不動産登記法の一部を改正する法律

法律第二十二号(平五・四・二三)

 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第二十四条ノ二」を「第二十四条ノ三」に改める。

 第三章中第二十四条ノ二の次に次の一条を加える。

第二十四条ノ三 登記所ニ第十七条ノ規定ニ依リ地図ガ備へラルル迄ノ間之ニ代へテ地図ニ準ズル図面ヲ備フ

 地図ニ準ズル図面ハ一筆又ハ数筆ノ土地毎ニ土地ノ位置、形状及ビ地番ヲ表示スルモノナルコトヲ要ス

 何人ト雖モ第一項ニ定ムル間手数料ヲ納付シテ利害ノ関係アル部分ニ限リ地図ニ準ズル図面ノ閲覧ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ第二十一条第三項及ビ第四項ノ規定ヲ準用ス

 第十条、第二十二条第一項本文及ビ第二十四条ノ規定ハ第一項二定ムル間地図ニ準ズル図面ニ之ヲ準用ス

 第二十六条に次の一項を加える。

 委任ニ因ル登記申請ノ代理人ノ権限ハ本人ノ死亡、本人タル法人ノ合併ニ因ル消滅、本人タル受託者ノ信託ノ任務終了又ハ法定代理人ノ死亡若クハ代理権ノ変更若クハ消滅二因リテ消滅セズ

 第三十四条中「裁判所」を「裁判所ノ裁判所書記官」に改める。

 第四十四条中「其登記所ニ於テ」を削り、同条に後段として次のように加える。

  此場合ニ於テ保証ヲ為ス者ガ他ノ登記所ニ於テ登記ヲ受ケタル者ナルトキハ其登記簿ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス

 第六十条第一項中「若クハ合併ノ登記」の下に「及ビ合体ニ因ル建物ノ表示ノ登記」を、「旨ヲモ」の下に「、其登記ガ所有権ノ登記アル建物ノ合体ニ因ル建物ノ表示ノ登記ナルトキハ合体ニ因リテ所有権ノ登記ヲ為シタル旨ヲモ」を加える。

 第八十一条ノ二に次の一項を加える。

 地図ヲ作製スル場合ニ於テ必要アルトキハ第一項ニ掲ゲタル者ノ申請ナキ場合ニ於テモ其者ノ異議ナキトキニ限リ登記官ハ土地ノ分筆又ハ合筆ノ登記ヲ為スコトヲ得

 第八十一条ノ四第一項中「一筆ノ土地ノ一部ニ」を削り、「分筆」の下に「又ハ合筆」を、「分割」の下に「又ハ合併」を加え、同条第三項中「第八十一条ノ二第四項」の下に「又ハ第五項」を加える。

 第八十七条第二項中「第八十五条第三項」を「第八十四条第一項並ニ第八十五条第三項」に改める。

 第九十三条ノ四の次に次の一条を加える。

第九十三条ノ四ノ二 数箇ノ建物ヲ合体シテ一箇ノ建物ト為シタルトキハ合体前ノ建物ノ所有者、表題部ニ記載シタル所有者又ハ所有権ノ登記名義人ハ一个月内ニ同一ノ申請書ヲ以テ合体ニ因ル建物ノ表示ノ登記及ビ合体前ノ建物ノ表示ノ登記ノ抹消ヲ申請スルコトヲ要ス此場合ニ於テ合体前ノ建物ガ所有権ノ登記ナキ建物ト所有権ノ登記アル建物ナルトキハ合体前ノ建物ノ所有者又ハ表題部ニ記載シタル所有者ノ為メ合体後ノ建物ニ付キ所有権ノ登記ヲモ申請スルコトヲ要ス

 数箇ノ建物ヲ合体シテ一箇ノ建物ト為シタル場合ニ於テ合体前ノ建物ガ何レモ登記ナキ建物ナルトキニ為ス建物ノ表示ノ登記ノ申請ニ付テハ前項ノ規定ニ拘ラズ建物ヲ新築シタルトキノ例ニ依ル

 第一項ノ申請書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス

 一 合体前ノ建物ガ所有権ノ登記アル建物ナルトキハ其登記ヲ表示スルニ足ルベキ事項

 二 合体前ノ建物ニ付キ所有権ノ登記以外ノ所有権ニ関スル登記又ハ先取特権、質権若クハ抵当権ニ関スル登記ニシテ合体後ノ建物ニ付キ存続スベキモノアルトキハ其登記ヲ表示スルニ足ルベキ事項

