少年法等の一部を改正する法律

法律第六十八号(平一九・六・一)

 (少年法の一部改正)

第一条 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。

  目次を削り、題名の次に次の目次を付 する。

 目次

  第一章 総則(第一条・第二 条)

  第二章 少年の保護事件

   第一節 通則(第三条−第五条の 三)

   第二節 通告、警察官の調査等(第 六条−第七条)

   第三節 調査及び審判(第八条−第 三十一条の二)

   第四節 抗告(第三十二条−第三十 六条)

  第三章 成人の刑事事件(第三十七条 −第三十九条)

  第四章 少年の刑事事件

   第一節 通則(第四十条)

   第二節 手続(第四十一条−第五十 条)

   第三節 処分(第五十一条−第六十 条)

  第五章 雑則(第六十一条)

  附則

  第二章第二節の節名を次のように改める。

     第二節 通告、警察官の調査等

  第六条第三項を削り、同条の次に次の六条を加える。

  (警察官等の調査)

 第六条の二 警察官は、客観的な事情から合理的に判断して、第三条第一項第二号に掲げる少年であると疑うに足りる相当の理由のある者を発見した場合において、必要があるときは、事件について調査をすることができる。

 2 前項の調査は、少年の情操の保護に 配慮しつつ、事案の真相を明らかにし、もつて少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行うものとする。

 3 警察官は、国家公安委員会規則の定めるところにより、少年の心理その他の特性に関する専門的知識を有する警察職員(警察官を除く。)に調査(第六条の五第一項の処分を除く。)をさせることができる。

  (調査における付添人)

 第六条の三 少年及び保護者は、前条第一項の調査に関し、いつでも、弁護士である付添人を選任することができる。

  (呼出し、質問、報告の要求)

 第六条の四 警察官は、調査をするについて必要があるときは、少年、保護者又は参考人を呼び出し、質問することができる。

 2 前項の質問に当たつては、強制にわたることがあつてはならない。

 3 警察官は、調査について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

  (押収、捜索、検証、鑑定嘱託)

 第六条の五 警察官は、第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件の調査をするについて必要があるときは、押収、捜索、検証又は鑑定の嘱託をすることができる。

 2 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)中、司法警察職員の行う押収、捜索、検証及び鑑定の嘱託に関する規定(同法第二百二十四条を除く。)は、前項の場合に、これを準用する。この場合において、これらの規定中「司法警察員」とあるのは「司法警察員たる警察官」と、「司法巡査」とあるのは「司法巡査たる警察官」と読み替えるほか、同法第四百九十九条第一項中「検察官」とあるのは「警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長」と、「政令」とあるのは「国家公安委員会規則」と、同条第二項中「国庫」とあるのは「当該都道府県警察又は警察署の属する都道府県」と読み替えるものとする。

  (警察官の送致等)

 第六条の六 警察官は、調査の結果、次の各号のいずれかに該当するときは、当該調査に係る書類とともに事件を児童相談所長に送致しなければならない。

  一 第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件について、その少年の行為が第二十二条の二第一項各号に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるものであると思料するとき。

  二 前号に掲げるもののほか、第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件について、家庭裁判所の審判に付することが適当であると思料するとき。

 2 警察官は、前項の規定により児童相談所長に送致した事件について、児童福祉法第二十七条第一項第四号の措置がとられた場合において、証拠物があるときは、これを家庭裁判所に送付しなければならない。

 3 警察官は、第一項の規定により事件を送致した場合を除き、児童福祉法第二十五条の規定により調査に係る少年を児童相談所に通告するときは、国家公安委員会規則の定めるところにより、児童相談所に対し、同法による措置をとるについて参考となる当該調査の概要及び結果を通知するものとする。

  (都道府県知事又は児童相談所長の送致)

 第六条の七 都道府県知事又は児童相談所長は、前条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定により送致を受けた事件については、児童福祉法第二十七条第一項第四号の措置をとらなければならない。ただし、調査の結果、その必要がないと認められるときは、この限りでない。

 2 都道府県知事又は児童相談所長は、児童福祉法の適用がある少年について、たまたま、その行動の自由を制限し、又はその自由を奪うような強制的措置を必要とするときは、同法第三十三条及び第四十七条の規定により認められる場合を除き、これを家庭裁判所に送致しなければならない。

  第三十二条の五の見出しを「(抗告審における国選付添人)」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 抗告裁判所は、第二十二条の三第二項に規定する事件(家庭裁判所において第十七条第一項第二号の措置がとられたものに限る。)について、少年に弁護士である付添人がなく、かつ、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、抗告審の審理に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができる。

