化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
法律第百十七号(昭四八・一〇・一六)
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 新規化学物質に関する審査及び規制(第三条−第五条)
第三章 特定化学物質に関する規制(第六条−第二十二条)
第四章 雑則(第二十三条−第三十三条)
第五章 罰則(第三十四条−第三十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、難分解性等の性状を有し、かつ、人の健康をそこなうおそれがある化学物質による環境の汚染を防止するため、新規の化学物質の製造又は輸入に際し事前にその化学物質がこれらの性状を有するかどうかを審査する制度を設けるとともに、これらの性状を有する化学物質の製造、輸入、使用等について必要な規制を行なうことを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「化学物質」とは、元素又は化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物(放射性物質及び次に掲げる物を除く。)をいう。
一 毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)第二条第三項に規定する特定毒物
二 覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第二条第一項に規定する覚せい剤及び同条第五項に規定する覚せい剤原料
三 麻薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第一号に規定する麻薬
2 この法律において「特定化学物質」とは、次の各号の一に該当する化学物質で政令で定めるものをいう。
一 イ及びロに該当するものであること。
イ 自然的作用による化学的変化を生じにくいものであり、かつ、生物の体内に蓄積されやすいものであること。
ロ 継続的に摂取される場合には、人の健康をそこなうおそれがあるものであること。
二 当該化学物質が自然的作用による化学的変化を生じやすいものである場合には、自然的作用による化学的変化により生成する化学物質(元素を含む。)が前号イ及びロに該当するものであること。
第二章 新規化学物質に関する審査及び規制
(製造等の届出)
第三条 次に掲げる化学物質以外の化学物質(以下「新規化学物質」という。)を製造し、又は輸入しようとする者は、あらかじめ、厚生省令、通商産業省令で定めるところにより、その新規化学物質の名称その他の厚生省令、通商産業省令で定める事項を厚生大臣及び通商産業大臣に届け出なければならない。ただし、試験研究のため新規化学物質を製造し、又は輸入しようとするとき、試薬(化学的方法による物質の検出若しくは定量、物質の合成の実験又は物質の物理的特性の測定のために使用される化学物質をいう。以下同じ。)として新規化学物質を製造し、又は輸入しようとするときその他政令で定める場合は、この限りでない。
一 次条第三項の規定により厚生大臣及び通商産業大臣が公示した化学物質
二 特定化学物質
三 附則第二条第四項の規定により通商産業大臣が公示した同条第一項に規定する既存化学物質名簿に記載されている化学物質
2 厚生大臣及び通商産業大臣は、前項の届出があつたときは、遅滞なく、その届出書の写しを環境庁長官に送付するものとする。
(審査)
第四条 厚生大臣及び通商産業大臣は、前条第一項の届出があつたときは、その届出を受理した日から三月以内に、その届出に係る新規化学物質について既に得られているその組成、性状等に関する知見に基づいて、その新規化学物質が次の各号のいずれに該当するかを判定し、その結果をその届出をした者に通知しなければならない。
一 第二条第二項各号のいずれにも該当しないもの
二 第二条第二項各号の一に該当するもの
三 第二条第二項各号の一に該当するかどうか明らかでないもの
2 厚生大臣及び通商産業大臣は、前条第一項の届出に係る新規化学物質が前項第三号に該当すると判定したときは、すみやかに、その新規化学物質について実施される試験の試験成績に基づいて、その新規化学物質が同項第一号又は第二号のいずれに該当するかを判定し、その結果をその届出をした者に通知しなければならない。
3 厚生大臣及び通商産業大臣は、前二項の規定により前条第一項の届出に係る新規化学物質が第二条第二項各号のいずれにも該当しないものである旨の通知をしたときは、遅滞なく、その新規化学物質の名称を公示しなければならない。
4 第一項及び第二項の判定を行なうために必要な試験の項目その他の技術的な事項は、総理府令、厚生省令、通商産業省令で定める。
5 環境庁長官は、必要があると認めるときは、厚生大臣及び通商産業大臣が第一項又は第二項の判定を行なうに際し、事前に、厚生大臣及び通商産業大臣に対し、必要な説明を求め、及び意見を述べることができる。
(製造等の制限)
第五条 第三条第一項の届出をした者は、前条第一項又は第二項の規定によりその届出に係る新規化学物質が第二条第二項各号のいずれにも該当しないものである旨の通知を受けた後でなければ、その新規化学物質を製造し、又は輸入してはならない。ただし、第三条第一項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
第三章 特定化学物質に関する規制
(製造の許可)
第六条 特定化学物質の製造の事業を営もうとする者は、特定化学物質及び事業所ごとに、通商産業大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 事業所の所在地
三 特定化学物質の名称
四 製造設備の構造及び能力
第七条 前条第一項の許可を受けた者でなければ、特定化学物質を製造してはならない。ただし、試験研究のため特定化学物質を製造するときは、この限りでない。
(欠格条項)
第八条 次の各号の一に該当する者には、第六条第一項の許可を与えない。
一 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
二 第二十一条の規定により許可を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
三 禁治産者
四 法人であつて、その業務を行なう役員のうちに前三号の一に該当する者があるもの
