特別減税国債法

法律第百七十八号(昭二八・八・七)

 (特別減税国債の発行)

第一条 政府は、産業投資特別会計の歳出の財源に充てるため、昭和二十八年度において、二百億円を限り、当該特別会計の負担において、特別減税国債を発行することができる。

2 特別減税国債の利率は、年四分とし、その償還期限は、五年以内とする。

3 特別減税国債の応募者に対しては、特別減税国債減税票を交付する。

4 前三項に規定するもの及び特別減税国債の応募者たる個人又は法人に対する所得税又は法人税の軽減に関する事項を除く外、特別減税国債及び特別減税国債減税票に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。

 (所得税の軽減)

第二条 特別減税国債の応募者たる個人に対しては、次条及び第四条の規定により、昭和二十八年分の所得税額(所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)第五十五条から第五十七条の二までの規定による利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額及び重加算税額並びに国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)第九条第三項の規定による延滞加算税額に相当する所得税額を除くものとし、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号。以下「災害減免法」という。)第二条の規定により所得税額の軽減を受ける場合には、軽減後の税額とする。以下「昭和二十八年分の所得税額」という。)につき、その応募した特別減税国債の額面金額の合計額の百分の二十五に相当する所得税額(当該所得税額が昭和二十八年分の所得税額の百分の二十に相当する金額をこえる場合には、当該金額に相当する所得税額)を軽減する。

 (申告納税者の所得税の軽減)

第三条 特別減税国債の応募者たる個人は、昭和二十八年分の所得税額につき軽減を受けようとする場合には、次条の規定により軽減を受ける場合を除く外、政令で定めるところにより、その応募した特別減税国債の額面金額の合計額その他必要な事項を記載した特別減税申請書に、特別減税国債減税票(次条第四項の規定による特別減税未済証明書の交付を受けた場合には、当該証明書)を添え、昭和二十八年分の所得税額に係る所得税法第二十六条第一項の確定申告書又は同法第二十九条第一項若しくは第二項の申告書の提出の日(昭和二十八年分の所得税額で同日後に納付し、又は徴収されるものがある場合には、当該所得税額については、その納付又は徴収の日)までに(その日が昭和二十九年三月三十一日後である場合には、同日までに)、政府に提出しなければならない。

2 前項の規定による特別減税申請書の提出があつた場合には、政令で定めるところにより、所得税法第三十条から第三十四条まで、第四十五条又は第四十七条の規定により納付し、又は徴収される所得税額につき軽減を行う。

 (給与所得又は退職所得の源泉徴収税額についての軽減)

第四条 特別減税国債の応募者たる個人は、昭和二十八年中の支給に係る給与所得(所得税法第九条第一項第五号に規定する給与所得をいう。以下同じ。)又は退職所得(所得税法第九条第一項第六号に規定する退職所得をいう。以下同じ。)について所得税法第三十八条、第三十八条の二又は第四十条の規定により徴収されるべき所得税額につき軽減を受けようとする場合には、政令で定めるところにより、当該給与所得又は退職所得の支払者を経由し、その応募した特別減税国債の額面金額の合計額その他必要な事項を記載した特別減税申請書に、特別減税国債減税票(第四項の規定による特別減税未済証明書の交付を受けた場合には、当該証明書)を添え、昭和二十八年十二月三十一日までに、政府に提出しなければならない。

2 給与所得又は退職所得の支払者が前項の規定による特別減税申請書を受け取つた場合には、当該申請書は、その受取の日において同項の規定により政府に提出されたものとみなす。但し、政令で定めるところにより、当該申請書が政府に到達しなかつた場合には、この限りでない。

3 第一項の規定による特別減税申請書の提出があつた場合には、当該申請書の提出を経由した給与所得又は退職所得の支払者が所得税法第三十八条、第三十八条の二又は第四十条の規定により徴収すべき所得税額につき、その百分の二十に相当する金額を限度として、政令で定めるところにより、軽減を行う。

