宗教法人法の一部を改正する法律
法律第百三十四号(平七・一二・一五)
宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第五条第二項中「他の都道府県内にある宗教法人を包括する」を「次に掲げる」に改め、同項に次の各号を加える。
一 他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人
二 前号に掲げる宗教法人以外の宗教法人であつて同号に掲げる宗教法人を包括するもの
三 前二号に掲げるもののほか、他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人
第二十五条の見出し中「及び備附」を「、備付け、閲覧及び提出」に改め、同条第一項中「及び」を「に財産目録を、」に、「、財産目録」を「財産目録及び収支計算書」に改め、同条第二項中「左に」を「次に」に改め、同項第三号中「貸借対照表又は収支計算書を作成している場合には、これらの書類」を「収支計算書並びに貸借対照表を作成している場合には貸借対照表」に改め、同項中第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類
第二十五条に次の三項を加える。
3 宗教法人は、信者その他の利害関係人であつて前項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項各号に掲げる書類又は帳簿を閲覧することについて正当な利益があり、かつ、その閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認められる者から請求があつたときは、これを閲覧させなければならない。
4 宗教法人は、毎会計年度終了後四月以内に、第二項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項第二号から第四号まで及び第六号に掲げる書類の写しを所轄庁に提出しなければならない。
5 所轄庁は、前項の規定により提出された書類を取り扱う場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。
第七十二条第一項中「十五人」を「二十人」に改める。
第七十八条の次に次の一条を加える。
(報告及び質問)
第七十八条の二 所轄庁は、宗教法人について次の各号の一に当該する疑いがあると認めるときは、この法律を施行するため必要な限度において、当該宗教法人の業務又は事業の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に対し質問させることができる。この場合において、当該職員が質問するために当該宗教法人の施設に立ち入るときは、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者の同意を得なればならない。
一 当該宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六条第二項の規定に違反する事実があること。
二 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証をした場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていること。
三 当該宗教法人について第八十一条第一項第一号から第四号までの一に該当する事由があること。
2 前項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聞かなければならない。
3 前項の場合においては、文部大臣は、報告を求め、又は当該職員に質問させる事項及び理由を宗教法人審議会に示して、その意見を聞かなければならない。
4 所轄庁は、第一項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させる場合には、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。
5 第一項の規定により質問する当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に提示しなければならない。
6 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第七十九条第四項を次のように改める。
4 前条第二項の規定は、第一項の規定により事業の停止を命じようとする場合に準用する。
第八十条第五項中「前条第四項」を「第七十八条の二第二項」に改め、「第一項」の下に「規定による認証の取消しをしようとする」を加える。
第八十八条中「左の」を「次の」に改め、同条第四号中「第二十五条」を「第二十五条第一項若しくは第二項」に、「同条に」を「これらの規定に」に、「備附」を「備付け」に改め、同条中第九号を第十一号とし、同号の前に次の一号を加える。
十 第七十八条の二第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第八十八条中第八号を第九号とし、第五号から第七号までを一号ずつ繰り下げ、第四号の次に次の一号を加える。
五 第二十五条第四項の規定による書類の写しの提出を怠つたとき。
附則第二十三項から第二十五項までを次のように改める。
23 当分の間、宗教法人は、第六条第二項の規定による公益事業以外の事業を行わない場合であつて、その一会計年度の収入の額が寡少である額として文部大臣が定める額の範囲内にあるときは、第二十五条第一項の規定にかかわらず、当該会計年度に係る収支計算書を作成しないことができる。
24 前項に規定する額の範囲を定めようとする場合においては、文部大臣は、あらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞かなければならない。
25 附則第二十三項の場合において、宗教法人は、第二十五条第二項(第一号、第二号及び第四号から第六号までを除く。)の規定にかかわらず、同項第三号に掲げる収支計算書を作成している場合に限り、これを宗教法人の事務所に備えなければならない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第二十三項から第二十五項までの改正規定中附則第二十四項に係る部分及び次項の規定は、公布の日から施行する。
(境内建物に関する届出)
2 改正前の宗教法人法(以下「旧法」という。)第五条及び宗教法人法附則第二十二項の規定による所轄庁(以下「旧法所轄庁」という。)が都道府県知事である宗教法人は、この法律の公布の日において他の都道府県内に境内建物を備えているときは、同日から起算して六月以内に、当該他の都道府県内の境内建物の名称、所在地及び面積を記載した書類(以下「境内建物関係書類」という。)を添えて、その旨を旧法所轄庁を経由して文部大臣に届け出なければならない。
3 前項の規定による届出をした宗教法人は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)において滅失その他の事由により他の都道府県内に境内建物を備えないこととなったときは、施行日から起算して六月以内に、その旨を旧法所轄庁を経由して文部大臣に届け出なければならない。
4 旧法所轄庁が都道府県知事である宗教法人(附則第二項の規定による届出をした宗教法人を除く。)は、施行日において他の都道府県内に境内建物を備えているときは、施行日から起算して六月以内に、当該他の都道府県内の境内建物関係書類を添えて、その旨を旧法所轄庁を経由して文部大臣に届け出なければならない。
(収支計算書の作成等に関する経過措置)
5 改正後の宗教法人法(以下「新法」という。)第二十五条第一項の規定中収支計算書の作成に係る部分及び新法附則第二十三項の規定は、施行日以後に開始する宗教法人の会計年度(以下「施行日以後の会計年度」という。)に係る収支計算書の作成について適用する。
6 新法第二十五条第二項の規定中収支計算書の備付けに係る部分及び新法附則第二十五項の規定は、施行日以後の会計年度に係る収支計算書の備付けについて適用し、施行日前に関始した宗教法人の会計年度に係るものについては、なお従前の例による。
7 新法第二十五条第四項の規定は、施行日以後の会計年度に係る書類の写しの提出について適用する。
(所轄庁の処分等に関する経過措置)
8 旧法所轄庁がし、又は旧法所轄庁に対してされた旧法の規定による処分、手続その他の行為は、新法第五条及び宗教法人法附則第二十二項の規定による所轄庁(以下「新法所轄庁」という。)がし、又は新法所轄庁に対してされた新法の相当規定による処分、手続その他の行為とみなす。
9 旧法所轄庁が宗教法人法第十四条第四項(同法第二十八条第二項、第三十九条第二項及び第四十六条第二項において読み替えて準用する場合を含む。以下同じ。)の規定により交付した認証書及び認証した旨を付記した規則又は変更しようとする事項を示す書類は、新法所轄庁が宗教法人法第十四条第四項の規定により交付したものとみなす。
(文部・内閣総理大臣署名)