地方公共団体の財政の健全化に関する法律

法律第九十四号(平一九・六・二二)

目次

 第一章 総則(第一条−第三条)

 第二章 財政の早期健全化(第四条−第七条)

 第三章 財政の再生(第八条−第二十一条)

 第四章 公営企業の経営の健全化(第二十二条−第二十四条)

 第五章 雑則(第二十五条−第二十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、地方公共団体の財政の健全性に関する比率の公表の制度を設け、当該比率に応じて、地方公共団体が財政の早期健全化及び財政の再生並びに公営企業の経営の健全化を図るための計画を策定する制度を定めるとともに、当該計画の実施の促進を図るための行財政上の措置を講ずることにより、地方公共団体の財政の健全化に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 実質赤字比率 地方公共団体(都道府県、市町村及び特別区に限る。以下この章から第三章までにおいて同じ。)の当該年度の前年度の歳入(一般会計及び特別会計のうち次に掲げるもの以外のもの(以下「一般会計等」という。)に係る歳入で、一般会計等の相互間の重複額を控除した純計によるものをいう。以下この号において同じ。)が歳出(一般会計等に係る歳出で、一般会計等の相互間の重複額を控除した純計によるものをいう。以下この号において同じ。)に不足するため当該年度の歳入を繰り上げてこれに充てた額並びに実質上当該年度の前年度の歳入が歳出に不足するため、当該年度の前年度に支払うべき債務でその支払を当該年度に繰り延べた額及び当該年度の前年度に執行すべき事業に係る歳出に係る予算の額で当該年度に繰り越した額の合算額(以下「実質赤字額」という。)を当該年度の前年度の地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の四第一項第二号に規定する標準的な規模の収入の額として政令で定めるところにより算定した額(以下「標準財政規模の額」という。)で除して得た数値

  イ 地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第二条の規定により同法の規定の全部又は一部を適用する企業(以下「法適用企業」という。)に係る特別会計

  ロ 地方財政法第六条に規定する政令で定める公営企業のうち法適用企業以外のもの(次号において「法非適用企業」という。)に係る特別会計

  ハ イ及びロに掲げるもののほか、政令で定める特別会計

 二 連結実質赤字比率 地方公共団体の連結実質赤字額(イ及びロに掲げる額の合算額がハ及びニに掲げる額の合算額を超える場合における当該超える額をいう。第四号において同じ。)を当該年度の前年度の標準財政規模の額で除して得た数値

  イ 一般会計又は公営企業(法適用企業及び法非適用企業をいう。以下同じ。)に係る特別会計以外の特別会計ごとの当該年度の前年度の決算において、当該年度の前年度の歳入が歳出に不足するため当該年度の歳入を繰り上げてこれに充てた額並びに実質上当該年度の前年度の歳入が歳出に不足するため、当該年度の前年度に支払うべき債務でその支払を当該年度に繰り延べた額及び当該年度の前年度に執行すべき事業に係る歳出に係る予算の額で当該年度に繰り越した額の合算額がある場合にあっては、当該合算額を合計した額

  ロ 公営企業に係る特別会計ごとの当該年度の前年度の決算において、政令で定めるところにより算定した資金の不足額がある場合にあっては、当該資金の不足額を合計した額

  ハ 一般会計又は公営企業に係る特別会計以外の特別会計ごとの当該年度の前年度の決算において、歳入額(当該年度に繰り越して使用する経費に係る歳出の財源に充てるために繰り越すべき金額を除く。)が歳出額を超える場合にあっては、当該超える額を合計した額

  ニ 公営企業に係る特別会計ごとの当該年度の前年度の決算において、政令で定めるところにより算定した資金の剰余額がある場合にあっては、当該資金の剰余額を合計した額

 三 実質公債費比率 地方公共団体の地方財政法第五条の四第一項第二号に規定する地方債の元利償還金(以下この号において「地方債の元利償還金」という。)の額と同項第二号に規定する準元利償還金(以下この号において「準元利償還金」という。)の額との合算額から地方債の元利償還金又は準元利償還金の財源に充当することのできる特定の歳入に相当する金額と地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の定めるところにより地方債の元利償還金及び準元利償還金に係る経費として普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入される額として総務省令で定めるところにより算定した額(特別区にあっては、これに相当する額として総務大臣が定める額とする。以下この号及び次号において「算入公債費等の額」という。)との合算額を控除した額を標準財政規模の額から算入公債費等の額を控除した額で除して得た数値で当該年度前三年度内の各年度に係るものを合算したものの三分の一の数値

 四 将来負担比率 地方公共団体のイからチまでに掲げる額の合算額がリからルまでに掲げる額の合算額を超える場合における当該超える額を当該年度の前年度の標準財政規模の額から算入公債費等の額を控除した額で除して得た数値

