養ほう振興法
法律第百八十号(昭三〇・八・二七)
(目的)
第一条 この法律は、みつばちの群(以下「ほう群」という。)の配置を適正にする等の措置を講じて、はちみつ及びみつろうの増産を図り、あわせて農作物等の花粉受精の効率化に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「転飼」とは、はちみつ若しくはみつろうの採取又は越冬のためみつばちを移動して飼育することをいう。
(養ほう業者の届出)
第三条 業としてみつばちの飼育を行う者(以下「養ほう業者」という。)は、省令の定めるところにより、毎年、その住所地を管轄する都道府県知事に次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 ほう群数
三 飼育の場所及びその期間
四 その他省令で定める事項
2 前項の届出事項に関し変更があつたときは、その旨を前項の都道府県知事に届け出なければならない。
(転飼養ほうの規制)
第四条 養ほう業者は、他の都道府県の区域内に転飼しようとするときは、省令の定めるところにより、あらかじめ、転飼しようとする場所を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、省令で定める場合は、この限りでない。
2 前項の許可には、転飼の場所、ほう群数その他の事項について条件を附することができる。
3 都道府県は、その区域内における転飼につき、条例で規制をすることができる。
(みつ源植物の保護増殖)
第五条 みつ源植物を植栽、除去又は伐採しようとする者は、その目的に反しない限りにおいて、みつ源植物の増大を旨としてこれを行わなければならない。
(表示)
第六条 はちみつを精製(脱色、脱臭、濃縮又は添加物の添加をいう。以下同じ。)して販売することを業とする者は、はちみつを販売するときは、省令の定めるところにより、その容器に添加物の有無及び添加物を添加したときはその種類及び割合を表示しなければならない。
2 はちみつの販売を業とする者は、容器に前項の規定による表示のあるはちみつでなければこれを販売してはならない。
(農林大臣の報告聴取及び勧告)
第七条 農林大臣は、養ほうの振興のため必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、みつ源の状態、ほう群数その他必要な事項に関し、報告を求めることができる。
2 農林大臣は、ほう群配置の適正を期するため必要があると認めるときは、転飼養ほうの規制に関し、都道府県知事に勧告をすることができる。
(助成)
第八条 政府は、養ほう業者に対し、予算の範囲内において、養ほう業の振興のため必要な補助金を交付することができる。
(罰則)
第九条 第四条第一項又は第六条の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。
第十条 第三条第一項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して三箇月をこえない期間内において、政令で定める。
2 この法律の施行前に精製されたはちみつについては、この法律施行後六箇月を限り、第六条の規定は、これを適用しない。
3 家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項の表中
「 |
二十七 ひな白痢 |
鶏、あひる |
」 |
を
「 |
二十七 ひな白痢 |
鶏、あひる |
|
二十八 腐蛆病 |
みつばち |
」 |
に改め、第二項中「家畜伝染病」の下に「(腐蛆病を除く。)」を加える。
4 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第三十八号中「及び家きん」を「、家きん及びみつばち」に改める。
第十一条第三号及び第九号中「及び家きん」を「、家きん及びみつばち」に改める。
第二十二条第一項第一号、第二号及び第四号中「家畜」を「家畜、家きん及びみつばち」に、同項第三号中「家畜」を「家畜及び家きん」に改める。
(農林・内閣総理大臣署名)