油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律
法律三十七号(平一六・四・二一)
油濁損害賠償保障法(昭和五十年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
船舶油濁損害賠償保障法
目次中「油濁損害賠償責任」を「タンカー油濁損害賠償責任」に、「油濁損害賠償保障契約」を「タンカー油濁損害賠償保障契約」に、「第五章 責任制限手続(第三十一条―第三十九条)」を
「 |
第四章の二 追加基金(第三十条の二・第三十条の三) |
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第五章 責任制限手続(第三十一条―第三十九条) |
」 |
に、
「 |
第六章 雑則(第四十条―第四十四条) |
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第七章 罰則(第四十五条―第五十条) |
」 |
を
「 |
第六章 一般船舶油濁損害賠償責任及び責任の制限(第三十九条の二・第三十九条の三) |
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第七章 一般船舶油濁損害賠償等保障契約(第三十九条の四―第三十九条の八) |
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第八章 雑則(第四十条―第四十四条) |
||
第九章 罰則(第四十五条―第五十条) |
」 |
に改める。
第一条中「油濁損害が」を「船舶油濁損害が」に、「船舶所有者」を「船舶所有者等」に、「油濁損害の賠償」を「船舶油濁損害の賠償等」に改め、「船舶による油の」を削る。
第二条第二号の次に次の一号を加える。
二の二 追加基金議定書 千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の二千三年の議定書をいう。
第二条第三号の次に次の一号を加える。
三の二 燃料油 油のうち、船舶の運航のための燃料として用いられるものをいう。
第二条第四号中「船舶」を「タンカー」に改め、同号の次に次の一号を加える。
四の二 一般船舶 旅客又はばら積みの油以外の貨物その他の物品の海上輸送のための船舟類(ろかい又は主としてろかいをもつて運転するものを除く。)をいう。
第二条第五号中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に、「船舶法」を「タンカーの船舶所有者(船舶法」に改め、「団体をいう」の下に「。次号において同じ。)をいう」を加え、同条第五号の二中「第三十一条」を「第七号の二イ及び第三十一条」に改め、同号を同条第五号の三とし、同号の次に次の一号を加える。
五の四 船舶油濁損害 タンカー油濁損害及び一般船舶油濁損害をいう。
第二条第五号の次に次の一号を加える。
五の二 一般船舶所有者等 一般船舶の船舶所有者及び船舶賃借人をいう。
第二条第六号中「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に改め、同号イ中「船舶」を「タンカー」に改め、「又は燃料」を削り、「積載されていた油」の下に「又は燃料油」を、「領海を含む」の下に「。第七号の二イ及び第三十九条の五第一項第二号において同じ」を加え、同条第七号中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改め、同号の次に次の一号を加える。
七の二 一般船舶油濁損害 次に掲げる損害又は費用をいう。
イ 一般船舶から流出し、又は排出された燃料油による汚染により生ずる我が国の領域内又は排他的経済水域内における損害
ロ イに掲げる損害の原因となる事実が生じた後にその損害を防止し、又は軽減するために執られる相当の措置に要する費用及びその措置により生ずる損害
第二条第九号中「油濁損害賠償保障契約」を「タンカー油濁損害賠償保障契約」に、「船舶所有者」を「タンカー所有者」に、「又は」を「若しくは」に改め、「担保する者」の下に「又は一般船舶油濁損害賠償等保障契約において一般船舶所有者等の損害をてん補し、若しくは賠償の義務の履行及び費用の支払を担保する者」を加え、同条第十号の次に次の一号を加える。
十の二 追加基金 追加基金議定書第二条第一項に規定する二千三年の油による汚染損害の補償のための追加的な国際基金をいう。
第二条第十一号中「船舶所有者又は」を「タンカー所有者又はこの法律で定めるタンカー油濁損害賠償保障契約に係る」に改める。
「第二章 油濁損害賠償責任及び責任の制限」を「第二章 タンカー油濁損害賠償責任及び責任の制限」に改める。
