著作権法の一部を改正する法律
法律第百二十一号(平一八・一二・二二)
(著作権法の一部改正)
第一条 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
第百二条中第四項を第七項とし、第三項を第六項とし、第二項の次に次の三項を加える。
3 著作隣接権の目的となつている実演であつて放送されるものは、専ら当該放送に係る放送対象地域(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条の二第二項第二号に規定する放送対象地域をいい、これが定められていない放送にあつては、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第三号に規定する放送区域をいう。)において受信されることを目的として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。)を行うことができる。ただし、当該放送に係る第九十九条の二に規定する権利を有する者の権利を害することとなる場合は、この限りでない。
4 前項の規定により実演の送信可能化を行う者は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、実演の提示につき受ける対価をいう。)を受けない場合を除き、当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利を有する者に相当な額の補償金を支払わなければならない。
5 前二項の規定は、著作隣接権の目的となつているレコードの利用について準用する。この場合において、前項中「第九十二条の二第一項」とあるのは、「第九十六条の二」と読み替えるものとする。
第百二条の二中「同条第三項」を「同条第五項及び第六項」に改める。
第二条 著作権法の一部を次のように改正する。
第二条第一項第七号の二中「有線電気通信設備」を「電気通信設備」に改める。
第二十九条の見出しを削り、同条第二項中「もつぱら」を「専ら」に改め、同項第一号中「を有線放送し」を「について、有線放送し、自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い」に改める。
第三十四条第一項中「又は有線放送し」を「若しくは有線放送し、又は当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条の二第二項第二号に規定する放送対象地域をいい、これが定められていない放送にあつては、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第三号に規定する放送区域をいう。以下同じ。)において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い」に改める。
第三十七条第三項中「おいては」の下に「、公表された著作物について」を、「貸出しの用」の下に「若しくは自動公衆送信(送信可能化を含む。以下この項において同じ。)の用」を加え、「、公表された著作物を録音する」を「録音し、又は専ら視覚障害者の用に供するために、その録音物を用いて自動公衆送信を行う」に改める。
第三十七条の二中「有線放送される著作物」の下に「(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。以下この条において同じ。)」を、「当該」の下に「放送され、又は有線放送される」を加える。
第三十八条第二項中「有線放送する」を「有線放送し、又は専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行う」に改め、同条第三項中「著作物」の下に「(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。)」を加える。
第三十九条第一項中「有線放送する」を「有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行う」に改め、同条第二項中「又は有線放送される」を「若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される」に改める。
第四十条第一項中「行なわれた」を「行われた」に、「行なう」を「行う」に、「第四十二条」を「第四十二条第一項」に改め、同条第二項中「有線放送する」を「有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行う」に改め、同条第三項中「又は有線放送される」を「若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される」に改める。
第四十二条に次の一項を加える。
2 次に掲げる手続のために必要と認められる場合についても、前項と同様とする。
一 行政庁の行う特許、意匠若しくは商標に関する審査、実用新案に関する技術的な評価又は国際出願(特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律(昭和五十三年法律第三十号)第二条に規定する国際出願をいう。)に関する国際調査若しくは国際予備審査に関する手続
二 行政庁若しくは独立行政法人の行う薬事(医療機器(薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第四項に規定する医療機器をいう。)に関する事項を含む。以下この号において同じ。)に関する審査若しくは調査又は行政庁若しくは独立行政法人に対する薬事に関する報告に関する手続
第四十七条の三を第四十七条の四とし、第四十七条の二の次に次の一条を加える。
(保守、修理等のための一時的複製)
第四十七条の三 記録媒体内蔵複製機器(複製の機能を有する機器であつて、その複製を機器に内蔵する記録媒体(以下この条において「内蔵記録媒体」という。)に記録して行うものをいう。次項において同じ。)の保守又は修理を行う場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録することができる。
2 記録媒体内蔵複製機器に製造上の欠陥又は販売に至るまでの過程において生じた故障があるためこれを同種の機器と交換する場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同種の機器の内蔵記録媒体に記録することができる。
3 前二項の規定により内蔵記録媒体以外の記録媒体に著作物を記録した者は、これらの規定による保守若しくは修理又は交換の後には、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物を保存してはならない。
第四十八条第一項第一号中「若しくは第三項」を削り、同項第二号中「第三十四条第一項」の下に「、第三十七条第三項」を加える。
第四十九条第一項第三号中「除く。)」の下に「若しくは第四十七条の三第一項若しくは第二項の規定の適用を受けて同条第一項若しくは第二項に規定する内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録された著作物の複製物」を加え、「当該」を「これらの」に改め、同項第四号中「第四十七条の二第二項」の下に「又は第四十七条の三第三項」を加え、「同項」を「これらの規定」に改める。
第六十八条第二項中「有線放送し」の下に「、専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い」を、「当該有線放送」の下に「、自動公衆送信」を加える。
第八十六条第一項後段中「第四十二条」を「第四十二条第一項」に改める。
第八十九条第一項中「権利並びに」の下に「第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに」を加え、「及び第九十五条の三第三項に規定する報酬」を削り、同条第六項中「二次使用料及び報酬」を「報酬及び二次使用料」に改める。
第九十四条の次に次の一条を加える。
(放送される実演の有線放送)