(許可の基準)
第九条 通商産業大臣は、第六条第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 その許可をすることによつて当該特定化学物質の製造の能力が当該特定化学物質の需要に照らして過大とならないこと。
二 製造設備が厚生省令、通商産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること。
三 その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有すること。
(変更の許可等)
第十条 第六条第一項の許可を受けた者(以下「許可製造業者」という。)は、同条第二項第四号に掲げる事項を変更しようとするときは、通商産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、通商産業省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
2 許可製造業者は、第六条第二項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたとき、又は前項ただし書の通商産業省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
3 前条の規定は、第一項の許可に準用する。
(輸入の許可)
第十一条 特定化学物質を輸入しようとする者は、通商産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、試験研究のため特定化学物質を輸入しようとするときは、この限りでない。
2 前項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 特定化学物質の名称
三 輸入数量
(許可の基準等)
第十二条 通商産業大臣は、前条第一項の許可の申請があつた場合においては、その申請に係る特定化学物質の輸入が当該特定化学物質の製造の状況等からみてその需要を満たすため必要であると認めるときでなければ、前条第一項の許可をしてはならない。
2 第八条の規定は、前条第一項の許可に準用する。
(製品の輸入の制限)
第十三条 何人も、政令で定める製品で特定化学物質が使用されているものを輸入してはならない。
2 前項の政令は、特定化学物質ごとに、海外における当該特定化学物質の使用の事情等を考慮して定めるものとする。
(使用の制限)
第十四条 何人も、次に掲げる要件に適合するものとして特定化学物質ごとに政令で定める用途以外の用途に特定化学物質を使用してはならない。ただし、試験研究のため特定化学物質を使用するときは、この限りでない。
一 当該用途について他の物による代替が困難であること。
二 当該用途が主として一般消費者の生活の用に供される製品の製造又は加工に関するものでないことその他当該用途に当該特定化学物質が使用されることにより当該特定化学物質による環境の汚染が生じるおそれがないこと。
(使用の届出)
第十五条 特定化学物質を業として使用しようとする者は、事業所ごとに、あらかじめ、次の事項を主務大臣に届け出なければならない。ただし、試験研究のため特定化学物質を業として使用しようとするときは、この限りでない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 事業所の所在地
三 特定化学物質の名称及びその用途
2 前項の届出をした者(以下「届出使用者」という。)は、同項各号の事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
(承継)
第十六条 許可製造業者、第十一条第一項の許可を受けた者(以下「許可輸入者」という。)又は届出使用者について相続又は合併があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、許可製造業者、許可輸入者又は届出使用者の地位を承継する。
2 前項の規定により許可製造業者、許可輸入者又は届出使用者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を、許可製造業者又は許可輸入者の地位を承継した者にあつては通商産業大臣に、届出使用者の地位を承継した者にあつては主務大臣に届け出なければならない。
(基準適合義務)
第十七条 許可製造業者は、その製造設備を第九条第二号の厚生省令、通商産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 届出使用者は、特定化学物質を使用する場合においては、主務省令で定める技術上の基準に従つてしなければならない。
(改善命令)
第十八条 通商産業大臣は、許可製造業者の製造設備が第九条第二号の厚生省令、通商産業省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは、当該許可製造業者に対し、製造設備についてその修理又は改造その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2 主務大臣は、届出使用者が前条第二項の主務省令で定める技術上の基準に従つて特定化学物質を使用していないと認めるときは、当該届出使用者に対し、特定化学物質の使用の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(帳簿)
第十九条 許可製造業者は、帳簿を備え、特定化学物質の製造について通商産業省令で定める事項を記載しなければならない。
2 前項の帳簿は、通商産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。
3 前二項の規定は、届出使用者に準用する。この場合において、これらの規定中「通商産業省令」とあるのは、「主務省令」と読み替えるものとする。
(廃止の届出)
第二十条 許可製造業者又は届出使用者は、その事業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を、許可製造業者にあつては通商産業大臣に、届出使用者にあつては主務大臣に届け出なければならない。
2 許可製造業者がその事業を廃止したときは、許可は、その効力を失う。
(許可の取消し等)
