気象業務法
法律第百六十五号(昭二七・六・二)
目次
第一章 総則(第一条―第三条)
第二章 観測(第四条―第十二条)
第三章 予報及び警報(第十三条―第二十四条)
第四章 無線通信による資料の発表(第二十五条・第二十六条)
第五章 検定(第二十七条―第三十四条)
第六章 雑則(第三十五条―第四十三条)
第七章 罰則(第四十四条―第四十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、気象業務に関する基本的制度を定めることによつて、気象業務の健全な発達を図り、もつて災害の予防、交通の安全の確保、産業の興隆等公共の福祉の増進に寄与するとともに、気象業務に関する国際的協力を行うことを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「気象」とは、大気(電離層を除く。)の諸現象をいう。
2 この法律において「地象」とは、地震及び火山現象並びに気象に密接に関連する地面及び地中の諸現象をいう。
3 この法律において「水象」とは、気象又は地震に密接に関連する陸水及び海洋の諸現象をいう。
4 この法律において「気象業務」とは、左に掲げる業務をいう。
一 気象、地象、地動及び水象の観測並びにその成果の収集及び発表
二 気象、地象(地震及び火山現象を除く。)及び水象の予報及び警報
三 気象、地象及び水象に関する情報の収集及び発表
四 地球磁気及び地球電気の常時観測並びにその成果の収集及び発表
五 前各号の事項に関する統計の作成及び調査並びに統計及び調査の成果の発表
六 前各号の業務を行うに必要な研究
七 前各号の業務を行うに必要な附帯業務
5 この法律において「観測」とは、自然科学的方法による現象の観察及び測定をいう。
6 この法律において「予報」とは、観測の成果に基く現象の予想の発表をいう。
7 この法律において「警報」とは、重大な災害の起るおそれのある旨を警告して行う予報をいう。
8 この法律において「気象測器」とは、気象、地象及び水象の観測に用いる器具、器械及び装置をいう。
(運輸大臣の任務)
第三条 運輸大臣は、第一条の目的を達成するため、左に掲げる事項を行うように努めなければならない。
一 気象及び地震に関する観測網を確立し、及び維持すること。
二 気象、津波及び高潮の予報及び警報の中枢組織を確立し、及び維持すること。
三 気象の観測、予報及び警報に関する情報を迅速に交換する組織を確立し、及び維持すること。
四 地震の観測の成果を迅速に交換する組織を確立し、及び維持すること。
五 気象の観測の方法及びその成果の発表の方法について統一を図ること。
六 気象の観測の成果、気象の予報及び警報並びに気象に関する調査及び研究の成果の産業、交通その他の社会活動に対する利用を促進すること。
第二章 観測
(中央気象台の行う観測の方法)
第四条 中央気象台は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象の観測を行う場合には、政令で定める方法に従つてするものとする。
(観測等の委託)
第五条 運輸大臣は、必要があると認めるときは、政府機関(公共企業体を含む。以下同じ。)、地方公共団体、会社その他の団体又は個人に、気象、地象、地動及び水象の観測又は気象、地象、地動及び水象に関する情報の提供を委託することができる。
(中央気象台以外の者の行う気象観測)
第六条 中央気象台以外の政府機関又は地方公共団体が気象の観測を行う場合には、政令で定める技術上の基準に従つてこれをしなければならない。但し、左に掲げる気象の観測を行う場合は、この限りでない。
一 研究のために行う気象の観測
二 教育のために行う気象の観測
三 政令で定める気象の観測
2 政府機関及び地方公共団体以外の者が左に掲げる気象の観測を行う場合には、前項の技術上の基準に従つてこれをしなければならない。但し、政令で定める気象の観測を行う場合は、この限りでない。
一 その成果を発表するための気象の観測
二 その成果を災害の防止に利用するための気象の観測
三 その成果を公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)第二条第一号の電気事業の運営に利用するための気象の観測
3 前二項の規定により気象の観測を技術上の基準に従つてしなければならない者がその施設を設置したときは、運輸省令の定めるところにより、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。これを廃止したときも同様とする。
4 運輪大臣は、気象に関する観測網を確立するため必要があると認めるときは、前項前段の規定により届出をした者に対し、気象の観測の成果を報告することを求めることができる。
第七条 船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第四条の規定により無線電信を施設することを要する船舶で政令で定めるものは、運輸省令の定めるところにより、気象測器を備え付けなければならない。
