中小企業経営革新支援法

法律第十八号(平一一・三・三一)

 目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 経営革新の支援(第三条―第九条)

 第三章 経営基盤強化の支援(第十条―第十三条)

 第四章 雑則(第十四条―第十九条)

 第五章 罰則(第二十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、経済的環境の変化に即応して中小企業が行う経営革新を支援するための措置を講じ、あわせて経済的環境の著しい変化により著しく影響を受ける中小企業の将来の経営革新に寄与する経営基盤の強化を支援するための措置を講ずることにより、中小企業の創意ある向上発展を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「中小企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。

 一 資本の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であって、工業、鉱業、運送業その他の業種(次号に掲げる業種及び第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

 二 資本の額又は出資の総額が千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であって、小売業又はサービス業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの並びに資本の額又は出資の総額が三千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、卸売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

 三 資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの

 四 企業組合

 五 協業組合

 六 事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であって、政令で定めるもの

2 この法律において「組合等」とは、前項第六号に掲げる者及び民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された社団法人であって中小企業者を直接又は間接の構成員(以下単に「構成員」という。)とするもの(政令で定める要件に該当するものに限る。)をいう。

3 この法律において「経営革新」とは、中小企業者が、新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ることをいう。

   第二章 経営革新の支援

 (経営革新指針)

第三条 通商産業大臣は、中小企業の経営革新に関する指針(以下「経営革新指針」という。)を定めなければならない。

2 経営革新指針には、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 経済的環境の変化に即応して中小企業が行う経営革新に関する事項

 二 経営革新の内容に関する事項

 三 経営革新の実施方法に関する事項

 四 その他経営革新の実施に当たって配慮すべき事項

3 通商産業大臣は、経営革新指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、中小企業者の事業を所管する大臣に協議するとともに、中小企業政策審議会の意見を聴かなければならない。

4 通商産業大臣は、経営革新指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 (経営革新計画の承認)

第四条 中小企業者及び組合等(以下「中小企業者等」という。)は、単独で又は共同で行おうとする経営革新に関する計画(中小企業者等が第二条第一項第四号から第六号までに掲げる組合若しくは連合会を設立し、又は出資して会社を設立しようとする場合にあっては当該中小企業者等がその組合、連合会又は会社と共同で行う経営革新に関するものを、中小企業者等が合併して会社を設立しようとする場合にあっては合併により設立される会社(合併後存続する会社を含む。)が行う経営革新に関するものを含む。以下「経営革新計画」という。)を作成し、通商産業省令で定めるところにより、これを行政庁に提出して、その経営革新計画が適当である旨の承認を受けることができる。ただし、中小企業者等が共同で経営革新計画を作成した場合にあっては、通商産業省令で定めるところにより、代表者を定め、これを行政庁に提出するものとする。

2 経営革新計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 経営革新の目標

 二 経営革新による経営の向上の程度を示す指標

 三 経営革新の内容及び実施時期

 四 経営革新を実施するために必要な資金の額及びその調達方法

 五 組合等が経営革新に係る試験研究のための費用に充てるためその構成員に対し負担金の賦課をしようとする場合にあっては、その賦課の基準

3 行政庁は、第一項の承認の申請があった場合において、当該申請に係る経営革新計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。

 一 前項第一号から第三号までに掲げる事項が経営革新指針に照らして適切なものであること。

 二 前項第三号及び第四号に掲げる事項が経営革新を確実に遂行するため適切なものであること。

 三 前項第五号に規定する負担金の賦課をしようとする場合にあっては、その賦課の基準が適切なものであること。

 (経営革新計画の変更等)

第五条 前条第一項の承認を受けた中小企業者等は、当該承認に係る経営革新計画を変更しようとするときは、通商産業省令で定めるところにより、その承認をした行政庁の承認を受けなければならない。

2 行政庁は、前条第一項の承認に係る経営革新計画(前項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの。以下「承認経営革新計画」という。)に従って経営革新のための事業が行われていないと認めるときは、その承認を取り消すことができる。

3 前条第三項の規定は、第一項の承認について準用する。

 (中小企業信用保険法の特例)

