昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融通等に関する特別措置法

法律第百九十三号(昭三四・一二・一〇)

 (目的)

第一条 この法律は、昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者について、その事業の再建に必要な資金(以下「再建資金」という。)の融通を円滑にする等のため、商工組合中央金庫の貸付利率の引下げのための措置並びに中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)及び中小企業振興資金助成法(昭和三十一年法律第百十五号)の特例を定めることにより、その事業の再建を促進し、経営の安定を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、「被害中小企業者」とは、次に掲げる者をいう。

 一 政令で定める地域内に事業所を有し、かつ、前条の災害を受けた中小企業者及び中小企業等協同組合その他の主として中小規模の事業者を直接又は間接の構成員とする団体(以下「中小企業者団体」という。)

 二 中小企業者団体であつて、その直接又は間接の構成員のうちに前号に掲げる者を含むもの

 (商工組合中央金庫に対する利子補給)

第三条 政府は、商工組合中央金庫が被害中小企業者で政令で定めるもの(以下「指定被害中小企業者」という。)に対して再建資金の貸付を行うときは、政令で定めるところにより、当該貸付につき貸付後三年間を限り利子補給金を支給する旨の契約を商工組合中央金庫と結ぶことができる。

 (利子補給の対象となる貸付)

第四条 前条の契約による利子補給金の支給の対象となる貸付は、商工組合中央金庫が指定被害中小企業者に対して昭和三十五年三月三十一日(再建資金の融通に関し特に必要がある場合において、政令で同日後の日を指定したときは、その日。以下同じ。)までに行う再建資金の貸付であつて、その全部又は一部の利率が年六分五厘であるものとし、その利子補給金の支給の対象となる金額は、指定被害中小企業者ごとに、その利率によつて貸し付けた額(その額が次の各号に規定する貸付の区分に応じ当該各号に掲げる金額をこえるときは、当該金額)以内の額とする。

 一 被害中小企業者(中小企業者団体を除く。)に対する貸付については、百万円(その被害中小企業者の直接又は間接に所属する中小企業者団体が当該被害中小企業者に対し転貸する再建資金の貸付を受けている場合において、その転貸する額のうちに利子補給金の支給の対象となる額があるときは、その対象となる額を控除した金額)

 二 中小企業者団体に対する貸付(次号の貸付を除く。)については、三百万円

 三 中小企業者団体に対する再建資金であつて、その直接又は間接の構成員たる指定被害中小企業者(以下この条において「被害構成員」という。)に転貸されるもの (以下次項において「転貸資金」という。)の貸付については、それぞれの被害構成員に転貸する金額のうち百万円(その被害構成員が再建資金の貸付を受けている場合において、そのうちに利子補給金の支給の対象となる額があるとき、又はその直接若しくは間接に所属する他の中小企業者団体が当該被害構成員に対し転貸する再建資金の貸付を受けている場合において、その転貸する額のうちに利子補給金の支給の対象となる額があるときは、その対象となる額を控除した金額)までの額に相当する金額の合計額

2 転貸資金の貸付を受ける中小企業者団体がその転貸資金を被害構成員に転貸する場合において、その利率が年六分五厘をこえるときは、そのこえる率により転貸した金額は、前項の利子補給金の支給の対象となる金額には含まれないものとする。

3 政府が前条の契約による利子補給金の支給の対象とすることができる金額の総額は、二十五億円を限度とする。

 (利子補給金の支給額)

第五条 第三条の契約により政府が支給する利子補給金の額は、商工組合中央金庫が貸し付けた再建資金の額のうち利子補給金の支給の対象となる金額につき前条第一項に規定する利率により計算した利子の額と、当該利子補給金の支給の対象となる金額につき商工組合中央金庫がその貸付と同種類の貸付を行う場合における通常の利率により計算した利子の額との差額に相当する金額とする。


 (融資保険の特例)

第六条 中小企業信用保険法(以下「法」という。)第三条第一項の保険関係であつて、昭和三十五年三月三十一日までに再建資金の貸付(同項に規定する給付を含む。)を受けた被害中小企業者に係るものについての法第四条第二項の規定の適用については、同項中「合計七百万円」とあるのは、「昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融通等に関する特別措置法(以下「特別措置法」という。)第一条に規定する再建資金の貸付に係る保険関係及びその他の保険関係ごとに、それぞれ合計七百万円」とする。


 (普通保証保険の特例)

第七条 法第九条の二第一項の保険関係であつて、災害関係保証(昭和三十五年三月三十一日までに行われた被害中小企業者の再建資金に係る同項に規定する債務の保証をいう。以下同じ。)に係るものについての同条第二項及び法第九条の四の規定の適用については、これらの規定中「百分の七十」とあるのは、「百分の八十」とする。

2 法第九条の二第一項の保険関係であつて、災害関係保証を受けた被害中小企業者に係るものについての法第九条の三第一項ただし書及び第二項の規定の適用については、同条第一項ただし書中「債務の保証につき」とあるのは「債務の保証につき、特別措置法第七条第一項に規定する災害関係保証(以下「災害関係保証」という。)及びその他の保証ごとに、」と、同条第二項中「合計七百万円」とあるのは「特別措置法第一条に規定する再建資金の貸付に係る保険関係及びその他の保険関係ごとに、それぞれ合計七百万円」とする。


 (包括保証保険の特例)

第八条 法第九条の六第一項の保険関係であつて、災害関係保証を受けた被害中小企業者に係るものについての同条第一項、第五項及び第六項の規定の適用については、同条第一項中「保険価額の合計額が」とあり、及び「その合計額が」とあるのはそれぞれ「災害関係保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第五項中「債務の保証をしたときは」とあるのは「債務の保証をしたときは、災害関係保証及びその他の保証ごとに」と、同条第六項中「当該保証をした」とあるのは「災害関係保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」とする。

2 法第九条の六第一項の保険関係であつて、災害関係保証に係るものについての同条第二項及び法第九条の七において準用する法第九条の四の規定の適用については、これらの規定中「百分の七十」とあるのは、「百分の八十」とする。


 (保証保険の保険料の特例)

第九条 災害関係保証に係る前二条の保険関係についての保険料の額は、法第九条の五第一項及び法第九条の七において準用する法第五条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。


 (中小企業振興資金助成法による貸付金の償還期間の特例)

第十条 都道府県は、中小企業振興資金助成法第三条第一項に規定する貸付に係る貸付金であつて、指定被害中小企業者が第一条の災害を受ける以前に貸付を受けたものについては、同法第五条の規定にかかわらず、その償還期間を二年をこえない範囲内で延長することができる。


   附 則

 この法律は、公布の日から施行し、第六条から第九条までの規定は、昭和三十四年八月十四日から適用する。

(大蔵・通商産業・内閣総理大臣署名) 

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