公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律
法律第百八十八号(昭三六・一一・六)
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、公立の高等学校に関し、配置、規模及び学級編制の適正化並びに教職員定数の確保を図るため、学校の設置、学校の適正な配置及び規模並びに学級編制及び教職員定数の標準について必要な事項を定め、もつて高等学校の教育水準の維持向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、「教職員」とは、校長、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師(常時勤務の者に限る。以下第九条において同じ。)、実習助手及び事務職員(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百七十二条第一項に規定する吏員に相当する者をいう。以下同じ。)をいう。
2 この法律において、「全日制の課程」とは学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第四条に規定する全日制の課程をいい、「定時制の課程」とは同法同条に規定する定時制の課程をいい、「通信制の課程」とは同法同条に規定する通信制の課程をいう。
3 この法律において、「農業に関する学科」とは農業に関する専門教育を主とする学科をいい、「水産に関する学科」とは水産に関する専門教育を主とする学科をいい、「工業に関する学科」とは工業に関する専門教育を主とする学科をいい、「商業に関する学科」とは商業に関する専門教育を主とする学科をいい、「家庭に関する学科」とは家庭に関する専門教育を主とする学科をいう。
第二章 公立の高等学校の設置
(公立の高等学校の設置)
第三条 公立の高等学校は、都道府県が設置するものとする。
2 政令で定める基準に該当する市町村(市町村の組合を含む。以下同じ。)は、高等学校を設置することができるものとする。
第三章 公立の高等学校の適正な配置及び規模
(公立の高等学校の適正な配置及び規模)
第四条 都道府県は、高等学校の教育の普及及び機会均等を図るため、その区域内の公立の高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければならない。この場合において、都道府県は、その区域内の私立の高等学校の配置状況を充分に考慮しなければならない。
第五条 公立の高等学校における学校規模は、その生徒の収容定員が、本校又は分校の別に従い、本校にあつては三百人、分校にあつては政令で定める数を下らないものとする。ただし、本校における生徒の収容定員については、専門教育を主とする学科を置く場合その他政令で定める特別の理由がある場合は、この限りでない。
第四章 公立の高等学校の学級編制の標準
(学級編制の標準)
第六条 公立の高等学校の全日制の課程又は定時制の課程における一学級の生徒の数は、やむを得ない事情がある場合を除き、五十人(農業、水産若しくは工業に関する学科又はその他の専門教育を主とする学科で政令で定めるものにあつては、四十人)を標準とする。
第五章 公立の高等学校の教職員定数の標準
(教職員定数の標準)
第七条 公立の高等学校に置くべき教職員の当該高等学校を設置する都道府県又は市町村ごとの総数(以下「教職員定数」という。)は、次条から第十二条までに規定する数を合計した数を標準として定めるものとする。
(校長の数)
第八条 校長の数は、学校数に一を乗じて得た数とする。
(教諭等の数)
第九条 教諭、助教諭及び講師(以下「教諭等」という。)の数は、次の各号に定めるところにより算定した数を合計した数とする。
一 全日制の課程、定時制の課程又は通信制の課程を置く学校(本校及び分校は、それぞれ一の学校とみなす。)について、当該学校におけるそれぞれの課程の生徒の数(全日制の課程又は定時制の課程に置かれる農業、水産、工業、商業若しくは家庭に関する学科又はその他の専門教育を主とする学科で政令で定めるものに属する生徒の数については、第二表の上欄に掲げる学科の区分に応じ、同表の下欄に掲げる方法により補正した数とする。以下この号において同じ。)を、第一表の上欄に掲げる課程の別に従い、同表の中欄に掲げる人員に区分し、各区分ごとの生徒の数を、順次同表の下欄に掲げる数で除して得た数の合計数(一未満の端数を生じた場合にあつては、小数点以下第一位の数字が一以上であるときは一に切り上げ、零であるときは切り捨てるものとし、生徒の数が百人以上の定時制の課程についてその数が八に達しない場合にあつては、八とする。)を合算した数