第六条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条第一項に規定する普通保険(以下「普通保険」という。)、同法第三条の二第一項に規定する無担保保険(以下「無担保保険」という。)又は同法第三条の三第一項に規定する特別小口保険(以下「特別小口保険」という。)の保険関係であって、経営革新関連保証(同法第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証であって、承認経営革新計画に従って行われる経営革新のための事業に必要な資金に係るものをいう。以下同じ。)を受けた中小企業者に係るものについての次の表の上欄に掲げる同法の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。

第三条第一項

保険価額の合計額が

中小企業経営革新支援法第六条第一項に規定する経営革新関連保証(以下「経営革新関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ

第三条の二第一項及び第三条の三第一項

保険価額の合計額が

経営革新関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ

第三条の二第三項及び第三条の三第二項

当該保証をした

経営革新関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした

当該債務者

経営革新関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者

2 中小企業信用保険法第三条の七第一項に規定する新事業開拓保険の保険関係であって、経営革新関連保証を受けた中小企業者に係るものについての同項及び同条第二項の規定の適用については、同条第一項中「二億円」とあるのは「三億円(中小企業経営革新支援法第五条第二項に規定する承認経営革新計画に従って行われる経営革新のための事業に必要な資金(以下「経営革新事業資金」という。)以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、二億円)」と、「四億円」とあるのは「六億円(経営革新事業資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、四億円)」と、同条第二項中「二億円」とあるのは「三億円(経営革新事業資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、二億円)」とする。

3 普通保険の保険関係であって、経営革新関連保証に係るものについての中小企業信用保険法第三条第二項及び第五条の規定の適用については、同法第三条第二項中「百分の七十」とあり、及び同法第五条中「百分の七十(無担保保険、特別小口保険、公害防止保険、エネルギー対策保険、海外投資関係保険及び新事業開拓保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。

4 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であって、経営革新関連保証に係るものについての保険料の額は、中小企業信用保険法第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。

 (中小企業近代化資金等助成法の特例)

第七条 中小企業近代化資金等助成法(昭和三十一年法律第百十五号)第三条第一項に規定する中小企業設備近代化資金の貸付事業に係る貸付金(第十二条第二項において「近代化資金貸付金」という。)であって、承認経営革新計画に従って行われる経営革新のための事業に必要な設備に係るものについては、同法第五条の規定にかかわらず、その償還期間は、七年を超えない範囲内で政令で定める期間とする。

 (中小企業投資育成株式会社法の特例)

第八条 中小企業投資育成株式会社は、中小企業投資育成株式会社法(昭和三十八年法律第百一号)第五条第一項各号に掲げる事業のほか、次に掲げる事業を行うことができる。

 一 中小企業者が承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行うために資本の額が一億円を超える株式会社を設立する際に発行する株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有

 二 中小企業者のうち資本の額が一億円を超える株式会社が承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行うために必要とする資金の調達を図るために発行する新株、転換社債又は新株引受権付社債の引受け及び当該引受けに係る株式、転換社債(その転換により発行された株式を含む。)又は新株引受権付社債の保有

2 前項第一号の規定による株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有並びに同項第二号の規定による新株、転換社債又は新株引受権付社債の引受け及び当該引受けに係る株式、転換社債(その転換により発行された株式を含む。)又は新株引受権付社債の保有は、中小企業投資育成株式会社法の適用については、それぞれ同法第五条第一項第一号及び第二号の事業とみなす。

 (課税の特例)

第九条 承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行おうとする中小企業者であって、生産額又は取引額が相当程度減少している中小企業者として通商産業大臣が定めるものに該当する旨の確認を当該承認経営革新計画に係る行政庁から受けたものが、当該承認経営革新計画に従って取得し、又は製作した機械及び装置については、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、課税の特例の適用があるものとする。

2 組合等が、承認経営革新計画で定める賦課の基準(次項及び第四項において単に「賦課の基準」という。)に基づいて、その構成員たる中小企業者に対し、試験研究に必要な機械装置(工具、器具及び備品を含む。)を取得し、又は製作するための費用に充てるための負担金を賦課した場合において、当該中小企業者が当該負担金を納付したときは、租税特別措置法で定めるところにより、当該負担金について特別償却を行うことができる。