4 前項の規定の適用がある場合において、第一項の規定による特別減税申請書に記載された特別減税国債の額面金額の合計額の百分の二十五に相当する金額が当該申請書の提出を経由した給与所得又は退職所得の支払者が支払う給与所得又は退職所得につき前項の規定により軽減された所得税額の合計額をこえるときは、政府は、政令で定めるところにより、当該給与所得又は退職所得の支払を受ける者に対し、特別減税未済証明書を交付する。

 (軽減額の特例)

第五条 所得税法第二十三条第二項に規定する予定納税額のうち第一期又は第二期において納付すべき所得税額につき第三条の規定による軽減を受けた場合において、その軽減を受けた日後に災害その他その軽減を受けた日までに予測できなかつた事由が生じたことに因り、同法第二十六条第一項、第二十六条の二又は第二十九条第一項若しくは第二項の規定による申告書に記載された昭和二十八年分の所得税額が同法第二十一条第一項又は第二十二条第一項に規定する七月予定申告書又は十一月予定申告書に記載されるべき当該所得税額の見積額に比して減少したため、当該軽減を受けた金額が当該所得税額の百分の二十に相当する金額をこえることとなつたときは、そのこえる金額については、第二条の規定にかかわらず、これを軽減する。

2 前条の規定による軽減を受けた場合において、その軽減を受けた日後に退職その他その軽減を受けた日までに予測できなかつた事由が生じたことに因り、同条の規定による申請書の提出を経由した給与所得の支払者から支払を受ける昭和二十八年中の支給に係る給与所得の金額が当該申請書の提出の際における当該給与所得の金額の見積額に比して減少したため、当該軽減を受けた金額が当該支払者から支払を受ける同年中の支給に係る給与所得及び退職所得につき所得税法第三十八条、第三十八条の二又は第四十条の規定により徴収される所得税額の合計額の百分の二十に相当する金額をこえることとなつたときは、そのこえる金額については、政令で定めるところにより、第二条の規定にかかわらず、これを軽減する。

 (法人税の軽減)

第六条 特別減税国債の応募者たる法人に対しては、次条の規定により、この法律施行の日から昭和二十九年三月三十一日までの間に法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第十八条から第二十一条までに規定する申告書の提出期限の到来する場合における当該申告書の提出に因り納付すべき法人税額(法人税法第十九条第六項の規定により当該申告書の提出があつたものとみなされた場合において納付すべき法人税額、当該申告書に係る同法第二十三条又は第二十四条に規定する申告書の提出に因り納付すべき法人税額及びこれらの申告書に係る同法の規定による更正又は決定があつた場合において徴収される法人税額を含み、同法第四十二条から第四十三条の二までの規定による利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額及び重加算税額並びに国税徴収法第九条第三項の規定による延滞加算税額に相当する法人税額を除く。以下次条第二項において同じ。)につき、その応募した特別減税国債の額面金額の合計額の百分の二十一に相当する法人税額(当該法人税額が法人税法第十条第一項又は第十条の二の規定による所得税額又は法人税額の控除前の当該申告書に記載すべき各事業年度の所得に対する法人税額(以下「控除前の各事業年度の所得に対する法人税額」という。)の百分の二十に相当する金額(この法律施行の日から昭和二十九年三月三十一日までの間に法人税法第十八条から第二十一条までに規定する申告書の提出期限が二回以上到来しない法人については、昭和二十八年四月一日からこの法律施行の日の前日までの間に提出期限の到来するこれらの条に規定する申告書に係る控除前の各事業年度の所得に対する法人税額の百分の二十に相当する金額を加算した金額)をこえる場合には、当該金額に相当する法人税額)を軽減する。

