平和条約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律
法律第百四号(昭二七・四・二八)
(目的)
第一条 この法律は、日本国との平和条約(以下「平和条約」という。)第十七条(b)項の規定に基く民事判決の再審査等及び議定書C2項に規定する流通証券の呈示等のための期間について定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「連合国」とは、平和条約第二十五条に規定する連合国をいう。
2 この法律において「連合国人」とは、左の各号に掲げるものをいう。
一 連合国の国籍を有する者
二 連合国の法令に基いて設立された法人その他の団体
三 前号に掲げるものを除く外、営利を目的とする法人その他の団体で、前二号又は本号に掲げるものがその株式又は持分(当該法人その他の団体の役員が前二号又は本号に掲げるものの計算において有する株式又は持分を除く。)の全部を有するもの
四 第二号に掲げるものを除く外、前三号又は本号に掲げるものが支配する営利を目的としない法人その他の団体
(再審の訴)
第三条 連合国人が日本国と当該連合国との間に平和条約が効力を生ずる日までに終局判決の言渡を受け、その判決が昭和十六年十二月八日以後に確定した場合において、当該連合国人が、同日以後日本国と当該連合国との間に平和条約が効力を生ずる日までの間の訴訟手続において、原告又は被告として事件について充分な陳述ができなかつたときは、当該連合国人は、日本国と当該連合国との間に平和条約が効力を生じた日から一年内に限り、その判決に対して再審の訴をもつて不服を申し立てることができる。
2 前項の再審については、同項の規定による外、民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)の定めるところによる。
(国の責任)
第四条 前条に定める再審の手続において同条第一項の再審の事由があることが認められた場合において、当該連合国人が原判決の結果損害を受けたときは、国は、その者を原判決前の地位に回復するか又はその者に対しそれぞれの事情の下において公正且つ衡平な救済を与える責に任ずる。
2 前項の場合において、訴訟の当事者その他他にその損害について責に任ずべき者があるときは、国は、これに対して求償権を有する。
3 第一項の規定による国に対する請求は、再審の終局判決が確定した日から一年内にしなければならない。
4 第一項に定める地位の回復又は救済の手続については、別に法律で定める。
(流通証券の呈示等のための期間)
第五条 議定書C2項に規定する流通証券の呈示等のための期間は、六月とする。
附 則
この法律は、平和条約の最初の効力発生の日から施行する。
(法務総裁・内閣総理大臣署名)