2 前項の船舶は、運輸省令で定める区域を航行するときは、前条第一項の技術上の基準に従い気象及び水象を観測し、運輪省令の定めるところにより、その成果を運輪大臣に報告しなければならない。
第八条 第十六条の航空予報図の交付を受けた航空機は、航行を行う場合には、その飛行中、運輸省令の定めるところにより、気象の状況を航空庁長官を経て運輸大臣に報告しなければならない。
2 前項の航空機は、その航行を終つたときは、運輸省令の定めるところにより、その飛行した区域の気象の状況を運輸大臣に報告しなければならない。
(観測に使用する気象測器)
第九条 第六条第一項若しくは第二項の規定により技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測に用いる気象測器、第七条第一項の規定により船舶に備え付ける気象測器又は第十七条第一項の規定により許可を受けた者が同項の予報業務のための観測に用いる気象測器であつて、第二十七条各号に掲げるものは、同条の検定又は計量法(昭和二十六年法律第二百七号)第四章第二節の比較検査(政府機関、地方公共団体、公益事業令による電気事業会社及び第七条第一項の船舶以外の者の受けるものに限る。)に合格したものでなければ、使用してはならない。但し、特殊の種類又は構造の気象測器で政令で定めるものは、この限りでない。
(観測の実施方法の指導)
第十条 運輸大臣は、第六条第一項若しくは第二項の規定により技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測を行う者又は第七条第一項の船舶若しくは第八条第一項の航空機において気象の観測に従事する者に対し、観測の実施方法について指導をすることができる。
(観測成果等の発表)
第十一条 中央気象台は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象の観測の成果並びに気象、地象及び水象に関する情報を直ちに発表することが公衆の利便を増進すると認めるときは、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(以下単に「報道機関」という。)の協力を求めて、直ちにこれを発表し、公衆に周知させるように努めなければならない。
(費用の負担等)
第十二条 運輪大臣は、第六条第四項、第七条第二項又は第八条の規定により報告を行う者に対し、政令の定めるところにより、予算の範囲内において、その費用を負担することができる。
2 運輪大臣は、必要があると認めるときは、第六条第四項の規定により報告を行う者又は第七条第一項の船舶に対し、政令の定めるところにより、気象測器その他の機器を貸し付けることができる。
第三章 予報及び警報
(予報及び警報)
第十三条 中央気象台は、政令の定めるところにより、気象、地象(地震及び火山現象を除く。この章において以下同じ。)、津波、高潮及び波浪についての一般の利用に適合する予報及び警報をしなければならない。
2 中央気象台は、前項の予報及び警報の外、政令の定めるところにより、津波、高潮及び波浪以外の水象についての一般の利用に適合する予報及び警報をすることができる。
3 中央気象台は、前二項の予報及び警報をする場合は、自ら予報事項及び警報事項の周知の措置を執る外、報道機関の協力を求めて、これを公衆に周知させるように努めなければならない。
第十四条 中央気象台は、政令の定めるところにより、気象、地象、津波、高潮及び波浪についての航空機及び船舶の利用に適合する予報及び警報をしなければならない。
2 中央気象台は、気象、地象及び水象についての鉄道事業、電気事業その他特殊な事業の利用に適合する予報及び警報をすることができる。
3 前条第三項の規定は、第一項の予報及び警報をする場合に準用する。
第十五条 中央気象台は、第十三条第一項又は前条第一項の規定により、気象、津波、高潮及び波浪の警報をしたときは、政令の定めるところにより、直ちにその警報事項を電気通信省、海上保安庁、航空庁又は日本放送協会の機関に通知しなければならない。警戒の必要がなくなつた場合も同様とする。
2 前項の通知を受けた電気通信省の機関は、直ちにその通知された事項を関係市町村長に通知するように努めなければならない。
3 前項の通知を受けた市町村長は、直ちにその通知された事項を公衆及び所在の官公署に周知させるように努めなければならない。
4 第一項の通知を受けた海上保安庁の機関は、直ちにその通知された事項を航海中及び入港中の船舶に周知させるように努めなければならない。
5 第一項の通知を受けた航空庁の機関は、直ちにその通知された事項を航行中の航空機に周知させるように努めなければならない。
6 第一項の通知を受けた日本放送協会の機関は、直ちにその通知された事項の放送をしなければならない。
(航空予報図の交付)
第十六条 中央気象台は、運輸省令で定める航空機に対し、その航行前、気象、地象又は水象についての予想を記載した航空予報図を交付しなければならない。
(予報業務の許可)
第十七条 中央気象台以外の者が気象、地象、津波、高潮又は波浪の予報の業務(以下「予報業務」という。)を行おうとする場合は、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可は、予報業務の目的及び範囲を定めて行う。