第一表
課程の別 |
人員の区分 |
除すべき数 |
全日制の課程 |
一人から三百人まで |
二十 |
三百一人から七百五十人まで |
二十五 |
|
七百五十一人から千二百人まで |
三十 |
|
千二百一人以上 |
三十三 |
|
定時制の課程 |
一人から三百人まで |
二十三 |
三百一人から七百五十人まで |
三十三 |
|
七百五十一人から千二百人まで |
四十 |
|
千二百一人以上 |
四十四 |
|
通信制の課程 |
一人から六百人まで |
七十五 |
六百一人から千二百人まで |
百 |
|
千二百一人以上 |
百五十 |
第二表
学科の区分 |
生徒の数の補正の方法 |
農業、水産又は工業に関する学科 |
当該学科に属する生徒の数に一・二五を乗ずる(一未満の端数を生じた場合にあつては、小数点以下第一位の数字が一以上であるときは一に切り上げ、零であるときは切り捨てる。以下各項において同じ。)。 |
商業又は家庭に関する学科 |
当該学科に属する生徒の数に一・〇七五を乗ずる。 |
政令で定める学科 |
当該学科に属する生徒の数に政令で定める率を乗ずる。 |
二 農業、水産又は工業に関する学科を置く全日制の課程又は定時制の課程について、次の表の上欄に掲げる学科の区分に応じ、同表の下欄に掲げる方法により算定した数の合計数を合算した数
学科の区分 |
算定の方法 |
農業又は水産に関する学科 |
当該学科の数に一を乗ずる。 |
工業に関する学科 |
当該学科の数に二を乗ずる。 |
三 生徒の数(通信制の課程の生徒の数を除く。以下次号及び次条において同じ。)が百人に達しない分校の数に一を乗じて得た数
四 生徒の数が千二百人をこえる学校の数に一を乗じて得た数
(養護教諭等の数)
第十条 養護教諭及び養護助教諭(以下「養護教諭等」という。)の数は、生徒の数が六百一人から二千四百人までの学校の数に一を乗じて得た数と生徒の数が二千四百人をこえる学校の数に二を乗じて得た数を合計した数とする。
(実習助手の数)
第十一条 実習助手の数は、次の各号に定めるところにより算定した数を合計した数とする。
一 生徒の数が三百一人から千二百人までの全日制の課程又は定時制の課程の数に一を乗じて得た数と生徒の数が千二百人をこえる全日制の課程又は定時制の課程の数に二を乗じて得た数の合計数
二 農業、水産又は工業に関する学科を置く全日制の課程又は定時制の課程について、次の表の上欄に掲げる学科の区分に応じ、同表の下欄に掲げる方法により算定した数の合計数を合算した数
学科の区分 |
算定の方法 |
農業又は水産に関する学科 |
当該学科の数に二を乗ずる。 |
工業に関する学科 |
当該学科の数に二を乗じて得た数に一を加える。 |
三 全日制の課程又は定時制の課程を置く学校の分校で農業、水産又は工業に関する学科に係る授業を行なうものの数に一を乗じて得た数
(事務職員の数)
第十二条 事務職員の数は、次の各号に定めるところにより算定した数を合計した数とする。
一 全日制の課程又は定時制の課程を置く学校について、当該学校におけるそれぞれの課程の生徒の数を次の表の上欄に掲げる人員に区分し、各区分ごとの生徒の数を、順次同表の下欄に掲げる数で除して得た数の合計数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)を合算した数
人員の区分 |
除すべき数 |
一人から三百人まで |
三百 |
三百一人以上 |
四百五十 |
二 全日制の課程又は定時制の課程を置く学校で、当該課程に置かれる農業、水産又は工業に関する学科に属する生徒の数が合計して二百人をこえることとなるものの数に一を乗じて得た数
三 通信制の課程を置く学校について、当該課程の生徒の数を六百人で除して得た数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)を合算した数
第六章 雑則
(教職員定数の算定に関する特例)
第十三条 第九条から前条までの規定により教諭等、養護教諭等、実習助手及び事務職員の数を算定する場合において、農業、水産又は工業に関する学科を置く公立の高等学校で政令で定める特別の事情があるものがあるときは、政令で定めるところにより、これらの規定により算定した数に当該学校に係る必要な数を加え、又はこれらの規定により算定した数から当該学校に係る必要な数を減ずることができる。
第十四条 第九条の規定により教諭等の数を算定する場合において、公立の高等学校で非常勤の講師を置くこととするものがあるときは、政令で定めるところにより、同条の規定により算定した教諭等の数から当該学校に係る教諭等の数を減ずることができる。