3 組合等が賦課の基準に基づいてその構成員に対し試験研究のための費用に充てるための負担金を賦課した場合において、その構成員が当該負担金を納付したときは、租税特別措置法で定めるところにより、当該負担金について試験研究費の額が増加した場合等の課税の特例の適用があるものとする。

4 組合等が、賦課の基準に基づいてその構成員に対し賦課した負担金の全部又は一部をもって、試験研究の用に直接供する固定資産を取得し、又は製作したときは、租税特別措置法で定めるところにより、所得の金額の計算について特別の措置を講ずる。

5 承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行おうとする中小企業者であって、生産額又は取引額が大幅に減少している中小企業者として通商産業大臣が定めるものに該当する旨の確認を当該承認経営革新計画に係る行政庁から受けたものについて欠損金を生じた場合には、租税特別措置法で定めるところにより、法人税の還付について特別の措置を講ずる。

   第三章 経営基盤強化の支援

 (経営基盤強化計画の承認)

第十条 その業種における事業活動の相当部分が中小企業者によって行われており、その業種に係る競争条件、貿易構造、原材料の供給事情その他のその業種に係る経済的環境の著しい変化による影響を受け、その業種に属する事業に係る生産額又は取引額が相当程度減少し、又は減少する見通しがある業種であって政令で指定するもの(以下「特定業種」という。)に属する事業を行う中小企業者を構成員とする組合等(以下「特定組合等」という。)は、その構成員たる中小企業者が行う特定業種に属する事業に係る新商品、新役務又は新技術の開発、企業化、需要の開拓その他の事業であってその構成員たる特定業種に属する事業を行う中小企業者の将来の経営革新に寄与するための経営基盤の強化に関するもの(以下「経営基盤強化事業」という。)についての計画(以下「経営基盤強化計画」という。)を作成し、特定業種を指定する政令の施行の日から起算して政令で定める期間を経過する日までにこれを主務大臣に提出して、その経営基盤強化計画が適当である旨の承認を受けることができる。

2 経営基盤強化計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 経営基盤強化事業の目標

 二 経営基盤強化事業の内容及び実施時期

 三 経営基盤強化事業を実施するために必要な資金の額及びその調達方法

 四 特定組合等が経営基盤強化事業に係る試験研究のための費用に充てるためその構成員に対し負担金の賦課をしようとする場合にあっては、その賦課の基準

3 主務大臣は、第一項の承認の申請があった場合において、当該申請に係る経営基盤強化計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。

 一 その経営基盤強化計画に係る経営基盤強化事業が当該特定組合等の構成員たる中小企業者が当該特定業種に係る経済的環境の著しい変化に対処する上で有効かつ適切なものであること。

 二 その経営基盤強化計画に係る経営基盤強化事業が当該特定組合等の構成員たる中小企業者の能力を有効かつ適切に発揮させるとともに、その経営革新に向けた努力を助長するものであり、かつ、国民経済の健全な発展を阻害するものでないこと。

 三 その経営基盤強化計画が当該経営基盤強化事業を円滑かつ確実に遂行するために適切なものであること。

 四 前項第四号に規定する負担金の賦課をしようとする場合にあっては、その賦課の基準が適切なものであること。

 五 当該特定組合等の構成員たる中小企業者であって当該経営基盤強化事業に係る特定業種に属する事業を行うものの相当部分が当該経営基盤強化計画に従って経営基盤強化事業を行うものであること。

4 主務大臣は、第一項の特定業種を指定する政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、中小企業政策審議会の意見を聴かなければならない。

 (経営基盤強化計画の変更等)

第十一条 前条第一項の承認を受けた特定組合等は、当該承認に係る経営基盤強化計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。

2 主務大臣は、前条第一項の承認を受けた特定組合等又はその構成員が当該承認に係る経営基盤強化計画(前項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの。以下「承認経営基盤強化計画」という。)に従って経営基盤強化事業を行っていないと認めるときは、その承認を取り消すことができる。

3 前条第三項の規定は、第一項の承認について準用する。

 (中小企業信用保険法の特例等の規定の準用)

第十二条 第六条第一項、第三項及び第四項の規定は、普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係のうち、中小企業信用保険法第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証であって、承認経営基盤強化計画に従って行われる経営基盤強化事業に係るものを受けた中小企業者に係るものについて準用する。