(許可の基準)
第十八条 運輪大臣は、前条第一項の規定による許可の申請書を受理したときは、左の基準によつて審査しなければならない。
一 当該予報業務を適確に遂行するに足る観測その他の予報資料の収集及び予報資料の解析の施設及び要員を有するものであること。
二 当該予報業務の目的及び範囲に係る中央気象台の警報事項を迅速に受けることができる施設及び要員を有するものであること。
2 運輸大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めるときは、左の場合を除いて許可しなければならない。
一 許可を受けようとする者が許可の取消を受け、その取消の日から二年を経過しない者であるとき。
二 許可を受けようとする者が、法人である場合において、その法人の役員が前号に該当する者であるとき。
(変更認可)
第十九条 第十七条第一項の規定により許可を受けた者が同条第二項の予報業務の目的又は範囲を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 前条の規定は、前項の場合に準用する。
(警報事項の伝達)
第二十条 第十七条の規定により許可を受けた者は、当該予報業務の目的及び範囲に係る中央気象台の警報事項を当該予報業務の利用者に迅速に伝達するように努めなければならない。
(許可の取消等)
第二十一条 運輸大臣は、第十七条の規定により許可を受けた者が左の各号の一に該当するときは、期間を定めて業務の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。但し、第二号の場合については、運輸大臣が許可を受けた者に対し、相当の期間を定めて、その施設及び要員について第十八条第一項第一号又は第二号に適合するための措置を執るべきことを命じ、その期間内に、許可を受けた者がその命令に従わなかつた場合に限る。
一 この法律又はこれに基く処分に違反したとき。
二 第十八条第一項第一号又は第二号に該当しないこととなつたとき。
(予報業務の休廃止)
第二十二条 第十七条の規定により許可を受けた者が予報業務を休止し、又は廃止したときは、すみやかにその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(警報の制限)
第二十三条 中央気象台以外の者は、気象、津波、高潮及び波浪の警報をしてはならない。但し、政令で定める場合は、この限りでない。
(予報及び警報の標識)
第二十四条 形象、色彩、燈光又は音響による標識によつて気象、地象、津波、高潮又は波浪についての予報事項又は警報事項を発表し、又は伝達する者は、運輸省令で定める方法に従つてこれをしなければならない。
2 中央気象台以外の者が暴風の強さ及び風向の警報事項を標識によつて船舶に周知するための施設(以下「暴風信号施設」という。)を設置したときは、すみやかにその旨を運輸大臣に届け出なければならない。これを廃止したときも同様とする。
3 運輸大臣は、前項の届出を受けたときは、直ちにその旨を告示しなければならない。
4 中央気象台以外の者が暴風信号施設により、暴風の強さ及び風向の警報事項を伝達する場合には、中央気象台の指示に従つてこれをしなければならない。
第四章 無線通信による資料の発表
(無線通信による資料の発表)
第二十五条 中央気象台は、運輸省令の定めるところにより、左に掲げるものを総合して作成する資料を国内及び国外の気象業務を行う機関、船舶又は航空機において受信されることを目的とする無線通信により発表しなければならない。
一 国内及び国外の気象、地象及び水象の観測の成果
二 国内及び国外の気象、地象(地震及び火山現象を除く。)及び水象の予報事項及び警報事項
三 前二号に掲げるものの外、国内及び国外の気象、地象及び水象に関する情報
第二十六条 中央気象台以外の者で、その行つた気象の観測の成果を国内若しくは国外の気象業務を行う機関、船舶又は航空機において受信されることを目的とする無線通信により発表する業務を行おうとするものは、運輪大臣の許可を受けなければならない。但し、船舶又は航空機が当該業務を行う場合は、この限りでない。
2 第十八条(第一項第二号を除く。)、第二十一条及び第二十二条の規定は、前項の場合に準用する。
第五章 検定
(検定)
第二十七条 運輸大臣は、左に掲げる気象測器について、この章の定めるところにより、検定を行う。
一 温度計
二 気圧計
三 湿度計
四 風速計
五 日射計
六 比重計
七 海水ビユレツト
八 海水ピペツト
九 雨量計
十 雪量計
(合格基準)
第二十八条 運輪大臣は、検定の申請があつたときは、その気象測器が左の各号に適合するかどうかについて検査し、適合すると認めるときは、合格の検定をする。
一 政令で定める種類に属すること。
二 運輸省令で定める構造(材料の性質を含む。)を有すること。
三 その器差が運輸省令で定める検定公差をこえないこと。
2 運輸大臣は、第三十二条第一項の型式証明を受けた型式の気象測器について、前項の検査を行う場合には、同項第一号及び第二号に適合するかどうかの検査を行わないことができる。
