競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律

法律第六十九号(平一九・六・一)

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(平成十八年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。

 第三十三条の次に次の一条を加える。

 (不動産登記法等の特例)

第三十三条の二 法務大臣は、次に掲げる登記所の業務(以下この条において「特定業務」という。)を、官民競争入札又は民間競争入札の対象とすることができる。

 一 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百十九条第一項の規定に基づく同項に規定する登記事項証明書の交付及び同条第二項の規定に基づく同項の書面の交付に係る業務

 二 不動産登記法第百二十条第一項の規定に基づく同項に規定する地図等(以下この号において単に「地図等」という。)の全部又は一部の写し(地図等が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付及び同法第百二十条第二項の規定に基づく地図等(地図等が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧に係る業務

 三 不動産登記法第百二十一条第一項の規定に基づく同項の図面の全部又は一部の写し(当該図面が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付及び同条第二項の規定に基づく同条第一項の図面(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧に係る業務

 四 不動産登記法第百二十一条第二項の規定に基づく同項の登記簿の附属書類(前号の図面を除く。)の閲覧に係る業務(同項ただし書の利害関係の有無の審査に係るものを除く。)

 五 不動産登記法第百四十九条第一項の規定に基づく同項に規定する筆界特定書等(以下この号において単に「筆界特定書等」という。)の写し(筆界特定書等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付及び同条第二項の規定に基づく筆界特定書等(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したも の。次号において同じ。)の閲覧に係る業務

 六 不動産登記法第百四十九条第二項の規定に基づく同法第百四十五条に規定する筆界特定手続記録(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧(前号の筆界特定書等の閲覧を除く。)に係る業務(同項ただし書の利害関係の有無の審査に係るものを除く。)

 七 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第十条第一項(他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同項に規定する登記事項証明書の交付及び同法第十一条(他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同条の書面の交付に係る業務

 八 商業登記法第十一条の二(他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同条の登記簿の附属書類の閲覧に係る業務(同条の利害関係の有無の審査に係るものを除く。)

 九 商業登記法第十二条第一項(他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同項の印鑑の証明書の交付に係る業務

 十 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百二十二条第一項において準用する不動産登記法第百十九条第一項の規定に基づく同項に規定する登記事項証明書の交付及び非訟事件手続法第百二十二条第一項において準用する不動産登記法第百十九条第二項の規定に基づく同項の書面の交付並びに非訟事件手続法第百二十二条第一項において準用する不動産登記法第百二十一条第二項の規定に基づく同項の登記簿の附属書類の閲覧に係る業務(閲覧については、同項ただし書の利害関係の有無の審査に係るものを除く。)

 十一 抵当証券法(昭和六年法律第十五号)第四十一条において読み替えて準用する不動産登記法第百十九条第一項の規定に基づく同項の抵当証券の控えの謄本又は抄本の交付並びに抵当証券法第四十一条において読み替えて準用する不動産登記法第百二十一条第二項の規定に基づく同項の抵当証券の控え及びその附属書類の閲覧に係る業務(閲覧については、同項ただし書の利害関係の有無の審査に係るものを除く。)

 十二 動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(平成十年法律第百四号)第十三条第一項の規定に基づく同項に規定する概要記録事項証明書の交付に係る業務

 十三 前各号に掲げるもののほか、登記所において公開される帳簿、書類若しくは電磁的記録の閲覧又はこれらに記載され、若しくは記録された事項を記載した書面の交付に係る業務であって法務省令で定めるもの

2 特定業務を実施する公共サービス実施 民間事業者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。

 一 その人的構成に照らして、特定業務 を適正かつ確実に実施することができる知識及び能力を有していること。

 二 個人情報の適正な取扱いを確保する ための措置その他特定業務を適正かつ確実に実施するために必要な措置として法務省令で定める措置が講じられていること。

 三 その他法務省令で定める要件に適合 するものであること。

3 公共サービス実施民間事業者(その者 が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員その他の特定業務に従事する者(以下この条において「特定業務従事者」という。)又は特定業務従事者であった者 は、第二十五条第一項に規定する秘密を漏らし、又は盗用することとならない場合であっても、特定業務の実施に関して知り得た情報を、特定業務の用に供する目的以外に利用し てはならない。