第九十四条の二 有線放送事業者は、放送される実演を有線放送した場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、実演の提示につき受ける対価をいう。次条第一項において同じ。)を受けない場合を除く。)には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限り、第九十二条第二項第二号に掲げるものを除く。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない。
第九十五条第一項中「当該放送又は有線放送を受信して放送又は」を「営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに、当該放送を受信して同時に」に改める。
第九十七条第一項中「当該放送又は有線放送を受信して放送又は」を「営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、レコードに係る音の提示につき受ける対価をいう。)を受けずに、当該放送を受信して同時に」に改める。
第百二条第一項中「並びに第四十四条(第二項を除く。)」を「、第四十四条(第二項を除く。)並びに第四十七条の三」に、「第四十七条の三」を「第四十七条の四」に改め、同条第三項中「(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条の二第二項第二号に規定する放送対象地域をいい、これが定められていない放送にあつては、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第三号に規定する放送区域をいう。)」を削り、同条第四項中「営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、実演の提示につき受ける対価をいう。)を受けない」を「第一項において準用する第三十八条第二項の規定の適用がある」に改め、同条第六項中「放送又は有線放送」を「放送若しくは有線放送について、これ」に改め、「これを」を削り、「又は影像」を「若しくは影像」に、「伝達する」を「伝達し、又はその著作物の放送について、これを受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。)を行う」に改め、同条第七項に次の二号を加える。
三 第一項において準用する第四十七条の三第一項若しくは第二項の規定の適用を受けて同条第一項若しくは第二項に規定する内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録された実演等の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該実演、当該レコードに係る音若しくは当該放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を公衆に提示した者
四 第一項において準用する第四十七条の三第三項の規定に違反して同項の複製物を保存した者
第百十三条第一項第二号中「情を知つて頒布し、又は」を「、情を知つて、頒布し、若しくは」に改め、「もつて」の下に「所持し、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもつて」を加え、同条第四項中「第九十五条第一項若しくは第九十七条第一項に規定する二次使用料又は」を「第九十四条の二、」に改め、「報酬」の下に「又は第九十五条第一項若しくは第九十七条第一項に規定する二次使用料」を加える。
第百十九条を次のように改める。
第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第三項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
三 第百十三条第一項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四 第百十三条第二項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
第百二十四条第一項第一号中「第百十九条第一号(著作者人格権又は実演家人格権に係る部分を除く。)」を「第百十九条第一項若しくは第二項第三号若しくは第四号」に、「一億五千万円」を「三億円」に改め、同項第二号中「第百十九条第一号(著作者人格権又は実演家人格権に係る部分に限る。)」を「第百十九条第二項第一号」に改め、同条に次の一項を加える。
4 第一項の規定により第百十九条第一項若しくは第二項又は第百二十二条の二第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
附則第二条第三項中「新法中」を「著作権法中」に、「(第九十五条」を「(第九十四条の二、第九十五条」に改め、「。附則第十五条第一項において同じ」を削る。
附則第五条の二中「新法」を「著作権法」に、「第百十九条第二号」を「第百十九条第二項第二号」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十九年七月一日から施行する。ただし、第一条及び附則第四条の規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(放送のための映画の著作物の著作権の帰属についての経過措置)
第二条 この法律の施行前に創作されたこの法律による改正後の著作権法(次条において「新法」という。)第二十九条第二項に規定する映画の著作物の著作権の帰属については、なお従前の例による。
(放送される実演の有線放送についての経過措置)
第三条 新法第九十四条の二の規定は、著作権法の一部を改正する法律(昭和六十一年法律第六十四号)附則第三項若しくは著作権法の一部を改正する法律(平成元年法律第四十三号。以下この条において「平成元年改正法」という。)附則第二項の規定の適用により新法中著作隣接権に関する規定の適用を受けない実演又は平成元年改正法附則第四項の規定の適用により新法中著作隣接権に関する規定の適用を受けない実演家に係る実演については、適用しない。
(罰則についての経過措置)
第四条 この法律(附則第一条ただし書に規定する規定については、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(著作権法の一部を改正する法律の一部改正)
第五条 著作権法の一部を改正する法律(昭和五十三年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
附則第二項中「改正後の著作権法第八条第三号」を「著作権法第八条第六号」に改める。
第六条 著作権法の一部を改正する法律(昭和六十一年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。
附則第三項中「改正後の」を削る。
第七条 著作権法の一部を改正する法律(平成元年法律第四十三号)の一部を次のように改正する。
附則第四項中「新法」を「著作権法」に改める。
第八条 著作権法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
附則第二項中「改正後の」を「著作権法」に改め、「行われた」の下に「著作権法」を加える。
附則第三項中「改正後の」を「著作権法」に改め、同項第一号中「レコード(」の下に「著作権法」を加え、同項第二号中「第八条第三号」を「著作権法第八条第三号」に改める。
(著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律の一部改正)
第九条 著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律(平成六年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。
附則第二項中「新法中」を「著作権法中」に改める。
附則第三項中「新法」を「著作権法」に改める。
附則第四項中「新法中」を「著作権法中」に改め、「、著作権法の一部を改正する法律(昭和五十三年法律第四十九号)附則第二項」を削り、同項第二号中「新法第八条第四号」を「著作権法第八条第五号」に改める。
(著作権法の一部を改正する法律の一部改正)
第十条 著作権法の一部を改正する法律(平成十四年法律第七十二号)の一部を次のように改正する。
附則第四項中「、著作権法の一部を改正する法律(昭和五十三年法律第四十九号)附則第二項」を削る。
(文部科学・内閣総理大臣署名)