日本専売公社法の一部を改正する法律
法律第二百四十五号(昭二四・一二・八)
日本専売公社法(昭和二十三年法律第二百五十五号)の一部を次のように改正する。
目次中「(第二十九条−第四十三条)」を「(第二十九条−第四十三条の二十三)」に改める。
第四条の次に次の一条を加える。
(資本金の増加及び減少)
第四条の二 公社は、必要があるときは、大蔵大臣の認可を受けて、その資本金を増加し、又は減少することができる。
2 政府は、前項の規定により公社がその資本金を増加する場合においては、予算に定める金額の範囲内で公社に出資することができる。
3 公社は、第四十三条の十三第二項の規定による積立金をもつて第一項の規定による資本金の増加に充てることができる。
第二十七条第六号中「しよう脳原油」の下に「(以下「専売品」という。)」を加える。
第五章を次のように改める。
第五章 会計
(総則)
第二十九条 公社の会計に関しては、この章の定めるところによる。
(計理原則)
第三十条 公社は、その事業の経営成績及び財政状態を明らかにするため、財産の増減及び異動をその発生の事実に基いて計理する。
(事業年度)
第三十一条 公社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(資産)
第三十二条 公社の資産は、固定資産、たな卸資産、当座資産、繰延費用及び無形資産に区分する。
2 前項の資産について、その内訳項目、評価の基準、減価償却すべき資産の範囲及び減価償却の方法は、総裁が大蔵大臣の承認を経て定める。
(資本及び負債)
第三十三条 公社においては、前条の資産の金額をもつて経営資本とし、これを資本金、積立金、引当金、長期負債、流動負債及び繰延収入に区分し、その内訳項目は、総裁が大蔵大臣の承認を経て定める。
(予算)
第三十四条 公社は、毎事業年度の予算を作成し、これに当該予算の予算実施計画、当該年度の事業計画、資金計画その他予算の参考となる事項に関する書類並びに前年度の予定貸借対照表及び予定損益計算書を添え、大蔵大臣の定める期限までに、大蔵大臣に提出しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定により予算の提出を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。
3 内閣は、前項の規定による閣議の決定があつたときは、その予算を、国の予算とともに、国会に提出しなければならない。
4 前項の予算には、第一項に規定する添附書類を附するものとする。
5 予算の形式及び内容については政令で、その作成及び提出の手続については大蔵大臣が定める。
(債務の負担)
第三十五条 法律に基くもの又は歳出予算の金額の範囲内におけるものの外、公社が債務を負担する行為をするには、あらかじめ予算をもつて国会の議決を経なければならない。
2 公社は、前項に規定するものの外、災害復旧その他緊急の必要がある場合においては、毎事業年度、国会の議決を経た金額の範囲内において、債務を負担する行為をすることができる。
(予備費)
第三十六条 専売品の売上量の増加その他予見し難い事由による歳出予算の不足を補うため、公社の予算に予備費を設けることができる。
(予算の議決)
第三十七条 予算の国会の議決に関しては、国の予算の議決の例による。
(予算の通知)
第三十八条 政府は、公社の予算が国会の議決を経たときは、直ちにその旨を公社に通知するものとする。
2 公社は、前項の規定による通知を受けた後でなければ、予算を実施することができない。
3 政府は、第一項の規定により公社に通知したときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(追加予算)
第三十九条 公社は、予算作成後に生じた避けることのできない事由により必要がある場合に限り、追加予算を作成し、これに当該予算の予算実施計画、事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、大蔵大臣に提出することができる。
2 第三十四条第二項から第五項まで及び前二条の規定は、前項の規定による追加予算について準用する。
(予算の修正)
第四十条 公社は、前条第一項の場合を除く外、予算の成立後に生じた事由に基いて既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、予算を修正して、これに当該予算の予算実施計画、事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、大蔵大臣に提出することができる。
2 第三十四条第二項から第五項まで、第三十七条及び第三十八条の規定は、前項の規定による予算の修正について準用する。
(暫定予算)
第四十一条 公社は、必要に応じて、一事業年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これに当該予算の予算実施計画、事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、大蔵大臣に提出することができる。
2 第三十四条第二項から第五項まで、第三十七条及び第三十八条の規定は、前項の規定による暫定予算について準用する。
3 暫定予算は、当該事業年度の予算が国会の議決を経たときは、失効するものとし、暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該事業年度の予算に基いてしたものとみなす。
