所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約の実施に伴う所得税法及び法人税法の特例等に関する法律

法律第百二十八号(昭四二・八・二)

 (趣旨)

第一条 この法律は、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約(以下「条約」という。)を実施するため、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)及び法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の特例その他必要な事項を定めるものとする。

 (配当、利子又は使用料に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例)

第二条 ブラジルの居住者(所得税法第二条第一項第五号に規定する非居住者又は同項第七号に規定する外国法人(同項第八号に規定する人格のない社団等を含む。)で、ブラジル合衆国の条約第三条第一項に規定する居住者であるものをいう。以下同じ。)が支払を受ける条約第九条第一項に規定する配当で同条第二項第二文の規定に該当するもの、条約第十条第一項に規定する利子で同条第二項(a)から(d)までの規定に該当するもの及び条約第十一条第一項に規定する使用料のうち、同法の施行地にその源泉があるもの(その者の同法の施行地にある条約第四条に規定する恒久的施設に帰せられるものを除く。以下「配当等」という。)に対する同法第百七十条、第百七十九条又は第二百十三条第一項の規定の適用については、これらの規定中「百分の二十」とあるのは、「百分の十」とする。

2 前項の規定は、配当等に対し所得税を課さず、又は配当等に対する所得税額をその支払を受けるべき金額の百分の十に相当する金額以下とする他の法律の規定の適用を妨げない。

 (配当、利子又は使用料に対する申告納税に係る所得税等の軽減)

第三条 所得税法第百六十四条第一項第一号に掲げる非居住者又は法人税法第百四十一条第一号に掲げる外国法人に該当するブラジルの居住者が配当等に係る所得を有する場合において、その者の所得税額又は法人税額のうち当該所得に対応する部分の金額が、当該配当等の合計金額の百分の十に相当する金額をこえるときは、その者の所得税額又は法人税額につき、そのこえる金額に相当する税額を軽減する。。

2 前項に規定する所得税額又は法人税額のうち同項に規定する所得に対応する部分の金額は、当該所得の生じた年分又は事業年度分につき、同項の規定の適用がないものとして計算した場合における所得税額又は法人税額に相当する金額から、当該所得が生じなかつたものとして計算した場合における所得税額又は法人税額に相当する金額を控除して得た金額とする。

 (双方居住者の取扱い)

第四条 所得税法第二条第一項第三号に規定する居住者で条約第三条第二項の規定により条約の適用上ブラジル合衆国の居住者とみなされるものは、同法第二条第一項第五号に規定する非居住者とみなして、同法(第十五条及び第十六条を除く。)及びこの法律の規定を適用する。

 (双方居住者の取扱い等で地方税に係るものに関する手続)

第五条 大蔵大臣は、条約第七条第二項の規定の適用がある者に係る条約第三条第二項の合意をする場合又は地方公共団体が課する租税に関し条約第二十五条第二項の合意をする場合には、あらかじめ自治大臣に協議し、その結果に基づいて、これをするものとする。

2 自治大臣は、前項の規定により大蔵大臣から協議を受けた場合には、必要に応じ、関係地方公共団体の意見をきかなければならない。


 (実施規定)

第六条 第二条から前条までに定めるもののほか、条約の実施及びこの法律の適用に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。


   附 則

1 この法律は、条約の効力発生の日から施行する。

2 第二条の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の属する年の翌年の一月一日以後に支払を受けるべき配当等について適用する。

3 第三条の規定は、施行日の属する年の翌年の一月一日(同条第一項に規定する者が法人である場合には、当該法人の同日以後最初に開始する事業年度の開始の日)以後に支払を受けるべき同条第一項に規定する所得について適用する。

(大蔵・自治・内閣総理大臣署名)

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