2 第七条の規定は、承認経営基盤強化計画に従って行われる経営基盤強化事業に必要な設備に係る近代化資金貸付金について準用する。

 (課税の特例)

第十三条 特定組合等の構成員たる中小企業者であって承認経営基盤強化計画に従って経営基盤強化事業を行おうとするものは、租税特別措置法で定めるところにより、その有する固定資産について特別償却を行うことができる。

2 第九条第二項から第四項までの規定は、特定組合等又はその構成員たる中小企業者について準用する。この場合において、同条第二項中「承認経営革新計画」とあるのは、「承認経営基盤強化計画」と読み替えるものとする。

   第四章 雑則

 (資金の確保)

第十四条 国及び都道府県は、承認経営革新計画に従って行われる経営革新のための事業に必要な資金の確保に努めるものとする。

2 国は、承認経営基盤強化計画に従って行われる経営基盤強化事業に必要な資金の確保に努めるものとする。

 (調査、指導及び助言)

第十五条 行政庁は、承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行う中小企業者について、その経営の向上の状況を把握するための調査を行うものとする。

2 国及び都道府県は、承認経営革新計画に係る経営革新のための事業の適確な実施に必要な指導及び助言を行うものとする。

3 国は、承認経営基盤強化計画に係る経営基盤強化事業の適確な実施に必要な指導及び助言を行うものとする。

 (報告の徴収)

第十六条 行政庁は承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行う者に対し、主務大臣は承認経営基盤強化計画に従って経営基盤強化事業を行う者に対し、それぞれ、承認経営革新計画又は承認経営基盤強化計画の実施状況について報告を求めることができる。

 (所管行政庁等)

第十七条 この法律における行政庁は、次の各号に掲げる経営革新計画の区分に応じ、当該各号に定める行政庁とする。

 一 第二条第一項第一号から第五号までに掲げる者(第三号において「個別中小企業者」という。)が単独で作成した経営革新計画 当該作成した者の主たる事務所の所在地を区域に含む都道府県の知事

 二 第二条第一項第六号に掲げる者であってその定款に地区が定められているもの(次号において「地区組合」という。)のうちその地区が一の都道府県の区域を超えないものが単独で作成した経営革新計画 当該都道府県の知事

 三 中小企業者等が共同で作成した経営革新計画であって、その代表者が個別中小企業者又は次のイ若しくはロに掲げる者からなり、かつ、当該個別中小企業者の主たる事務所の所在地をその区域に含む都道府県又は次のイ若しくはロに掲げる者に係る都道府県が同一であるもの 当該都道府県の知事

  イ その地区が一の都道府県の区域を超えない地区組合

  ロ その行う事業が一の都道府県の区域内に限られる第二条第二項に規定する社団法人

 四 前三号に掲げる経営革新計画以外のもの 通商産業大臣及び当該経営革新計画に従って行われる経営革新のための事業を所管する大臣

2 都道府県知事は、第四条第一項又は第五条第一項の規定による承認をしたときは、当該承認に係る経営革新計画を、通商産業省令で定めるところにより、通商産業大臣に通知するものとする。

 (主務大臣)

第十八条 この法律における主務大臣は、通商産業大臣及び特定業種に属する事業を所管する大臣とする。

 (権限の委任)

第十九条 この法律による行政庁(都道府県の知事を除く。)及び主務大臣の権限は、政令で定めるところにより、地方支分部局の長に行わせることができる。

   第五章 罰則

第二十条 第十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (中小企業近代化促進法等の廃止)

第二条 次に掲げる法律は、廃止する。

 一 中小企業近代化促進法(昭和三十八年法律第六十四号)

 二 特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法(平成五年法律第九十三号)

 (中小企業近代化促進法等の廃止に伴う経過措置)

第三条 前条の規定による廃止前の中小企業近代化促進法第四条第一項又は第二項の承認を受けた特定商工組合等に関する計画の変更の承認及び取消し並びに報告の徴収については、なお従前の例による。この場合において、同法第十七条第四項中「審議会」とあるのは、「中小企業政策審議会」とする。