(予算の実施)
第四十二条 公社の予算の実施は、予算に添附して国会に提出した予算実施計画に定める区分に従うものとする。
第四十三条 公社は、歳出予算については、当該予算に定める目的の外に使用してはならない。
第四十三条の二 公社は、予算で指定する経費の金額については、大蔵大臣の承認を受けなければ、流用することができない。
第四十三条の三 公社は、歳出予算のうち、当該事業年度内に契約その他支出の原因となる行為をし、当該事業年度内に支払義務が生じなかつたものに対する経費の金額を翌年度に繰り越して使用することができる。
第四十三条の四 公社は、予備費を使用するとき、及び予算を繰り越して使用するときは、直ちにその旨を大蔵大臣に通知しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定により通知を受けたときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(資金計画)
第四十三条の五 公社は、国会の議決を経た予算に基いて、四半期ごとに資金計画を定め、これを大蔵大臣に送付しなければならない。これを変更したときも同様とする。
2 大蔵大臣は、前項の規定により送付された資金計画が国の資金の状況により実施することができないと認めるときは、その実施することができる限度を公社に通知するものとする。
3 公社は、前項の通知を受けたときは、その通知に基いて資金計画を変更しなければならない。
(収入支出等の報告)
第四十三条の六 公社は、契約その他支出の原因となる行為により負担した債務の金額並びに収入し、及び支出した金額を毎月大蔵大臣及び会計検査院に報告しなければならない。
(決算)
第四十三条の七 公社は、毎事業年度の決算を翌年度七月三十一日までに完結しなければならない。
第四十三条の八 公社は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後一月以内に大蔵大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
2 公社は、前項の規定により大蔵大臣の承認を受けたときは、遅滞なくその財務諸表を公告しなければならない。
第四十三条の九 公社は、決算完結後予算の区分に従い、毎事業年度の決算報告書を作成し、前条第一項の規定により大蔵大臣の承認を受けた当該事業年度の財務諸表を添え、遅滞なく大蔵大臣に提出しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定により決算報告書及び財務諸表の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。
3 第一項に規定する決算報告書の形式及び内容については、政令で定める。
第四十三条の十 内閣は、前条第二項の規定により公社の決算報告書及び財務諸表の送付を受けたときは、翌事業年度の十一月三十日までにこれを会計検査院に送付しなければならない。
2 内閣は、会計検査院の検査を経た公社の決算報告書に財務諸表を添附して、国の歳入歳出の決算とともに、国会に提出しなければならない。
(損益計算の区分)
第四十三条の十一 公社の損益計算は、たばこ、塩及びしよう脳の三勘定に区分して、その損益を明らかにするものとする。
(価格差等補給金)
第四十三条の十二 政府は、価格の統制その他の国の政策上の考慮に基き専売品の売渡価格がその製造、販売等の原価より低く定められている場合においては、その差額を補てんするため公社に補給金を交付することができる。
(利益金の納付)
第四十三条の十三 公社は、毎事業年度の決算上の総収益から総損失を控除した金額から左の各号に掲げる金額を控除して得た金額(以下「専売納付金」という。)を翌年度五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。
一 当該事業年度において固定資産、無形資産及びたな卸資産の額の合計額が増加したときは、その増加額に相当する金額から当該事業年度において新たに借り入れた長期の借入金による歳入金のうち固定資産、無形資産及びたな卸資産の増加に充てられた部分に相当する金額を控除した金額
二 公社が当該事業年度において長期借入金を償還した場合においては、その償還額に相当する金額からその償還した長期借入金を財源として取得し、又は増価した固定資産及び無形資産の部分についての当該事業年度までの減価償却額に相当する金額を控除した金額
2 公社は、前項第一号及び第二号に掲げる金額を積立金として積み立てるものとする。
3 大蔵大臣は、第一項の規定による専売納付金の一部を、政令の定めるところにより、当該事業年度中において概算で納付させることができる。
(借入金)
第四十三条の十四 公社は、大蔵大臣の認可を受けて、政府から長期借入金及び短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による長期借入金及び短期借入金については、予算に定める額を限度としなければならない。
3 第一項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。但し、資金不足のため償還することができないときは、その償還することのできない金額を限り、大蔵大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
