国家公務員の自己啓発等休業に関する法律
法律第四十五号(平一九・五・一六)
(目的)
第一条 この法律は、国家公務員の請求に基づく大学等における修学又は国際貢献活動のための休業の制度を設けることにより、国家公務員に自己啓発及び国際協力の機会を提供することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「職員」とは、第十条を除き、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する国家公務員(常時勤務することを要しない職員、臨時的に任用された職員その他の人事院規則で定める職員を除く。)をいう。
2 この法律において「任命権者」とは、国家公務員法第五十五条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者並びにその委任を受けた者をいう。
3 この法律において「大学等における修学」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十二条に規定する大学(当該大学に置かれる同法第五十七条に規定する専攻科及び同法第六十二条に規定する大学院を含む。)の課程(同法第六十八条の二第四項第二号の規定によりこれに相当する教育を行うものとして認められたものを含む。)又はこれに相当する外国の大学(これに準ずる教育施設を含む。)の課程に在学してその課程を履修することをいう。
4 この法律において「国際貢献活動」とは、独立行政法人国際協力機構が独立行政法人国際協力機構法(平成十四年法律第百三十六号)第十三条第一項第三号に基づき自ら行う派遣業務の目的となる開発途上地域における奉仕活動(当該奉仕活動を行うために必要な国内における訓練その他の準備行為を含む。以下この項において同じ。)その他の国際協力の促進に資する外国における奉仕活動のうち職員として参加することが適当であると認められるものとして人事院規則で定めるものに参加することをいう。
5 この法律において「自己啓発等休業」とは、職員の自発的な大学等における修学又は国際貢献活動のための休業をいう。
(自己啓発等休業の承認)
第三条 任命権者は、職員としての在職期間が二年以上である職員が自己啓発等休業を請求した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、当該請求をした職員の勤務成績、当該請求に係る大学等における修学又は国際貢献活動の内容その他の事情を考慮した上で、大学等における修学のための休業にあっては二年(大学等における修学の成果をあげるために特に必要な場合として人事院規則で定める場合は、三年)、国際貢献活動のための休業にあっては三年を超えない範囲内の期間に限り、当該職員が自己啓発等休業をすることを承認することができる。
2 前項の請求は、自己啓発等休業をしようとする期間の初日及び末日並びに当該期間中の大学等における修学又は国際貢献活動の内容を明らかにしてしなければならない。
(自己啓発等休業の期間の延長)
第四条 自己啓発等休業をしている職員は、当該自己啓発等休業を開始した日から引き続き自己啓発等休業をしようとする期間が前条第一項に規定する休業の期間を超えない範囲内において、延長をしようとする期間の末日を明らかにして、任命権者に対し、自己啓発等休業の期間の延長を請求することができる。
2 自己啓発等休業の期間の延長は、人事院規則で定める特別の事情がある場合を除き、一回に限るものとする。
3 前条第一項の規定は、自己啓発等休業の期間の延長の承認について準用する。
(自己啓発等休業の効果)
第五条 自己啓発等休業をしている職員は、職員としての身分を保有するが、職務に従事しない。
2 自己啓発等休業をしている期間については、給与を支給しない。
(自己啓発等休業の承認の失効等)
第六条 自己啓発等休業の承認は、当該自己啓発等休業をしている職員が休職又は停職の処分を受けた場合には、その効力を失う。
2 任命権者は、自己啓発等休業をしている職員が当該自己啓発等休業の承認に係る大学等における修学又は国際貢献活動を取りやめたことその他人事院規則で定める事由に該当すると認めるときは、当該自己啓発等休業の承認を取り消すものとする。
(職務復帰後における給与の調整)
第七条 自己啓発等休業をした職員が職務に復帰した場合におけるその者の号俸については、部内の他の職員との権衡上必要と認められる範囲内において、人事院規則の定めるところにより、必要な調整を行うことができる。
(自己啓発等休業をした職員についての国家公務員退職手当法の特例)
第八条 国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第六条の四第一項及び第七条第四項の規定の適用については、自己啓発等休業をした期間は、同法第六条の四第一項に規定する現実に職務をとることを要しない期間に該当するものとする。
2 自己啓発等休業をした期間についての国家公務員退職手当法第七条第四項の規定の適用については、同項中「その月数の二分の一に相当する月数(国家公務員法第百八条の六第一項ただし書若しくは特定独立行政法人等の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第七条第一項ただし書に規定する事由又はこれらに準ずる事由により現実に職務をとることを要しなかつた期間については、その月数)」とあるのは、「その月数(国家公務員の自己啓発等休業に関する法律(平成十九年法律第四十五号)第二条第五項に規定する自己啓発等休業の期間中の同条第三項又は第四項に規定する大学等における修学又は国際貢献活動の内容が公務の能率的な運営に特に資するものと認められることその他の総務大臣が定める要件に該当する場合については、その月数の二分の一に相当する月数)」とする。
(人事院規則への委任)
第九条 この法律(前条及び次条を除く。)の実施に関し必要な事項は、人事院規則で定める。
(防衛省の職員への準用)
第十条 この法律(第二条第一項及び第二項を除く。)の規定は、国家公務員法第二条第三項第十六号に掲げる防衛省の職員(常時勤務することを要しない職員、臨時的に任用された職員その他の政令で定める職員を除く。)について準用する。この場合において、これらの規定中「人事院規則」とあるのは「政令」と、第三条第一項中「任命権者」とあるのは「自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十一条第一項の規定により同法第二条第五項に規定する隊員の任免について権限を有する者(以下「任命権者」という。)」と、前条中「前条及び次条」とあるのは「前条」と読み替えるものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(裁判所職員臨時措置法の一部改正)
第二条 裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の一部を次のように改正する。
「第三十八条第四号」の下に「並びに 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律(平成十九年法律第四十五号)第八条第二項」を加え、第九号を第十号とし、第八号の次に次の一号を加える。
九 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律
(国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法の一部改正)
第三条 国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法(昭和二十九年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。
第七条第一項に次の一号を加える。
九 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律(平成十九年法律第四十五号)第五条第二項及び第七条の規定
(独立行政法人通則法の一部改正)
第四条 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)の一部を次のように改正する。
第五十九条第一項に次の一号を加える。
九 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律(平成十九年法律第四十五号)第五条第二項及び第七条の規定
(日本郵政公社法の一部改正)
第五条 日本郵政公社法(平成十四年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第五十七条第一項に次の一号を加える。
十 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律(平成十九年法律第四十五号)第五条第二項及び第七条の規定
(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)
第六条 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)の一部を次のように改正する。
第四十七条中「第九号」を「第十号」に改める。
(国家公務員の留学費用の償還に関する法律の一部改正)
第七条 国家公務員の留学費用の償還に関する法律(平成十八年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
第三条第三項に次の一号を加える。
五 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律(平成十九年法律第四十五号)第三条第一項の規定による自己啓発等休業をした期間
第十条の表第三条第三項第四号の項の次に次のように加える。
第三条第三項第五号 |
国家公務員の自己啓発等休業に関する法律 |
裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員の自己啓発等休業に関する法律 |
第三条第三項第五号 |
第三条第一項 |
第十条において準用する同法第三条第一項 |
(独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律の一部改正)
第八条 独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律(平成十八年法律第百号)の一部を次のように改正する。
附則に次の一条を加える。
(国家公務員の自己啓発等休業に関する法律の一部改正)
第十六条 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律(平成十九年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第二条第四項中「第十三条第一項第三号」を「第十三条第一項第四号」に改める。
(総務・法務・外務・防衛・内閣総理大臣署名)