地方公務員災害補償法

法律第百二十一号(昭四二・八・一)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 基金(第三条―第二十三条)

 第三章 補償及び福祉施設(第二十四条―第四十八条)

 第四章 費用の負担(第四十九条・第五十条)

 第五章 不服申立て及び訴訟(第五十一条―第五十六条)

 第六章 雑則(第五十七条―第六十八条)

 第七章 非常勤の地方公務員(第六十九条―第七十一条)

 第八章 罰則(第七十二条―第七十四条)

 附則

   第一章 総則

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、地方公務員の公務上の災害(負傷、疾病、廃疾又は死亡をいう。以下同じ。)に対する補償(以下「補償」という。)の迅速かつ公正な実施を確保するため、地方公共団体に代わつて補償を行なう基金の制度を設け、その行なう事業に関して必要な事項を定めるとともに、その他地方公務員の補償に関して必要な事項を定め、もつて地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律で「職員」とは、常時勤務に服することを要する地方公務員(常時勤務に服することを要しない地方公務員のうちその勤務形態が常時勤務に服することを要する地方公務員に準ずる者で政令で定めるものを含む。)をいう。

2 この法律で「平均給与額」とは、負傷若しくは死亡の原因である事故の発生の日又は診断によつて疾病の発生が確定した日の属する月の前月の末日から起算して過去三月間(その期間内に職員となつた者については、その職員となつた日までの間)にその職員に対して支払われた給与の総額を、その期間の総日数で除して得た金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した額を下らないものとする。

 一 給与の全部が、勤務した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制によつて定められた場合には、その期間中に支払われた給与の総額をその勤務した日数で除して得た金額の百分の六十

 二 給与の一部が、勤務した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制によつて定められた場合には、その部分の給与の総額について前号の方法により計算した金額と、その他の部分の給与の総額をその期間の総日数で除して得た金額との合算額

3 前項の給与は、給料、管理職手当、初任給調整手当、扶養手当、通勤手当、特殊勤務手当、隔遠地手当、へき地手当、農林漁業改良普及手当、時間外勤務手当、休日勤務手当、夜間勤務手当、宿日直手当、定時制通信教育手当、産業教育手当及び自治省令で定める手当(第一項の政令で定める者にあつては、これらの給与に相当する給与)とする。

4 第二項に規定する期間中に、次の各号の一に該当する日がある場合には、その日数及びその間の給与は、同項の期間及び給与の総額から控除して計算する。ただし、控除しないで計算した平均給与額が控除して計算した平均給与額より多い場合は、この限りでない。

 一 公務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために勤務することができなかつた日

 二 産前産後の職員が、出産の予定日の六週間前から出産後六週間以内において勤務しなかつた日

 三 地方公共団体の責めに帰すべき事由によつて勤務することができなかつた日

 四 職員団体の業務にもつぱら従事するための許可を受けて勤務しなかつた日

5 前三項の規定により平均給与額を計算することができない場合及び前三項の規定によつて計算した平均給与額が著しく公正を欠く場合における平均給与額の計算については、自治省令で定める。

6 前四項の規定によつて計算した平均給与額に一円未満の端数を生じたときは、これを一円に切り上げた額を平均給与額とする。

   第二章 基金


 (設置)

第三条 職員についてこの法律(第七章を除く。)に定める補償を実施し、及び公務上の災害を受けた職員の福祉に必要な施設をするため、地方公務員災害補償基金(以下「基金」という。)を設置する。

2 基金は、法人とする。


 (事務所)

第四条 基金は、主たる事務所を東京都に、従たる事務所を都道府県及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市ごとに置く。


 (定款)

第五条 基金は、定款をもつて、次に掲げる事項を定めなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 事務所の所在地

 四 資産に関する事項

 五 運営審議会に関する事項

 六 役員に関する事項

 七 業務及びその執行に関する事項

 八 負担金に関する事項

 九 会計に関する事項

 十 公告の方法

2 定款の変更(政令で定める事項に係るものを除く。)は、自治大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。


 (登記)

第六条 基金は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。


 (民法の準用)

第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、基金について準用する。


 (役員)

第八条 基金に、役員として理事長、理事若干人及び監事一人を置く。


 (役員の職務及び権限)

第九条 理事長は、基金を代表し、その業務を総理する。

2 理事は、理事長を補佐して基金の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。

3 監事は、基金の業務を監査する。

4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は自治大臣に意見を提出することができる。


 (役員の任命及び任期)

第十条 理事長及び監事は、自治大臣が任命する。

2 理事は、理事長が自治大臣の認可を受けて任命する。

3 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 役員は、再任されることができる。


 (運営審議会)

第十一条 基金に運営審議会を置く。

2 運営審議会は、委員十二人以内で組織する。

3 委員は、都道府県知事を代表する者、市長を代表する者、町村長を代表する者、都道府県教育委員会を代表する者、都道府県公安委員会を代表する者、地方公営企業の管理者を代表する者及び学識経験を有する者について、自治大臣が任命する。

4 次に掲げる事項は、運営審議会の議を経なければならない。

 一 定款の変更

 二 業務規程の作成及び変更

 三 毎事業年度の事業計画及び予算並びに決算

 四 重要な財産の処分及び重大な債務の負担

5 運営審議会は、前項に定めるもののほか、理事長の諮問に応じて基金の業務に関する重要事項を調査審議し、又は必要と認める事項につき理事長に建議することができる。


 (業務規程)

第十二条 基金は、その業務を執行するために必要な事項で自治省令で定めるものについて、業務規程を定めるものとする。

2 基金は、業務規程を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを自治大臣に報告しなければならない。


 (地方公共団体の便宜の供与)

第十三条 地方公共団体の機関は、基金の運営に必要な範囲内において、その所属の職員その他地方公共団体に使用される者をして基金の業務に従事させることができる。

2 地方公共団体の機関は、基金の運営に必要な範囲内において、その管理に係る土地、建物その他の施設を無償で基金の利用に供することができる。


 (国の配慮)

第十四条 国は、基金の健全な運営が図られるように、適切と認める技術的援助をする等必要な配慮を加えるものとする。


 (基金の役員及び事務職員の公務員たる性質)

第十五条 基金の役員及び基金に使用され、その事務に従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。


 (事業年度)

第十六条 基金の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。


 (事業計画及び予算)