4 特定業務従事者は、登記官が管理する 帳簿、書類及び電磁的記録その他の国が管理する設備及び物品であって、特定業務の用に供するものについて、使用、保管その他の取扱いをするときは、これを適正に行わなけれ ばならない。

5 公共サービス実施民間事業者は、特定 業務の実施状況を、法務省令で定めるところにより、定期的に、法務大臣に報告しなければならない。

6 法務大臣は、次の各号に掲げる場合の いずれかに該当するときは、期間を定めて、公共サービス実施民間事業者の実施する特定業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 一 公共サービス実施民間事業者が、第 二項各号に掲げる要件を満たさなくなったとき。

 二 特定業務従事者が、第三項又は第四 項の規定に違反したとき。

 三 公共サービス実施民間事業者が、前 項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 四 公共サービス実施民間事業者が、第 二十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の 答弁をしたとき。

 五 公共サービス実施民間事業者が、第 二十七条第一項の規定による指示に違反したとき。

7 法務大臣は、前項の規定により特定業 務の全部又は一部の停止を命じたときは、その旨、その理由、当該公共サービス実施民間事業者の氏名又は名称並びに当該停止を命じた特定業務の内容及びその期間を、官民競争 入札等監理委員会に通知するとともに、遅滞なく、公表しなければならない。

8 法務大臣は、第六項第二号又は第三号 に掲げる場合のいずれかに該当するときは、第二十条第一項の契約を解除することができる。

9 前各項に定めるもののほか、公共サー ビス実施民間事業者による特定業務の実施に関し必要な事項は、法務省令で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六 月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律の規定による改正後の競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(次項において「新法」という。)第三十三条の二第一項に規定する特定業務には、次に掲げる登記所の業務を含むものとする。

 一 不動産登記法(平成十六年法律第百 二十三号)附則第三条第四項の規定によりなおその効力を有することとされる同法による改正前の不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号。以下「旧不動産登記法」とい う。)第二十一条第一項(不動産登記法附則第三条第四項の規定によりなおその効力を有することとされる旧不動産登記法第二十四条ノ二第三項において準用する場合を含む。) の規定に基づく旧不動産登記法第二十一条第一項の登記簿の謄本又は抄本の交付及び登記簿の閲覧に係る業務

 二 不動産登記法附則第四条第一項の規 定によりなおその効力を有することとされる旧不動産登記法第二十四条ノ二第三項において準用する旧不動産登記法第二十一条第一項の規定に基づく同項の登記簿の謄本又は抄本 の交付及び登記簿の閲覧に係る業務

 三 不動産登記法の施行に伴う関係法律 の整備等に関する法律(平成十六年法律第百二十四号。以下「不動産登記法整備法」という。)第五十三条第五項の規定によりなおその効力を有することとされる不動産登記法整 備法第五十二条の規定による改正前の商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第十条第一項(他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同項の登記簿の閲覧 及び同法第十一条第一項(他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同項前段の登記簿の謄本若しくは抄本又は同項後段の規定による証明書の交付に係る業 務

 四 不動産登記法整備法第八十九条第一 項において準用する不動産登記法附則第三条第四項の規定によりなおその効力を有することとされる旧不動産登記法第二十一条第一項の規定に基づく同項の登記簿の謄本又は抄本 の交付及び登記簿の閲覧に係る業務

 五 債権譲渡の対抗要件に関する民法の 特例等に関する法律の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四十八号)附則第二条第三項において読み替えて適用する同法による改正後の動産及び債権の譲渡の対抗要件に関 する民法の特例等に関する法律(平成十年法律第百四号)第十三条第一項の規定に基づく同項の登記事項概要簿の謄本の交付に係る業務

3 この法律の施行の日が一般社団法人及 び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)の施行の日前であ る場合には、同法の施行の日の前日までの間における新法第三十三条の二第一項第十号の規定の適用については、同号中「第百二十二条第一項」とあるのは、「第百二十五条第一 項」とする。

(内閣総理・法務大臣署名)

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