  イ 当該年度の前年度末における一般会計等に係る地方債の現在高

  ロ 当該年度の前年度末における地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百十四条に規定する債務負担行為(ヘに規定する設立法人以外の者のために債務を負担する行為を除く。)に基づく支出予定額(地方財政法第五条各号に規定する経費その他の政令で定める経費の支出に係るものとして総務省令で定めるところにより算定した額に限る。)

  ハ 当該年度の前年度末までに起こした一般会計等以外の特別会計に係る地方債の元金の償還に充てるため、一般会計等からの繰入れが必要と見込まれる金額の合計額として総務省令で定めるところにより算定した額

  ニ 当該年度の前年度末までに当該地方公共団体が加入する地方公共団体の組合又は当該地方公共団体が設置団体である地方開発事業団が起こした地方債の元金の償還に充てるため、当該地方公共団体による負担又は補助が必要と見込まれる金額の合計額として総務省令で定めるところにより算定した額

  ホ 当該年度の前年度の末日における当該地方公共団体の職員(地方自治法第二百四条第一項の職員をいい、都道府県にあっては市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員を含み、市町村及び特別区にあっては当該職員を除く。)の全員が同日において自己の都合により退職するものと仮定した場合に支給すべき退職手当の額のうち、当該地方公共団体の一般会計等において実質的に負担することが見込まれるものとして総務省令で定めるところにより算定した額

  ヘ 当該年度の前年度末における当該地方公共団体が単独で又は他の地方公共団体と共同して設立した法人で政令で定めるもの(以下この号において「設立法人」という。)の負債の額及び当該地方公共団体が設立法人以外の者のために債務を負担している場合における当該債務の額のうち、これらの者の財務内容その他の経営の状況を勘案して当該地方公共団体の一般会計等において実質的に負担することが見込まれるものとして総務省令で定めるところにより算定した額

  ト 連結実質赤字額

  チ 当該年度の前年度末における当該地方公共団体が加入する地方公共団体の組合又は当該地方公共団体が設置団体である地方開発事業団の連結実質赤字額に相当する額のうち、当該地方公共団体の一般会計等において実質的に負担することが見込まれるものとして総務省令で定めるところにより算定した額

  リ イに規定する地方債の償還額又はロからヘまでに掲げる額に充てることができる地方自治法第二百四十一条の基金として総務省令で定めるものの当該年度の前年度末における残高の合計額

  ヌ イに規定する地方債の償還額又はロからニまでに掲げる額に充てることができる特定の歳入の見込額に相当する額として総務省令で定めるところにより算定した額

  ル 地方交付税法の定めるところにより、イに規定する地方債の償還、ロに規定する債務負担行為に基づく支出、ハに規定する一般会計等からの繰入れ又はニに規定する地方公共団体による負担若しくは補助に要する経費として普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入されることが見込まれる額として総務省令で定めるところにより算定した額(特別区にあっては、これに相当する額として総務大臣が定める額とする。)

 五 早期健全化基準 財政の早期健全化(地方公共団体が、財政収支が不均衡な状況その他の財政状況が悪化した状況において、自主的かつ計画的にその財政の健全化を図ることをいう。以下同じ。)を図るべき基準として、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率のそれぞれについて、政令で定める数値をいう。

 六 財政再生基準 財政の再生(地方公共団体が、財政収支の著しい不均衡その他の財政状況の著しい悪化により自主的な財政の健全化を図ることが困難な状況において、計画的にその財政の健全化を図ることをいう。 以下同じ。)を図るべき基準として、実質赤字比率、連結実質赤字比率及び実質公債費比率のそれぞれについて、早期健全化基準の数値を超えるものとして政令で定める数値をいう。

 (健全化判断比率の公表等)

第三条 地方公共団体の長は、毎年度、前 年度の決算の提出を受けた後、速やかに、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率(以下「健全化判断比率」という。)並びにその算定の基礎となる 事項を記載した書類を監査委員の審査に付し、その意見を付けて当該健全化判断比率を議会に報告し、かつ、当該健全化判断比率を公表しなければならない。

2 前項の規定による意見の決定は、監査 委員の合議によるものとする。

3 地方公共団体の長は、第一項の規定により公表した健全化判断比率を、速やかに、都道府県及び地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の長にあっては総務大臣に、指定都市を除く市町村(第二十九条を除き、以下「市町村」という。)及び特別区の長にあっては都道府県知事に報告しなければならない。この場合において、当該報告を受けた都道府県知事は、速やかに、当該健全化判断比率を総務大臣に報告しなければならない。

