警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律

法律第二百四十五号(昭二七・七・二九)

 (目的)

第一条 この法律は、警察官等に協力援助した者の災害(負傷、疾病、廃疾又は死亡をいう。以下同じ。)につき、療養その他の給付を行うことを目的とする。

 (国、地方公共団体の責任)

第二条 職務執行中の国家地方警察の警察官又は市町村警察(特別区が連合して維持する警察を含む。以下同じ。)の警察吏員がその職務執行上の必要により援助を求めた場合その他これに協力援助することが相当と認められる場合に、職務によらないで当該警察官又は警察吏員の職務遂行に協力援助した者(以下「協力援助者」という。)が、そのため災害を受けた場合には、国又は地方公共団体は、この法律の定めるところにより、給付の責に任ずる。

 (給付を行う者)

第三条 給付の原因である災害が、国家地方警察の警察官に協力援助したことに起因するものについては国が、市町村警察の警察吏員に協力援助したことに起因するものについては当該地方公共団体がその給付を行うものとする。

2 給付の原因である災害が、警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)第五十五条の規定により、都道府県公安委員会からの要求に基き援助におもむいた市町村警察の警察吏員に協力援助したことに起因するものについては、国がその給付を行うものとする。

3 給付の原因である災害が、警察法第六十三条又は第六十四条の規定により職務を行つた市町村警察の警察吏員に協力援助したことに起因するものについては、国がその給付を行うものとする。

4 給付の原因である災害が、警察法第五十五条の規定により、市町村公安委員会からの要求に基き援助におもむいた市町村警察の警察吏員に協力援助したことに起因するものについては、当該警察吏員の援助を要求したその公安委員会の属する地方公共団体がその給付を行うものとする。

 (実施機関)

第四条 前二条の規定に基き国が行う給付についての実施機関は、国家地方警察本部とする。

2 前二条の規定に基き地方公共団体が行う給付についての実施機関は、当該地方公共団体が条例で定める。

 (給付の種類)

第五条 この法律により行う給付の種類は、左に掲げるものとする。

 一 療養給付(協力援助者が負傷し又は疾病にかかつた場合における必要な療養又は当該療養に要する費用の給付)

 二 障害給付(協力援助者が負傷し又は疾病にかかりなおつた場合においてなお存する身体障害に対する給付)

 三 遺族給付(協力援助者が死亡した場合におけるその遺族に対する給付)

 四 葬祭給付(協力援助者が死亡した場合における葬祭を行う者に対する給付)

 五 打切給付(協力援助者が療養給付開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合における給付)

2 前項に掲げる給付の外、協力援助者が負傷し、又は疾病にかかり、そのため従前得ていた業務上の収入を得ることができない場合において、他に収入のみちがない等特に必要があるときは、休業給付を行うことができる。

 (給付の範囲、金額、支給方法等)

第六条 前条の給付の範囲、金額、支給方法その他給付に関し必要な事項は、国が行う給付については、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の規定を参しやくして政令で定める。

2 前条の給付の範囲、金額、支給方法その他給付に関し必要な事項は、地方公共団体が行う給付については、前項の規定に基く政令の規定に準じて、当該地方公共団体が条例で定める。

 (損害賠償の免責)

第七条 国又は地方公共団体は、この法律による給付を行つた場合においては、同一の事由については、その価額の限度において、国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)又は民法(明治二十九年法律第八十九号)による損害賠償の責を免かれる。

 (給付の免責及び求償権)

第八条 この法律による給付を受けるべき者がこの法律以外の法令(条例を含む。)による療養その他の給付又は補償を受けたときは、国又は地方公共団体は、同一の事由については、その給付又は補償の限度において、この法律による給付の責を免かれる。

2 給付の原因である災害が第三者の行為に因つて生じた場合において、給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由につき損害賠償を受けたときは、国又は地方公共団体は、その価額の限度において、この法律による給付の責を免かれる。

3 国又は地方公共団体は、給付の原因である災害が第三者の行為に因つて生じた場合においてこの法律による給付を行つたときは、その価額の限度において、給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

 (時効)

第九条 この法律による給付を受ける権利は、二年間行わないときは、時効により消滅する。

 (給付を受ける権利の保護)

第十条 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

 (非課税等)

第十一条 この法律により支給を受けた金品を標準として、租税その他の公課を課してはならない。

第十二条 この法律による給付に関する書類には、印紙税を課さない。

 (無料証明)

第十三条 実施機関の長又は給付を受けようとする者は、協力援助者の戸籍に関して、戸籍事務をつかさどる者又はその代理者に対して無料で証明を請求することができる。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。

(内閣総理大臣署名) 

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