  第三十五条第二項中「第三十二条の三」の下に「、第三十二条の五第二項」を加える。

  第二章中第三節を第四節とし、第七条の次に次の節名を付する。

     第三節 調査及び審判

  第八条第一項中「前二条」を「第六条第一項」に改め、「通告又は」の下に「前条第一項の」を、「司法警察員」の下に「、警察官」を加え、「同様である」を「同様とする」に改める。

  第十四条第二項中「(昭和二十三年法律第百三十一号)」を削る。

  第十八条第二項中「第六条第三項」を「第六条の七第二項」に、「附して」を「付して」に改める。

  第二十二条の三の見出し中「検察官が関与する場合の」を削り、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 家庭裁判所は、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る事件であつて前条第一項各号に掲げる罪のもの又は第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件であつて前条第一項各号に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるものについて、第十七条第一項第二号の措置がとられており、かつ、少年に弁護士である付添人がない場合において、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができる。

  第二十四条第一項に次のただし書を加える。

   ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる。

  第二十六条の三の次に次の一条を加える。

  (保護観察中の者に対する措置)

 第二十六条の四 犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)第四十一条の三第二項の申請があつた場合において、家庭裁判所は、審判の結果、第二十四条第一項第一号の保護処分を受けた者がその遵守すべき事項を遵守せず、同法第四十一条の三第一項の警告を受けたにもかかわらず、なお遵守すべき事項を遵守しなかつたと認められる事由があり、その程度が重く、かつ、その保護処分によつては本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときは、決定をもつて、第二十四条第一項第二号又は第三号の保護処分をしなければならない。

 2 家庭裁判所は、前項の規定により二十歳以上の者に対して第二十四条第一項第三号の保護処分をするときは、その決定と同時に、本人が二十三歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。

 3 前項に定めるもののほか、第一項の規定による保護処分に係る事件の手続は、その性質に反しない限り、第二十四条第一項の規定による保護処分に係る事件の手続の例による。

  第三十条第四項中「第二十二条の三第三項」を「第二十二条の三第四項」に改める。

  第三十一条第一項中「第二十二条の三第二項」を「第二十二条の三第三項」に改める。

 (少年院法の一部改正)

第二条 少年院法(昭和二十三年法律第百六十九号)の一部を次のように改正する。

  第一条の次に次の一条を加える。

 第一条の二 少年院における処遇は、個々の在院者の年齢及び心身の発達程度を考慮し、その特性に応じて、これを行わなければならない。

  第二条第二項及び第五項中「十四歳以上」を「おおむね十二歳以上」に改める。

  第十条第二項中「、第十一条及び第十二条」を「及び第十一条から第十二条の二まで」に改める。

  第十二条の次に次の一条を加える。

 第十二条の二 少年院の長は、必要があると認めるときは、少年(少年法第二条第一項に規定する少年をいう。)である在院者の保護者(同条第二項に規定する保護者をいう。)に対し、その在院者の監護に関する責任を自覚させ、矯正教育の実効を上げるため、指導、助言その他の適当な措置をとることができる。

 (犯罪者予防更生法の一部改正)

第三条 犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)の一部を次のように改正する。

  第三十六条の次に次の一条を加える。

  (保護者に対する措置)

 第三十六条の二 保護観察所の長は、必要があると認めるときは、保護観察に付されている少年(少年法第二条第一項に規定する少年であつて、第三十三条第一項第一号又は第二号に掲げる者に限る。)の保護者(同法第二条第二項に規定する保護者をいう。)に対し、その少年の監護に関する責任を自覚させ、その更生に資するため、指導、助言その他の適当な措置をとることができる。

  第三十八条第一項中「保護観察所の長は」の下に「、法務省令で定めるところにより」を加え、「聞き、法務省令の定める範囲内で」を「聴き、これに基づいて」に改める。

  第四十一条の二の次に次の一条を加える。

  (保護観察中の者に対する措置)

 第四十一条の三 保護観察所の長は、少年法第二十四条第一項第一号の保護処分を受けた者が、遵守すべき事項を遵守しなかつたと認めるときは、その者に対し、これを遵守するよう警告を発することができる。

 2 保護観察所の長は、前項の警告を受けた者が、なお遵守すべき事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときは、少年法第二十六条の四第一項の決定の申請をすることができる。

 (総合法律支援法の一部改正)

第四条 総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三十九条」を「第三十九条の二」に改める。

  第五条の見出し中「国選弁護人」を「国選弁護人等」に改め、同条中「以下同じ。)」の下に「及び国選付添人(少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の規定に基づいて裁判所が少年に付する弁護士である付添人をいう。以下同じ。)」を加える。