 三 前号ノ登記アル場合ニ於テハ合体前ノ建物ノ所有権ノ登記名義人ガ同一ナルトキト雖モ其登記名義人ガ同一ナラザルモノト看做シタル場合ノ持分但其登記ノ登記名義人、登記原因、其日附、登記ノ目的及ビ受附番号ガ各登記ニ付キ夫々同一ナルトキヲ除ク

 第一項ノ申請書ニハ左ノ書面ヲ添附スルコトヲ要ス

 一 合体前ノ建物ガ所有権ノ登記アル建物ナルトキハ其登記済証但合体前ノ各建物ノ所有権ノ登記名義人ガ同一ナルトキハ其何レカ一箇ノ建物ノ所有権ノ登記ノ登記済証ヲ以テ足ル

 二 前項第二号ノ登記ニシテ合体後ノ建物ノ持分ノ上ニ存続スベキモノノ登記名義人又ハ其上ニ存続スベキ抵当権ノ登記ニ係ル抵当証券ノ所持人若クハ裏書人アルトキハ其承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得べキ裁判ノ謄本

 三 合体前ノ建物ニ付キ所有権ノ登記以外ノ所有権ニ関スル登記又ハ先取特権、質権若クハ抵当権ニ関スル登記ニシテ第一項ノ申請書ニ記載サレザルモノアルトキハ其登記ノ登記名義人ガ権利ノ消滅ヲ承諾シタルコトヲ証スル書面又ハ之ニ対抗スルコトヲ得べキ裁判ノ謄本

 第八十一条第三項並ニ第九十三条第二項及ビ第三項ノ規定ハ第一項前段ノ登記ノ申請又ハ申請書ニ、第八十一条ノ四第二項ノ規定ハ敷地権ノ表示ヲ登記シタル合体前ノ建物ニシテ建物ノミニ関スル旨ノ附記ナキ一般ノ先取特権、質権又ハ抵当権ノ登記アルモノガ敷地権ナキニ至リタル場合ニ於ケル第一項ノ申請書ニ、第四十四条及び第四十四条ノ二ノ規定ハ前項第一号ニ掲ゲタル登記済証ガ滅失シタル場合ニ、第五十六条第二項ノ規定ハ前項第二号ニ掲ゲタルトキニ、第八十三条第五項ノ規定ハ前項第三号ニ掲ゲタルトキニ之ヲ準用ス

 第九十三条ノ三第二項乃至第四項ノ規定ハ合体前ノ建物ガ敷地権ノ表示ヲ登記シタルモノナル場合ニ於ケル第一項前段ノ登記ノ申請ニ、同条第五項ノ規定ハ合体前ノ建物ガ敷地権ノ表示ヲ登記シタルモノナラザル場合ニ於ケル第一項前段ノ登記ノ申請ニ之ヲ適用セズ

 第九十三条ノ十二の次に次の一条を加える。

第九十三条ノ十二ノ二 合体ニ因ル建物ノ表示ノ登記ヲ為シタル場合ニ於テ合体前ノ建物ニ付キ第九十三条ノ四ノ二第三項第一号ノ登記アルトキ又ハ同条第一項後段ノ登記ノ申請アリタルトキハ登記用紙中甲区事項欄ニ表題部ニ記載シタル所有者ノ氏名、住所、合体ニ因リテ其者ノ所有権ノ登記ヲ為ス旨及ビ其年月日ヲ記載シ登記官捺印スルコトヲ要ス此場合ニ於テ同項後段ノ規定ニ依ル申請ニ因ル登記ヲ為ストキハ申請書受附ノ年月日及ビ受附番号ヲモ記載スルコトヲ要ス

 合体前ノ建物ニ付キ第九十三条ノ四ノ二第三項第二号ノ登記アルトキハ合体前ノ建物ノ登記用紙ヨリ合体後ノ建物ノ登記用紙中相当区事項欄ニ其登記ヲ移シ末尾ニ本項ノ規定に依リテ登記ヲ移シタル旨及ビ其年月日ヲ記載シ登記官捺印スルコトヲ要ス

 申請書ニ第九十三条ノ四ノ二第四項第三号又ハ同条第五項ニ於テ準用スル第八十三条第五項ノ規定ニ依リ権利ノ消滅ヲ承諾シタルコトヲ証スル書面又ハ対抗スルコトヲ得べキ裁判ノ謄本ノ添附アリタルトキハ合体前ノ建物ノ登記用紙中其権利ニ関スル登記ニ其権利ノ消滅シタル旨ヲ附記スルコトヲ要ス