第十七条 基金は、毎事業年度、事業計画及び予算を作成して、自治大臣に提出し、その承認を受けなければならない。事業計画及び予算に自治省令で定める重要な変更を加えようとするときも、同様とする。


 (決算)

第十八条 基金は、毎事業年度の決算を翌事業年度の五月三十一日までに完結しなければならない。

2 基金は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、監事の意見をつけて自治大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

3 基金は、前項の承認を受けたときは、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告しなければならない。


 (借入金の制限)

第十九条 基金は、借入金をしてはならない。ただし、基金の目的を達成するため必要な場合において、自治大臣の承認を受けたときは、この限りでない。


 (自治大臣の権限)

第二十条 自治大臣は、基金の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、基金に対して、業務若しくは財産の状況に関して報告をさせ、又はその所属職員をして業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の職員は、同項の規定により検査を行なう場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

第二十一条 自治大臣は、基金の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、定款の変更その他監督上必要な命令をすることができる。

第二十二条 自治大臣は、基金の役員が法令若しくは定款又は前条の規定による命令に違反したときは、これを解任することができる。


 (自治省令への委任)

第二十三条 この章に定めるもののほか、基金の会計及び資産の運用その他財務に関し必要な事項は、自治省令で定める。

   第三章 補償及び福祉施設


 (補償の実施)

第二十四条 基金は、この章に規定する補償の事由が生じた場合に、補償を受けるべき職員若しくは遺族又は葬祭を行なう者に対し、その請求に基づいて補償を行なう。

2 基金は、定款の定めるところにより、従たる事務所の長に補償を行なわせることができる。


 (補償の種類)

第二十五条 基金の行なう補償の種類は、次に掲げるものとする。

 一 療養補償

 二 休業補償

 三 障害補償

  イ 障害補償年金

  ロ 障害補償一時金

 四 遺族補償

  イ 遺族補償年金

  ロ 遺族補償一時金

 五 葬祭補償


 (療養補償)

第二十六条 職員が公務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、療養補償として、必要な療養を行ない、又は必要な療養の費用を支給する。

第二十七条 前条の規定による療養の範囲は、次に掲げるものであつて、療養上相当と認められるものとする。

 一 診察

 二 薬剤又は治療材料の支給

 三 処置、手術その他の治療

 四 病院又は診療所への収容

 五 看護

 六 移送


 (休業補償)

第二十八条 職員が公務上負傷し、又は疾病にかかり、療養のため勤務することができない場合において、給与を受けないときは、休業補償として、その勤務することができない期間につき、平均給与額の百分の六十に相当する金額を支給する。


 (障害補償)

第二十九条 職員が公務上負傷し、又は疾病にかかり、なおつたとき別表に定める程度の身体障害が存する場合においては、同表に定める第一級から第七級までの等級に該当する身体障害がある場合には、障害補償年金として、当該障害が存する期間、同表に定める障害の等級に応じ、一年につき平均給与額に同表に定める日数を乗じて得た金額を毎年支給し、同表に定める第八級から第十四級までの等級に該当する身体障害がある場合には、障害補償一時金として、同表に定める障害の等級に応じ、平均給与額に同表に定める日数を乗じて得た金額を支給する。

2 別表に定める程度の身体障害が二以上ある場合の身体障害の等級は、重い身体障害に応ずる等級による。

3 次に掲げる場合の身体障害の等級は、次の各号のうち職員に最も有利なものによる。

 一 第十三級以上に該当する身体障害が二以上ある場合には、前項の規定による等級の一級上位の等級

 二 第八級以上に該当する身体障害が二以上ある場合には、前項の規定による等級の二級上位の等級

 三 第五級以上に該当する身体障害が二以上ある場合には、前項の規定による等級の三級上位の等級

4 前項第一号の規定による等級による障害補償の金額は、それぞれの身体障害に応ずる等級による障害補償の金額を合算した金額をこえないものとする。ただし、同号の規定による等級が第七級以上になる場合は、この限りでない。

5 身体障害のある者が、公務上の負傷又は疾病によつて同一部位について障害の程度を加重した場合には、自治省令で定めるところにより、その障害補償の金額から、従前の障害に応ずる障害補償の金額を差し引いた金額の障害補償を行なう。

6 障害補償年金を受ける者の当該身体障害の程度に変更があつたため、新たに別表中の他の等級に該当するに至つた場合には、新たに該当するに至つた等級に応ずる障害補償を行なうものとし、その後は、従前の障害補償は、行なわない。


 (休業補償及び障害補償の制限)

第三十条 職員が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、公務上の負傷、疾病若しくはこれらの原因となつた事故を生じさせ、又は公務上の負傷、疾病若しくは身体障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、その者に係る休業補償又は障害補償は、自治省令で定めるところにより、その全部又は一部を行なわないことができる。


 (遺族補償)

第三十一条 職員が公務上死亡した場合においては、遺族補償として、職員の遺族に対して、遺族補償年金又は遺族補償一時金を支給する。


 (遺族補償年金)

第三十二条 遺族補償年金を受けることができる遺族は、職員の配偶者(婚姻の届出をしていないが、職員の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であつて、職員の死亡の当時その収入によつて生計を維持していたものとする。ただし、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)以外の者にあつては、職員の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

 一 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、父母又は祖父母については、五十五歳以上であること。

 二 子又は孫については、十八歳末満であること。

 三 兄弟姉妹については、十八歳未満又は五十五歳以上であること。

 四 前三号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、自治省令で定める廃疾の状態にあること。

2 職員の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、職員の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子とみなす。

3 遺族補償年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にする。

第三十三条 遺族補償年金の額は、一年につき、次に掲げる額の合計額とする。

 一 平均給与額に三百六十五を乗じて得た額(次号において「平均給与額の年額」という。)の百分の二十五に相当する額

 二 遺族補償年金を受ける権利を有する遺族及びその者と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族一人につき平均給与額の年額の百分の五に相当する額。ただし、その額が平均給与額の年額の百分の二十五に相当する額をこえるときは、平均給与額の年額の百分の二十五に相当する額

2 遺族補償年金を受ける権利を有する者が二人以上あるときは、遺族補償年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する額をその人数で除して得た額とする。

3 遺族補償年金の額の算定の基礎となる遺族の数に増減を生じたときは、その増減を生じた月の翌月から、遺族補償年金の額を改定する。

第三十四条 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次の各号の一に該当するに至つたときは、消滅する。この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族補償年金を支給する。