  第三十条第一項第三号中「国の委託に基づく国選弁護人」の下に「及び国選付添人(以下「国選弁護人等」という。)」を加え、同号イ中「国選弁護人の」を「国選弁護人等の」に、「国選弁護人契約弁護士」を「国選弁護人等契約弁護士」に改め、同号ロ中「国選弁護人に」を「国選弁護人等に」に、「国選弁護人契約弁護士」を「国選弁護人等契約弁護士」に改める。

  第三十四条第二項第二号中「国選弁護人」を「国選弁護人等」に改める。

  第三十六条の見出し並びに同条第一項、第二項及び第五項中「国選弁護人」を「国選弁護人等」に改める。

  第三十七条(見出しを含む。)中「国選弁護人契約弁護士」を「国選弁護人等契約弁護士」に改める。

  第三十八条の見出し中「国選弁護人」を「国選弁護人等」に改め、同条第一項中「刑事訴訟法」の下に「又は少年法」を加え、「国選弁護人」を「国選弁護人等」に改め、同条第二項中「国選弁護人契約弁護士」を「国選弁護人等契約弁護士」に、「国選弁護人の」を「国選弁護人等の」に改め、同条第三項中「国選弁護人契約弁護士」を「国選弁護人等契約弁護士」に、「国選弁護人に」を「国選弁護人等に」に、「国選弁護人の」を「国選弁護人等の」に改める。

  第三十九条の見出し中「報酬等請求権」を「国選弁護人の報酬等請求権」に改め、同条第一項から第三項までの規定中「国選弁護人契約弁護士」を「国選弁護人等契約弁護士」に改め、第三章第三節第一款中同条の次に次の一条を加える。

  (国選付添人の報酬等請求権の特則等)

 第三十九条の二 国選弁護人等契約弁護士が国選付添人に選任されたときは、少年法第二十二条の三第四項の規定は、適用しない。

 2 前項の場合においては、少年法第三十一条の規定の適用については、同条第一項に規定するもののほか、次の各号に掲げる者が国選付添人に選任されたときは、当該国選付添人に係る当該各号に定める費用も同項の費用とする。

  一 報酬及び費用が事件ごとに定められる契約を締結している国選弁護人等契約弁護士 当該報酬及び費用

  二 前号に規定する国選弁護人等契約弁護士以外の国選弁護人等契約弁護士 少年法第二十二条の三第四項の規定の例により裁判所がその額を定めた旅費、日当、宿泊料及び報酬

 3 裁判所は、第一項の場合において、国選付添人に係る費用の額の算定に関し、支援センターに対して必要な協力を求めることができる。

  附則第四条中「国選弁護人」を「国選弁護人等」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第四条(総合法律支援法第三十四条第二項第二号並びに第三十六条の見出し並びに同条第一項、第二項及び第五項の改正規定に限る。)の規定 総合法律支援法附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日

 二 第一条(少年法第二十二条の三の見出し中「検察官が関与する場合の」を削り、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に一項を加える改正規定、同法第三十条第四項及び第三十一条第一項の改正規定、同法第三十二条の五の見出しを「(抗告審における国選付添人)」に改め、同条に一項を加える改正規定並びに同法第三十五条第二項の改正規定に限る。)及び第四条(総合法律支援法目次の改正規定、同法第三十条第一項第三号、第三十七条、第三十八条並びに第三十九条の見出し及び同条第一項から第三項までの改正規定並びに同条の次に一条を加える改正規定に限る。)の規定 総合法律支援法附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に家庭裁判所に係属している事件についてなされる保護処分については、第一条の規定による改正後の少年法第二十四条第一項ただし書の規定並びに第二条の規定による改正後の少年院法第二条第二項及び第五項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

第三条 第一条の規定による改正後の少年法第二十六条の四の規定及び第三条の規定による改正後の犯罪者予防更生法第四十一条の三の規定は、この法律の施行の日以後に第一条の規定による改正後の少年法第二十四条第一項第一号の保護処分の決定を受けた者について適用する。

 (児童福祉法の一部改正)

第四条 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)の一部を次のように改正する。

  第二十六条第一項中「(昭和二十三年法律第百六十八号)」の下に「第六条の六第一項若しくは」を加える。

  第二十七条の二第一項中「少年法」の下に「第二十四条第一項又は第二十六条の四第一項の規定により同法」を加える。

(内閣総理・法務・厚生労働大臣署名)  

年表に戻る