4 都道府県知事は、毎年度、前項前段の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

5 総務大臣は、毎年度、第三項の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

6 地方公共団体は、健全化判断比率の算定の基礎となる事項を記載した書類をその事務所に備えて置かなければならない。

7 包括外部監査対象団体(地方自治法第二百五十二条の三十六第一項に規定する包括外部監査対象団体をいう。以下同じ。)においては、包括外部監査人(同法第二百五十二条の二十九に規定する包括外部監査人をいう。以下同じ。)は、同法第二百五十二条の三十七第一項の規定による監査のため必要があると認めるときは、第一項の規定により公表された健全化判断比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類について調査することができる。

   第二章 財政の早期健全化

 (財政健全化計画)

第四条 地方公共団体は、健全化判断比率のいずれかが早期健全化基準以上である場合(当該健全化判断比率のいずれかが財政再生基準以上である場合を除く。)には、当該健全化判断比率を公表した年度の末日までに、当該年度を初年度とする財政の早期健全化のための計画(以下「財政健全化計画」という。)を定めなければならない。ただし、この項の規定により既に財政健全化計画を定めている場合、第八条第一項の規定により同項の財政再生計画を定めている場合その他政令で定める場合は、この限りでない。

2 財政健全化計画は、財政の状況が悪化した要因の分析の結果を踏まえ、財政の早期健全化を図るため必要な最小限度の期間内に、実質赤字額がある場合にあっては一般会計等における歳入と歳出との均衡を実質的に回復することを、連結実質赤字比率、実質公債費比率又は将来負担比率が早期健全化基準以上である場合にあってはそれぞれの比率を早期健全化基準未満とすることを目標として、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 健全化判断比率が早期健全化基準以上となった要因の分析

 二 計画期間

 三 財政の早期健全化の基本方針

 四 実質赤字額がある場合にあっては、一般会計等における歳入と歳出との均衡を実質的に回復するための方策

 五 連結実質赤字比率、実質公債費比率又は将来負担比率が早期健全化基準以上である場合にあっては、それぞれの比率を早期健全化基準未満とするための方策

 六 各年度ごとの前二号の方策に係る歳入及び歳出に関する計画

 七 各年度ごとの健全化判断比率の見通し

 八 前各号に掲げるもののほか、財政の早期健全化に必要な事項

3 財政健全化計画は、その達成に必要な 各会計ごとの取組が明らかになるよう定めなければならない。

 (財政健全化計画の策定手続 等)

第五条 財政健全化計画は、地方公共団体 の長が作成し、議会の議決を経て定めなければならない。財政健全化計画を変更する場合も、同様とする。

2 地方公共団体は、財政健全化計画を定 めたときは、速やかに、これを公表するとともに、都道府県及び指定都市にあっては総務大臣に、市町村及び特別区にあっては都道府県知事に、報告しなければならない。この場合において、当該報告を受けた都道府県知事は、速やかに、当該財政健全化計画の概要を総務大臣に報告しなければならない。

3 前項の規定は、財政健全化計画を変更した場合(政令で定める軽微な変更をした場合を除く。)について準用する。

4 都道府県知事は、毎年度、第二項前段(前項において準用する場合を含む。)の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

5 総務大臣は、毎年度、第二項(第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

 (財政健全化計画の実施状況の報告等)

第六条 財政健全化計画を定めている地方公共団体(以下「財政健全化団体」という。)の長は、毎年九月三十日までに、前年度における決算との関係を明らかにした財政健全化計画の実施状況を議会に報告し、かつ、これを公表するとともに、都道府県及び指定都市の長にあっては総務大臣に、市町村及び特別区の長にあっては都道府県知事に当該財政健全化計画の実施状況を報告しなければならない。この場合において、当該報告を受けた都道府県知事は、速やかに、その要旨を総務大臣に報告しなければならない。

2 都道府県知事は、毎年度、前項前段の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

3 総務大臣は、毎年度、第一項の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

 (国等の勧告等)

第七条 総務大臣又は都道府県知事は、前条第一項前段の規定による報告を受けた財政健全化団体の財政健全化計画の実施状況を踏まえ、当該財政健全化団体の財政の早期健全化が著しく困難であると認められるときは、当該財政健全化団体の長に対し、必要な勧告をすることができる。

2 総務大臣は、前項の勧告をしたときは、速やかに、当該勧告の内容を公表するものとする。

3 都道府県知事は、第一項の勧告をしたときは、速やかに、当該勧告の内容を公表するとともに、総務大臣に報告しなければならない。

4 財政健全化団体の長は、第一項の勧告を受けたときは、速やかに、当該勧告の内容を当該財政健全化団体の議会に報告するとともに、監査委員(包括外部監査対象団体である財政健全化団体にあっては、監査委員及び包括外部監査人)に通知しなければならない。