第三条の見出しを「(タンカー油濁損害賠償責任)」に改め、同条第一項中「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に、「船舶の船舶所有者」を「タンカーのタンカー所有者」に、「一に」を「いずれかに」に改め、同項第三号中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改め、同条第二項中「船舶に」を「タンカーに」に、「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に、「船舶所有者」を「タンカー所有者」に、「一に」を「いずれかに」に改め、同条第三項中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に、「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に改め、同条第四項ただし書中「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に改め、同項第一号中「船舶の船舶所有者」を「タンカーのタンカー所有者」に改め、同項第二号及び第三号中「船舶の」を「タンカーの」に改め、同項第四号中「船舶」を「タンカー」に改め、同項第五号中「船舶の船舶所有者」を「タンカーのタンカー所有者」に、「又は船舶」を「又はタンカー」に改め、同項第六号中「船舶の船舶所有者」を「タンカーのタンカー所有者」に改め、同条第五項中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改める。
第四条の見出し中「しんしやく」を「参酌」に改め、同条中「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に、「しんしやく」を「参酌」に改める。
第五条の見出し中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改め、同条中「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に、「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改める。
第六条中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に、「(以下」を「(第十四条第三項及び第三十八条において」に、「船舶の」を「タンカーの」に改め、同条第一号及び第二号中「船舶」を「タンカー」に改める。
第七条の見出し中「船舶」を「タンカー」に改め、同条中「前条の船舶」を「前条のタンカー」に改め、「表したもの」の下に「(以下「総トン数」という。)」を加える。
第八条中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に、「当該船舶」を「当該タンカー」に改める。
第九条中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改める。
第十条中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に、「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に改める。
第十一条の見出しを「(タンカー油濁損害賠償請求事件の管轄)」に改め、同条中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改める。
第十二条第一項中「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に改め、同条第二項中「油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁損害賠償保障法」に、「一に」を「いずれかに」に改める。
「第三章 油濁損害賠償保障契約」を「第三章 タンカー油濁損害賠償保障契約」に改める。
第十三条第一項中「船舶」を「タンカー」に、「油濁損害賠償保障契約」を「タンカー油濁損害賠償保障契約」に改め、「以下」の下に「この章において単に」を加え、同条第二項中「船舶」を「タンカー」に、「入港し」を「入港をし」に、「港を出港し」を「港から出港をし」に改める。
第十四条第一項中「、船舶」を「、タンカー」に、「船舶を」を「タンカーを」に、「船舶所有者」を「タンカー所有者」に、「船舶に」を「タンカーに」に、「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に改め、同条第二項中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改め、同条第三項中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に、「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に、「船舶ごと」を「タンカーごと」に改める。
第十五条第一項及び第二項並びに第十六条中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改める。
第十七条第一項中「船舶」を「タンカー」に改め、同条第三項中「船舶」を「タンカー」に、「第七条に規定するトン数」を「総トン数」に改め、同条第四項中「以下」の下に「この章において」を加える。
第二十条第一項中「船舶」を「タンカー」に改め、同条第二項中「船舶」を「タンカー」に、「入港し」を「入港をし」に、「港を出港し」を「港から出港をし」に改める。
第二十一条中「船舶」を「タンカー」に改める。
第二十二条中「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に改める。
第二十四条第一項中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改める。
第二十六条第一項中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改め、同条第二項中「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に、「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改める。