 第九十三条ノ十六ノ規定ハ敷地権ノ表示ノ登記アリタル建物ガ合体シタル場合ニ於テ合体後ノ建物ニ付キ敷地権ノ表示ヲ登記セザルトキニ之ヲ準用ス

 第九十三条ノ四ノ規定ハ合体後ノ建物ニ付キ敷地権ノ人表示ヲ登記シタル場合ニ於テモ合体前ノ建物ニ付キ敷地権ノ表示ノ登記アリタルトキハ之ヲ適用セズ

 第八十八条ノ規定ハ合体前ノ建物ノ表示ノ登記ノ抹消ニ之ヲ準用ス但其建物ガ一棟ノ建物ヲ区分シタルモノナルトキハ登記用紙ヲ閉鎖スルコトヲ要セズ

 第百四十五条第一項中「第一審裁判所」を「第一審裁判所ノ裁判所書記官」に、「裁判所書記」を「裁判所書記官」に改め、同項の次に次の一項を加える。

 前項ノ規定ハ第三条ニ掲ゲタル訴ニ係ル確定判決、和解、調停其他確定判決ト同一ノ効力ヲ有スルモノニ依リテ確定シタル登記ノ抹消又ハ回復ヲ請求スル権利ヲ抛棄シタルコトヲ証スル書面ノ提出アリタル場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ同項中「裁判ノ謄本若クハ抄本又ハ訴ノ取下、請求ノ抛棄若クハ和解」トアルハ「其書面ノ提出アリタルコト」ト読替フルモノトス

 第百五十一条ノ四中「登記事項証明書ハ」の下に「第四十四条及ビ」を加え、「及ビ民法」を「並ニ民法」に改める。

 第百五十九条ノ二中「第九十三条第一項若クハ第三項」の下に「、第九十三条ノ四ノ二第一項、第二項若クハ第五項」を加える。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律による改正後の不動産登記法(以下「新法」という。)第二十六条第三項の規定は、この法律の施行前に登記申請の委任がされた場合についても、適用する。ただし、同項に定める事由がこの法律の施行前に生じた場合については、この限りでない。

3 この法律の施行前に承役地についてする地役権の登記がある土地につき合筆の登記の申請があった場合においては、その申請及びその申請による登記については、なお従前の例による。

4 この法律の施行前に数個の建物が合体して一個の建物となったことによりされた登記の申請は、新法第九十三条ノ四ノ二第一項前段の規定によりされた申請とみなし、新法の規定を適用する。この場合において、その申請人は、この法律の施行の日から起算して一月内に、同条第三項各号に掲げる事項を記載した書面並びに同条第四項各号に掲げる書面及び同条第五項において準用する規定に規定する書面を提出しなければならないものとし、この場合における同項において準用する新法第四十四条に規定する書面の提出については、新法第四十四条ノ二の規定を準用する。

5 この法律の施行前に数個の建物が合体して一個の建物となった場合において、合体前の建物が所有権の登記のない建物と所有権の登記のある建物であるときは、前項の申請人は、同項の規定により書面の提出をするときに新法第九十三条ノ四ノ二第一項後段の登記の申請をしなければならない。この場合において、この登記の申請は、前項の規定により新法第九十三条ノ四ノ二第一項前段の規定によりされたものとみなされた申請と同時にされたものとみなし、新法の規定を適用する。

6 新法第九十三条ノ四ノ二の規定は、この法律の施行前に数個の建物が合体して一個の建物となった場合(附則第四項に規定する場合を除く。)についても、適用する。この場合において、次に掲げる期間(第三号及び第五号に掲げる期間にあってはこの法律の施行の日以後に所有者の変更があった場合を除き、第四号に掲げる期間にあってはこの法律の施行の日以後に新所有者のために所有権の登記があった場合を除く。)については、この法律の施行の日から起算する。

 一 新法第九十三条ノ四ノ二第一項に規定する期間

 二 新法第九十三条ノ四ノ二第二項の規定によりその例によることとされる新法第九十三条第一項に規定する期間

 三 新法第九十三条ノ四ノ二第二項の規定によりその例によることとされる新法第九十三条第三項において準用する新法第八十条第三項に規定する期間

 四 新法第九十三条ノ四ノ二第五項において準用する新法第八十一条第三項に規定する期間

 五 新法第九十三条ノ四ノ二第五項において準用する新法第九十三条第三項において準用する新法第八十条第三項に規定する期間

7 新法第百四十五条第二項の規定は、この法律の施行前に同項に規定する登記の抹消又は回復を請求する権利が確定した場合についても、適用する。

 (法務省令への委任)

8 この附則に定めるもののほか、この法律による不動産登記法の改正に伴う登記の手続に関し必要な経過措置は、法務省令で定める。

(法務・内閣総理大臣署名)

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