4 前項但書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(政府からの貸付)
第四十三条の十五 政府は、公社に対し長期又は短期の資金の貸付をすることができる。
(国庫余裕金の一時使用)
第四十三条の十六 政府は、前条に規定する短期の資金の貸付に代えて、当該事業年度内に限り、国庫余裕金を公社に一時使用させることができる。
(償還計画)
第四十三条の十七 公社は、毎事業年度、長期借入金の償還計画をたてて、大蔵大臣の承認を受けなければならない。
(業務に係る現金の取扱)
第四十三条の十八 公社は、その業務に係る現金を国庫に預託しなければならない。但し、現金を安全に取り扱うため、日本銀行の支店又は代理店を簡便に利用できないときは、政令の定める範囲内において、郵便局又は市中銀行に預け入れることができる。
(財産の処分の制限)
第四十三条の十九 公社が製造工場及びこれに準ずる重要な財産を譲渡し、又は交換しようとするときは、国会の議決を経なければならない。
(会計規程)
第四十三条の二十 公社は、その会計に関し、この法律及びこれに基く政令に定めるものの外、会計規程を定めなければならない。
2 前項の会計規程は、公共企業体としての公社の公共性にかんがみ、その事業の能率的な運営と予算の適正な実施に役立つように定められなければならない。
3 公社は、第一項の会計規程を定めるときは、その基本事項について、大蔵大臣の認可を受けなければならない。これを変更するときも同様とする。
4 公社は、第一項の会計規程を定めたときは、直ちにこれを大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
(給与準則)
第四十三条の二十一 公社は、その役員及び職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない。この場合において、この給与準則は、これに基く一事業年度の支出が国会の議決を経た当該年度の予算の中で給与の額として定められた額をこえるものであつてはならない。
(専売価格の決定及び変更)
第四十三条の二十二 公社における専売品の価格の決定及び変更については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三条の規定を準用する。
(国の会計事務の委任)
第四十三条の二十三 政府は、たばこ専売法第七十九条第一項、塩専売法第五十五条第一項及びしよう脳専売法第二十八条第一項において準用する国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)に基く通告の処分により納付された金銭及び物品の歳入及び出納保管に関する事務を公社の役員又は職員に取り扱わせることができる。
2 政府は、前項に規定する事務を公社の役員又は職員に取り扱わせるときは、あらかじめ総裁の同意を経ることを要する。
3 第一項に規定する事務を取り扱う公社の役員又は職員については、国の会計に関する法令のうち当該事務の取扱に関する規定を準用する。
附則第三項の次に次の一項を加える。
4 第四十三条の二十二の財政法第三条には、財政法第三条の特例に関する法律(昭和二十三年法律第二十七号)が効力を有する間は、同法を含むものとする。
附 則
1 この法律中日本専売公社法第四十三条の二十三の改正規定は、公布の日から、その他の規定は、昭和二十五年四月一日から施行する。但し、改正後の第三十四条から第三十八条まで及び第四十一条の規定は、昭和二十五年度以降の予算について、改正後の第四十三条の七から第四十三条の十一までの規定は、昭和二十五年度以降の決算について、それぞれ適用する。
2 公社の昭和二十四年度の予備費の使用及び決算については、従前の例による。
3 たばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)の一部を次のように改正する。
第三十四条第二項中「財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三条の規定の適用」を「日本専売公社法第四十三条の二十二の規定による財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三条の規定の準用」に改める。
4 塩専売法(昭和二十四年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。
第二十八条第二項中「財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三条の規定の適用」を「日本専売公社法第四十三条の二十二の規定による財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三条の規定の準用」に改める。
5 しよう脳専売法(昭和二十四年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第十五条第二項中「財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三条の規定の適用」を「日本専売公社法第四十三条の二十二の規定による財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三条の規定の準用」に改める。
(大蔵・内閣総理大臣署名)