第二十八条第一項及び第二項中「船舶」を「タンカー」に改める。
第四章の次に次の一章を加える。
第四章の二 追加基金
(追加基金に対する被害者の補償の請求)
第三十条の二 被害者は、追加基金議定書で定めるところにより、追加基金に対し、賠償及び国際基金からの補償を受けることができなかつたタンカー油濁損害の金額について追加基金議定書第四条第一項に規定する補償を求めることができる。
(準用)
第三十条の三 前章(第二十二条、第二十三条及び第二十八条を除く。)の規定は、追加基金について準用する。この場合において、第二十六条第一項、第二十七条及び第三十条中「国際基金条約」とあるのは「追加基金議定書」と、第二十五条第一項中「前条第一項」とあるのは「第三十条の三において準用する前条第一項」と、第二十七条中「第七条第一項又は第三項」とあるのは「第七条」と、第二十九条第一項中「国際基金条約第十五条第二項」とあるのは「追加基金議定書第十三条第一項の規定により国際基金条約第十五条第二項」と、第三十条中「第十二条及び第十三条」とあるのは「第十一条及び第十二条第一項」と読み替えるものとする。
第三十一条中「油濁損害」を「タンカー油濁損害」に改める。
第三十六条の見出し及び同条第一項中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改める。
第三十七条第一項中「次条」を「第三十八条」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(追加基金の参加等)
第三十七条の二 第三十三条から第三十五条まで及び前条の規定は、追加基金について準用する。この場合において、第三十五条中「前条第三項」とあるのは「第三十七条の二において準用する前条第三項」と、前条第一項中「第二十五条第一項」とあるのは「第三十条の三において準用する第二十五条第一項」と、同条第二項中「国際基金条約」とあるのは「追加基金議定書」と読み替えるものとする。
第三十八条の表以外の部分中「規定による」の下に「タンカー油濁損害に係る」を加え、同条の表第十三条、第十四条第一項、第十五条、第三十三条及び第四十条第一項の項下欄、同表第十八条の項下欄、同表第三十条第二項の項下欄並びに同表第四十八条第二項の項中欄及び下欄中「油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁損害賠償保障法」に改め、同表第十七条第一項の項下欄中「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改め、同表第二十八条第一項第四号の項下欄中「船舶」を「タンカー」に改める。
第四十七条中「一に」を「いずれかに」に、「三十万円」を「五十万円」に改め、同条第一号中「第十三条第一項」の下に「又は第三十九条の四第一項」を加え、同条第二号中「第十三条第二項」の下に「又は第三十九条の四第二項」を加え、同条第三号中「保障契約証明書」を「第十七条第一項(第三十九条の六において準用する場合を含む。)に規定する書面」に改め、同条に次の一号を加える。
五 第四十二条の二第二項の規定による命令に違反した者
第四十八条中「一に」を「いずれかに」に改め、同条第一号中「第十九条」の下に「(第三十九条の六において準用する場合を含む。)」を加え、同条第二号中「第二十条第一項」の下に「又は第三十九条の七第一項」を加え、同条第三号中「第二十条第二項」の下に「又は第三十九条の七第二項」を加え、同条第五号中「提示を拒み、又は妨げた者」を「報告をせず、又は虚偽の報告をした者」に改め、同号を同条第八号とし、同条第四号の次に次の三号を加える。
五 第四十一条の二第一項の規定による通報をせず、又は虚偽の通報をして入港をした船長
六 第四十一条の二第二項の規定による通報に際して虚偽の通報をした者(当該特定船舶が入港をした場合に限る。)
七 第四十一条の二第三項の規定による通報をせず、又は虚偽の通報をした船長
第四十八条に次の一号を加える。
九 第四十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第五十条中「一に」を「いずれかに」に改め、同条第一号中「第十八条第一項」の下に「(第三十九条の六において準用する場合を含む。)」を加え、同条第二号中「第十八条第三項」の下に「(第三十九条の六において準用する場合を含む。)」を加える。
第七章を第九章とする。
第四十条第一項中「制限債権者」を「タンカー油濁損害に係る制限債権者」に改める。
第四十一条第一項中「その制限債権者」を「タンカー油濁損害に係る制限債権者」に、「船舶所有者」を「タンカー所有者」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(保障契約情報)