2 前条の規定による廃止前の特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法第三条第一項又は第七条第一項の承認を受けた者に関する計画の変更の承認及び取消し並びに報告の徴収、同法第四条第二項に規定する承認新分野進出等計画に従って事業を行う者(同法第五条第一項に規定する特例中小企業者を除く。)又は同法第八条第一項に規定する承認事業開始計画に従って事業を行う者に関する中小企業近代化資金等助成法による貸付金の償還期間の延長、新分野進出等関連保証、海外事業関連保証又は新分野事業関連保証についての中小企業信用保険法の特例及び報告の徴収並びに同法第五条第一項に規定する特例中小企業者に関する中小企業近代化資金等助成法による貸付金の償還期間の延長、中小企業信用保険法第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証、海外事業関連保証又は新分野事業関連保証についての中小企業信用保険法の特例及び報告の徴収については、なお従前の例による。

 (沖縄振興開発特別措置法の一部改正)

第四条 沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第一項中「及び中小企業近代化審議会」を削り、「以下」の下に「この条から」を加え、同項第三号を削り、同条第二項を次のように改める。

 2 近代化計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。

  一 次のイ又はロに掲げる事項

   イ 製造業にあつては、目標年度における製品の性能又は品質、生産費その他の近代化の目標及び製品の供給の見通し

   ロ 製造業以外の業種にあつては、イに掲げる事項に準ずる事項

  二 新商品又は新技術の開発、設備の近代化、生産又は経営の規模又は方式の適正化、競争の正常化又は取引関係の改善その他の近代化の目標を達成するために必要な事項

  三 従業員の福祉の向上、消費者の利益の増進、環境の保全その他の近代化に際し配慮すべき重要事項

  第十九条第三項中「前二項」を「この条」に、「指定業種に属する事業」を「指定事業」に改め、同項ただし書中「前項において準用する中小企業近代化促進法第七条第二項又は第十七条第二項」を「第七項又は第十二項」に、「行なう」を「行う」に改め、同項を同条第十四項とし、同条第二項の次に次の十一項を加える。

 3 関係行政機関の長は、第一項の規定により近代化計画を定めたときは、その要旨を公表するとともに、当該指定業種に属する事業を行う沖縄の中小企業者又は当該沖縄の中小企業者を直接若しくは間接の構成員(以下この条から第二十一条までにおいて単に「構成員」という。)とする団体に対し、必要な指導を行うものとする。

 4 関係行政機関の長は、経済事情の変化のため必要があると認めるときは、沖縄振興開発審議会の意見を聴いて、近代化計画を変更するものとする。

 5 第三項の規定は、前項の規定により近代化計画を変更した場合について準用する。

 6 関係行政機関の長は、近代化計画に定める沖縄の中小企業の近代化の目標を達成するため、当該近代化計画に定める生産若しくは経営の規模若しくは方式の適正化に関する事項又は競争の正常化若しくは取引関係の改善に関する事項に関し、当該指定業種に属する事業を行う沖縄の中小企業者が相互に協力して事業活動を行うことが特に必要であると認めるときは、当該沖縄の中小企業者又は当該沖縄の中小企業者を構成員とする団体に対し、必要な勧告をすることができる。

 7 関係行政機関の長は、前項に規定する場合において、同項の勧告のみによつては当該勧告に係る事項の実施が著しく困難であり、かつ、その主たる理由が当該沖縄の中小企業者の事業と競合し若しくは関連する事業を行う者又は当該事業を行う者を構成員とする団体の事業活動にあると認めるときは、当該事業を行う者又は当該事業を行う者を構成員とする団体に対し、必要な勧告をすることができる。

 8 関係行政機関の長は、前二項の勧告をしようとするときは、沖縄振興開発審議会の意見を聴かなければならない。

 9 関係行政機関の長は、政令で定めるところにより、指定業種に属する事業(以下この条及び次条において「指定事業」という。)を行う沖縄の中小企業者に対し、その者が指定事業を行う他の法人である中小企業者と合併し、又は指定事業を行う他の法人である中小企業者に対して出資し、若しくは指定事業を行う他の中小企業者とともに出資して指定事業を行う法人(会社又は企業組合に限る。)を設立することにより、当該指定事業を行う沖縄の中小企業者の事業の近代化が著しく促進され、かつ、当該沖縄の中小企業者が当該指定業種に係る近代化計画に定める近代化の目標に達することとなると認められる旨の承認をすることができる。