(検定証印及び検定証書)
第二十九条 検定に合格した気象測器には、運輸省令の定めるところにより、検定証印を附する。但し、その構造上検定証印を附し難い気象測器であつて、運輸省令で定めるものについては、この限りでない。
2 気象測器が検定に合格したときは、運輪大臣は、検定を申請した者に対し、検定証書を交付しなければならない。
(不合格の理由の通知)
第三十条 運輸大臣は、気象測器の検定の結果、不合格の処分をしたときは、その検定を申請した者に対し、不合格の理由を通知しなければならない。
(検定の有効期間)
第三十一条 気象測器の検定の有効期間は、五年とする。但し、政令で定める気象測器については、政令で定める期間とする。
(型式証明)
第三十二条 運輸大臣は、申請により、運輸省令で定める気象測器の型式について、型式証明を行う。
2 運輸大臣は、前項の申請があつたときは、その申請に係る気象測器が第二十八条第一項第一号及び第二号に適合するかどうかを検査し、これに適合すると認めるときは、前項の型式証明をしなければならない。
3 型式証明は、申請者に型式証明書を交付することによつて行う。
(手数料)
第三十三条 第二十七条の検定又は前条の型式証明を申請する者は、検定にあつては五千円以下、型式証明にあつては十万円以下の範囲内において、政令で定める額の手数料を納めなければならない。
(実施細目)
第三十四条 検定証印の様式、検定証書及び型式証明書の様式及び再交付その他検定及び型式証明に関する細目的事項は、運輸省令で定める。
第六章 雑則
(気象証明等)
第三十五条 中央気象台は、一般の依頼により、気象、地象及び水象に関する事実について証明及び鑑定を行う。
2 前項の証明又は鑑定を受けようとする者は、政令の定めるところにより、手数料を納めなければならない。
(刊行物の発行等)
第三十六条 中央気象台は、第十一条に規定するものの外、一般の利用に供するため、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象に関する観測、調査及び研究の成果並びに統計を刊行物の発行その他の方法により発表するものとする。
(気象測器等の保全)
第三十七条 何人も、正当の理由がないのに、中央気象台若しくは第六条第一項若しくは第二項の規定により技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測を行う者が屋外に設置する気象測器又は気象、地象(地震及び火山現象を除く。)、津波、高潮若しくは波浪についての警報の標識をこわし、移し、その他これらの気象測器又は標識の効用を害する行為をしてはならない。
(土地又は水面の立入)
第三十八条 運輸大臣は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気又は水象の観測を行うため必要がある場合においては、当該業務に従事する職員を国、地方公共団体又は私人が所有し、占有し、又は占用する土地又は水面に立ち入らせることができる。
2 前項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた土地若しくは水面に立ち入らせる場合においては、あらかじめその旨をその所有者、占有者又は占用者に通知しなければならない。但し、これらの者に対し、あらかじめ通知することが因難であるときは、この限りでない。
(障害物の除去等)
第三十九条 運輸大臣は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気又は水象を観測するためやむを得ない必要がある場合においては、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得て、当該業務に従事する職員に、障害となる植物又はかき、さく等を伐除させることができる。
2 運輸大臣は、離島、湖沼、山林、原野又はこれらに類する場所で、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気又は水象を観測する場合において、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得ることが困難であり、且つ、当該物件の現状を著しく損傷しないときは、前項の規定にかかわらず、所有者又は占有者の承諾を得ないで、当該業務に従事する職員に、障害となる植物又はかき、さく等を伐除させることができる。この場合においては、すみやかにその旨を所有者又は占有者に通知しなければならない。
(損失の補償)
第四十条 前二条の規定による立入又は伐除により損失を生じた場合においては、国は、その損失をうけた者に対し、通常生ずべき損失を補償する。
2 前項の補償の額に不服がある者は、訴をもつてその増額を請求することができる。
(報告及び検査)
第四十一条 運輸大臣は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、第十七条第一項又は第二十六条第一項の規定により許可を受けた者に、その業務に関し、報告させることができる。
