公害健康被害補償法の一部を改正する法律

法律第九十七号(昭六二・九・二六)

 公害健康被害補償法(昭和四十八年法律第百十一号)の一部を次のように改正する。

 題名を次のように改める。

   公害健康被害の補償等に関する法律

 目次中「公害健康被害補償協会」を「公害健康被害補償予防協会」に改める。

 第一条中「を行なうとともに、」を「並びに」に、「事業を行なう」を「事業及び大気の汚染の影響による健康被害を予防するために必要な事業を行う」に、「係る被害者」を「係る被害者等」に改め、「保護」の下に「及び健康の確保」を加える。

 第十三条第二項中「公害健康被害補償協会」を「公害健康被害補償予防協会」に改める。

 第五十二条第一項中「行なう」を「行う」に改め、「処理に要する費用」の下に「(以下「補償給付支給費用等」という。)」を加え、「のうち第一種地域に係る指定疾病に影響を与える大気の汚染の原因である政令で定める物質を排出するもの」を削り、「で、最大排出ガス量が政令で定める地域の区分に応じて政令で定める量以上であるものを、各年度(毎年四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下この章において同じ。)の初日において設置している事業者」を「を設置し、又は設置していた事業者で、次に掲げるもの」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 第一種地域に係る指定疾病に影響を与える大気の汚染の原因である政令で定める物質を排出するばい煙発生施設が設置され、かつ、最大排出ガス量が政令で定める地域の区分に応じて政令で定める量以上である工場又は事業場を、各年度(毎年四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下この章において同じ。)の初日において設置している事業者

 二 第一種地域の指定がすべて解除された場合にあつては、その解除があつた日(以下「基準日」という。)の前日の属する年度(以下「基準年度」という。)の初日において前号の政令で定められていた物質(以下「対象物質」という。)を排出するばい煙発生施設が設置され、かつ、最大排出ガス量が基準年度の初日において同号の政令で定められていた地域の区分に応じて同号の政令で定められていた量以上であつた工場又は事業場を基準年度の初日において設置していた事業者。ただし、基準日以後も基準日前にされた第四条第一項の認定に係る被認定者及び認定死亡者(以下「既被認定者」という。)に関する補償給付支給費用等が生ずる場合に限る。

 第五十二条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 第一種地域の指定がすべて解除された場合において、基準日がその属する年度の初日の翌日以後の日であるときは、前項第二号に掲げるばい煙発生施設等設置者に対する同項の規定の適用については、同項中「毎年度」とあるのは、「基準日の属する年度の翌年度から毎年度」とする。第五十三条第一項を次のように改める。

  各ばい煙発生施設等設置者から徴収する汚染負荷量賦課金の額は、次の各号に掲げるばい煙発生施設等設置者の種別に従い、当該各号に定める額とする。

 一 前条第一項第一号のばい煙発生施設等設置者 当該ばい煙発生施設等設置者が排出する同号の政令で定める各物質ごとの単位排出量当たりの賦課金額に前年度の初日の属する年における年間排出量を乗じて得た額の合計額

 二 前条第一項第二号のばい煙発生施設等設置者 次のイ及びロに掲げる額を合算した額

  イ 対象物質ごとの単位排出量当たりの賦課金額に基準日前の既被認定者の指定疾病に影響を与えた大気の汚染の状況その他の事情を勘案して政令で定める年から基準年度の前年度の初日の属する年までの期間(以下「算定基礎期間」という。)の各年における対象物質の年間排出量を大気の汚染の状況に応じた地域の別その他の事情を勘案して政令で定めるところにより換算して得た量を累積した量(以下「累積量」という。)を乗じて得た額の合計額

  ロ 基準日以後に排出される対象物質ごとの単位排出量当たりの賦課金額に前年度の初日の属する年における対象物質の年間排出量を乗じて得た額の合計額

 第五十四条中「前条第一項」を「前条第一項第一号」に、「第五十二条第一項に規定する費用」を「補償給付支給費用等」に改め、「見込まれる金額」の下に「(以下「賦課金見込額」という。)のうち既被認定者以外の被認定者及び認定死亡者に関する金額」を加え、「同項」を「第五十二条第一項第一号」に改め、同条に次の一項を加える。

2 次の各号に掲げる単位排出量当たりの賦課金額は、当該各号に掲げる事項を基礎として政令で定める。ただし、第二号に掲げる賦課金額は、同号の対象物質による大気の汚染の状況に応じた地域の別に従い定めるものとする。

 一 前条第一項第二号イの単位排出量当たりの賦課金額 賦課金見込額のうち既被認定者に関する金額に既被認定者の指定疾病の状況その他の事情を勘案して政令で定める率を乗じて得た額及びばい煙発生施設等設置者が排出した算定基礎期間における対象物質ごとの総累積量

 二 前条第一項第二号ロの単位排出量当たりの賦課金額 賦課金見込額のうち既被認定者に関する金額に一から前号の政令で定める率を控除して得た率を乗じて得た額及びばい煙発生施設等設置者が排出する前年度の初日の属する年における対象物質ごとの総排出量

 第五十五条第二項中「第五十二条第一項」を「第五十二条第一項第一号」に改め、「政令で定める物質」の下に「又は基準日以後に排出される対象物質」を加え、「添附しなければ」を「添付しなければ」に改める。

