金(これらに類する給付金を含む。)の受取人のすべてをその保険料若しくは掛金の払込みをする者又はその配偶者その他の親族とするもの」に改める。
第百六十一条第一号の次に次の一号を加える。
一の二 国内にある土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物の譲渡による対価(政令で定めるものを除く。)
第百六十一条第八号ロ中「年金(第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等をいう。)又は」を削り、「、これらを受ける者」を「その支払を受ける者」に改め、同号ロを同号ハとし、同号イの次に次のように加える。
ロ 第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等(政令で定めるものを除く。)
第百六十四条第一項第四号イ中「第百六十一条第一号」の下に「及び第一号の二」を加える。
第百六十九条中「当該各号に掲げる」を「当該各号に定める」に改め、同条第四号を同条第五号とし、同条第三号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。
三 第百六十一条第八号ロに掲げる年金 その支払を受けるべき年金の額から十二万円(その非居住者が年齢六十五歳未満である場合には、六万円)にその支払を受けるべき年金の額に係る月数を乗じて計算した金額を控除した金額
第百七十一条中「第百六十一条第八号ロ」を「第百六十一条第八号ハ」に、「年金等」を「退職手当等」に改める。
第百七十二条第一項中「第百六十一条第八号」を「第百六十一条第八号イ又はハ」に、「、報酬又は年金」を「又は報酬」に改める。
第百七十八条中「第百六十一条第二号」を「第百六十一条第一号の二」に、「国内源泉所得の金額(第百六十九条各号」を「国内源泉所得(政令で定めるものを除く。)の金額(第百六十九条第一号、第二号、第四号及び第五号」に、「当該各号に掲げる金額」を「これらの規定に定める金額」に改める。
第百七十九条を次のように改める。
(外国法人に係る所得税の税率)
第百七十九条 外国法人に対して課する所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前条に規定する国内源泉所得(次号及び第三号に掲げるものを除く。)その金額(第百六十九条第二号、第四号及び第五号(分離課税に係る所得税の課税標準)に掲げる国内源泉所得については、これらの規定に定める金額)に百分の二十の税率を乗じて計算した金額
二 第百六十一条第一号の二(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得 その金額に百分の十の税率を乗じて計算した金額
三 第百六十一条第四号及び第十一号に掲げる国内源泉所得 その金額(第百六十九条第一号に掲げる国内源泉所得については、同号に定める金額)に百分の十五の税率を乗じて計算した金額
第二百三条の三第一号イ中「九万円」を「十万円」に、「六万円」を「六万五千円」に、「十四万円」を「十五万円」に、「八万五千円」を「九万円」に改める。
第二百七条中「(同条第四項に規定する個人年金保険契約等を含む。)」を削る。
第二百十二条第一項中「第百六十一条第二号」を「第百六十一条第一号の二」に、「同条第二号」を「同条第一号の二」に改める。
第二百十三条第一項を次のように改める。
前条第一項の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前条第一項に規定する国内源泉所得(次号及び第三号に掲げるものを除く。) その金額(次に掲げる国内源泉所得については、それぞれ次に定める金額)に百分の二十の税率を乗じて計算した金額
イ 第百六十一条第八号ロ(国内源泉所得)に掲げる年金 その支払われる年金の額から十二万円(その支払を受ける非居住者が年齢六十五歳未満である場合には、六万円)にその支払われる年金の額に係る月数を乗じて計算した金額を控除した残額
ロ 第百六十一条第九号に掲げる賞金 その金額(金銭以外のもので支払われる場合には、その支払の時における価額として政令で定めるところにより計算した金額)から五十万円を控除した残額
ハ 第百六十一条第十号に掲げる年金 同号に規定する契約に基づいて支払われる年金の額から当該契約に基づいて払い込まれた保険料又は掛金の額のうちその支払われる年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した残額
二 第百六十一条第一号の二に掲げる国内源泉所得 その金額に百分の十の税率を乗じて計算した金額
三 第百六十一条第四号及び第十一号に掲げる国内源泉所得 その金額に百分の十五の税率を乗じて計算した金額
