地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律

法律第百二十号(平一三・一一・一六)

 (目的)

第一条 この法律は、地方公共団体が処理する事務のうち特定のものを郵政官署において取り扱 うための措置を講ずることにより、住民の利便の増進を図るとともに、地方公共団体の組織及び運営の合理化に資することを目的とする。

 (郵政官署における事務の取扱い)

第二条 地方公共団体は、郵政事業庁長官との協議により規約を定め、次に掲げる当該地方公共 団体の事務を、当該地方公共団体において取り扱うほか、郵政官署において取り扱わせることができる。

 一 戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第十条第一項の規定に基づく同項の戸籍の謄 本若しくは抄本若しくは戸籍に記載した事項に関する証明書若しくは同法第百十七条の四第一項の磁気ディスクをもって調製された戸籍に記録されている事項の全部若しくは一部 を証明した書面(以下この号において「戸籍謄本等」という。)の交付(当該戸籍に記載され、又は記録されている者に対するものに限る。)又は同法第十二条の二第一項の規定 に基づく同項の除かれた戸籍の謄本若しくは抄本若しくは除かれた戸籍に記載した事項に関する証明書若しくは同法第百十七条の四第一項の磁気ディスクをもって調製された除か れた戸籍に記録されている事項の全部若しくは一部を証明した書面(以下この号において「除籍謄本等」という。)の交付(当該除かれた戸籍に記載され、又は記録されている者 に対するものに限る。)の請求の受付及び当該請求に係る戸籍謄本等又は除籍謄本等の引渡し

 二 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十条の十の規定に基づく同条の証明書 (以下この号において「納税証明書」という。)の交付の請求の受付及び当該請求に係る納税証明書の引渡し

 三 外国人登録法(昭和二十七年法律第百二十五号)第四条の三第二項の規定に基づく同項の 登録原票の写し又は登録原票記載事項証明書(以下この号において「登録原票の写し等」という。)の交付の請求の受付及び当該請求に係る登録原票の写し等の引渡し

 四 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第十二条第一項の規定に基づく同項の住 民票の写し又は住民票記載事項証明書(以下この号において「住民票の写し等」という。)の交付の請求の受付及び当該請求に係る住民票の写し等の引渡し

 五 住民基本台帳法第二十条第一項の規定に基づく同項の戸籍の附票の写し(以下この号にお いて「戸籍の附票の写し」という。)の交付(当該戸籍の附票に記載されている者に対するものに限る。)の請求の受付及び当該請求に係る戸籍の附票の写しの引渡し

 六 市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第 二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長とする。)が作成する印鑑に関する証明書(以下この号において「印鑑登録証明書」という。)の交付(当該印鑑 登録証明書に記載されている者に対するものに限る。)の請求の受付及び当該請求に係る印鑑登録証明書の引渡し

2 前項の協議については、地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

3 地方公共団体は、前二項の規定により地方公共団体の事務を郵政官署において取り扱わせる こととしたときは、その旨及び第一項の規約(以下「規約」という。)を告示しなければならない。

4 地方公共団体は、郵政事業庁長官との協議により、規約を変更し、又は第一項の規定による 郵政官署における事務の取扱いを廃止することができる。この場合においては、前二項の規定を準用する。

 (規約)

第三条 規約においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 前条第一項各号に掲げる事務のうち郵政官署において取り扱う事務(以下「郵政官署取扱 事務」という。)及び当該郵政官署取扱事務を取り扱う郵政官署の名称

 二 郵政官署取扱事務の取扱いの方法に関する事項

 三 郵政官署取扱事務に係る経費に関する事項

 四 郵政官署取扱事務を郵政官署において取り扱う期間

 五 前各号に掲げるもののほか、郵政官署取扱事務の取扱いに関し必要な事項

 (報告の請求及び指示)

第四条 地方公共団体の長は、郵政官署取扱事務の適正な処理を確保するため必要があると認め るときは、郵政事業庁長官(第六条の規定により第二条第一項の規定により規約を定める権限を委任した場合にあっては、当該権限を委任された者)に対し、報告を求め、又は必 要な指示をすることができる。

 (郵政事業庁長官の責務)

第五条 郵政事業庁長官は、郵政官署取扱事務に従事する郵政官署の職員が当該郵政官署取扱事 務に関して知り得た情報を当該郵政官署取扱事務の取扱い以外の目的のために利用することを防止するために、必要な措置を講じなければならない。

 (権限の委任)

第六条 この法律に規定する郵政事業庁長官の権限は、総務省令で定めるところにより、地方郵 政局、沖縄総合通信事務所又は郵便局の長に委任することができる。

 (省令への委任)

第七条 この法律に規定するもののほか、郵政官署取扱事務の取扱いに関し必要な事項は、総務 省令(第二条第一項第一号、第三号又は第五号に掲げる事務に係る事項については、総務省令・法務省令)で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から 施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の日から住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成十一年法律第百三 十三号)の施行の日の前日までの間における第二条第一項第四号及び第五号の規定の適用については、同項第四号中「同項」とあるのは「自己又は自己と同一の世帯に属する者に 係る同項」と、同項第五号中「第二十条第一項」とあるのは「第二十条において準用する同法第十二条第一項」と、「同項」とあるのは「同法第二十条」とする。

 (郵便法の一部改正)

第三条 郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。

  第二十条第一項中「及び総務省」を「、総務省」に改め、「電報の取扱いに関する業務」の 下に「及び地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律(平成十三年法律第百二十号)第二条第一項の規定に基づき取り扱う地方公共団体の事務に関する業 務その他地方公共団体から委託された業務」を加える。

 (国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律の一部改正)

第四条 国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十 七号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一号イ中「これらの事業を行う官署が行う」の下に「、地方公共団体の特定の事務 の郵政官署における取扱いに関する法律(平成十三年法律第百二十号)第二条第一項の規定に基づき取り扱う地方公共団体の事務に関する業務その他地方公共団体から委託された 業務」を加える。

 (郵政事業特別会計法の一部改正)

第五条 郵政事業特別会計法(昭和二十四年法律第百九号)の一部を次のように改正す る。

  第二条中「電報の取扱いに関する業務」の下に「、地方公共団体の特定の事務の郵政官署に おける取扱いに関する法律(平成十三年法律第百二十号)第二条第一項の規定に基づき取り扱う地方公共団体の事務に関する事務その他地方公共団体から委託された事務」を加え る。

 (総務省設置法の一部改正)

第六条 総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)の一部を次のように改正する。

  第四条第七十九号ニ中「附帯する業務」の下に「、地方公共団体の特定の事務の郵政官署に おける取扱いに関する法律(平成十三年法律第百二十号)第二条第一項の規定に基づき取り扱う地方公共団体の事務に関する業務その他地方公共団体から委託された業務」を加え る。

(総務・法務・財務・厚生労働・内閣総理大臣署名)

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