 「第五章 公害健康被害補償協会」を「第五章 公害健康被害補償予防協会」に改める。

 第六十八条中「並びに第四十八条」を「、第四十八条」に改め、「納付金の納付」の下に「並びに大気の汚染の影響による健康被害を予防するために必要な事業及びこれを行う地方公共団体に対する助成金の交付」を加え、「行なう」を「行う」に改める。

 第七十二条中「公害健康被害補償協会」を「公害健康被害補償予防協会」に改める。

 第七十七条第一項本文を次のように改める。

  会長の任期は、四年とし、理事及び監事の任期は、二年とする。

 第八十八条中「行なう」を「行う」に改め、同条第四号中「前三号」を「前各号」に改め、同号を同条第六号とし、同条第三号の次に次の二号を加える。

 四 大気の汚染の影響による健康被害の予防に関する調査研究、知識の普及及び研修

 五 大気の汚染の影響による健康被害の予防に関する計画の作成、健康相談、健康診査、機能訓練又は施設若しくは機械器具の整備を行う地方公共団体(施設又は機械器具の整備を行う者に対して助成を行う地方公共団体を含む。)に対する助成金の交付

 第九十条第一項中「環境庁長官及び通商産業大臣」を「主務大臣」に改める。

 第九十四条に次の一項を加える。

3 協会は、第一項の規定による環境庁長官及び通商産業大臣の承認を受けた財務諸表を各事務所に備えて置かなければならない。

 第九十八条の次に次の一条を加える。

 (基金)

第九十八条の二 協会は、第八十八条第四号及び第五号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に必要な経費の財源をその運用によつて得るための基金を設け、大気の汚染の原因となる物質を排出する施設を設置する事業者その他大気の汚染に関連のある事業活動を行う者から拠出される拠出金をもつてこれに充てるものとする。

2 協会は、基金に係る経理については、その他の経理と区分して整理しなければならない。

3 前条の規定は、基金の運用について準用する。この場合において、同条第三号中「金銭信託」とあるのは、「金銭信託で運用方法を特定しないもの」と読み替えるものとする。

 第百一条及び第百二条第一項中「環境庁長官及び通商産業大臣」を「主務大臣」に改める。

 第百三条中「ついては」の下に「、次項に規定するもののほか」を加え、同条に次の一項を加える。

2 協会は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、その財産は、国庫に帰属する。

 第百四条の見出し中「大蔵大臣」を「大蔵大臣等」に改め、同条第一項第三号中「第二号」の下に「(第九十八条の二第三項において準用する場合を含む。)」を加え、同条に次の一項を加える。

3 環境庁長官は、第九十条第一項の認可をしようとするときは、関係行政機関の長(大蔵大臣を除く。)に協議しなければならない。

 第百四条の次に次の一条を加える。

 (主務大臣)

第百四条の二 この法律において、主務大臣は、環境庁長官及び通商産業大臣とする。ただし、第八十八条第四号及び第五号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に関する事項については、環境庁長官とする。

 第百四十五条中「五万円」を「十万円」に改める。

 第百四十六条中「十万円」を「二十万円」に改める。

 第百四十七条中「五万円」を「十万円」に改める。

 第百四十八条中「三万円」を「十万円」に改める。

 第百五十条中「三万円」を「十万円」に改め、同条第三号中「行なつた」を「行つた」に改め、同条第四号中「運用した」を「運用し、又は第九十八条の二第三項において準用する第九十八条の規定に違反して基金を運用した」に改め、同条第五号中「環境庁長官及び通商産業大臣」を「主務大臣」に改める。

 附則第十九条の二の次に次の二条を加える。

 (拠出金の事業費への充当)

第十九条の三 協会は、第九十八条の二第一項の規定にかかわらず、当分の間、環境庁長官及び通商産業大臣の認可を受けて、同項に規定する者から拠出される拠出金の一部を第八十八条第四号及び第五号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に要する費用に充てることができる。

2 環境庁長官及び通商産業大臣は、前項の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。

 (協会に対する財政上の措置)

第十九条の四 政府は、協会が第九十八条の二第一項の基金の運用により生ずる収益によつて第八十八条第四号及び第五号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に必要な経費の財源を確保することができるまでの間、協会に対し、基金に関する財政上の措置を講ずることができる。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超え六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に公害健康被害補償予防協会という名称を使用している者については、改正後の公害健康被害の補償等に関する法律第七十二条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

第三条 この法律の施行の際現に公害健康被害補償予防協会の理事又は監事である者の任期については、なお従前の例による。

第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (所得税法の一部改正)

第五条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の表公害健康被害補償協会の項を次のように改める。

公害健康被害補償予防協会

公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号)

 (法人税法の一部改正)

第六条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第二第一号の表公害健康被害補償協会の項を次のように改める。

公害健康被害補償予防協会

公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号)

 (地方税法の一部改正)

第七条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の五第一項第六号中「公害健康被害補償協会」を「公害健康被害補償予防協会」に改める。

 (水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法等の一部改正)

第八条 次に掲げる法律の規定中「公害健康被害補償法」を「公害健康被害の補償等に関する法律」に改める。

 一 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法(昭和五十三年法律第百四号)第一条

 二 下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第十八条の二

 三 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)第四条第二十号

 四 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)第四条第四十六号

(内閣総理大臣臨時代理・大蔵大臣臨時代理・通商産業・建設・自治大臣署名) 

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