   第三章 財政の再生

 (財政再生計画)

第八条 地方公共団体は、実質赤字比率、連結実質赤字比率及び実質公債費比率(以下「再生判断比率」という。)のいずれかが財政再生基準以上である場合には、当該再生判断比率を公表した年度の末日までに、当該年度を初年度とする財政の再生のための計画(以下「財政再生計画」という。)を定めなければならない。ただし、この項の規定により既に財政再生計画を定めている場合は、この限りでない。

2 財政健全化団体が前項の規定により財政再生計画を定めたときは、当該財政健全化団体の財政健全化計画は、その効力を失う。

3 財政再生計画は、財政の状況が著しく悪化した要因の分析の結果を踏まえ、財政の再生を図るため必要な最小限度の期間内に、実質赤字額がある場合にあっては一般会計等における歳入と歳出との均衡を実質的に回復することを、連結実質赤字比率、実質公債費比率又は将来負担比率が早期健全化基準以上である場合にあってはそれぞれの比率を早期健全化基準未満とすることを、第十二条第二項に規定する再生振替特例債を起こす場合にあっては当該再生振替特例債の償還を完了することを目標として、次に掲げる事項について定めるものとする。ただし、第四号ホに掲げる事項については、財政の再生のため特に必要と認められる地方公共団体に限る。

 一 再生判断比率が財政再生基準以上となった要因の分析

 二 計画期間

 三 財政の再生の基本方針

 四 次に掲げる計画(ロ及びハに掲げる計画にあっては、実施の要領を含む。次号において同じ。)及びこれに伴う歳入又は歳出の増減額

  イ 事務及び事業の見直し、組織の合理化その他の歳出の削減を図るための措置に関する計画

  ロ 当該年度以降の年度分の地方税その他の収入について、その徴収成績を通常の成績以上に高めるための計画

  ハ 当該年度の前年度以前の年度分の地方税その他の収入で滞納に係るものの徴収計画

  ニ 使用料及び手数料の額の変更、財産の処分その他の歳入の増加を図るための措置に関する計画

  ホ 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第四条第二項若しくは第五条第二項に掲げる普通税について標準税率を超える税率で課し、又は同法第四条第三項若しくは第五条第三項の規定による普通税を課することによる地方税の増収計画

 五 前号の計画及びこれに伴う歳入又は歳出の増減額を含む各年度ごとの歳入及び歳出に関する総合的な計画

 六 第十二条第二項に規定する再生振替特例債を起こす場合には、当該再生振替特例債の各年度ごとの償還額

 七 各年度ごとの健全化判断比率の見通し

 八 前各号に掲げるもののほか、財政の再生に必要な事項

4 財政再生計画は、その達成に必要な各会計ごとの取組が明らかになるよう定めなければならない。

 (財政再生計画の策定手続等)

第九条 財政再生計画は、地方公共団体の長が作成し、議会の議決を経て定めなければならない。財政再生計画を変更する場合も、同様とする。

2 地方公共団体は、財政再生計画を定めたときは、速やかに、これを公表するとともに、総務大臣に(市町村及び特別区にあっては、都道府県知事を経由して総務大臣に)報告しなければならない。

3 前項の規定は、財政再生計画を変更した場合(政令で定める軽微な変更をした場合を除く。)について準用する。

4 財政再生計画を定めている地方公共団体(以下「財政再生団体」という。)の長は、財政再生計画に基づいて予算を調製しなければならない。

 (財政再生計画の同意)

第十条 地方公共団体は、財政再生計画について、議会の議決を経て、総務大臣に(市町村及び特別区にあっては、都道府県知事を通じて総務大臣に)協議し、その同意を求めることができる。

2 総務大臣は、財政再生計画について同意をするかどうかを判断するための基準を定め、これを公表するものとする。

3 総務大臣は、第一項の規定による協議を受けた財政再生計画が、前項の基準に照らして適当なものであると認められるときは、これに同意するものとする。

4 総務大臣は、第二項の基準の作成及び前項の同意については、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。

5 地方公共団体は、第三項の同意を得たときは、速やかに、その旨を公表しなければならない。

6 地方公共団体は、第三項の同意を得ている財政再生計画を変更しようとするときは、あらかじめ、総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。ただし、災害その他緊急やむを得ない理由により、あらかじめ、総務大臣に協議し、その同意を得る時間的余裕がないときは、事後において、遅滞なく、その変更について総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。

7 第二項から第五項までの規定は、前項の変更の同意について準用する。

 (地方債の起債の制限)