第二十一条 通商産業大臣は、許可製造業者が次の各号の一に該当するときは、許可を取り消し、又は期間を定めてその事業の停止を命ずることができる。
一 第八条第一号、第三号又は第四号に該当するに至つたとき。
二 第十条第一項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないで変更したとき。
三 第十八条第一項の規定による命令に違反したとき。
四 第二十四条第一項の条件に違反したとき。
2 通商産業大臣は、許可輸入者が第十二条第二項において準用する第八条第一号、第三号又は第四号に該当するに至つたときは、許可に係る特定化学物質が輸入されるまでの間に限り、許可を取り消すことができる。
(特定化学物質の指定に伴う措置命令)
第二十二条 主務大臣は、一の化学物質が特定化学物質として指定された場合において、当該化学物質による環境の汚染の進行を防止するため特に必要があると認めるときは、必要な限度において、その指定の際当該化学物質又は当該化学物質が使用されている製品の製造又は輸入の事業を営んでいた者に対し、その製造又は輸入に係る当該化学物質又は当該製品の回収を図ることその他当該化学物質による環境の汚染の進行を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第四章 雑則
(勧告)
第二十三条 主務大臣は、特定化学物質以外の化学物質について第二条第二項各号の一に該当すると疑うに足りる理由があると認めるときは、当該化学物質による環境の汚染の進行を防止するため必要な限度において、当該化学物質の製造若しくは輸入の事業を営む者又は業として当該化学物質を使用する者に対し、当該化学物質の製造若しくは輸入又は使用の制限に関し必要な勧告をすることができる。
(許可の条件)
第二十四条 許可には、条件を附し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(報告の徴収)
第二十五条 通商産業大臣又は主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、それぞれ、許可製造業者若しくは許可輸入者又は届出使用者に対し、その業務に関し報告をさせることができる。
2 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第二十二条又は第二十三条に規定する者に対し、その業務に関し報告をさせることができる。
(立入検査等)
第二十六条 通商産業大臣又は主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、それぞれ、その職員に、許可製造業者若しくは許可輸入者又は届出使用者の事務所その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、又は試験のために必要な最小限度の分量に限り化学物質を収去させることができる。
2 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、第二十二条に規定する者の事務所その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、又は試験のために必要な最小限度の分量に限り化学物質を収去させることができる。
3 前二項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査、質問及び収去の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(要請)
第二十七条 環境庁長官は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、主務大臣に対し、第二十二条又は第二十三条の規定による措置をとるべきことを要請することができる。
(手数料)
第二十八条 第六条第一項、第十条第一項又は第十一条第一項の許可を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
(聴聞)
第二十九条 通商産業大臣は、第二十一条の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当の期間をおいて予告したうえ、公開による聴聞を行なわなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提出し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(異議申立ての手続における聴聞)
第三十条 この法律の規定による処分についての異議申立てに対する決定(却下の決定を除く。)は、前条の例により公開による聴聞をした後にしなければならない。
(経過措置)
第三十一条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(主務大臣等)
第三十二条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第十五条、第十六条第二項若しくは第二十条第一項の規定による届出又は第十八条第二項の規定による命令、第二十五条第一項の規定による報告の徴収若しくは第二十六条第一項の規定による検査、質問若しくは収去に関しては、これらの届出をする者又はこれらの命令、報告の徴収若しくは検査、質問若しくは収去の対象となる者の行なう事業を所管する大臣
二 第二十二条の規定による命令、第二十三条の規定による勧告、第二十五条第二項の規定による報告の徴収又は第二十六条第二項の規定による検査、質問若しくは収去に関しては、厚生大臣、通商産業大臣及びこれらの命令、勧告、報告の徴収又は検査、質問若しくは収去の対象となる者の行なう事業を所管する大臣
2 この法律における主務省令は、次のとおりとする。
一 第十九条第三項において準用する同条第一項及び第二項の規定による帳簿の備付け、記載及び保存に関しては、特定化学物質を使用する者の行なう事業を所管する大臣の発する命令
二 第十七条第二項の技術上の基準に関しては、厚生大臣、通商産業大臣及び特定化学物質を使用する者の行なう事業を所管する大臣の発する命令
3 厚生大臣及び通商産業大臣又は前項第二号に規定する大臣は、第九条第二号の厚生省令、通商産業省令で定める技術上の基準又は第十七条第二項の主務省令で定める技術上の基準のうち労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)による労働災害の防止に密接な関連を有すると認められる事項に係るものについては、労働大臣の意見をきくものとする。
