宅地建物取引業法

法律第百七十六号(昭二七・六・一〇)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 登録(第三条―第十二条)

 第三章 業務(第十三条―第二十条)

 第四章 雑則(第二十一条―第二十三条)

 第五章 罰則(第二十四条―第二十八条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、宅地建物取引業を営む者の登録を実施し、その事業に対し必要な取締を行い、もつてその業務の適正な運営を図ることにより、宅地及び建物の利用を促進することを目的とする。

 (用語の定義)

第二条 この法律において左の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。

 一 宅地 建物の敷地に供せられる土地をいう。

 二 宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。

 三 依頼者 宅地建物取引業を営む者に対し、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介を依頼する者をいう。

   第二章 登録

 (登録)

第三条 宅地建物取引業を営もうとする者は、この法律の定めるところにより、登録を受けなければならない。

2 前項の登録は、二年間有効とする。

3 第一項の登録の有効期間満了の後引き続き宅地建物取引業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならない。

 (登録の申請)

第四条 前条第一項又は第三項の登録を受けようとする者(以下「登録申請者」という。)は、建設省令の定めるところにより、左に掲げる事項を記載した登録申請書を主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。

 一 商号又は名称

 二 個人である場合においては、その者の氏名

 三 法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)の氏名

 四 事務所の所在地

2 前項の登録申請書には、建設省令の定めるところにより、左に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 宅地建物取引業経歴書(前条第三項の規定により更新の登録を受けようとする者にあつては、直前一年の各事業年度における事業実績の概要を記載した書面)

 二 登録申請者が第六条第一項各号に該当しない者であることを誓約する書面

 三 登録申請者が第六条第二項各号の一に該当する者であるときはその旨を記載し、該当しない者であるときはその旨を誓約する書面

 四 前各号に掲げるものの外、登録申請者(法人である場合においては、その役員)の略歴その他建設省令で定める事項を記載した書面

3 登録申請者は、条例の定めるところにより、三千円以下の登録手数料を都道府県に納めなければならない。

 (登録の実施)

第五条 都道府県知事は、前条の規定による登録の申請があつた場合においては、第六条の規定により登録を拒否する場合を除く外、遅滞なく、前条第一項各号に掲げる事項並びに登録年月日及び登録番号を宅地建物取引業者登録簿(以下「登録簿」という。)に登録しなければならない。

2 都道府県知事は、前項の規定による登録をした場合においては、直ちに、当該登録申請者にその旨を通知しなければならない。

 (登録の拒否)

第六条 都道府県知事は、登録申請者が左の各号の一に該当するとき、又は登録申請書若しくはその添附書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、登録申請者につき事実を調査した後、その登録を拒否しなければならない。

 一 破産者で復権を得ない者

 二 第二十条第一項第一号又は第二項第三号から第五号までの規定により登録が取り消され、その取消の日から二年を経過しない者(法人である場合においては、取消の日において役員であつた者を含む。)

 三 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者でその法定代理人が第一号又は前号に該当する者

 四 法人でその役員のうちに第一号又は第二号に該当する者のあるもの

2 都道府県知事は、登録申請者が左の各号の一に該当するときは、その登録を拒否することができる。

 一 禁こ以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられた者でその刑の執行を終り、又は刑の執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者

 二 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者でその法定代理人が前号に該当する者

 三 法人でその役員のうちに第一号に該当する者のあるもの

3 都道府県知事は、前二項の規定により登録を拒否した場合においては、遅滞なく、その理由を記載した文書をもつて、その旨を当該登録申請者に通知しなければならない。

 (登録簿等の写の送付)

第七条 都道府県知事は、第五条第一項(第八条第二項において準用する場合を含む。)の規定により登録をした場合において、当該登録を受けた者が他の都道府県の区域内に事務所を有するときは、遅滞なく、登録簿のその者に係る部分及び第四条第二項に規定する書類の写を当該他の都道府県の知事に送付しなければならない。

 (変更の届出)

第八条 第五条第一項の規定による登録を受けて宅地建物取引業を営む者(以下「宅地建物取引業者」という。)は、第四条第一項各号に掲げる事項について変更があつたときは、二週間以内に、その旨を主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。

2 第五条第一項の規定は、前項の規定による変更の届出があつた場合に準用する。 

 (廃業等の届出)

第九条 宅地建物取引業者が左の各号の一に該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、三十日以内に、その旨を主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。

 一 宅地建物取引業を廃止したときは、宅地建物取引業者であつた者

 二 宅地建物取引業者が死亡したときは、その相続人

 三 宅地建物取引業者が破産したときは、その破産管財人

 四 法人が合併により解散したときは、その役員であつた者

 五 法人が破産又は合併以外の事由により解散したときは、その清算人

 (登録のまつ消)

第十条 都道府県知事は、左の各号に掲げる場合においては、登録簿につき、当該宅地建物取引業者の登録をまつ消しなければならない。

 一 前条の規定による届出があつたとき。

 二 登録の有効期間満了の際、更新の登録の申請がなかつたとき。

2 都道府県知事は、前項の規定により登録をまつ消した場合において、当該登録のまつ消を受けた者が他の都道府県の区域内に事務所を有していたときは、遅滞なく、その旨を当該他の都道府県の知事に通知しなければならない。