第十一条 地方公共団体は、再生判断比率のいずれかが財政再生基準以上であり、かつ、前条第三項(同条第七項において準用する場合を含む。以下同じ。)の同意を得ていないときは、地方財政法その他の法律の規定にかかわらず、地方債をもってその歳出の財源とすることができない。ただし、災害復旧事業費の財源とする場合その他の政令で定める場合においては、この限りでない。

 (再生振替特例債)

第十二条 財政再生団体は、その財政再生計画につき第十条第三項の同意を得ている場合に限り、収支不足額(標準財政規模の額に、実質赤字比率と連結実質赤字比率から連結実質赤字比率について早期健全化基準として定める数値を控除して得た数値とのいずれか大きい数値を乗じて得た額を基準として総務省令で定める額をいう。)を地方債に振り替えることによって、当該収支不足額を財政再生計画の計画期間内に計画的に解消するため、地方財政法第五条の規定にかかわらず、当該収支不足額の範囲内で、地方債を起こすことができる。

2 前項の地方債(当該地方債の借換えのために要する経費の財源に充てるために起こす地方債を含む。次項において「再生振替特例債」という。)は、財政再生計画の計画期間内に償還しなければならない。

3 国は、再生振替特例債については、法令の範囲内において、資金事情の許す限り、適切な配慮をするものとする。

 (地方債の起債の許可)

第十三条 財政再生団体及び財政再生計画を定めていない地方公共団体であって再生判断比率のいずれかが財政再生基準以上である地方公共団体は、地方債を起こし、又は起債の方法、利率若しくは償還の方法を変更しようとする場合は、政令で定めるところにより、総務大臣の許可を受けなければならない。この場合においては、地方財政法第五条の三第一項の規定による協議をすること並びに同法第五条の四第一項及び第三項から第五項までに規定する許可を受けることを要しない。

2 財政再生計画につき第十条第三項の同意を得ている財政再生団体についての前項の許可は、当該財政再生計画に定める各年度ごとの歳入に関する計画その他の地方債に関連する事項及び当該財政再生計画の実施状況を勘案して行うものとする。

3 地方財政法第五条の三第三項の規定は、第一項に規定する許可を得た地方債について、同条第四項の規定は、第一項に規定する許可を得た地方債に係る元利償還に要する経費について準用する。

4 総務大臣は、第一項の総務大臣の許可については、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。

 (財政再生団体に係る通知等)

第十四条 総務大臣は、第九条第二項の規定により財政再生計画の報告を受けたときは、速やかに、当該財政再生計画を定めた地方公共団体の名称を各省各庁の長(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。以下この条において同じ。)に通知しなければならない。

2 各省各庁の長は、土木事業その他の政令で定める事業を財政再生団体に負担金を課して国が直轄で行おうとするときは、当該事業の実施に着手する前(年度を分けて実施する場合にあっては、年度ごとの事業の実施に着手する前)に、あらかじめ、当該事業に係る経費の総額及び当該財政再生団体の負担額を総務大臣に通知しなければならない。当該事業の事業計画の変更により財政再生団体の負担額に著しい変更を生ずる場合も、同様とする。

3 総務大臣は、前項の規定による通知を受けた場合において当該通知に係る事項が財政再生計画に与える影響を勘案して必要と認めるときは、各省各庁の長に対し、意見を述べることができる。

 (財政再生計画についての公表)

第十五条 総務大臣は、毎年度、第九条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により報告を受けた財政再生計画の内容並びに第十条第一項及び第六項の規定による協議の結果を公表するものとする。

 (事務局等の組織の簡素化)

第十六条 財政再生団体は、財政再生計画で定めるところにより、当該財政再生団体の長の補助機関である職員を、当該財政再生団体の議会若しくは当該財政再生団体に執行機関として置かれる委員会及び委員並びに当該委員会の管理に属する機関(以下この条において「委員会等」という。)の事務を補助する職員と兼ねさせ、若しくは当該議会若しくは委員会等の事務を補助する職員に充て、又は当該議会若しくは委員会等の事務に従事させることができる。

 (長と議会との関係)

第十七条 地方公共団体の議会の議決が次に掲げる場合に該当するときは、当該地方公共団体の長は、地方自治法第百七十六条及び第百七十七条の規定によるもののほか、それぞれ当該議決があった日から起算して十日以内に、理由を示してこれを再議に付することができる。

 一 財政再生計画の策定又は変更に関する議案を否決したとき。

 二 第十条第一項の規定による協議に関する議案を否決したとき。

 三 財政再生計画の達成ができなくなると認められる議決をしたとき。

 (財政再生計画の実施状況の報告等)

第十八条 財政再生団体の長は、毎年九月三十日までに、前年度における決算との関係を明らかにした財政再生計画の実施状況を議会に報告し、かつ、これを公表するとともに、総務大臣に(市町村及び特別区の長にあっては、都道府県知事を経由して総務大臣に)当該財政再生計画の実施状況を報告しなければならない。