 一 死亡したとき。

 二 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。

 三 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となつたとき。

 四 離縁によつて、死亡した職員との親族関係が終了したとき。

 五 子、孫又は兄弟姉妹はついては、十八歳に達したとき(職員の死亡の時から引き続き第三十二条第一項第四号の自治省令で定める廃疾の状態にあるときを除く。)。

 六 第三十二条第一項第四号の自治省令で定める廃疾の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなつたとき(夫、父母又は祖父母については職員の死亡の当時五十五歳以上であつたとき、子又は孫については十八歳未満であるとき、兄弟姉妹については十八歳末満であるか又は職員の死亡の当時五十五歳以上であつたときを除く。)。

2 遺族補償年金を受けることができる遺族が前項各号の一に該当するに至つたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなる。

第三十五条 遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が一年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によつて、その所在が明らかでない間、その支給を停止する。この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者とする。

2 前項の規定により遺族補償年金の支給を停止された遺族は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。

3 第三十三条第三項の規定は、第一項の規定により遺族補償年金の支給が停止され、又は前項の規定によりその停止が解除された場合に準用する。この場合において、同条第三項中「その増減を生じた月」とあるのは、「その支給が停止され、又はその停止が解除された月」と読み替えるものとする。


 (遺族補償一時金)

第三十六条 遺族補償一時金は、次に掲げる場合に支給する。

 一 職員の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないとき。

 二 遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該職員の死亡に関し既に支給された遺族補償年金の額の合計額が前号の場合に支給される遺族補償一時金の額に満たないとき。

第三十七条 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、職員の死亡の当時において次の各号の一に該当する者とする。

 一 配偶者

 二 職員の収入によつて生計を維持していた子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

 三 前二号に掲げる者以外の者で、主として職員の収入によつて生計を維持していた者

 四 第二号に該当しない子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

2 遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順序とし、同項第二号及び第四号に掲げる者のうちにあつては、当該各号に掲げる順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にする。

3 職員が遺言又はその者の属する任命権者に対する予告で、第一項第三号及び第四号に掲げる者のうち特に指定した者がある場合には、その者に、同項第三号及び第四号に掲げる他の者に優先して遺族補償一時金を支給する。

第三十八条 遺族補償一時金の額は、業務上の死亡に係る他の法令による給付との均衡を考慮して政令で定める額(第三十六条第二号の場合にあつては、その額から既に支給された遺族補償年金の額の合計額を控除した額)とする。

2 第三十三条第二項の規定は、遺族補償一時金の額について準用する。


 (遺族からの排除)

第三十九条 職員を故意に死亡させた者は、遺族補償を受けることができる遺族としない。

2 職員の死亡前に、当該職員の死亡によつて遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族としない。

3 職員の死亡前又は遺族補償年金を受けることができる遺族の当該遺族補償年金を受ける権利の消滅前に、当該職員の死亡又は当該権利の消滅によつて遺族補償一時金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償一時金を受けることができる遺族としない。

4 遺族補償年金を受けることができる遺族を故意に死亡させた者は、遺族補償一時金を受けることができる遺族としない。職員の死亡前に当該職員の死亡によつて遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者を故意に死亡させた者も、同様とする。

5 遺族補償年金を受けることができる遺族が、遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の他の遺族を故意に死亡させたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなる。この場合において、その者が遺族補償年金を受ける権利を有する者であるときは、その権利は、消滅する。

6 第三十四条第一項後段の規定は、前項後段の場合に準用する。


 (年金たる補償の支給期間等)

第四十条 障害補償年金又は遺族補償年金(以下「年金たる補償」という。)の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるものとする。

2 年金たる補償は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの期間は、支給しない。

3 年金たる補償は、毎年三月、六月、九月及び十二月の四期に、それぞれその前月分までを支払う。ただし、支給を受ける権利が消滅した場合におけるその期の年金たる補償は、支払期月でない月であつても、支払うものとする。


 (年金たる補償の支払の調整)

第四十一条 年金たる補償の支給を停止すベき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金たる補償が支払われたときは、その支払われた年金たる補償は、その後に支払うべき年金たる補償の内払とみなすことができる。年金たる補償を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金たる補償が支払われた場合における当該年金たる補償の当該減額すベきであつた部分についても、同様とする。


 (葬祭補償)

第四十二条 職員が公務上死亡した場合においては、葬祭を行なう者に対して、葬祭補償として、平均給与額の六十日分に相当する金額を支給する。


 (死亡の推定)

第四十三条 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその船舶に乗つていた職員若しくは船舶に乗つていてその船舶の航行中に行方不明となつた職員の生死が三箇月間わからない場合又はこれらの職員の死亡が三箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償及び葬祭補償の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日又は職員が行方不明となつた日に、当該職員は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその航空機に乗つていた職員若しくは航空機に乗つていてその航空機の航行中に行方不明となつた職員の生死が三箇月間わからない場合又はこれらの職員の死亡が三箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。


 (未支給の補償)

第四十四条 この章の規定による補償を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき補償でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については、当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族)に、これを支給する。

2 前項の規定による補償を受けるべき者の順位は、同項に規定する順序(遺族補償年金については、第三十二条第三項に規定する順序)とする。

3 第一項の規定による補償を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その全額をその一人に支給することができるものとし、この場合において、その一人にした支給は、全員に対してしたものとみなす。


 (補償の手続)

第四十五条 基金は、この章の規定による補償を受けようとする者から補償の請求を受けたときは、その補償の請求の原因である災害が公務により生じたものであるかどうかをすみやかに認定し、その結果を当該請求をした者及び当該災害を受けた職員の任命権者に通知しなければならない。

2 基金は、前項の規定による認定をするに当たつては、災害を受けた職員の任命権者の意見をきかなければならない。


 (船員である職員等の特例)

第四十六条 船員法(昭和二十二年法律第百号)第一条に規定する船員である職員又は公務で外国旅行中の職員に係る補償につき特例を設ける必要がある場合においては、政令で特例を定めることができる。ただし、その特例は、この法律の規定の趣旨に適合するものでなければならない。


 (福祉施設)