第二百十五条中「第百六十一条第八号」を「第百六十一条第八号イ又はハ」に、「、報酬又は年金」を「又は報酬」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二年四月一日から施行する。
(経過措置の原則)
第二条 この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後の所得税法(以下「新法」という。)の規定は、平成二年分以降の所得税について適用し、平成元年分(昭和六十四年一月一日から平成元年十二月三十一日までの期間に係る年分をいう。)以前の所得税については、なお、従前の例による。
(非居住者又は外国法人の土地等の譲渡に対する所得税の課税に関する経過措置)
第三条 新法第五条第四項(納税義務者)、第七条第一項第五号(課税所得の範囲)、第十一条第二項(公共法人等に係る非課税)、第百六十一条第一号の二(国内源泉所得)、第百六十四条第一項第四号(非居住者に対する課税の方法)、第百七十八条(外国法人に係る所得税の課税標準)及び第百七十九条(外国法人に係る所得税の税率)の規定は、外国法人(所得税法第二条第一項第七号(定義)に規定する外国法人をいう。以下この項において同じ。)がこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に支払を受けるべき新法第百六十一条第一号の二に掲げる国内源泉所得(施行日以後に行う土地等(国内にある土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物をいう。以下この条において同じ。)の譲渡による対価に限る。)について適用し、外国法人が施行日前に支払を受けるべき土地等の譲渡による改正前の所得税法(以下「旧法」という。)第百六十一条第一号(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得及び施行日以後に支払を受けるべき当該国内源泉所得(施行日前に行った土地等の譲渡によるものに限る。)については、なお、従前の例による。
2 新法第二百十二条第一項(国内源泉所得に係る源泉徴収義務)及び第二百十三条第一項(国内源泉所得に係る源泉徴収税額)(第一号イに係る部分を除く。)の規定は、施行日以後に支払うべき新法第百六十一条第一号の二に掲げる国内源泉所得(施行日以後に行う土地等の譲渡による対価に限る。)について適用し、施行日前に支払うべき土地等の譲渡による旧法第百六十一条第一号に掲げる国内源泉所得及び施行日以後に支払うべき当該国内源泉所得(施行日前に行った土地等の譲渡によるものに限る。)については、なお従前の例による。
(公的年金等に係る国内源泉所得に対する所得税に関する経過措置)
第四条 新法第百六十一条第八号ロ(国内源泉所得)、第百六十九条第三号(分離課税に係る所得税の課税標準)及び第二百十三条第一項第一号にイ(国内源泉所得に係る源泉徴収税額)の規定は、施行日以後に支払うべき新法第百六十一条第八号ロに掲げる年金について適用し、施行日前に支払うべき旧法第百六十一条第八号ロ(国内源泉所得)に規定する公的年金等については、なお従前の例による。
(公的年金等に係る源泉徴収に関する経過措置)
第五条 新法第二百三条の三第一号イ(公的年金等に係る源泉徴収税額)の規定は、施行日以後に支払うべき新法第二百三条の二(公的年金等に係る源泉徴収義務)に規定する公的年金等について適用し、施行日前に支払うべき旧法第二百三条の二(公的年金等に係る源泉徴収義務)に規定する公的年金等については、なお従前の例による。
(施行日前に出国をした者に係る更正の請求)
第六条 施行日前に平成二年分の所得税につき旧法第百二十七条(年の中途で出国をする場合の確定申告)(旧法第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出した者及び施行日前に同年分の所得税につき国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二十五条(決定)の規定による決定を受けた者は、当該申告書に記載された事項又は当該決定に係る事項(これらの事項につき施行日前に同法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正があった場合には、当該更正後の事項)につき新法の規定の適用により異動を生ずることとなったときは、その異動を生ずることとなった事項について、施行日から一年以内に、税務署長に対し、国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の更正の請求をすることができる。
(大蔵・内閣総理大臣署名)