2 総務大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

 (財政再生計画の実施状況の調査等)

第十九条 総務大臣は、必要に応じ、財政再生計画の実施状況について調査し、又は報告を求めることができる。

 (国の勧告等)

第二十条 総務大臣は、財政再生団体の財政の運営がその財政再生計画に適合しないと認められる場合その他財政再生団体の財政の再生が困難であると認められる場合においては、当該財政再生団体の長に対し、予算の変更、財政再生計画の変更その他必要な措置を講ずることを勧告することができる。

2 財政再生団体の長は、前項の規定による勧告を受けたときは、速やかに、当該勧告の内容を当該財政再生団体の議会に報告するとともに、監査委員(包括外部監査対象団体である財政再生団体にあっては、監査委員及び包括外部監査人)に通知しなければならない。

3 第一項の規定による勧告を受けた財政再生団体の長は、当該勧告に基づいて講じた措置について、総務大臣に報告しなければならない。

4 総務大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、当該報告の内容を公表するものとする。

 (国及び他の地方公共団体の配慮)

第二十一条 国及び他の地方公共団体は、財政再生団体が財政再生計画を円滑に実施することができるよう配慮するものとする。

   第四章 公営企業の経営の健全化

 (資金不足比率の公表等)

第二十二条 公営企業を経営する地方公共団体の長は、毎年度、当該公営企業の前年度の決算の提出を受けた後、速やかに、資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類を監査委員の審査に付し、その意見を付けて当該資金不足比率を議会に報告し、かつ、当該資金不足比率を公表しなければならない。

2 前項に規定する「資金不足比率」とは、公営企業ごとに、政令で定めるところにより算定した当該年度の前年度の資金の不足額を政令で定めるところにより算定した当該年度の前年度の事業の規模で除して得た数値をいう。

3 第三条第二項から第七項までの規定 は、資金不足比率について準用する。

 (経営健全化計画)

第二十三条 地方公共団体は、公営企業(事業を開始する前の公営企業を除き、法適用企業にあっては、繰越欠損金があるものに限る。)の資金不足比率が公営企業の経営の健全化を図るべき基準として政令で定める数値(以下「経営健全化基準」という。)以上である場合には、当該公営企業について、当該資金不足比率を公表した年度の末日までに、当該年度を初年度とする公営企業の経営の健全化のための計画(以下「経営健全化計画」という。)を定めなければならない。ただし、この項の規定により既に当該公営企業について経営健全化計画を定めている場合その他政令で定める場合は、この限りでない。

2 経営健全化計画は、当該公営企業の経営の状況が悪化した要因の分析の結果を踏まえ、当該公営企業の経営の健全化を図るため必要な最小限度の期間内に、資金不足比率を経営健全化基準未満とすることを目標として、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 資金不足比率が経営健全化基準以上となった要因の分析

 二 計画期間

 三 経営の健全化の基本方針

 四 資金不足比率を経営健全化基準未満とするための方策

 五 各年度ごとの前号の方策に係る収入及び支出に関する計画

 六 各年度ごとの資金不足比率の見通し

 七 前各号に掲げるもののほか、経営の健全化に必要な事項

 (準用)

第二十四条 第五条から第七条までの規定は、経営健全化計画について準用する。この場合において、第六条第一項並びに第七条第一項及び第四項中「財政健全化団体」とあるのは「経営健全化団体」と、同条第一項中「財政の早期健全化」とあるのは「公営企業の経営の健全化」と読み替えるものとする。

   第五章 雑則

 (財政健全化計画又は財政再生計画と経営健全化計画との調整)

第二十五条 財政健全化団体又は財政再生団体である地方公共団体は、経営健全化計画を定めるに当たっては、当該経営健全化計画と当該財政健全化計画又は財政再生計画との整合性の確保を図らなければならない。

2 経営健全化計画を定めている地方公共団体(次条において「経営健全化団体」という。)は、財政健全化計画又は財政再生計画を定めるに当たっては、当該財政健全化計画又は財政再生計画と当該経営健全化計画との整合性の確保を図らなければならない。

 (地方自治法の監査の特例)

第二十六条 財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならない地方公共団体の長は、これらの計画を定めるに当たっては、あらかじめ、当該地方公共団体の財政の健全化のために改善が必要と認められる事務の執行について、監査委員に対し、地方自治法第百九十九条第六項の監査の要求をしなければならない。この場合においては、同法第二百五十二条の四十一第一項中「第百九十九条第六項」とあるのは「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成十九年法律第九十四号)第二十六条第一項の規定に基づく第百九十九条第六項」と、「監査委員の監査に代えて契約に基づく監査によることができることを条例により定める普通地方公共団体」とあるのは「同法の規定により財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならない地方公共団体」と、「同項の要求をする場合において、特に必要があると認めるときは、その理由を付して、併せて」とあるのは「同項の要求と併せて、理由を付して」と、「求めることができる」とあるのは「求めなければならない」と読み替えて、同法第二編第十三章の規定を適用する。