 10 関係行政機関の長は、前項の規定による出資をする沖縄の中小企業者であつて法人であるものに対して同項の承認をする場合には、政令で定めるところにより、当該沖縄の中小企業者に対し、当該出資に係る資産が当該出資を受ける法人又は当該出資に基づいて設立される法人の行う指定事業の用に供するため必要なものである旨の承認を併せてすることができる。

 11 関係行政機関の長は、近代化計画を定め又は近代化計画の円滑な実施を確保するため当該指定業種に属する沖縄の中小企業の実態を明らかにする必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該指定事業を行う沖縄の中小企業者に対し、その業務又は経理の状況について報告を求めることができる。

 12 関係行政機関の長は、前項に規定する場合において、当該沖縄の中小企業者の事業と競合し又は関連する事業を行う者の事業活動が当該沖縄の中小企業者の経営に著しい影響を及ぼしていると認めるときは、政令で定めるところにより、当該事業を行う者に対し、その業務の状況について報告を求めることができる。

 13 関係行政機関の長は、前二項の報告を求めようとするときは、報告を求めるべき事項について沖縄振興開発審議会の意見を聴かなければならない。

  第二十条第二項中「特定業種に属する事業を行う」を「特定業種に属する事業(以下この条において「特定事業」という。)を行う」に、「事業と特定業種に属する事業」を「事業と特定事業」に、「行う特定業種に属する事業」を「行う特定事業」に改め、同条第三項及び第四項を次のように改める。

 3 構造改善計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

  一 構造改善事業の目標

  二 構造改善事業の内容及び実施時期

  三 構造改善事業を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法

  四 特定商工組合等が構造改善事業を実施する場合において、必要な試験研究費に充てるためその構成員又は関連事業者に対し負担金の賦課をしようとするときは、その賦課の基準

 4 関係行政機関の長は、第一項又は第二項の承認の申請があつた場合において、その構造改善計画が、近代化計画に定める近代化の目標を達成するため適当なものであることその他の政令で定める基準に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。

  第二十条に次の七項を加える。

 5 関係行政機関の長は、第二項の指定又は承認をしようとするときは、当該関連業種に属する事業を所管する大臣に協議しなければならない。

 6 前各項に規定するもののほか、構造改善計画の承認及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。

 7 関係行政機関の長は、政令で定めるところにより、第一項の承認を受けた商工組合等の構成員たる沖縄の中小企業者であつて特定事業を行うものに対し、その者が当該承認に係る構造改善計画に従つて、指定事業を行う他の法人である中小企業者と合併し、又は特定事業を行う他の法人である中小企業者に対して出資し、若しくは指定事業を行う他の中小企業者とともに出資して特定事業を行う法人(会社又は企業組合に限る。)を設立し、かつ、それにより当該特定事業を行う沖縄の中小企業者の事業の近代化が著しく促進されることとなると認められる旨の承認をすることができる。特定事業以外の指定事業を行う中小企業者が同項の承認を受けた商工組合等の構成員たる沖縄の中小企業者であつて特定事業を行うものと当該承認に係る構造改善計画に従つて合併する場合であつて、その合併により当該特定事業を行う沖縄の中小企業者の事業の近代化が著しく促進されることとなると認められるときにおける当該指定事業を行う中小企業者に対しても、同様とする。

 8 関係行政機関の長は、政令で定めるところにより、第二項の承認を受けた特定商工組合等の構成員たる沖縄の中小企業者であつて特定事業を行うものに対し、その者が当該承認に係る構造改善計画に従つて、指定事業を行う他の法人である中小企業者若しくは当該承認を受けた関連事業者たる法人である中小企業者と合併し、又は特定事業を行う他の法人である中小企業者に対して出資し、若しくは指定事業を行う他の中小企業者若しくは当該承認を受けた関連事業者たる中小企業者とともに出資して特定事業を行う法人(会社又は企業組合に限る。)を設立し、かつ、それにより当該特定事業を行う沖縄の中小企業者の事業の近代化が著しく促進されることとなると認められる旨の承認をすることができる。特定事業以外の指定事業を行う中小企業者が同項の承認を受けた特定商工組合等の構成員たる沖縄の中小企業者であつて特定事業を行うものと当該承認に係る構造改善計画に従つて合併する場合であつて、その合併により当該特定事業を行う沖縄の中小企業者の事業の近代化が著しく促進されることとなると認められるときにおける当該指定事業を行う中小企業者及び同項の承認を受けた関連事業者たる中小企業者が当該承認に係る構造改善計画に従つて、当該承認を受けた特定商工組合等の構成員たる法人である沖縄の中小企業者であつて特定事業を行うものと合併し、又は当該特定事業を行う法人である沖縄の中小企業者に対して出資し、若しくは当該特定事業を行う沖縄の中小企業者とともに出資して特定事業を行う法人(会社又は企業組合に限る。)を設立する場合であつて、その合併又は出資により当該特定事業を行う沖縄の中小企業者の事業の近代化が著しく促進されることとなると認められるときにおける当該関連事業者たる中小企業者に対しても、同様とする。