2 運輸大臣は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、第十七条第一項若しくは第二十六条第一項の規定により許可を受けた者若しくは第六条第一項若しくは第二項の規定により技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測を行う者の事業所若しくは観測を行う場所又は第七条第一項の船舶に、その職員を派遣して、気象記録、気象測器その他の物件を検査させることができる。
3 前項の検査は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(身分証票)
第四十二条 第三十八条、第三十九条又は前条第二項の規定により当該業務に従事する職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(特殊な業務の受託)
第四十三条 中央気象台は、その業務の遂行に支障のない限り、一般の委託により、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象並びにこれらに密接な関連のある事項についての特殊な観測、予報、調査及び研究並びにこれらの指導を行い、気象測器並びに地動、地球磁気及び地球電気の観測に用いる器具、器械及び装置の設計、製作、検定、修理及び調整を行うことができる。
2 前項の設計、製作、検定、修理及び調整を委託する者は、政令の定めるところにより、手数料を納めなければならない。
第七章 罰則
第四十四条 第三十七条の規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第四十五条 第二十三条の規定に違反して警報をした者は、五万円以下の罰金に処する。
第四十六条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第九条の規定に違反した者
二 第十七条第一項の規定に違反して許可を受けないで予報業務を行つた者
三 第二十六条第一項の規定に違反して許可を受けないで気象の観測の成果を発表する業務を行つた者
第四十七条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第十九条の規定に違反して認可を受けないで予報業務の目的及び範囲を変更した者
二 第二十一条本文(第二十六条第二項の規定により準用する場合を含む。)の規定による業務の停止の命令に違反した者
三 第三十八条第一項の規定による立入を拒み、又は妨げた者
四 第四十一条第一項の規定に違反して報告をせず、又は虚偽の報告をした者
五 第四十一条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第四十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し、前四条の違反行為をしたときは、行為者を罰するの外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者が当該違反行為を防止するため、当該業務に対し、相当の注意及び監督がつくされたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して六箇月をこえない期間内において、政令で定める。
2 この法律の施行の際、現に第六条第一項又は第二項の規定により技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測をしている者は、この法律の施行の日から五年間は、同条第一項の技術上の基準によらないで気象の観測をしてもよい。但し、附則第六項の規定により検定に合格したものとみなされる気象測器により気象の観測を行う場合に限る。
3 前項の者は、この法律の施行の日から三十日以内に運輸省令の定めるところにより、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
4 この法律の施行の際、現に第七条第一項の船舶に備え付ける気象測器であつて運輸省令で定めるものは、同項の規定の適用については、この法律の施行の日から二年間は、同項の気象測器とみなす。
5 前項の気象測器を備え付ける船舶の行う気象及び水象の観測については、第七条第二項の規定にかかわらず、この法律の施行の日から二年間は、同項の技術上の基準によらないでもよい。
6 この法律の施行の際、現に使用する気象測器であつて第九条の規定により検定又は計量法第四章第二節の比較検査に合格したものでなければならないものは、同条の規定の適用については、この法律の施行の日から五年間は、第二十七条の検定に合格したものとみなす。
7 この法律の施行の際、現に第十七条第一項に規定する予報業務を行つている者及び第二十六条第一項の業務を行つている者は、この法律の施行の日から六十日間(その期間内に許可の申請をした場合においては、許可する旨又は許可しない旨の通知を受けるまでの間)は、これらの規定による許可を受けないでこれらの業務を行つてもよい。
(通商産業・運輸・電気通信・内閣総理大臣署名)