2 前項に規定する控除前の各事業年度の所得に対する法人税額は、法人税法第十九条第一項本文又は同項但書若しくは第二十条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける法人のこれらの規定による申告書に記載すべき法人税額については、前事業年度の所得(同法第十九条第二項の規定の適用を受ける合併法人にあつては、被合併法人の合併と同時に終了した事業年度直前の事業年度の所得を含む。)に対する同法第十条第一項又は第十条の二の規定による所得税額又は法人税額の控除前の法人税額につき政令で定めるところにより計算した金額に相当する法人税額又は当該事業年度開始の日から六箇月の期間を一事業年度とみなして計算した所得に対するこれらの控除前の法人税額(以下「中間申告基準法人税額」と総称する。)により、当該法人の同法第二十一条の規定による申告書に記載すべき法人税額については、当該事業年度の所得に対するこれらの控除前の法人税額から中間申告基準法人税額を控除した金額に相当する法人税額による。

3 第一項に規定する申告書の提出期限は、法人税法第十八条第一項但書若しくは第二十一条第一項但書又は災害減免法第八条の規定により申告書の提出期限が延期される場合には、当該延期前の申告書の提出期限による。

第七条 特別減税国債の応募者たる法人が、法人税額につき軽減を受けようとする場合には、政令で定めるところにより、その応募した特別減税国債の額面金額の合計額その他必要な事項を記載した特別減税申請書に、特別減税国債減税票を添え、その軽減を受けようとする法人税額の納付又は徴収の日(その日が昭和二十九年三月三十一日後である場合には、同日)までに、政府に提出しなければならない。

2 前項の規定による特別減税申請書の提出があつた場合には、政令で定めるところにより、前条第一項に規定する申告書の提出に因り納付すべき法人税額につき軽減を行う。

 (特別減税国債の譲渡損等の特例)

第八条 法人がその応募した特別減税国債につき前二条の規定により法人税の軽減を受けた場合において、当該特別減税国債をその発行の日(以下「発行日」という。)から四年以内に譲渡したときは、その譲渡価額(当該譲渡価額が左の各号に掲げる金額に満たない場合には、当該金額)がその帳簿価額に満たない場合におけるその不足額、当該特別減税国債につき帳簿価額を減額したときは、その減額した額は、法人の各事業年度の所得の計算上、損金に算入しない。

 一 発行日から一年以内に譲渡した場合には、当該特別減税国債の額面金額の百分の七十九に相当する金額

 二 発行日から一年を経過した日から一年以内に譲渡した場合には、当該特別減税国債の額面金額の百分の八十五に相当する金額

 三 発行日から二年を経過した日から一年以内に譲渡した場合には、当該特別減税国債の額面金額の百分の九十に相当する金額

 四 発行日から三年を経過した日から一年以内に譲渡した場合には、当該特別減税国債の額面金額の百分の九十五に相当する金額

 (特別減税国債に対する価格変動準備金に関する規定の適用)

第九条 特別減税国債(当該特別減税国債の応募者たる個人又は法人が有するものに限る。)に対する租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)第五条の九第一項又は第五条の十第一項の規定の適用については、その額面金額をその価額とみなす。

 (利子税額、加算税額等についての特例)

第十条 この法律の規定により所得税額又は法人税額の軽減が行われた場合においては、第三条第一項又は第七条第一項の規定による特別減税申請書の提出の日までの期間に係る所得税法第五十五条若しくは法人税法第四十二条又は国税徴収法第九条第三項の規定による利子税額又は延滞加算税額及び当該所得税額又は法人税額に係る所得税法第五十七条第一項から第三項まで若しくは第五十七条の二第一項から第三項まで又は法人税法第四十三条若しくは第四十三条の二の規定による過少申告加算税額、無申告加算税額又は重加算税額は、当該軽減前の所得税額又は法人税額を基礎として計算するものとする。

2 前項に規定するものの外、この法律の規定により所得税額又は法人税額の軽減が行われた場合における所得税法又は法人税法の規定による申告書の記載事項その他所得税又は法人税の申告、納付、徴収、還付又は充当について必要がある場合には、政令でこれらの法律の特例を設けることができる。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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