2 財政健全化団体、財政再生団体又は経営健全化団体(以下この項において「財政健全化団体等」という。)が包括外部監査対象団体である場合にあっては、当該財政健全化団体等の包括外部監査人は、地方自治法第二百五十二条の三十七第一項の規定による監査をするに当たっては、同条第二項の規定によるほか、当該財政健全化団体等の財務に関する事務の執行及び当該財政健全化団体等の経営に係る事業の管理が財政の早期健全化、財政の再生又は公営企業の経営の健全化を図る観点から適切であるかどうかに、特に、意を用いなければならない。

 (財政の早期健全化等が完了した団体の報告等)

第二十七条 財政健全化計画による財政の早期健全化が完了した地方公共団体の長は、財政健全化計画による財政の早期健全化が完了した年度の翌年度の九月三十日までに、当該年度の前年度における決算との関係を明らかにした財政健全化計画の実施状況及び財政の早期健全化が完了した後の当該地方公共団体の財政の運営の方針を記載した書類(以下この項において「財政健全化計画完了報告書」という。)を添えて、財政の早期健全化が完了した旨を議会に報告し、かつ、当該財政健全化計画完了報告書を公表するとともに、都道府県及び指定都市の長にあっては総務大臣に、市町村及び特別区の長にあっては都道府県知事に、当該財政健全化計画完了報告書を添えて財政の早期健全化が完了した旨を報告しなければならない。この場合において、当該報告を受けた都道府県知事は、速やかに、その要旨を総務大臣に報告しなければならない。

2 都道府県知事は、毎年度、前項前段の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

3 総務大臣は、毎年度、第一項の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

4 財政再生計画による財政の再生が完了した地方公共団体の長は、財政再生計画による財政の再生が完了した年度の翌年度の九月三十日までに、当該年度の前年度における決算との関係を明らかにした財政再生計画の実施状況及び財政の再生が完了した後の当該地方公共団体の財政の運営の方針を記載した書類(以下この項において「財政再生計画完了報告書」という。)を添えて、財政の再生が完了した旨を議会に報告し、かつ、当該財政再生計画完了報告書を公表するとともに、総務大臣に(市町村及び特別区の長にあっては、都道府県知事を経由して総務大臣に)当該財政再生計画完了報告書を添えて、財政の再生が完了した旨を報告しなければならない。

5 総務大臣は、毎年度、前項の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

6 第一項から第三項までの規定は、経営健全化計画について準用する。この場合において、第一項中「財政の早期健全化」とあるのは「公営企業の経営の健全化」と、「地方公共団体の財政の運営」とあるのは「公営企業の経営」と、「財政健全化計画完了報告書」とあるのは「経営健全化計画完了報告書」と読み替えるものとする。

 (都道府県が処理する事務)

第二十八条 この法律に規定する総務大臣の権限に属する事務のうち市町村及び特別区に係るものの一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

 (政令への委任)

第二十九条 この法律に定めるもののほか、市町村の廃置分合又は境界変更があった場合におけるこの法律の規定の適用その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二十一年四月一日から施行する。ただし、第二条、第三条及び第二十二条の規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (適用区分)

第二条 第四条、第八条及び第二十三条の規定は、平成二十年度以後の年度分の決算に基づき算定した実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率若しくは将来負担比率又は資金不足比率が早期健全化基準、財政再生基準又は経営健全化基準以上である場合について適用する。

 (地方財政再建促進特別措置法の廃止)

第三条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)は、廃止する。

 (地方財政再建促進特別措置法の廃止に伴う経過措置)

第四条 この法律の施行の際現に存する前条の規定による廃止前の地方財政再建促進特別措置法(以下「旧再建法」という。)第二十二条第二項の規定によりその例によることとされた旧再建法第二条第一項に規定する財政再建計画については、当該財政再建計画に係る地方公共団体が第四条又は第八条の規定により財政健全化計画又は財政再生計画を定めるまでの間は、なお従前の例による。この場合において、当該地方公共団体のうち再生判断比率のいずれかが財政再生基準以上である地方公共団体については、当該財政再生計画が定められるまでの間、第十一条の規定は、適用しない。

 (国等に対する寄附金等)

