短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律

法律第七十二号(平一九・六・一)

 (短時間労働者の雇用管理の改善等に関 する法律の一部改正)

第一条 短時間労働者の雇用管理の改善等 に関する法律(平成五年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

  第十五条中第一号及び第二号を削り、 第三号を第一号とし、第四号を第二号とし、同条第五号中「前各号」を「前二号」に改め、同号を同条第三号とする。

  第十六条第一項中「のうち次の各号の いずれかに該当するもの」を「又は雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十二条の雇用安定事業のうち、短時間労働者を雇用する事業主又はその事業主の団体に対して 支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものを支給する事業及びこれに附帯する事業」に改め、各号を削り、同条第二項中「前項第一号」を「前項」に改め、「第二十九 条」の下に「又は雇用保険法第六十二条」を加える。

  第十八条中「第十六条第一項第一号」 を「第十六条第一項に規定する給付金の支給」に改め、「第二十九条」の下に「又は雇用保険法第六十二条」を加える。

第二条 短時間労働者の雇用管理の改善等 に関する法律の一部を次のように改正する。

  目次中「第十条」を「第十六条」に、 「第十一条・第十二条」を「第十七条・第十八条」に、

第四章 短時間労働援助センター(第十三条−第三十条)

 
 

第五章 雑則(第三十一条−第三十五条)

 を

第四章 紛争の解決

 
 

 第一節 紛争の解決の援助(第十九条−第二十一条)

 
 

 第二節 調停(第二十二条−第二十四条)

 
 

第五章 短時間労働援助センター(第二十五条−第四十一条)

 
 

第六章 雑則(第四十二条−第四十七条)

 に改める。

  第一条中「短時間労働者が我が国の経済社会において果たす役割の重要性」を「我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い、短時間労働者の果たす役割の重要性が増大していること」に、「及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に関する措置」を「、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進」に改め、「ことにより、」の下に「通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて」を加え、「図る」を「図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与する」に改める。

  第三条第一項中「実態、通常の労働者との均衡等」を「実態等」に、「及び教育訓練」を「、教育訓練」に、「(以下「雇用管理の改善等」という。)を図るために必要な措置」を「及び通常の労働者への転換(短時間労働者が雇用される事業所において通常の労働者として雇い入れられることをいう。以下同じ。)の推進(以下「雇用管理の改善等」という。)に関する措置等」に改め、「ことにより」の下に「、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図り」を加える。

  第六条を次のように改める。

  (労働条件に関する文書の交付等)

 第六条 事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める 事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの(次項において「特定事項」という。)を文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(次項において「文書の交付等」とい う。)により明示しなければならない。

 2 事業主は、前項の規定に基づき特定事項を明示するときは、労働条件に関する事項のうち特定事項及び労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものについても、文書の交付等により明 示するように努めるものとする。

  第三十五条中「第十八条」を「第三十条」に改め、同条を第四十六条とし、同条の次に次の一条を加える。

 第四十七条 第六条第一項の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

  第三十四条を第四十五条とする。

  第三十三条中「一に」を「いずれかに」に改め、同条第一号中「第十九条」を「第三十一条」に改め、同条第二号中「第二十六条第一項」を「第三十八条第一項」に改め、同条を第四十四条とし、第三十二条を第四十三条とし、第三十一条を第四十二条とする。

  第五章を第六章とする。

  第四章中第三十条を削り、第二十九条を第四十一条とする。

  第二十八条第一項中「第十三条第一項」を「第二十五条第一項」に、「定めて第十五条」を「定めて第二十七条」に改め、同項第一号中「第十五条」を「第二十七条」に改め、同項第四号中「第十四条第一項」を「第二十六条第一項」に改め、同項第五号中「第十七条第一項」を「第二十九条第一項」に改め、同条第二項中「第十五条」を「第二十七条」に改め、同条を第四十条とする。

  第二十七条中「第十五条」を「第二十七条」に改め、同条を第三十九条とする。

  第二十六条第一項中「第十五条」を「第二十七条」に改め、同条を第三十八条とし、第二十五条を第三十七条とする。

  第二十四条第二項中「第十七条第一 項」を「第二十九条第一項」に、「第十五条」を「第二十七条」に改め、同条を第三十六条とし、第二十三条を第三十五条とし、第十九条から第二十二条までを十二条ずつ繰り下げる。

  第十八条中「第十六条第一項」を「第二十八条第一項」に、「第二十五条」を「第三十七条」に、「第十六条第二項」を「第二十八条第二項」に改め、同条を第三十条とし、第十七条を第二十九条とし、第十四条から第十六条までを十二条ずつ繰り下げる。

  第十三条第一項中「第十五条」を「第二十七条」に改め、同条を第二十五条とする。

  第四章を第五章とし、第三章の次に次の一章を加える。

    第四章 紛争の解決

     第一節 紛争の解決の援助

  (苦情の自主的解決)

 第十九条 事業主は、第六条第一項、第八条第一項、第十条第一項、第十一条、第十二条第一項及び第十三条に定める事項に関し、短時間労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めるものとする。

  (紛争の解決の促進に関する特例)

 第二十条 前条の事項についての短時間労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、次条から第二十四条までに定めるところによる。

  (紛争の解決の援助)

 第二十一条 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

 2 事業主は、短時間労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該短時間労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

     第二節 調停

  (調停の委任)

 第二十二条 都道府県労働局長は、第二十条に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。

 2 前条第二項の規定は、短時間労働者が前項の申請をした場合について準用する。

  (調停)