 9 前条第十項の規定は、前二項の規定による出資をする中小企業者であつて法人であるものに対して前二項の承認をする場合について準用する。

 10 関係行政機関の長は、第一項又は第二項の承認を受けた商工組合等及び同項の承認を受けた関連事業者に対し、構造改善事業の実施状況について報告を求めることができる。

 11 前条第十三項の規定は、前項の報告の徴収について準用する。

  第二十一条第一項第一号中「第十九条第二項において準用する中小企業近代化促進法第八条第一項若しくは第四項又は前条第四項において準用する同法第八条第二項から第四項まで」を「第十九条第九項若しくは第十項(前条第九項において準用する場合を含む。)又は前条第七項若しくは第八項」に改め、同項第二号中「第十九条第二項において準用する中小企業近代化促進法第八条第一項若しくは前条第四項において準用する同法第八条第二項若しくは第三項」を「第十九条第九項又は前条第七項若しくは第八項」に改める。

  第五十七条第一項中「第十九条第二項及び第二十条第四項において準用する中小企業近代化促進法第十七条第一項から第三項まで」を「第十九条第十一項若しくは第十二項又は第二十条第十項」に、「三万円」を「三十万円」に改める。

 (罰則に関する経過措置)

第五条 この法律の施行前にした行為及び附則第三条の規定により従前の例によることとされる報告の徴収に係る行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (中小企業基本法の一部改正)

第六条 中小企業基本法(昭和三十八年法律第百五十四号)の一部を次のように改正する。

  第三十条第一項中「二十人」を「三十人」に改める。

 (中小企業指導法の一部改正)

第七条 中小企業指導法(昭和三十八年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項中「中小企業近代化審議会」を「中小企業政策審議会」に改める。

  第六条第一項中「中小企業近代化審議会」を「中小企業政策審議会」に、「きいて」を「聴いて」に改める。

 (下請中小企業振興法の一部改正)

第八条 下請中小企業振興法(昭和四十五年法律第百四十五号)の一部を次のように改正する。

  第十三条第三項中「中小企業近代化審議会」を「中小企業政策審議会」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改める。

 (中小小売商業振興法の一部改正)

第九条 中小小売商業振興法(昭和四十八年法律第百一号)の一部を次のように改正する。

  第三条第三項中「中小企業近代化審議会」を「中小企業政策審議会」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改める。

 (中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律等の一部改正)

第十条 次に掲げる法律の規定中「中小企業近代化審議会」を「中小企業政策審議会」に改める。

 一 中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律(平成三年法律第五十七号)第三条第三項

 二 中小企業流通業務効率化促進法(平成四年法律第六十五号)第三条第三項

 三 商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(平成五年法律第五十一号)第三条第三項

 四 中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法(平成七年法律第四十七号)第三条第四項

 五 特定産業集積の活性化に関する臨時措置法(平成九年法律第二十八号)第四条第四項

 (中小企業庁設置法の一部改正)

第十一条 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第七号の三中「中小企業近代化促進法(昭和三十八年法律第六十四号)及び」を削り、「下請中小企業振興法(昭和四十五年法律第百四十五号)」の下に「及び中小企業経営革新支援法(平成十一年法律第十八号)」を加え、同項中第七号の五を削り、第七号の六を第七号の五とし、第七号の七を第七号の六とする。

(内閣総理・大蔵・厚生・農林水産・通商産業・運輸・建設大臣署名) 

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