 (登録簿等の閲覧)

第十一条 宅地建物取引業者の各事務所の所在地を管轄する都道府県知事は、その者に係る登録簿及び第四条第二項に規定する書類又はこれらの写を一般の閲覧に供しなければならない。

 (無登録事業の禁止)

第十二条 第五条第一項の規定による登録を受けない者は、宅地建物取引業を営んではならない。

   第三章 業務

 (業務処理の原則)

第十三条 宅地建物取引業者は、依頼者その他取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない。

 (不当な履行遅延の禁止)

第十四条 宅地建物取引業者は、その業務に関してなすべき宅地若しくは建物の登記若しくは引渡又は取引に係る対価の支払を不当に遅延する行為をしてはならない。

 (契約書の送付)

第十五条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、依頼者から委託を受けて契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約書を依頼者に送付しなければならない。

 (秘密を守る義務)

第十六条 宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業を営まなくなつた後であつても、また同様とする。

 (報酬)

第十七条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、都道府県知事の定めるところによる

2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。

 (業務に関する禁止事項)

第十八条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方又は依頼者に対し、左の各号に掲げる行為をしてはならない。

 一 重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為

 二 不当に高額の報酬を要求する行為

 (標識の掲示)

第十九条 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見易い場所に、建設省令で定める標識を掲げなければならない。

 (業務の停止と登録の取消)

第二十条 都道府県知事は、宅地建物取引業者が左の各号の一に該当する場合においては、当該宅地建物取引業者の登録を取り消さなければならない。

 一 不正の手段によつて第五条第一項の規定による登録を受けたとき。

 二 第六条第一項第一号、第三号又は第四号に該当するに至つたとき。

 三 第九条の規定による届出がなくて同条各号の一に該当する事実が判明したとき。

2 都道府県知事は、宅地建物取引業者が左の各号の一に該当する場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、六箇月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又はその登録を取り消すことができる。

 一 第六条第二項各号の一に該当するに至つたとき。

 二 第八条第一項の届出を怠つたとき。

 三 第十四条から第十六条まで、第十七条第二項、第十八条又は前条の規定に違反したとき。

 四 この法律の規定に基く都道府県知事の処分に違反したとき。

 五 その他業務に関して著しく不当な行為をしたとき。

3 都道府県知事は、前二項の規定により、登録を取り消し、又は業務の停止を命じようとする場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、あらかじめ、その旨を通知し、その者(法人である場合においては、その役員。以下この条において同じ。)又はその代理人の出頭を求め、都道府県知事の指定する職員に聴聞させなければならない。但し、その者又はその代理人が正当な事由がなくて聴聞に応じないときは、聴聞を行わないで当該処分をすることができる。

4 都道府県知事は、第一項又は第二項の規定により宅地建物取引業者の登録を取り消した場合においては、直ちに、その登録をまつ消するとともに、その旨を登録を取り消された者に通知しなければならない。

5 第十条第二項の規定は、前項の規定により登録をまつ消した場合に準用する。

   第四章 雑則

 (報告及び立入検査)

第二十一条 都道府県知事は、宅地建物取引業の適正な運営を期するため必要があると認めるときは、その業務について必要な報告を求め、又は当該職員をして宅地建物取引業を営む者の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる。

2 当該職員は、前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (訴願)

第二十二条 この法律に規定した事項につき都道府県知事のした処分に不服のある者は、建設大臣に訴願することができる。

 (適用の除外)

第二十三条 この法律は、国及び地方公共団体並びに信託会社及び信託業務を兼営する銀行には、適用しない。

   第五章 罰則

第二十四条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 不正の手段によつて第五条第一項の規定による登録を受けた者

 二 第十二条の規定に違反した者

 三 第二十条第二項の規定による業務の停止の命令に違反して業務を営んだ者

第二十五条 第十八条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第二十六条 第十四条又は第十七条第二項の規定に違反した者は、五万円以下の罰金に処する。

第二十七条 左の各号の一に該当する者は、二万円以下の罰金に処する。

 一 第八条第一項の規定による変更の届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二 第九条、第十五条又は第十九条の規定に違反した者

 三 第十六条の規定に違反した者

 四 第二十一条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 五 第二十一条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

2 前項第三号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第二十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前四条(前条第一項第三号を除く。)の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して九十日をこえない期間内において、政令で定める。

 (この法律施行の際宅地建物取引業を営んでいる者)

2 この法律施行の際、現に宅地建物取引業を営んでいる者は、第五条第一項の規定による登録を受けないでも、その施行の日から起算して六十日間を限り、宅地建物取引業者とみなす。その者がその期間内に第四条の規定により登録を申請した場合において、その期間を経過したときは、その申請に対する処分のある日まで、また同様とする。

 (建設省設置法の一部改正)

3 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第十八号の次に次の一号を加える。

  十八の二 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)の施行に関する事務を管理すること。

  第四条第九項中「前条第十八号、第十九号」を「前条第十八号から第十九号まで」に改める。

(建設・内閣総理大臣署名) 

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