 第二十三条 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十九条、第二十条第一項及び第二十一条から第二十六条までの規定は、前条第一項の調停の手続について準用する。この場合において、同法第十九条第一項中「前条第一項」とあるのは「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第二十二条第一項」と、同法第二十条第一項中「関係当事者」とあるのは「関係当事者又は関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」と、同法第二十五条第一項中「第十八条第一項」とあるのは「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第二十二条第一項」と読み替えるものとする。

  (厚生労働省令への委任)

 第二十四条 この節に定めるもののほか、調停の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

  第三章第二節中第十二条を第十八条とし、第十一条を第十七条とする。

  第三章第一節中第十条を第十六条とし、第九条を第十五条とする。

  第八条第一項中「前二条」を「第六条から第十一条まで、第十二条第一項及び前条」に、「のための措置」を「に関する措置等」に改め、同条を第十四条とする。

  第七条の次に次の六条を加え る。

  (通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)

 第八条 事業主は、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(以下「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているもののうち、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(以下「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

 2 前項の期間の定めのない労働契約には、反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約を含むものとする。

  (賃金)

 第九条 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く。次条第二項及び第十一条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金(通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。次項において同じ。)を決定するように努めるものとする。

 2 事業主は、前項の規定にかかわらず、職務内容同一短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く。次条第一項において同じ。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主に雇用される期間のうちの少なくとも一定の期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、当該変更が行われる期間においては、通常の労働者と同一の方法により賃金を決定するように努めるものとする。

  (教育訓練)

 第十条 事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間労働者が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間労働者に対しても、これを実施しなければならない。

 2 事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験等に応じ、当該短時間労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。

  (福利厚生施設)

 第十一条 事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間労働者に対しても、利用の機会を与えるように配慮しなければならない。

  (通常の労働者への転換)

 第十二条 事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。

  一 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。

  二 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。

  三 一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

 2 国は、通常の労働者への転換を推進するため、前項各号に掲げる措置を講ずる事業主に対する援助等必要な措置を講ずるように努めるものとする。

  (待遇の決定に当たって考慮した事項の説明)

 第十三条 事業主は、その雇用する短時間労働者から求めがあったときは、第六条から第十一条まで及び前条第一項の規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間労働者に説明しなければならない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二十年四月一日から施行する。ただし、第一条の規定並びに次条から附則第四条まで及び附則第六条の規定は、平成十九年七月一日から施行する。

 (短時間労働援助センターに関する経過措置)

第二条 前条ただし書に規定する規定の施行の際現に第一条の規定による改正前の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「旧法」という。)第十三条第一項の規定による指定を受けている者(以下「旧短時間労働援助センター」という。)は、第一条の規定による改正後の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「新法」という。)第十三条第一項の規定による指定を受けた者とみなす。

2 前条ただし書に規定する規定の施行の日前に、旧法又はこれに基づく命令により旧短時間労働援助センターに対して行い、又は旧短時間労働援助センターが行った処分、手続その他の行為(旧法第十六条第三項の規定による届出(同項の変更の届出を含む。)、旧法第十七条第一項の規定による業務規程の認可(同項の変更の認可を含む。)並びに旧法第二十条第一項の規定による事業計画書及び収支予算書の認可(同項の変更の認可を含む。)を除く。)は、新法又はこれに基づく命令中の相当する規定によって、新法第十三条第二項に規定する短時間労働援助センター(以下「新短時間労働援助センター」という。)に対して行い、又は新短時間労働援助センターが行った処分、手続その他の行為とみなす。

3 旧短時間労働援助センターの平成十九 年四月一日に始まる事業年度は、前条ただし書に規定する規定の施行の日の前日に終わるものとし、当該事業年度に係る事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録の作成等については、新短時間労働援助センターが従前の例により行うものとする。

4 前条ただし書に規定する規定の施行の際現に旧短時間労働援助センターの役員である者が当該規定の施行の日前にした旧法第二十四条第二項に該当する行為は、新法第二十四条第二項に該当する行為とみなして、同項の規定を適用する。

5 旧短時間労働援助センターが前条ただし書に規定する規定の施行の日前にした旧法第二十八条第一項第二号から第五号までに該当する行為は、新法第二十八条第一項第二号から第五号までに該当する行為とみなして、同項の規定を適用する。

 (施行前の準備)

第三条 新法第十六条第三項の規定による届出、新法第十七条第一項の規定による業務規程の認可並びに新法第二十条第一項の規定による事業計画書及び収支予算書の認可の手続は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日前においても行うことができる。

 (罰則に関する経過措置)

第四条 附則第一条ただし書に規定する規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (紛争の解決の促進に関する特例に関する経過措置)

第五条 この法律の施行の際現に個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第六条第一項の紛争調整委員会に係属している同法第五条第一項のあっせんに係る紛争については、第二条の規定による改正後の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第二十条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第七条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、当該規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (社会保険労務士法の一部改正)

第八条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項第一号の四中「手続及び」を「手続並びに」に改め、「第十八条第一項」の下に「及び短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二十二条第一項」を加える。

  別表第一第二十号の十六中「(平成五年法律第七十六号)」を削る。

 (一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)

第九条 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)の一部を次のように改正する。

  第三百八条第四号中「第十三条第一項」を「第二十五条第一項」に改める。

(厚生労働・内閣総理大臣署名)  

年表に戻る