第五条 地方公共団体は、当分の間、国、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人であって当該独立行政法人に対する国の出資の状況及び関与、当該独立行政法人の業務の内容その他の事情を勘案してこの条の規定を適用することが適当であるものとして政令で定めるものに限る。以下この条において同じ。)若しくは国立大学法人等(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人及び同条第三項に規定する大学共同利用機関法人をいう。以下この条において同じ。)又は日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社、株式会社日本政策金融公庫若しくは沖縄振興開発金融公庫(以下この条において「会社等」という。)に対し、寄附金、法律又は政令の規定に基づかない負担金その他これらに類するもの(これに相当する物品等を含む。以下この条において「寄附金等」という。)を支出してはならない。ただし、地方公共団体がその施設を国、独立行政法人若しくは国立大学法人等又は会社等に移管しようとする場合その他やむを得ないと認められる政令で定める場合における国、独立行政法人若しくは国立大学法人等又は会社等と当該地方公共団体との協議に基づいて支出する寄附金等で、あらかじめ、総務大臣に協議し、その同意を得たものについては、この限りでない。

 (国等に対する寄附金等に関する経過措置)

第六条 この法律の施行の日前に旧再建法第二十四条の規定によりされた同意又は協議の申出は、前条の規定によりされた同意又は協議の申出とみなす。

 (地方債の起債の許可の特例)

第七条 平成二十一年度から平成二十七年度までの間における第十三条第一項の規定の適用については、同項中「第五項まで」とあるのは、「第五項まで並びに第三十三条の八第一項」とする。

 (地方財政法の一部改正)

第八条 地方財政法の一部を次のように改正する。

  第五条の三第六項中「第五項までに」を「第五項まで並びに地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成十九年法律第九十四号)第十三条第一項に」に、「第五項までの」を「第五項まで並びに同法第十三条第一 項の」に改める。

 (地方公営企業法の一部改正)

第九条 地方公営企業法の一部を次のように改正する。

  目次中

第六章 雑則(第四十条−第四十二条)

 
 

第七章 財政の再建(第四十三条−第五十一条)

 を「第六章 雑則(第四十条−第四十二条)」に改める。

  第一条中「、企業の経営」を「並びに 企業の経営」に改め、「並びに企業の財政の再建に関する措置」を削る。

  第七章を削る。

 (地方公営企業法の一部改正に伴う経過措置)

第十条 この法律の施行の際現に存する前条の規定による改正前の地方公営企業法第四十九条第一項の規定によりその例によることとされた同法第四十三条第一項に規定する財政再建計画については、当該財政再建計画に係る地方公共団体が第二十三条の規定により当該財政再建計画に係る公営企業について経営健全化計画を定めるまでの間は、なお従前の例による。

 (台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法の一部改正)

第十一条 台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法(昭和三十三年法律第七十二号)の一部を次のように改正する。

  第十二条を次のように改める。

  (地方公共団体の財政の健全化に関する法律との関係)

 第十二条 地方公共団体が災害防除事業を実施するために地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成十九年法律第九十四号)第十条第三項の同意を得ている財政再生計画を変更しようとするときは、総務大臣は、その財政の再生(同法第二条第六号に規定する財政の再生をいう。)が合理的に達成することができると認める限り、同法第十条第六項の規定による財政再生計画の変更の同意に当たつて、当該災害防除事業の実施が確保されるよう特に配慮するものとする。

 (首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律の一部改正)

第十二条 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和三十三年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。

  第三十三条を次のように改める。

 第三十三条 地方公共団体が近郊整備地帯整備計画又は都市開発区域整備計画に基づく事業を実施するために地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成十九年法律第九十四号)第十条第三項の同意を得ている財政再生計画を変更しようとするときは、総務大臣は、その財政の再生(同法第二条第六号に規定する財政の再生をいう。)が合理的に達成することができると認める限り、同法第十条第六項の規定による財政再生計画の変更の同意に当たつて、これらの事業の実施が確保されるように配慮するものとする。

 (総務省設置法の一部改正)

第十三条 総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)の一部を次のように改正する。

  第四条第五十六号中「財政収支が著しく不均衡な状況にある地方公共団体の財政の再建」を「地方公共団体の財政の健全化」に改める。

  第九条第一項中「地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)、地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)」を「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成十九年法律第九十四号)」に改める。

  附則第五条に次の一項を加える。

 2 地方財政審議会は、第九条及び前項に定める事務をつかさどるほか、当分の間、地方公共団体の財政の健全化に関する法律附則第十条の規定によりなお従前の例によるものとされた同法附則第九条の規定による改正前の地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)及び地方公共団体の財政の健全化に関する法律附則第四条の規定によりなお従前の例によるものとされた同法附則第三条の規定による廃止前の地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。この場合においては、第九条第二項及び第三項の規定を準用する。

(内閣総理・総務・国土交通大臣署名)  

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