第四十七条 基金は、公務上の災害を受けた職員の福祉に関して必要な次の施設をするよう努めなければならない。

 一 外科後処置に関する施設

 二 休養又は療養に関する施設

 三 リハビリテーションに関する施設

 四 義肢、義眼、補聴器等の補装具の支給に関する施設

 五 その他必要と認める施設


 (自治省令への委任)

第四十八条 この章に定めるもののほか、基金の行なう補償及び前条の施設に関し必要な事項は、自治省令で定める。

   第四章 費用の負担


 (費用の負担)

第四十九条 基金の業務に要する費用は、地方公共団体(市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条又は第二条の規定により都道府県がその給与を負担する者については、都道府県。以下同じ。)の負担金をもつて充てる。

2 前項の負担金の額は、政令で定める職務の種類による職員の区分に応じ、当該職務の種類ごとの職員に係る給与の総額に、補償に要する費用及び基金の事務に要する費用その他の事情を考慮して政令で定める割合を、それぞれ乗じて得た額の合計額とする。

3 前項の給与の総額とは、給料、報酬、賃金、手当その他名称のいかんを問わず、地方公共団体により支払われる給与(退職手当を除く。)の総額をいうものとする。

第五十条 地方公共団体は、前条の規定により負担すべき金額を、自治省令で定めるところにより、基金に払い込まなければならない。

   第五章 不服申立て及び訴訟


 (審査請求等)

第五十一条 基金が行なう補償に関する決定(次項の決定を除く。)に不服がある者は、地方公務員災害補償基金審査会(以下「審査会」という。)に対して審査請求をすることができる。

2 基金の従たる事務所の長が行なう補償に関する決定に不服がある者は、地方公務員災害補償基金支部審査会(以下「支部審査会」という。)に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、さらに審査会に対して再審査請求をすることができる。

3 前二項の審査請求又は再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。

4 第一項及び第二項の審査請求又は再審査請求については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)が適用されるものとする。


 (審査会等)

第五十二条 基金の主たる事務所に審査会を、従たる事務所に支部審査会を置く。

第五十三条 審査会は、委員五人をもつて組織する。

2 委員は、学識経験を有する者のうちから基金の理事長が委嘱する。

3 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、再任されることができる。

5 審査会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。

6 会長は、会務を総理する。会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、会長のあらかじめ指定する委員がその職務を行なう。

第五十四条 審査会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、及び議決することができない。

2 審査会の議事は、出席委員の過半数で決するものとし、可否同数のときは、会長の決するところによる。

第五十五条 支部審査会は、委員三人をもつて組織する。

2 委員は、学識経験を有する者のうちから従たる事務所の長が委嘱する。

3 第五十三条第三項から第六項まで及び前条の規定は、支部審査会の組織及び運営について準用する。


 (不服申立ての前置)

第五十六条 第五十一条第一項又は第二項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求又は再審査請求に対する審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。

   第六章 雑則


 (年金たる補償の額の改定)

第五十七条 基金の行なう年金たる補償の額については、国民の生活水準、地方公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定の措置を講ずるものとする。


 (損害賠償の免責)

第五十八条 地方公共団体は、基金がこの法律による補償を行なつた場合には、同一の事由については、その価額の限度において国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)又は民法による損害賠償の責めを免れる。


 (第三者に対する損害賠償の請求)

第五十九条 基金は、補償の原因である災害が第三者の行為によつて生じた場合に補償を行なつたときは、その価額の限度において、補償を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

2 前項の場合において、補償を受けるべき者が当該第三者から同一の事由につき損害賠償を受けたときは、基金は、その価額の限度において補償の義務を免れる。


 (報告、出頭等)

第六十条 基金又は審査会若しくは支部審査会は、補償の実施又は審査のため必要があると認めるときは、基金から補償を受け若しくは受けようとする者又はその他の関係人に対して報告をさせ、文書その他の物件を提出させ、出頭を命じ、又は医師の診断若しくは検案を受けさせることができる。

2 前項の規定により出頭した者は、自治省令で定めるところにより、旅費を受けることができる。


 (一時差止め)

第六十一条 基金から補償を受ける権利を有する者が、正当な理由がなくて、前条第一項の規定による報告をせず、文書その他の物件を提出せず、出頭をせず、又は医師の診断を拒んだときは、基金は、補償の支払を一時差し止めることができる。


 (補償を受ける権利)

第六十二条 職員が離職した場合においても、補償を受ける権利は、影響を受けない。

2 補償を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることはできない。


 (時効)

第六十三条 補償を受ける権利は、二年間(障害補償及び遺族補償については、五年間)行なわないときは、時効によつて消滅する。


 (期間の計算)

第六十四条 この法律又はこの法律に基づく命令に規定する期間の計算については、民法の期間の計算に関する規定を準用する。


 (非課税等)

第六十五条 この法律又はこの法律に基づく条例により支給を受けた金品を標準として、租税その他の公課を課してはならない。


 (無料証明)

第六十六条 基金又はこの法律若しくはこの法律に基づく条例による補償を受けようとする者は、職員の戸籍に関して、戸籍事務をつかさどる者又はその代理者に対して無料で証明を請求することができる。


 (他の法律の適用除外)

第六十七条 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八章及び船員法第十章の規定は、職員のうち地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三条第三項に規定する特別職に属する地方公務員に関して適用しない。

2 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定は、職員に関して適用しない。


 (地方公務員法との関係)

第六十八条 この法律の規定により地方公務員の補償を行なう基金の制度は、地方公務員法第三条第二項に規定する一般職に属する職員については、同法第四十五条第四項に規定する制度とする。

   第七章 非常勤の地方公務員


 (非常勤の地方公務員に係る補償の制度)

第六十九条 地方公共団体は、条例で、職員以外の地方公務員のうち法律(労働基準法を除く。)による公務上の災害に対する補償の制度が定められていないものに対する補償の制度を定めなければならない。

2 前項の条例で定める補償の制度は、この法律及び労働者災害補償保険法で定める補償の制度と均衡を失したものであつてはならない。


 (不服申立て等)

第七十条 前条第一項の規定に基づく条例による補償の実施に関して不服がある者は、当該地方公共団体の条例の定めるところにより、審査を申し立てることができる。

2 前項の規定による審査の申立ては、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。


 (職員に関する規定の準用)