第四十一条の二 本邦以外の地域の港から本邦内の港に入港(一般船舶にあつては、特定海域への入域を含む。以下同じ。)をしようとする特定船舶(二千トンを超えるばら積みの油の輸送の用に供しているタンカー又は総トン数が百トン以上の一般船舶をいう。以下この章及び第四十八条第六号において同じ。)の船長は、第三項に規定する場合を除き、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、当該特定船舶の名称、船籍港、当該特定船舶に係るこの法律で定めるタンカー油濁損害賠償保障契約又は一般船舶油濁損害賠償等保障契約(以下この章において単に「保障契約」という。)の締結の有無その他の国土交通省令で定める事項(以下「保障契約情報」という。)を国土交通大臣に通報しなければならない。通報した保障契約情報を変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の規定により船長がしなければならない通報は、当該特定船舶のタンカー所有者若しくは一般船舶所有者等(以下この章において単に「所有者等」という。)又は船長若しくは所有者等の代理人もすることができる。
3 荒天、遭難その他の国土交通省令で定めるやむを得ない事由によりあらかじめ保障契約情報を通報しないで本邦以外の地域の港から本邦内の港に入港をした特定船舶の船長は、国土交通省令で定めるところにより、入港後直ちに、保障契約情報を国土交通大臣に通報しなければならない。
第四十二条の見出しを「(報告及び検査)」に改め、同条第一項を次のように改める。
国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、本邦内の港又は係留施設にある特定船舶の船長に対し、当該特定船舶に係る保障契約に関し報告をさせ、又はその職員に、当該特定船舶に立ち入り、第十七条第一項若しくは第二十条第二項又は第三十九条の七各項に規定する書面その他の物件を検査させ、若しくは関係人に質問をさせることができる。
第四十二条第二項中「提示を求める」を「立入検査をする」に改め、同条に次の一項を加える。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第四十二条の次に次の一条を加える。
(保障契約締結の命令等)
第四十二条の二 国土交通大臣は、前条第一項の規定による報告の徴収又は立入検査の結果、当該特定船舶について第十三条若しくは第二十条又は第三十九条の四若しくは第三十九条の七の規定に違反する事実があると認めるときは、当該特定船舶の船長又は所有者等に対し、保障契約の締結その他その違反を是正するために必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
2 前項の場合において、国土交通大臣は、必要があると認めるときは、同項の是正のための措置が執られるまでの間、当該特定船舶の航行の停止を命ずることができる。
3 国土交通大臣は、前項の規定による処分に係る特定船舶について、第一項に規定する事実がなくなつたと認めるときは、直ちに、その処分を取り消さなければならない。
第四十三条中「船舶」を「タンカー及び一般船舶」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(責務)
第四十三条の二 国土交通大臣は、船舶油濁損害の被害者の保護の充実を図るため、船舶油濁損害に関し、国際約束の適確な実施の確保及び関係者に対する適切な情報の提供に努めなければならない。
第六章を第八章とし、第五章の次に次の二章を加える。
第六章 一般船舶油濁損害賠償責任及び責任の制限
(一般船舶油濁損害賠償責任)
第三十九条の二 一般船舶油濁損害が生じたときは、当該一般船舶油濁損害に係る燃料油が積載されていた一般船舶の一般船舶所有者等は、連帯してその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、当該一般船舶油濁損害が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 戦争、内乱又は暴動により生じたこと。
二 異常な天災地変により生じたこと。
三 専ら当該一般船舶所有者等及びその使用する者以外の者の悪意により生じたこと。
四 専ら国又は公共団体の航路標識又は交通整理のための信号施設の管理の瑕疵により生じたこと。
2 第三条第二項及び第三項並びに第四条の規定は、一般船舶油濁損害の賠償について準用する。この場合において、第三条第二項中「タンカーに」とあるのは「一般船舶に」と、「油に」とあるのは「燃料油に」と、同項及び同条第三項中「タンカー所有者」とあるのは「一般船舶所有者等」と読み替えるものとする。
(一般船舶所有者等の責任の制限)
第三十九条の三 前条第一項又は同条第二項において準用する第三条第二項の規定により一般船舶油濁損害の賠償の責めに任ずる一般船舶所有者等(法人である一般船舶所有者等の無限責任社員を含む。)の当該一般船舶油濁損害に基づく債権に係る責任の制限については、責任制限法で定めるところによる。
第七章 一般船舶油濁損害賠償等保障契約
(保障契約の締結強制)
第三十九条の四 日本国籍を有する一般船舶(総トン数が百トン以上のものに限る。以下この章において同じ。)は、これについてこの法律で定める一般船舶油濁損害賠償等保障契約(以下この章において単に「保障契約」という。)が締結されているものでなければ、国際航海(本邦の港と本邦以外の地域の港との間の航海をいう。以下同じ。)に従事させてはならない。
2 前項に規定する一般船舶以外の一般船舶は、これについて保障契約が締結されているものでなければ、本邦内の港(東京湾、伊勢湾(伊勢湾の湾口に接する海域及び三河湾を含む。)及び瀬戸内海その他の国土交通省令で定める海域(以下この項及び第四十一条の二第一項において「特定海域」という。)を含む。第三十九条の七第二項において同じ。)に入港(特定海域への入域を含む。同項において同じ。)をし、本邦内の港から出港(特定海域からの出域を含む。同項において同じ。)をし、又は本邦内の係留施設を使用してはならない。
