農業近代化資金助成法

法律第二百二号(昭三六・一一・一〇)

 (目的)

第一条 この法律は、農業者等に対し農業協同組合その他の機関で農業関係の融資をその業務とするものが行なう長期かつ低利の施設資金の融通を円滑にするため、都道府県が行なう利子補給等の措置に対して国が助成することとし、もつて農業者等の資本装備の高度化を図り、農業経営の近代化に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「農業者等」とは、次に掲げる者をいう。

 一 農業(畜産業及び養蚕業を含む。)を営む者

 二 農業協同組合

 三 農業協同組合連合会

 四 前三号に掲げる者のほか、これらの者が主たる構成員又は出資者となつている法人で政令で定めるもの

2 この法律において「融資機関」とは、次に掲げる者をいう。

 一 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第一号の事業を行なう農業協同組合

 二 農業協同組合法第十条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行なう農業協同組合連合会

 三 農業協同組合法第十条第一項第八号の事業を行なう農業協同組合連合会

 四 農林中央金庫

3 この法律において「農業近代化資金」とは、農業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化に資するため、融資機関が当該農業者等に対して貸し付ける資金(畜舎、果樹棚、農機具、農業用道路その他の施設の改良、造成又は取得に要するもの、果樹その他の永年性植物の植栽に要するもの及び乳牛その他の家畜の購入に必要なものに限る。)で政令で定めるもののうち、次の各号に該当するものをいう。

 一 一農業者等に係る貸付金の合計額が、第一項第二号から第四号までに掲げる者に貸し付ける場合にあつては五千万円(特別の理由がある場合において農林大臣が承認したときは、その承認した額)以内、同項第一号に掲げる者で政令で定めるものに貸し付ける場合にあつては一千万円以内、その他の場合にあつては二百万円の範囲内で政令で定める額以内のものであること。

 二 償還期限が、十五年の範囲内において政令で定める期限以内のものであること。

 三 据置期間が、三年の範囲内において政令で定める期間以内のものであること。

 四 利率が、年七分五厘以内で政令で定める利率以内のものであること。

 (利子補給に係る政府の助成)

第三条 政府は、都道府県に対し、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、都道府県が融資機関との契約により当該融資機関が貸し付けた農業近代化資金につき利子補給を行なうのに要する経費の全部又は一部を補助することができる。

 (農業近代化資金に係る債務の保証)

第四条 農業者等に対する農業近代化資金の融通を円滑にするため、融資機関に対して当該資金に係る農業者等の債務を保証することをその業務とする農業信用基金協会の制度を設けるものとする。

2 農業信用基金協会に関しては、農業信用基金協会法(昭和三十六年法律第二百四号)の定めるところによる。

 (農業信用基金協会への出資に係る政府の助成)

第五条 政府は、都道府県に対し、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、都道府県が農業近代化資金に係る債務の保証の業務を行なう農業信用基金協会に対する出資を、当該保証に係る債務の弁済に充てるための基金とすることを条件として行なうのに要する経費の一部を補助することができる。

 (納付金)

第六条 都道府県は、前条の規定による政府の補助(農業信用基金協会法附則第五条第一項の規定による同項の権利及び義務の承継に係る都道府県が同法による改正前の農業改良資金助成法(昭和三十一年法律第百二号)第三条第一項の規定により受けた政府の補助を含む。)を受けて当該都道府県が出資した農業信用基金協会が次の各号の一に該当するときは、政令で定めるところにより、当該各号に掲げる金額の一部を当該補助を受けた割合に応じて政府に納付しなければならない。

 一 解散した場合 農業信用基金協会法第五十二条第一項の規定により当該都道府県に分配された残余財産の額

 二 農業近代化資金に係る債務の保証の業務を廃止した場合 当該保証に係る債務の弁済に充てるための基金として管理されている金額及び当該業務に係る弁済によつて得た求償権の行使によりその後において取得した金額の合計額


   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 有畜農家創設特別措置法(昭和二十八年法律第二百六十号)は、廃止する。

3 日本中央競馬会法(昭和二十九年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。

  第三十六条第一項中「有畜農家創設特別措置法(昭和二十八年法律第二百六十号)第四条及び」を削り、「並びに」を「及び」に改める。

4 この法律の施行前に旧有畜農家創設特別措置法第六条の融資機関が貸し付けた同法第二条の有畜農家創設事業資金、都道府県が購入した同法第四条第二号の家畜の購入代金及び同法第六条の組合等が有畜農家創設事業を行なうため農家に融資した家畜の購入又は借受けに要する資金(附則第七項に規定するものを除く。)については、なお従前の例による。

5 農業改良資金助成法の一部を次のように改正する。

  第三条第三項を削る。

6 政府は、この法律の施行前に農業改良資金助成法第三条第一項第二号の保証を受けて同号の条件で貸し付けられた資金(次項に規定するものを除く。)につき、都道府県が農業協同組合との契約により、引き続き利子補給を行なうときは、当該都道府県に対し、当該利子補給に要する財源について必要な措置を講ずることができる。

7 昭和三十六年四月一日からこの法律の施行の日の前日までに融資機関が農業者等に貸し付けた資金であつて第二条第三項に規定する農業近代化資金の要件のすべてを備えているもの(政令で定める日までに当該要件のすべてを備えることとなつたものを含む。)は、農業近代化資金とみなし、この法律を適用する。

8 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第八条第一項第十四号の次に次の一号を加える。

  十四の二 農業近代化資金助成法(昭和三十六年法律第二百二号)に基づいて、都道府県が利子補給及び出資を行なうのに要する経費につき助成を行なうこと。

9 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十三条の十四第四項中「第十八条の規定に基く資金」の下に「又は農業近代化資金助成法(昭和三十六年法律第二百二号)第二条第三項の農業近代化資金で道府県が行なう利子補給につき同法第三条の規定による政府の助成を受けているもの」を加える。

(大蔵・農林・自治・内閣総理大臣署名) 

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