第七十一条 第五十八条、第五十九条、第六十二条及び第六十三条の規定は、第六十九条第一項の規定に基づく条例による補償について準用する。この場合において、第五十八条及び第五十九条中「基金」とあるのは「地方公共団体」と、第六十二条第一項中「職員」とあるのは「第六十九条第一項に規定する者」と読み替えるものとする。

   第八章 罰則


 (罰則)

第七十二条 第二十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした基金の役員又は基金に使用され、その事務に従事する者は、三万円以下の罰金に処する。

第七十三条 第六十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書その他の物件を提出せず、出頭をせず、又は医師の診断を拒んだ者は、一万円以下の罰金に処する。

第七十四条 この法律又はこの法律に基づく政令の規定に違反して登記することを怠つた基金の役員は、一万円以下の過料に処する。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、昭和四十二年十二月一日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、次条及び附則第三条の規定は、公布の日から施行する。


 (基金の設立)

第二条 都道府県知事、市長、町村長、都道府県教育委員会及び都道府県公安委員会の全国的連合組織は、昭和四十二年十月二十日までに、それぞれ一人の基金の設立委員を選任しなければならない。

第三条 設立委員は、昭和四十二年十一月十五日までに、第五条第一項に掲げる事項につき定款を定め、並びに基金の最初の事業年度の事業計画及び予算を作成し、その定款、事業計画及び予算について自治大臣の認可を申請しなければならない。

2 自治大臣は、前項の認可をしたときは、直ちにその旨を告示するものとする。

3 基金は、前項の規定による告示があつたときは、施行日に成立する。この場合において、基金は、遅滞なく、その定款を公告しなければならない。

4 設立委員は、基金が成立したときは、遅滞なく、その事務を理事長に引き継がなければならない。

5 基金の行なう設立の登記は、施行日から二週間以内に、主たる事務所の所在地においてしなければならない。

6 基金の最初の事業年度は、第十六条の規定にかかわらず、その設立の日に始まり、昭和四十三年三月三十一日に終わるものとする。


 (経過措置)

第四条 この法律の施行前に職員が公務上負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合(この法律の施行前の公務上の負傷又は疾病によりこの法律の施行後に廃疾となり、又は死亡した場合を含む。)におけるこれらの災害に係る補償については、なお従前の例による。当該補償に係る他の法令による給付との調整についても、同様とする。


 (死亡の推定の特例)

第五条 第四十三条の規定は、この法律の施行前に船舶若しくは航空機が沈没し、転覆し、墜落し、滅失し、若しくは行方不明になつた際これに乗つており、又は船舶若しくは航空機に乗つていて、その航行中に行方不明となり、この法律の施行の際まだその生死がわからないか、又は三箇月以内にその死亡が明らかとなりこの法律の施行の際まだその死亡の時期がわからない職員についても、適用する。


 (遺族補償の支給に関する暫定措置)

第六条 施行日から五年以内に、職員が公務上死亡した場合において、当該死亡に関し、遺族補償年金を受ける権利を有する遺族が遺族補償年金の最初の支払に先だつて申し出たときは、基金は、平均給与額の四百日分に相当する額を一時金として支給する。

2 前項の一時金が支給される場合には、当該職員の死亡に係る遺族補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が自治省令で定める算定方法に従い当該一時金の額に達するまでの間、その支給を停止する。

3 第一項の一時金は、この法律の規定の適用については、遺族補償年金とみなす。

4 第一項の一時金の支給を受けた者に支給されるべき遺族補償年金の支給が第二項の規定により停止されている間は、当該遺族補償年金については、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第六十五条第二項(同法第七十九条の二第六項において準用する場合を含む。)、児童扶養手当法(昭和三十六年法律第二百三十八号)第四条第二項第三号ただし書及び第三項第三号ただし書並びに特別児童扶養手当法(昭和三十九年法律第百三十四号)第四条第三項第三号ただし書及び第四項第三号ただし書の規定は、適用しない。

5 前項の規定は、第六十九条第一項の規定に基づく条例で定めるところにより、第一項の一時金に相当する補償の支給を受けた者に支給されるべき遺族補償年金に相当する補償の支給が停止されている場合について準用する。

第七条 遺族補償一時金の額は、当分の間、第三十八条第一項の規定にかかわらず、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の規定による遺族補償一時金の額との均衡を考慮して政令で定める額(第三十六条第二号の場合にあつては、その額から既に支給された遺族補償年金の額の合計額を控除した額)とする。


 (他の法令による給付との調整)

第八条 年金たる補償の額は、当該補償の事由となつた身体障害又は死亡について政令で定める法令による年金たる給付が支給される場合には、当分の間、この法律の規定にかかわらず、この法律の規定による年額から当該給付の年額に百分の五十の範囲内で政令で定める率を乗じて得た額を減じた額とする。


 (平均給与額の特例)

第九条 第二条第二項の平均給与額を計算する場合において、同項に規定する期間中に、地方公務員法の一部を改正する法律(昭和四十年法律第七十一号)附則第二条第五項の規定による職員団体の業務にもつぱら従事するための休暇の日があるときは、当該休暇の日を第二条第四項第四号に規定する職員団体の業務にもつぱら従事するための許可を受けて勤務しなかつた日とみなす。


 (労働者災害補償保険法による保険関係の消滅)

第十条 施行日の前日に職員に関し労働者災害補償保険法による保険関係が成立している事業の事業主たる地方公共団体の当該事業についての保険関係は、同日に消滅するものとする。

2 前項の規定により保険関係が消滅した事業に係る保険料その他の徴収金については、なお従前の例による。


 (経過措置についての政令への委任)

第十一条 附則第四条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


 (地方公務員法の一部改正)

第十二条 地方公務員法の一部を次のように改正する。

  第八条第一項第二号中「、公務災害補償」を削る。

  第四十五条第二項から第四項までを次のように改める。

 2 前項の規定による補償の迅速かつ公正な実施を確保するため必要な補償に関する制度が実施されなければならない。

3 前項の補償に関する制度には、次に掲げる事項が定められなければならない。

 一 職員の公務上の負傷又は疾病に対する必要な療養又は療養の費用の負担に関する事項

 二 職員の公務上の負傷又は疾病に起因する療養の期間又は船員である職員の公務による行方不明の期間におけるその職員の所得の喪失に対する補償に関する事項

 三 職員の公務上の負傷又は疾病に起因して、永久に、又は長期に所得能力を害された場合におけるその職員の受ける損害に対する補償に関する事項

 四 職員の公務上の負傷又は疾病に起因する死亡の場合におけるその遺族又は職員の死亡の当時その収入によつて生計を維持した者の受ける損害に対する補償に関する事項

4 第二項の補償に関する制度は、法律によつて定めるものとし、当該制度については、国の制度との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。