(保障契約)
第三十九条の五 保障契約は、次に掲げる損害のいずれをもてん補する保険契約又はその賠償の義務の履行及び費用の支払を担保する契約とする。
一 一般船舶の一般船舶所有者等が当該一般船舶に積載されていた燃料油による一般船舶油濁損害の賠償の責めに任ずる場合において、その賠償の義務の履行により当該一般船舶所有者等に生ずる損害
二 一般船舶が座礁、沈没その他の事由により我が国の領域内に放置された場合であつて、当該一般船舶の一般船舶所有者等が港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)その他法令の規定により当該一般船舶の撤去その他の措置を履行する責めに任ずるときにおいて、当該措置に要する費用の支払により当該一般船舶所有者等に生ずる損害
2 保障契約は、当該契約において一般船舶所有者等の損害をてん補し、又は賠償の義務の履行及び費用の支払を担保する者が船主相互保険組合、保険会社その他の政令で定める者であるものでなければならない。
3 保障契約は、当該契約において一般船舶所有者等の第一項第一号に掲げる損害(同項各号に掲げる損害以外の一般船舶所有者等に生ずる損害を含むことができる。)をてん補するための保険金額又は賠償の義務の履行が担保されている額が、当該契約に係る一般船舶ごとに、責任制限法第三条第一項の規定に基づき当該一般船舶所有者等がその責任を制限することができる場合における責任の限度額(以下この条において「責任限度額」という。)に満たないものであつてはならず、かつ、当該契約において一般船舶所有者等の第一項第二号に掲げる損害をてん補するための保険金額又は当該一般船舶の撤去その他の措置に要する費用の支払が担保されている額が、当該契約に係る一般船舶ごとに、責任限度額に相当する額に満たないものであつてはならない。
4 第一項及び前項の規定にかかわらず、その航行に際し燃料油を用いることを要しない一般船舶に係る保障契約は、第一項第二号に掲げる損害をてん補する保険契約又はその費用の支払を担保する契約とし、かつ、当該契約において一般船舶所有者等の同号に掲げる損害をてん補するための保険金額又は当該一般船舶の撤去その他の措置に要する費用の支払が担保されている額が、当該契約に係る一般船舶ごとに、責任限度額に相当する額に満たないものであつてはならない。
(準用)
第三十九条の六 第十七条から第十九条までの規定は、一般船舶に係る保障契約について準用する。この場合において、第十七条第一項中「タンカー(責任条約の締約国である外国の国籍を有するタンカーを除く。)」とあるのは「一般船舶」と、第十八条第一項中「次条」とあるのは「第三十九条の六において準用する次条」と、第十九条中「第十四条」とあるのは「前条」と読み替えるものとする。
(保障契約証明書に相当する書面の備置き)
第三十九条の七 日本国籍を有する一般船舶は、前条において準用する第十七条第四項の保障契約証明書に相当する書面が備え置かれているものでなければ、国際航海に従事させてはならない。
2 前項に規定する一般船舶以外の一般船舶は、前条において準用する第十七条第四項の保障契約証明書に相当する書面が備え置かれているものでなければ、本邦内の港に入港をし、本邦内の港から出港をし、又は本邦内の係留施設を使用してはならない。
3 前二項の規定にかかわらず、当該保障契約が一般船舶所有者等の損害をてん補し、又は賠償の義務の履行及び費用の支払を担保するために必要な資力及び信用を有する保険者等として国土交通大臣の指定するものと締結したものであるときは、当該保障契約の契約書の写しその他国土交通省令で定める保障契約の締結を証する書面をもつて前二項に規定する保障契約証明書に相当する書面に代えることができる。
(適用除外)
第三十九条の八 この章の規定は、外国が所有する一般船舶については、適用しない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十七年三月一日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
一 目次の改正規定中第五章に係る部分、第二条第二号の次に一号を加える改正規定、同条第十号の次に一号を加える改正規定、第四章の次に一章を加える改正規定、第三十七条第一項の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定及び附則第三条の規定 千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の二千三年の議定書(同条第二項において「追加基金議定書」という。)が日本国について効力を生ずる日
二 附則第四条及び第十一条の規定 平成十六年十二月一日
(経過措置)
第二条 この法律による改正後の船舶油濁損害賠償保障法(次条を除き、以下「新法」という。)第六章の規定は、一般船舶油濁損害の原因となった最初の事実が施行日前に生じた場合における当該一般船舶油濁損害については、適用しない。
2 新法第三十九条の四第一項、第三十九条の七第一項及び第四十一条の二の規定は、この法律の施行の際現に国際航海(本邦の港と本邦以外の地域の港との間又は本邦以外の地域の各港間の航海をいう。)に従事している日本国籍を有する一般船舶(総トン数が百トン以上のものに限る。以下同じ。)については、施行日以後初めて本邦内の港に入港をするときまでは、適用しない。