(教職員定数に含まない数)
第十五条 第七条に規定する教職員定数には、次の各号に掲げる者に係るものを含まないものとする。
一 休職者
二 女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律(昭和三十年法律第百二十五号)第四条の規定により臨時的に任用される者
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行の際、現に定められている公立の高等学校の教職員の定数(第十五条各号に掲げる者に係るものを除く。以下この項において同じ。)が第七条の規定により算定した数を標準として定めるべき教職員定数に達しない都道府県又は市町村にあつては、昭和三十八年三月三十一日までの間は、同条の規定にかかわらず、同条の規定により算定した数を標準としないで教職員定数を定めることができる。ただし、その現に定められている教職員の定数を下ることとなつてはならない。
3 前項の都道府県又は市町村は、昭和三十八年三月三十一日までの間において、順次、その教職員定数が第七条の規定により算定した数を標準として定めるべき教職員定数に達することとなるように努めなければならない。
4 昭和四十四年三月三十一日までの間は、第十一条第一号の規定の適用については、「三百一人」とあるのは、「六百一人」とする。
5 昭和三十八年四月一日から昭和四十四年三月三十一日までの間においては、次の表の上欄に掲げる年度の区分に応じ同表の下欄に掲げる学年に係る学級編制の標準については、第六条中「五十人」とあるのは「五十五人」と、「四十人」とあるのは「四十四人」と読み替えるものとする。
年度の区分 |
学年 |
昭和三十八年四月一日から昭和三十九年三月三十一日まで |
第一学年 |
昭和三十九年四月一日から昭和四十年三月三十一日まで |
第一学年及び第二学年 |
昭和四十年四月一日から昭和四十一年三月三十一日まで |
第一学年、第二学年及び第三学年 |
昭和四十一年四月一日から昭和四十二年三月三十一日まで |
第一学年、第二学年、第三学年及び第四学年 |
昭和四十二年四月一日から昭和四十三年三月三十一日まで |
第二学年、第三学年及び第四学年 |
昭和四十三年四月一日から昭和四十四年三月三十一日まで |
第三学年及び第四学年 |
6 昭和三十八年四月一日から昭和四十四年三月三十一日までの間においては、第九条第一号及び第四号、第十条、第十一条第一号並びに第十二条第一号の規定は、それぞれの規定における生徒の数を次の表の上欄に掲げる年度の区分に応じ、同表の下欄に掲げる方法により補正して適用するものとする。この場合において、農業、水産又は工業に関する学科に属する生徒の数を補正して得た数が昭和三十七年五月一日における当該学科に属する生徒の数を下ることとなるときは、同年同月同日における生徒の数を当該補正して得た数とみなす。
年度の区分 |
生徒の数の補正の方法 |
昭和三十八年四月一日から昭和三十九年三月三十一日まで |
第一学年の生徒の数について、その百分の九を減ずる(一人未満の端数を生じた場合にあつては、小数点以下第一位の数字が一以上であるときは一人に切り上げ、零であるときは切り捨てる。以下各項において同じ。)。 |
昭和三十九年四月一日から昭和四十年三月三十一日まで |
第一学年及び第二学年の生徒の数について、その百分の九を減ずる。 |
昭和四十年四月一日から昭和四十一年三月三十一日まで |
第一学年、第二学年及び第三学年の生徒の数について、その百分の九を減ずる。 |
昭和四十一年四月一日から昭和四十二年三月三十一日まで |
第一学年、第二学年、第三学年及び第四学年の生徒の数について、その百分の九を減ずる。 |
昭和四十二年四月一日から昭和四十三年三月三十一日まで |
第二学年、第三学年及び第四学年の生徒の数について、その百分の九を減ずる。 |
昭和四十三年四月一日から昭和四十四年三月三十一日まで |
第三学年及び第四学年の生徒の数について、その百分の九を減ずる。 |
7 昭和三十八年四月一日から昭和四十四年三月三十一日までの間においては、第十条から第十二条までの規定により養護教諭等、実習助手及び事務職員の数を算定する場合において、公立の高等学校で、生徒の養護に従事する職員で養護助教諭に準ずる者、実験若しくは実習について教諭の職務を助ける職員で実習助手に準ずる者又は事務に従事する職員で事務職員に準ずる者を置くこととするものがあるときは、政令で定めるところにより、これらの規定により算定した養護教諭等、実習助手又は事務職員の数から、それぞれ、当該学校に係る養護教諭等、実習助手又は事務職員の数を減ずることができる。
(文部・自治・内閣総理大臣署名)