 第五十八条第三項本文中「第八十五条、第八十六条、第八十九条から第九十三条まで」を「第七十五条から第九十三条まで」に、「第九十六条」を「第八十九条」に改め、同項ただし書中「第八十五条、第八十六条及び」及び「中勤務条件に関する部分、第九十六条」を削り、「職員に」の下に「、同法第七十五条から第八十八条まで及び船員法第八十九条から第九十六条までの規定は、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第二条第一項に規定する者以外の職員に」を加える。


 (地方公営企業法の一部改正)

第十三条 地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。

  第三十九条第一項中「、第四十五条第二項から第四項まで」を削り、「第五十八条」の下に「(地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第二条第一項に規定する者に適用される場合に限り、第五十八条第三項中労働基準法第七十五条から第八十八条まで及び船員法第八十九条から第九十六条までに係る部分を除く。)」を加える。


 (市町村立学校職員給与負担法の一部改正)

第十四条 市町村立学校職員給与負担法の一部を次のように改正する。

  第一条中「退職一時金、旅費並びに公務災害補償」を「退職一時金並びに旅費」に改める。


 (義務教育費国庫負担法の一部改正)

第十五条 義務教育費国庫負担法(昭和二十七年法律第三百三号)の一部を次のように改正する。

  第二条に次の一号を加える。

  五 地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第四十九条の規定により公立の義務教育諸学校に係る市町村立学校職員給与負担法第一条に掲げる職員について都道府県が地方公務員災害補償基金に対して負担すベき負担金のうち、補償に要する費用に係る部分に要する経費


 (公立養護学校整備特別措置法の一部改正)

第十六条 公立養護学校整備特別措置法(昭和三十一年法律第百五十二号)の一部を次のように改正する。

  第五条に次の一号を加える。

  四 地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第四十九条の規定により公立の養護学校の小学部及び中学部に係る市町村立学校職員給与負担法第一条に掲げる教職員について都道府県が地方公務員災害補償基金に対して負担すべき負担金のうち、補償に要する費用に係る部分に要する経費


 (市町村立学校職員給与負担法の一部改正等に伴う経過措置)

第十七条 この法律の施行の際現に市町村立学校職員給与負担法第一条又は第二条に規定する職員について都道府県が負担することとしている公務災害補償に関して、附則第十四条から前条までの規定による法律の改正に伴う必要な経過措置は、政令で定める。


 (警察法の一部改正)

第十八条 警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

  第五十六条第二項中「服務並びに公務災害補償」を「並びに服務」に改める。


 (地方公務員等共済組合法の一部改正)

第十九条 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の一部を次のように改正する。

  第八十六条第二項中「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十五条の規定による療養補償若しくはこれに相当する補償又は労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による療養補償給付を退職の際に受けている者にあつては、「公務傷病がなおつた時又は労働基準法第八十一条の規定による打切補償若しくはこれに相当する補償を受けた時」」を「地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)の規定による療養補償又はこれに相当する補償を退職の際に受けている者にあつては、「公務傷病がなおつた時」」に改める。

 第九十一条の見出し中「障害補償」を「障害補償年金」に改め、同条中「労働基準法第七十七条の規定による障害補償又はこれに相当する補償が行なわれることとなつたときは六年間、労働者災害補償保険法の規定による障害補償年金が支給され、又は長期傷病補償給付が行なわれることとなつたときはこれらの保険給付が行なわれる間」を「地方公務員災害補償法の規定による障害補償年金又はこれに相当する補償が支給されることとなつたときは、これらが支給される間」に改める。

 第九十七条を次のように改める。

 (公務による遺族年金と遺族補償年金との調整)

第九十七条 第九十三条第一項第一号の規定による遺族年金は、地方公務員災害補償法の規定による遺族補償年金又はこれに相当する補償が支給されることとなつたときは、これらが支給される間、その額のうち、その算定の基礎となつた給料年額の百分の二十に相当する金額の支給を停止する。

 第百三十六条第一項中「船員組合員又はその被扶養者が病気にかかり、又は負傷した場合」を「船員組合員が公務によらないで病気にかかり、若しくは負傷し、又は船員組合員の被扶養者が病気にかかり、若しくは負傷した場合」に改める。

 第百三十七条第一項中「退職し、又は」の下に「公務によらないで」を加え、同条第二項中「遺族に対する給付」の下に、「(その支給事由が公務によるものを除く。)」を加え、同条第三項を削る。

  第百四十二条第二項の表中

第八十六条第二項

労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十五条の規定による療養補償若しくはこれに相当する補償又は労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による療養補償給付

国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第十条の規定による療養補償

公務傷病がなおつた時又は労働基準法第八十一条の規定による打切補償若しくはこれに相当する補償を受けた時

公務傷病がなおつた時

 を

第八十六条第二項

地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)

国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)

 に、

第九十一条

労働基準法第七十七条の規定による障害補償又はこれに相当する補償が行なわれることとなつたときは六年間、労働者災害補償保険法の規定による障害補償年金が支給され、又は長期傷病補償給付が行なわれることとなつたときはこれらの保険給付が行なわれる間

国家公務員災害補償法の規定による障害補償年金が支給されることとなつたときはその障害補償年金が支給される間

給料年額

俸給年額

 

 

 

第九十七条

労働基準法第七十九条の規定による遺族補償又はこれに相当する補償が行なわれることとなつたときは六年間、労働者災害補償保険法の規定による遺族補償年金が支給されることとなつたときはその保険給付が行なわれる間

国家公務員災害補償法の規定による遺族補償年金が支給されることとなったときはその遺族補償年金が支給される間

 

給料年額

俸給年額

 を

第九十一条

第九十七条

地方公務員災害補償法

国家公務員災害補償法

給料年額

俸給年額

 に改める。

  第百六十二条の次に次の一条を加える。

 (公務傷病年金と障害補償年金との調整)