(他の法令との関係)
第三十三条 次の各号に掲げる物である化学物質については第三条第一項、第六条第一項、第七条、第十一条第一項、第十四条、第十五条第一項、第二十二条及び第二十三条の規定を、特定化学物質が使用されている次の各号に掲げる物については第十三条第一項及び第二十二条の規定を、次の各号に掲げる物の原材料としての化学物質の使用については第十四条、第十五条第一項及び第二十三条の規定を適用せず、当該各号に掲げる法律の定めるところによる。
一 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第二条第一項に規定する食品、同条第二項に規定する添加物、同条第五項に規定する容器包装、同法第二十九条第一項に規定するおもちや及び同条第二項に規定する洗浄剤
二 農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)第一条の二第一項に規定する農薬
三 肥料取締法(昭和二十五年法律第百二十七号)第二条第二項に規定する普通肥料
四 薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品、同条第三項に規定する化粧品及び同条第四項に規定する医療用具
第五章 罰則
第三十四条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第六条第一項の許可を受けないで特定化学物質の製造の事業を営んだ者
二 第七条、第十三条第一項又は第十四条の規定に違反した者
三 第十一条第一項の許可を受けないで特定化学物質を輸入した者
四 第二十一条第一項の規定による事業の停止の命令に違反した者
第三十五条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の届出をしないで新規化学物質を製造し、又は輸入した者
二 第五条の規定に違反した者
第三十六条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十条第一項の許可を受けないで製造設備の構造又は能力を変更した者
二 第十五条第一項の届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第十八条又は第二十二条の規定による命令に違反した者
第三十七条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十九条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は同条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を保存しなかつた者
二 第二十五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三 第二十六条第一項若しくは第二項の規定による検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第三十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十四条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第三十九条 第十条第二項、第十五条第二項、第十六条第二項又は第二十条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、三万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。
(既存化学物質名簿)
第二条 通商産業大臣は、この法律の公布の際現に業として製造され、又は輸入されている化学物質(試験研究のために製造され、又は輸入されているもの及び試薬として製造され、又は輸入されているものを除く。)の名称を記載した表(以下「既存化学物質名簿」という。)を作成し、これをこの法律の公布の日から三月以内に公示しなければならない。
2 何人も、前項の規定により公示された既存化学物質名簿に関し、訂正する必要があると認めるときは、通商産業省令で定めるところにより、その公示の日から一月以内に限り、その旨を通商産業大臣に申し出ることができる。
3 通商産業大臣は、前項の申出があつた場合において、その申出に理由があると認めるときは、その申出に係る化学物質の名称を既存化学物質名簿に追加し、又は既存化学物質名簿から消除するとともに、その旨をその申出をした者に通知しなければならない。
4 通商産業大臣は、前項の規定による追加又は消除を行なつた既存化学物質名簿をこの法律の施行の日の一月前までに公示しなければならない。
(経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に、前条第四項の規定により公示された既存化学物質名簿に記載されている化学物質以外の化学物質の製造又は輸入の事業を営んでいる者については、その者を第三条第一項に規定する者とみなして、同項の規定を適用する。この場合において、同項中「あらかじめ」とあるのは、「この法律の施行の日から一月以内に」とする。
(厚生省設置法の一部改正)
第四条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第十一条に次の一号を加える。
十五 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)の施行に関する事務で厚生省の所掌に属するものを処理すること。
(通商産業省設置法の一部改正)
第五条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項第二号の次に次の一号を加える。
二の二 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)の施行に関する事務で通商産業省の所掌に属するものを処理すること。
第二十五条第一項の表軽工業生産技術審議会の項を次のように改める。
化学品審議会 |
新規の化学品の安全性の確保に関する事項その他化学品に関する重要事項を調査審議すること。 |
(内閣総理・法務・厚生・農林・通商産業・運輸大臣署名)