特定弔慰金等の支給の実施に関する法律
法律第三十一号(昭六三・五・六)
(趣旨)
第一条 この法律は、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律(昭和六十二年法律第百五号。以下「弔慰金法」という。)第二条第一項に規定する弔慰金又は見舞金(以下「特定弔慰金等」という。)の支給のための裁定、その支給の方法その他その支給の実施に関し必要な事項を規定するものとする。
(支給のための裁定等)
第二条 特定弔慰金等の支給は、弔慰金法第二条第一項に規定する戦没者等の遺族及び戦傷病者で著しく重度の障害の状態にあるもの又はその戦傷病者の遺族としてそれぞれ政令で定める者に対し、政令で定めるところにより、これを行う。
2 特定弔慰金等の支給を受ける権利の裁定は、これを受けようとする者の請求に基づいて、内閣総理大臣が行う。
3 前項の規定による裁定の権限は、政令で定めるところにより、日本赤十字社にこれを委任することができる。
(請求期限)
第三条 前条第二項の請求は、昭和六十八年三月三十一日までに行わなければならない。
2 前項の期間内に前条第二項の請求をしなかつた者には、特定弔慰金等は、これを支給しない。
(特定弔慰金等の額及び記名国債の交付)
第四条 特定弔慰金等の額は、戦没者等又は戦傷病者一人につき二百万円とし、記名国債をもつて交付する。
2 政府は、前項の規定により交付する国債については、その償還の請求を受けたときは、直ちにその額面全額の償還をしなければならない。
3 前項の償還の請求は、昭和七十年三月三十一日までに行わなければならない。
4 第一項の規定により交付するため、政府は、必要な金額を限度として国債を発行することができる。
5 前項の規定により発行する国債は、無利子とする。
6 この法律に定めるもののほか、第四項の規定により発行する国債に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。
(代理受領等)
第五条 日本赤十字社は、前条第一項に規定する国債については、総理府令で定めるところにより、特定弔慰金等の支給を受ける権利を有する者の委任を受けて、その交付を受け、これを保管し、その償還の請求をし、及び償還金を受領するものとする。
2 政府は、前条第一項に規定する国債については、前項の委任を受けた日本赤十字社以外の者に対し、これを交付し、又はその償還をすることができない。
(政令への委任)
第六条 特定弔慰金等の支給を受ける権利を有する者の死亡による権利の承継及びその相続人の一人がする行為又はその一人に対してする行為の効力並びに特定弔慰金等の支給を受ける権利及び第四条第四項の規定により発行する国債の譲渡等の処分の制限については、政令で定める。
(業務の監督)
第七条 内閣総理大臣は、第二条第三項の規定により委任した場合において、この法律に基づいてする日本赤十字社の業務に関し必要があると認めるときは、厚生大臣に対し、日本赤十字社法(昭和二十七年法律第三百五号)第三十六条から第三十八条までの規定による措置をとることを求めることができる。
(総理府令への委任)
第八条 この法律に特別の規定がある場合を除き、この法律を施行するための手続その他その施行について必要な細則は、総理府令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(国債の発行の日)
2 第四条第四項に規定する国債の発行の日は、昭和六十三年九月一日とする。
(総理府設置法の一部改正)
3 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第五号の次に次の一号を加える。
五の二 台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律(昭和六十二年法律第百五号)及び特定弔慰金等の支給の実施に関する法律(昭和六十三年法律第三十一号)の施行に関すること。
(内閣総理大臣臨時代理・大蔵・厚生大臣署名)