 第百六十二条の二 公務傷病年金は、地方公務員災害補償法第六十九条の規定に基づく条例で定めるところにより同法の規定による障害補償年金に相当する補償(以下この条において「障害補償年金」という。)が行なわれることとなつたときは、当該補償が行なわれる間、当該公務傷病年金の額のうち前条第二項の規定により加算された金額に相当する金額(当該金額が障害補償年金の額をこえるときは、障害補償年金の額に相当する金額)の支給を停止する。

  第百六十三条の二を第百六十三条の三とし、第百六十三条の次に次の一条を加える。

 (公務による遺族年金と遺族補償年金との調整)

 第百六十三条の二 前条第二項第四号の規定による遺族年金は、地方公務員災害補償法第六十九条の規定に基づく条例で定めるところにより同法の規定による遺族補償年金に相当する補償が行なわれることとなつたときは、当該補償が行なわれる間、当該遺族年金の額のうち、その百七十分の七十に相当する金額の支給を停止する。

  第百七十四条第一項中第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。

  五 地方公務員災害補償法第三条に規定する地方公務員災害補償基金

  第二百二条の表第八十六条第二項の項中

療養補償若しくはこれに相当する補償

療養補償

打切補償若しくはこれに相当する補償

打切補償

 を

地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)の規定による療養補償又はこれに相当する補償を退職の際に受けている者にあつては、「公務傷病がなおつた時」

労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十五条の規定による療養補償又は労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による療養補償給付を退職の際に受けている者にあつては、「業務傷病がなおつた時又は労働基準法第八十一条の規定による打切補償を受けた時」

 に改め、同表第九十一条の項中

障害補償若しくはこれに相当する補償

障害補償

 を

地方公務員災害補償法の規定による障害補償年金又はこれに相当する補償が支給されることとなつたときは、これらが支給される間

労働基準法第七十七条の規定による障害補償が行なわれることとなつたときは六年間、労働者災害補償保険法の規定による障害補償年金が支給され、又は長期傷病補償給付が行なわれることとなつたときはこれらの保険給付が行なわれる間

 に改め、同表第九十七条の項中

遺族補償若しくはこれに相当する補償

遺族補償

 を

地方公務員災害補償法の規定による遺族補償年金又はこれに相当する補償が支給されることとなつたときは、これらが支給される間

労働基準法第七十九条の規定による遺族補償が行なわれることとなつたときは六年間、労働者災害補償保険法の規定による遺族補償年金が支給されることとなつたときはその保険給付が行なわれる間

 に改める。


 (地方公務員等共済組合法の一部改正に伴う経過措置)

第二十条 労働其準法第七十七条の規定による障害補償若しくはこれに相当する補償が行なわれ、又は労働者災害補償保険法の規定による障害補償年金が支給され、若しくは長期傷病補償給付が行なわれる事由が生じたことにより、この法律の施行の際現に前条の規定による改正前の地方公務員等共済組合法(以下この条において「改正前の地方公務員等共済組合法」という。)第九十一条の規定によりその一部の支給が停止されている公務による廃疾年金の支給については、なお従前の例による。労働基準法第七十九条の規定による遺族補償若しくはこれに相当する補償が行なわれ、又は労働者災害補償保険法の規定による遺族補償年金が支給される事由が生じたことにより、この法律の施行の際現に改正前の地方公務員等共済組合法第九十七条の規定によりその一部の支給が停止されている同法第九十三条第一項第一号の規定による遺族年金の支給についても、同様とする。

2 この法律の施行前の公務による負傷又は疾病によりこの法律の施行後に廃疾となり又は死亡した場合における公務による廃疾年金又は遺族年金の支給については、改正前の地方公務員等共済組合法第九十一条又は第九十七条の規定は、なおその効力を有する。


 (船員保険法の一部改正)

第二十一条 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。

  第四十五条第二項中「場合ヲ含ム)」の下に「、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)若ハ同法ニ基ク条例」を加える。


 (厚生年金保険法の一部改正)

第二十二条 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。

  第五十六条第三号中「場合を含む。)」の下に「、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)若しくは同法に基づく条例」を加える。


 (国民健康保険法の一部改正)

第二十三条 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の一部を次のように改正する。

  第五十六条第一項中「療養補償その他」を「療養補償、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)若しくは同法に基づく条例の規定による療養補償その他」に改める。


 (国民年金法の一部改正)

第二十四条 国民年金法の一部を次のように改正する。

  第六十五条第一項第一号中「場合を含む。)」の下に「並びに地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)及び同法に基づく条例」を加える。


 (児童扶養手当法の一部改正)

第二十五条 児童扶養手当法の一部を次のように改正する。

  第三条第二項に次の一号を加える。

  十八 地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)及び同法に基づく条例の規定に基づく年金たる補償


 (特別児童扶養手当法の一部改正)

第二十六条 特別児童扶養手当法の一部を次のように改正する。

  第三条第二項に次の一号を加える。

  十九 地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)及び同法に基づく条例の規定に基づく年金たる補償


 (所得税法の一部改正)

第二十七条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の表中地方公務員共済組合の項の次に次のように加える。

地方公務員災害補償基金

地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)


 (法人税法の一部改正)

第二十八条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第二第一号の表中地方公務員共済組合の項の次に次のように加える。

地方公務員災害補償基金

地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)


 (印紙税法の一部改正)

第二十九条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第二中全国農業会議所の項の次に次のように加える。

地方公務員災害補償基金

地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)


 (登録免許税法の一部改正)

第三十条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  別表第三中十八の項の次に次のように加える。

十八の二 地方公務員災害補償基金

地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)

事務所用建物の所有権の取得登記又は当該建物の敷地の用に供する土地の権利の取得登記

第三欄の登記に該当するものであることを証する大蔵省令で定める書類の添附があるものに限る。


 (地方税法の一部改正)

第三十一条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の五第一項第四号中「地方団体関係団体共済組合」の下に「、地方公務員災害補償基金」を加える。

  第二百六十二条第六号中「以下同じ。)」の下に「、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)若しくは同法に基づく条例」を加え、「及び船員法」を「又は船員法」に改める。

  第六百七十二条第六号中「国家公務員災害補償法」の下に「、地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例」を加え、「及び船員法」を「又は船員法」に改める。


 (自治省設置法の一部改正)

第三十二条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第十五号の二の次に次の一号を加える。

  十五の三 地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)の施行に関する事務を行なうこと。

  第十条第七号の次に次の一号を加える。

  七の二 地方公務員災害補償法の施行に関すること。

 

