旅券法の特例に関する法律
法律第百三十七号(昭四二・八・一七)
(趣旨)
第一条 この法律は、沖縄(硫黄鳥島、伊平屋島及び北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)をいう。以下同じ。)における旅券の発給等に関し、旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)の適用の特例を定めるものとする。
(旅券の発給の申請等)
第二条 沖縄においてする旅券法第三条第一項、第八条第一項、第九条第一項又は第十条第一項の申請は、その申請者が南方連絡事務所(総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)第十三条に定める日本政府南方連絡事務所をいう。以下同じ。)に出頭の上、南方連絡事務所長を経由して外務大臣にするものとする。ただし、南方連絡事務所長がやむを得ない理由により申請者の出頭が困難であると認める場合には、申請者は、外務省令で定めるところにより、その指定した者を通じて当該申請に係る書類及び写真を提出して申請することができる。
2 前項の場合において、旅券法第三条第一項又は第八条第一項の申請をする者のうち、沖縄の法令に基づいて発給された沖縄の出域許可に関する書類の添附を必要とされる者にあつては、当該書類を同法第三条第一項又は第八条第一項の書類に加えて提出しなければならない。
3 第一項の申請に基づいて発給する旅券については、旅券法第三条第二項又は第八条第三項中「国内においては都道府県知事(直接外務大臣に提出する場合には、外務大臣)が、国外においては領事官」とあるのは「南方連絡事務所長」と、同法第七条第一項中「本邦を出国」とあるのは「沖縄を出域」とする。
4 第一項本文の規定は、旅券法第四条、第八条第四項、第九条第三項又は第十条第三項の規定による請求を沖縄においてする場合について準用する。
(旅券の発行及び交付)
第三条 前条第一項の申請又は同条第四項の請求に基づく旅券の発行は、外務大臣が行なう。
2 前項の規定により発行された旅券の交付は、南方連絡事務所長が行なう。この場合において、前条第一項の申請に基づく旅券にあつては、当該旅券の発給を申請した者又はその指定した者の出頭を求めて行なうものとする。
(数次往復用の旅券)
第四条 第二条第一項の申請に基づいて発給する旅券については、旅券法第十二条第一項中「国内」とあるのは「沖縄」と、「本邦と特定の一又は二以上の外国との間を数次往復」とあるのは「沖縄と特定の一又は二以上の外国との間を数次往復(本邦を経由してする数次往復を含む。)」とする。
(旅券の効力)
第五条 第二条第一項の申請をした者のうち、同条第二項の規定の適用を受ける者及び沖縄に居住する者で外務省令で定めるものに対し、同条第一項又は旅券法第九条第一項若しくは第十条第一項の申請に基づいて発給した旅券については、同法第十八条第一項第一号中「本邦」とあるのは「沖縄を出域せず、又は本邦」と、同項第二号中「本邦に帰国」とあるのは「沖縄に再入域したとき、又は沖縄及び本邦以外の地域から初めて本邦に帰国した後一月を経過」と、同項第三号中「国内」とあるのは「沖縄又は本邦」と、「国外」とあるのは「沖縄及び本邦以外の地域」と、「帰国」とあるのは「沖縄に再入域し、又は帰国」とする。
(権限の委任)
第六条 この法律及び旅券法の規定により外務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、南方連絡事務所長に委任することができる。
(外務省令への委任)
第七条 第二条から前条までに定めるもののほか、沖縄における旅券の取扱いその他これらの規定の適用を受ける旅券に関し必要な事項は、外務省令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。
(総理府設置法の一部改正)
2 総理府設置法の一部を次のように改正する。
第十三条第一項に次の一号を加える。
五 旅券法の特例に関する法律(昭和四十二年法律第百三十七号)の規定の適用を受ける旅券に関する申請書の受理その他の事務を行なうこと。
第十四条第三項中「第四号」を「第五号」に改める。
(旅券法の一部改正)
3 旅券法の一部を次のように改正する。
附則第七項を次のように改める。
7 沖縄(硫黄鳥島、伊平屋島及び北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)をいう。以下同じ。)、孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島をいう。)、沖の鳥島又は南鳥島に渡航する者及び沖縄から本邦に渡航する者に対しては、当分の間、政令で定めるところにより、身分証明書を発給するものとする。
(内閣総理・法務・外務大臣署名)