3 新法第三十九条の四第二項及び第三十九条の七第二項の規定は、この法律の施行の際現に本邦内の港又は係留施設にある前項に規定する一般船舶以外の一般船舶については、施行日以後初めて本邦内の港から出港(新法第三十九条の四第二項に規定する特定海域からの出域を含む。)をするときまでは、適用しない。
第三条 タンカー油濁損害の原因となった最初の事実が附則第一条第一号に掲げる規定の施行前に生じた場合における当該タンカー油濁損害については、なお従前の例による。
2 附則第一条第一号に掲げる規定による改正後の油濁損害賠償保障法(以下この条において「新法」という。)第二十八条第一項又は第二項の規定によりその受取量を報告すべき特定油に係る油受取人は、追加基金議定書第十八条第四項に規定するいずれか早い日までの間は、新法第三十条の三において読み替えて準用する新法第三十条の規定にかかわらず、追加基金議定書第十一条、第十二条第一項及び第十八条の規定により、追加基金議定書第十条の年次拠出金を追加基金(追加基金議定書第二条第一項に規定する二千三年の油による汚染損害の補償のための追加的な国際基金をいう。)に納付しなければならない。
第四条 国土交通大臣は、施行日前においても、新法第三十九条の六において準用する新法第十七条の規定の例により、一般船舶について一般船舶油濁損害賠償等保障契約が締結されていることを証する書面(以下この条において「一般船舶保障証明書」という。)を交付することができる。
2 前項の規定により交付した一般船舶保障証明書は、その交付後施行日までの間に国土交通省令で定める事由が生じたときを除き、施行日以後は、新法第三十九条の六において読み替えて準用する新法第十七条第一項に規定する書面とみなす。
3 一般船舶保障証明書の様式並びに交付及び再交付その他一般船舶保障証明書に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
4 一般船舶保障証明書の交付又は再交付を申請しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、手数料を納付しなければならない。
5 偽りその他不正の手段により一般船舶保障証明書の交付又は再交付を受けた者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(罰則に関する経過措置)
第五条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要となる経過措置は、政令で定める。
(地方税法等の一部改正)
第七条 次に掲げる法律の規定中「油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁損害賠償保障法」に改める。
一 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十四条の十三第一項第四号
二 国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第十九条第一項第四号
三 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)別表第一十七の項
四 破産法(平成十六年法律第七十五号)第二十四条第一項第五号
(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部改正)
第八条 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
第四十一条第五項中「油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁損害賠償保障法」に、「油濁損害の」を「タンカー油濁損害の」に改める。
第四十二条の二十七第二項第一号中「油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁損害賠償保障法」に改める。
(調整規定)
第九条 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律(平成十六年法律第三十六号)の施行の日が施行日前となる場合における前条の規定の適用については、同条(見出しを含む。)中「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」とあるのは、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」とする。
(船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部改正)
第十条 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和五十年法律第九十四号)の一部を次のように改正する。
第十条中「油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁損害賠償保障法」に改める。
第四十八条第二項中「油濁損害賠償保障法」を「船舶油濁損害賠償保障法」に、「油濁損害に」を「タンカー油濁損害に」に改める。
(国土交通省設置法の一部改正)
第十一条 国土交通省設置法(平成十一年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第四条第八十八号中「油濁損害賠償保障契約及び」を「タンカー油濁損害賠償保障契約及び一般船舶油濁損害賠償等保障契約並びに」に改める。
(総務・法務・財務・国土交通・内閣総理大臣署名)