別表

等級

日数

身体障害

第一級

二四〇

一 両眼が失明したもの

二 咀嚼及び言語の機能を廃したもの

三 精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

四 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

五 半身不随となつたもの

六 両上肢をひじ関節以上で失つたもの

七 両上肢の用を全廃したもの

八 両下肢をひざ関節以上で失つたもの

九 両下肢の用を全廃したもの

第二級

二一三

一 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの

二 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの

三 両上肢を腕関節以上で失つたもの

四 両下肢を足関節以上で失つたもの

第三級

一八八

一 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの

二 咀嚼又は言語の機能を廃したもの

三 精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

四 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

五 両手の手指の全部を失つたもの

第四級

一六四

一 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの

二 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

三 鼓膜の全部の欠損その他により両耳の聴力を全く失つたもの

四 一上肢をひじ関節以上で失つたもの

五 一下肢をひざ関節以上で失つたもの

六 両手の手指の全部の用を廃したもの

七 両足をリスフラン関節以上で失つたもの

第五級

一四二

一 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの

二 一上肢を腕関節以上で失つたもの

三 一下肢を足関節以上で失つたもの

四 一上肢の用を全廃したもの

五 一下肢の用を全廃したもの

六 両足の足指の全部を失つたもの

 

第六級

一二〇

一 両眼の視力が〇・一以下になつたもの

二 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの

三 鼓膜の大部分の欠損その他により両耳の聴力が耳 殻に接しなければ大声を解することができないもの

四 脊柱に著しい奇形又は運動障害を残すもの

五 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

六 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

七 一手の五の手指又は母指及び示指を含み四の手指を失つたもの

第七級

一〇〇

一 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になったもの

二 鼓膜の中等度の欠損その他により両耳の聴力が四十センチメートル以上では普通の話声を解することができないもの

三 精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

四 神経系統の機能に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

五 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

六 一手の母指及び示指を失つたもの又は母指若しくは示指を含み三以上の手指を失つたもの

七 一手の五の手指又は母指及び示指を含み四の手指の用を廃したもの

八 一足をリスフラン関節以上で失つたもの

九 一上肢に仮関節を残し、著しい運動障害を残すもの

一〇 一下肢に仮関節を残し、著しい運動障害を残すもの

一一 両足の足指の全部の用を廃したもの

一二 女子の外貌に著しい醜状を残すもの

一三 両側の睾丸を失つたもの

第八級

四五〇

一 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの

二 脊柱に運動障害を残すもの

三 一手の母指を含み二の手指を失つたもの

四 一手の母指及び示指又は母指若しくは示指を含み三以上の手指の用を廃したもの

五 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの

六 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

七 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

八 一上肢に仮関節を残すもの

九 一下肢に仮関節を残すもの

一〇 一足の足指の全部を失つたもの

一一 脾臓又は一側の腎臓を失つたも

第九級

三五〇

一 両眼の視力が〇・六以下になつたもの

二 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの

三 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

四 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

五 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

六 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

七 鼓膜の全部の欠損その他により一耳の聴力を全く失つたもの

八 一手の母指を失つたもの、示指を含み二の手指を失つたもの又は母指及び示指以外の三の手指を失つたもの

九 一手の母指を含み二の手指の用を廃したもの

一〇 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの

一一 一足の足指の全部の用を廃したもの

一二 生殖器に著しい障害を残すもの

第一〇級

二七〇

一 一眼の視力が〇・一以下になつたもの

二 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

三 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

四 鼓膜の大部分の欠損その他により一耳の聴力が耳 殻に接しなければ大声を解することができないもの

五 一手の示指を失つたもの又は母指及び示指以外の二の手指を失つたもの

六 一手の母指の用を廃したもの、示指を含み二の手指の用を廃したもの又は母指及び示指以外の三の手指の用を廃したもの

七 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの

八 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの

九 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

一〇 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

第一一級

二〇〇

一 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

二 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

三 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

四 鼓膜の中等度の欠損その他により一耳の聴力が四十センチメートル以上では普通の話声を解することができないもの

五 脊柱に奇形を残すもの

六 一手の中指又は薬指を失つたもの

七 一手の示指の用を廃したもの又は母指及び示指以外の二の手指の用を廃したもの

八 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの

九 胸腹部臓器に障害を残すもの

第一二級

一四〇

一 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

二 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

三 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

四 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの

五 鎖骨、胸骨、肋骨、肩胛骨又は骨盤骨に著しい奇形を残すもの

六 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

七 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

八 長管骨に奇形を残すもの

九 一手の中指又は薬指の用を廃したもの

一〇 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの

一一 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの

一二 局部に頑固な神経症状を残すもの

一三 男子の外貌に著しい醜状を残すもの

十四 女子の外貌に醜状を残すもの

第一三級

九〇

一 一眼の視力が〇・六以下になつたもの

二 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

三 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

四 一手の小指を失つたもの

五 一手の母指の指骨の一部を失つたもの

六 一手の示指の指骨の一部を失つたもの

七 一手の示指の末関節を屈伸することができなくなつたもの

八 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの

九 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの

一〇 一足の第二の足指を用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの

第一四級

五〇

一 一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの

二 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

三 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

四 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

五 一手の小指の用を廃したもの

六 一手の母指及び示指以外の手指の指骨の一部を失つたもの

七 一手の母指及び示指以外の手指の末関節を屈伸することができなくなつたもの

八 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの

九 局部に神経症状を残すもの

一〇 男子の外貌に醜状を残すもの

備考

 一 視力の測定は、万国式試視力表による。屈折異状のあるものについては、矯正視力について測定する。

 二 手指を失つたものとは、母指は指関節、その他の手指は第一指関節以上を失つたものをいう。

 三 手指の用を廃したものとは、手指の末節の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは第一指関節(母指にあつては指関節)に著しい運動障害を残すものをいう。

 四 足指を失つたものとは、その全部を失つたものをいう。

 五 足指の用を廃したものとは、第一の足指は末節の半分以上、その他の足指は末関節以上を失つたもの又は中足指節関節若しくは第一指関節(第一の足指にあつては指関節)に著しい運動障害を残すものをいう。

 六 各等級の身体障害に該当しない身体の障害であつて、各等級の身体障害に相当するものは、当該等級の身体障害とする。

(自治・内閣総理大臣署名) 

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